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「そろそろくノ一来ないかなー」(某メイドの独り言) 2

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 そして感激に打ち震えるハンゾーさん。
 まだそれが何か言ってもないんだけどね。

 もうその辺の小石とかあげても奉ってくれそうな気がするのは俺だけだろうか?

「襟巻なんだけどね、竜の鱗を練り込んだ糸で織られているから防御力がとても高いんだ。リリアが贈った額当てやソラが贈った手甲で急所の防御力が上がっただろう。折角なら最大の急所である首をガード出来るものもあればいいかなと思って」


 そう、これはいつだかのハンゾー忍者カスタマイズの一環である。
 あの時は断念したが、俺はその後もハンゾーへ贈る物を考え続けた。

 やはり推しは手裏剣しゅりけんなのだが、あれは特殊性が強いし。
 泣く泣く涙を呑んで妥協案として見出したのが今回の襟巻である。

 忍者の長い襟巻は訓練に使用していた名残とか所説あるが、まぁ由来はどうでもいい。

 黒装束に口布、額当てに手甲に襟巻!
 ビジュアル的に完璧ではないだろうか!

 因みに手裏剣はないが、ハンゾーは長い飛針のようなものは使用してるよ!

 初めて見た時大興奮して俺も使わせてもらったがめちゃ難しかった。ダーツ経験はあるからいけるかと思いきや投げ方からして全然違うしね。

 余談だが眺めていたリフが

「武器も忍ばせ易いし、体術に自信のない私でも扱えるしいいですね」

 とか呟いてハンゾーに指導を受けていた。
 そして見事に標的である人型の首とか心臓の位置に飛針をぶっ刺してにこやかに微笑んでらっしゃったんですが……。

 や、リフさんに物理的攻撃手段は必要ないんじゃないですかね?

 薄ら寒いものを覚えた俺が居る。

「早速身につけさせて頂いても?」

「勿論」

 応える否やいそいそと襟巻を首へ巻くハンゾー。
 服と同色の黒布が首へ巻かれ、長い裾が垂れ下がる。

 いいね、いいね。イメージぴったし!

 これで颯爽とした動きに合わせて垂れ下がった部分が風に靡けばいうことなしだ。
 問題は、実際のハンゾーさんの動きが早すぎて俺の眼ではいまいち追えないということですね。

 ハンゾーも影の皆も本当に人間止めてるのかな?

 知ってる?
 人間って消えないんだよ?

「凄く軽いですね。まるで身に着けていないかのようです」

「軽量化にも力を入れてくれたからね。でもそんな薄い布でも余裕で斬撃を弾くんだよ。広げて簡易的な盾としても使用出来るし、伸縮性もあるから万が一手傷を負った場合は包帯代わりにして傷の保護にも使えるしね」

「なんと」

 俺の説明に興味を持ったのか、ガーネストやサスケたちはハンゾーに断って襟巻を触らせて貰っている。

 わかる、男の子として伝説の武器とか防具的なアレには興味を持つよね。
 微笑まし気にその様子を見守っていると、やがてハンゾーが再度跪いて首を垂れた。

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