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一番苦手な奴が来た 1

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 友人に呼ばれて友人宅へお邪魔。

 言葉にすれば、そんなフランクなのに。
 友人がこの国の現陛下であられて、友人宅がお城という、そんな全然フランクでないお誘い。

 憂鬱な気持ちを抱えたまま馬車から降りる。
 すっと手を差し出せば、はにかんだ笑みを浮かべて手袋越しの掌に手を重ねる可愛い妹。

 可愛い、まごうことなく可憐かつ綺麗な美少女である。

 会わせたくない…。

 ガーネストは無理でも、出来ることならベアトリクスだけでもこのまま馬車から降ろさず屋敷へと連れ戻したい。
 そんな葛藤かっとうも空しく、ティハルトの従者の一人に恭しく出迎えられた。



「どのような御方なのでしょうね?」

「さぁ?でもジャウハラの国民はおおむねフレンドリーな気質のようだね」

「かの王族には魔人の血も混ざっているためか、強気で自由な性格の者も多いと聞きます」

「それに実力主義で尚且つその血故か美しい容姿を誇る。妖しく美しい姿に虜になってしまう者も後を絶たないようだから気を付けて」

 シトリンの瞳を覗きこんで悪戯っぽくそう告げる。

 軽い感じで忠告してますが、実際超切実です!!
 今から会う相手はすっごい女たらしだから気をつけて!!

 冗談だと思ったのか、ベアトリクスは口元に手を当ててクスクスと笑う。

「あら、妖しい程に美しい殿方ならお兄様で見慣れてますわ。それに王族の美しさなら我が国も負けておりませんもの」

 うーん。
 確かにティハルトやダイアも美しさなら負けてないんだけどね。系統が違うというか。
 アイツはベアトリクスに会せたくない系統なんだよなー。

 そんなことを思いつつも、無情にも目的地はすぐそこだった。


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