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闇の貴公子参上!! 3
しおりを挟む大きな瞳がじぃっとガーネストを見上げる。
うんうんと頭を捻り、ひそひそと言葉を交わし、またじぃっと観察。
「髪の毛がキラキラしてきれいだから“光の王子様”がいいと思う!」
おおっと、それは俺がティハルトに密かに付けた名じゃないか。
「えー、ありきたりじゃない?“シャイニングスター”とか」
横文字きたー。
「瞳が赤いから“ルビーアイ”とか恰好ぇと思う!!」
残念。
同じ赤でもガーネットなんだな、惜しい。
洗礼、それは子供たちによる渾名という名付である。
顔を突き合わせて協議した末、
「光の王子様ー!!」
ガーネストの渾名が決定。
なんてこった、ティハルトと被った!何ならダイアもそれ系だけど。
「……ひ、光の王子様??」
困惑顔のガーネストの肩をぽんぽんと叩く。
「因みに私は“闇の貴公子”らしいよ」
苦笑いしながら告げればガーネストとリアンが「や、闇の貴公子…」と呟く。
「他にもねー“しっこくの王子様”とか“夜のていおう”とか“めいふの王”とかいっぱい考えたけど“闇の貴公子”様になったのー!」
「見事に暗黒系ばっかですね……」
思わず……といったリアンの呟き。
それな。
子供って素直…。
忖度無い率直な印象なんですね…。
正直“夜の帝王”じゃなきゃなんでもいい。
それはなんか別の意味っぽくて嫌。
「何故、兄上が暗黒系ばっかりなんだ…?」
子供たちに視線を合わせて問いかける我が弟。
それはね、黒いからだよきっと。
服も髪も、あと印象。
「カイザー兄上は黒のお召し物がとてもお似合いだが、とても優しい方だ」
ほろり。ウチの弟が良い子すぎて好き。
「知ってるー!!カイザー様優しいから好きっ!!」
「キレーで冷たく見えるのに優しいとか美味しい!」
「お、美味しい??兄上は食べ物ではないぞ?」
「天然も美味しい」
頭に疑問符をいっぱい浮かべてる無垢な弟と、そんなガーネストを見て満足気にうんうんと頷く幼女たち。
………何、この絵面??
そして幼女たちの将来が若干心配になる。
一方、もう一人の新参者のリアンはというと。
「従者様だ……」
「でも、こっちのお兄さんは普通そうだよ…?」
「ばかっ、従者様だぞ?きっと凄いに違いない。あれだ、世をはばかる仮の姿ってやつだ」
「見かけに騙されちゃいけない」
「えっと…あの?」
こっちもこっちで子供たちに翻弄されている。
助けを求めるようにこちらを見られたが、俺はゆっくりと首を振った。
ごめんな、リアン。俺にもどうしようもないんだ。
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