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隠した弱音と晒した弱音 3

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 ゲームのサポートキャラでずっと図書室に居るのに、何でも知ってる妖精さん。

 マジ妖精さんなの?
 そんなファンタジーな存在なの??

 いや、乙女ゲームの世界ってこと自体が大概ファンタジーだけどさ。

 謎すぎて気になるけど、深入りすると相手してくれなくなるの知ってるから聞けない。

「……嫌われてるっぽいんだよね」

「嫌い、っていうか苦手?」

「あー、確かに」

 そしてやっぱり会話通じてますね。

 えっ、何でもお見通しなの?
 全知全能的な??

「結構しょっぱなから気づいてたけどさ、不信感?みたいのがあるよね」

 不信感、とはまた違うのかも知れない。
 だけど地味に距離を置かれてる。

 何がといえばナディア嬢のことだ。

 嫌い程強い拒否じゃないし、話をする分には普通に接してくれる。だけど何処か積極的には近づかないでおこうみたいな雰囲気を感じる。

 誰からも好かれようなんて思っちゃいないし、好悪は別にして俺の佇まいは人を気後れさせる雰囲気を発しているのも自覚してる。
 
 それでも、
 怒りと憎しみを孕んだ亜麻色のあの瞳が焼き付いて離れない。

 ゲームのヒロイン設定でも彼女は明るく溌剌として、強い意志を持った少女だ。
 正しくないと思ったことには毅然と立ち向かえるし、怯まず眼の前の出来事に向かい合う姿も知っている。

 だけどあのは違う。

 あの瞬間、正義感とは異なる怒りと憎しみが俺へと向けられていた。

「ナディア嬢にとったらやっぱり俺も信用出来ない連中の一人なのかな」

 ぷにぷに、もふもふ、ナデナデ、ぷにぷに。

「大人って汚いしね。しかも貴族とか腹の中真っ黒そうなイメージあるよな」

「自分で言う?」

「俺なんか外見も黒いし、何せ渾名が“闇の貴公子”だし」

「……闇の貴公子……」

『闇の貴公子……恰好いい……!』

「あといっつも笑顔と外面そとづら取り繕ってるから胡散臭さが滲み出てたのかも。微笑みという完璧なポーカーフェイスだと思ってたけど、被ってた黒鳥の皮が甘かったのかも」

「黒鳥って何?」

「優雅な白鳥の外面そとづら。黒いから黒鳥」

「成程」

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