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己の行動に一切の悔いはない 4

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 そして入学式。

 生徒会長として威風堂々と祝辞を述べるガーネストの姿に感動で打ち震えながら必死にポーカーフェイスを維持した。いっそ根性。

 何処の学校でも変わらない校長先生の長々とした話に眠気と闘い、見事打ち勝った俺は新任の教師として名を呼ばれた。
 途端に広がる騒めき。

 一歩、また一歩壇上への階段を上がる。

「新任の音楽教師をさせて頂く、カイザー・フォン・ルクセンブルクです」

 マイクに軽く手を当ててそう挨拶した途端。

「きゃぁーーーーーーーーーーーーーー!!!」

『きゃあぁーーーーーーーーー!!!!』

 衝撃に思わず一歩よろめいた。
 正に衝撃波と呼ぶに相応しい黄色い叫びが俺を襲う。
 反射的に耳を塞ぎそうになったのを必死に耐えた。

「恰好いいっ!!」

「素敵っ!!」

「えー、担任の受け持ちないのっ?!」

 辛うじて幾つかは聞き取れるものの、もはや音の塊ともいえる沢山の声と心の声。

 おぅふ。
 学生の熱気を舐めてたぜ……。

 あまりの熱狂に思わず頬が引き攣った。

 そしていつもこれを受けて平然としているのかと、現生徒会長のガーネストや、高等部へ上がったガーネストの後任で昨年一年間生徒会長を務めていたサフィアをガチ尊敬した。

 壇上から生徒を見下ろせば、キラキラした眼で俺を見上げる可愛い弟妹。
 俺と眼が合った途端、こっそりと胸元で小さく手を振るベアトリクスに不自然じゃない程度に俺も僅かに手を上げる。それにはしゃぐ子マジ可愛い。

 そしてその傍に見えた二人の少女をそっと観察する。

『亡国のレガリアと王国の秘宝』のヒロインたち。

 ストレートロングの亜麻色の髪に同色の大きな瞳の少女と、
 ふわふわとしたピンクの髪に菫色の瞳の少女。

 少女の一人、ピンクの髪のヒロインが大きな瞳と口をぽっかりと見開いて唖然とした表情でこちらを凝視していて。

 モロに視線がかち合った俺はとびっきり優雅に見えるように彼女へと微笑みかけた。


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