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乙女たちの聖戦、或いは製菓業界の陰謀 3

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 議題はバレンタインの商品展開。

 余談だが、俺はこの世界でバレンタインが少し嫌いになった。

 前世では割とモテてたこともあり、それなりに楽しみなイベントだったが、この世界で超絶美形かつお金持ちに生まれた俺に待ってたのは大量のチョコのだった。

 数の暴力って恐い。
 あの時期になると女性とチョコ恐怖症になる。

 俺だけでなくガーネストたちも同じようなこと言ってげっそりしてた。
 しかもガチで媚薬とか入ってるのあったからね。怖っ!!

 異能とかで異物混入わかる人に見て貰って、ほとんどは孤児院とか行きです。
 実際そんな食べられないし。
 子供たちは普段見ない綺麗なお菓子に大喜びだから結果オーライなのかも知れないけど。

 そして異能がなくても何故か異物混入見分けられるハンゾーさんたち。

 何なの??

 まぁ、そんなこんなで乗り気はしないイベントですが……菓子店のオーナーとしてはこのイベントに乗らない手はないわけですよ。
 なんせ稼ぎ時!

流石さすがですね、どれも素晴らしい案です」

 資料を手に感嘆の声を漏らすアラン。
 商機を感じてか瞳がキラキラと光っているので社交辞令ではなさそうだと俺は内心でほっと息を吐く。

 俺の一押しはペーパーナイフ。
 ビター系統のショコラやマカロンの詰め合わせに、剣を模したペーパーナイフをつけたもの。

 シックな包装に剣の銀が映える。
 むしろ俺が欲しくて考案した。

 何せ、先程触れたようにバレンタインのチョコに辟易している男性陣は多い。
 なので実用品に焦点を置いてみた。
 ペーパーナイフなら普段使い出来るし、何より剣の形って恰好よくない?

 他にも定番のハート型の菓子や包装。
 そして華やかで可愛らしいチャーム付きや小物入れになるBOXにショコラを詰めたものなど(いつもより豪華版)。こちらは男性用ではなく女性の自分へのご褒美用。
 むしろ前世では一時期そっちや友チョコが主流だったしな。

「ペーパーナイフや、小物入れは単価が高くなるから数量限定か事前予約の受注生産を考えているんだけどどうかな?」

「そうですね。その方がリスクが少ないかと」

 顎に手をあてて何やら考えているアランの頭の中では早くも単価や見込み数など様々なことが駆け巡っているんだろう。

「ところで」

 考えが一段落したのか、アランが資料の一部を指した。

「こちらはどういった意向ですか?」

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