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あざとさは天然モノであることが肝心 4

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(リリー視点)


 そして私の渾身のあざと可愛さはあっけないまでに打ち返されました。

 ヒロインのあざと可愛い動作は天然だから可愛いのであって中身が私じゃ駄目だっていうの??
 でも確かに作られたあざとさ程鼻につくものはないわよね。

「僕もその気持ちはわかります。失敗することを何よりも恐れてましたから。だけど今は失敗してもそこで終わりじゃないんだって思えます。苦手だからこそ身に着くものもあるってそう教えて下さった方が居るので。リリー様こそ何かお困りのことなどがあったら声を掛けて下さいね」

 はにかむように微笑むサフィア様が尊い。
 そして優しい。

「あ、ありがとうございます。えっと…因みにそれを教えて下さった方って……」

 小首を傾げて問いかけた私に返ってきたのは、

 “彼”の名前で________。


 ゲームでは悪役令嬢で我儘姫だったベアトリクスちゃん。
 傲慢で俺様だった筈のガーネスト様に、劣等感を抱いた生真面目キャラだった筈のダイア様。
 神経質なまでの完璧主義が薄れゲームより柔らかな印象のサフィア様に、まだ登場しない筈のメラルド君。

 全てに関わっているのは__________。


『カイザー・フォン・ルクセンブルク』

 ゲームでは見かけなかった美貌の麗人。

 “彼”は一体何者なの?

 これが隠されたカイザー様ルートのストーリーの在るべき姿なのか、
 あるいは
 カイザー様もリリーと同じ“転生者”なの_____?

 確かめなくちゃ。
 私は机の下で決意と共に拳を握りしめた。



「あの、私図書室に行きたいんですけど…。後で場所を教えて頂けますか?」

「勿論ですわ。宜しければ図書室の他にも校舎をご案内しますわよ」

「わぁ、有難う御座いますっ!!」

「図書室は五階で少し離れてますの。ですから次の休み時間よりもお昼休みか放課後の方がいいと思いますわ」

 声を掛ければ快く案内を引き受けてくれたベアトリクスちゃん。
 ゲームでは選択肢だけだったからこういう時マップ機能がないのは痛い。でも早々に優しい友達が出来たお蔭で助かったわ。


 これでゲームの攻略の鍵が手に入る筈___!!


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