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ドキドキ初体験 3
しおりを挟む「動くなっ!!」
声を上げた男の腕には小柄な少女。
太い腕で首を掴まれ掲げられた少女は恐怖に悲鳴を上げ手足をバタつかせるが、力を込めた男に「黙れ」と凄まれ身を竦ませる。
傍らには樹の根元に気を失ったような青年が一人。フードの男は全部で四人。
そして尻餅をついたリリー嬢とその前に立ちはだかるナディア嬢。
更には二人を守るように剣を構えたシリウスと手を突き出したアレクサンドラの姿。
「一先ず退くぞ」
少女を捉えたままのフードの男が口惜し気に告げれば、周りの男も緩慢に頷く。
「そのお嬢さんを放してくれないかな」
緊迫した空気に相応しくなく俺の声が響く。
一斉に集まる視線。
「カイザー様?!」「カイザー殿?!」振り向き驚愕する彼らをよそに、俺はちらりとリフに視線をやったあとそのままフードの男へと歩み寄る。
ここまで彼らを凌いできたのだろう。
肩で息をするアレクサンドラやシリウスの前にリフが立つ。
これでもう一安心。
大きな怪我もなさそうな様子にこっそりと息を吐く。
襲撃者たちは誰のルートを選んでも攻略対象者たちが凌いでくれる。だが、選択を間違えば崖に落ちて怪我をする展開もあるのだが、それは上手くリリー嬢が回避してくれたようだ。
一方、襲撃者のフードの男達も息が荒い。手傷もそれなりに追っていることからこれ以上は無謀だと悟ったのだろう。
賢明な判断だ。
その判断を下すまでがちょっと遅かったけど。
とはいえ、少女を連れて行かれては困る。
「何だお前は?」
「ただの教師ですよ。我が校の生徒を放してくれますか?」
「近寄るなっ!!」
怒鳴り声に脚を止める。
太い腕で吊るされた少女に顔を顰めた。
「女性に何て扱いをするんです?人質のつもりですか」
こんな連中に言う発言じゃないし、平然と話をする俺は極めて異質だろう。
「では、こうしませんか?私とそのお嬢さんを交換しましょう。人質としての価値は私の方があると思いますよ?」
「「「なっ」」」
聞こえる複数の驚愕は無視で。
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