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これが敵に塩を送るということか 2

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「高等部のご令嬢たち、凄く綺麗なんですの。雰囲気だって大人っぽいし……躰つきだって私とは全然。そんな方達がダイア様の傍に沢山……」

 自分の胸元を見つめながらうるうるする可愛い妹。

 確かに、高等部ぐらいになると極端に変化が出る。

 特にこの世界は乙女ゲームの世界&西洋風の外見もあってボンキュボンのラインは眼を見張るものがある。
 何ならベアトリクスも無茶苦茶という程ではないが普通にスタイルよく仕上がる。

 とはいえ、セクハラになるからお兄ちゃんはその点に関しては沈黙させて頂きます。

 ベアトリクスは悪役令嬢ではあるものの悪女風ではなくちょっぴり気の強そうなものの正統派高貴なご令嬢って感じの美少女だった。
 お色気系ではなかったけれど、兄の欲目を抜いても美人だった。
 今でも超絶美少女だけど。
 正直、ヒロインより可愛いと思った記憶がある。

「ダイア様もガーネストも、いっつもご令嬢たちに囲まれてるんですの」

 あー。
 だよね。王子と公爵家、しかもイケメン。
 婚約者を狙う女の子たちが群がらない筈がない。

 以前もそうだったけど、高等部は年齢的にもより一層今後を意識する頃だろうし、何より以前はいつも一緒にいたベアトリクスたちが居ないチャンスっていうのが大きい。

「二人ともモテるからね。ところで」

 話の腰を折って申し訳ないが、どうしても聞かなければならないことがある。

「ベアトリクスたちは大丈夫なのかい?男子に絡まれたりしていない?」

 若干身を乗り出して尋ねる俺。

 だって、チャンスなのはガードが外れたベアトリクスたちも一緒じゃん!

 寧ろ、女の子っていう面でこっちのほうが俺的には重要。
 ベアトリクスの心配はわかるけど、ダイアはベアトリクス以外になびいたりしないだろうしダイアもガーネストも自衛出来るしね。

「時々声は掛けられますけど大丈夫ですわ。あんまりしつこい方はダイアナ様が追い払って下さいますし、サフィア様とかも間に入って下さいますし」

 ダイアナ嬢&サフィア超ナイス!!
 うちの可愛い妹助けてくれてマジあざーす!!

「……私…」

 震える声音。

「ダイア様のことが、好きです」

 小さく、だけどはっきりと告げられた言葉。

「だから恐い。恐いんです」

「何が恐いんだい?」

「ダイア様が他の誰かに盗られちゃうことが。
 ダイア様が誰かを好きになることが」

 揺れる瞳。潤んだシトリン。だけどその瞳からは涙は流れずに。

「こんなことを想う私自身が」

 代わりに押し込めていたであろう想いが唇から零れ落ちていく。
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