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朔の夜は終わりを告げる 5

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 そしてあと二つ。
 奴らは面白い情報を持っていた。


 一つ目が超重要。
 アンジェスの末裔であるリリー嬢たちを攫うことの他に奴らはもう一つ依頼を受けていた。

 それはとある場所の探索。

 その場所が何処かも、そこに何があるのかも不明。
 なんじゃそりゃって感じだが、そこに重要な何かがあるのは確からしい。依頼主のかつて袂を分かった連中の隠れ家、それを見つけるのが奴らの受けたもう一つの依頼。
 取り敢えず、判明したありったけの情報を絞り出してこの捜索は国が引き継ぐことに決まった。


 二つ目はちょっとよくわからない。

「カイザー・フォン・ルクセンブルクという男を知っているか?」

 そんなことを聞かれた男が居たのだ。
 依頼には直接関係なく、「知らない」と答えると話はそこでおわったらしい。奴らが俺のことを知ってたのはそのせいだった。
 興味本位で話に出てきた男のことを探れば「無能な貴族」の噂が出てきたとのこと。

 ……何故に俺??

 ハンゾーも勿論その理由の心当たりを問うたのだが、

「あんなのがターゲットの傍に居たんじゃ仕事の邪魔になると思ったんだろ。寧ろあんな奴やクソ強ぇガキ共が居るなら初めから教えられてればもっと慎重にコトを運んだものを」

 と毒づいていたらしい。

 納得できない理由ではない。
 俺はティハルトと仲が良いのは有名だし、アンジェスの末裔が入園するにあたって公爵家の嫡男が教師となったからには国が思惑を持って俺を学園に送り込んだと考えてもおかしくはない。(実際はシスコン拗らせて独断で教師として学園に乗り込んだだけだがな!)

 それなら彼女たちを狙う連中にとって俺は邪魔臭いことこのうえない存在だ。
 でもそれなら俺の存在を奴らに教えとかないだろうか?

 う~む、わからん。

 華やかなワルツを聴きながら、俺は心底訝し気に頭を捻った。



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