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この幻覚が見えるのは俺だけだろうか? 3
しおりを挟む「……はい。他の教科に比べてあまり。何処か間違っていましたか?」
不安そうな表情に慌てて首を振る。
「いえ、何処も間違いはありません」
やべ、唐突に得意じゃないかとか聞いたから間違えを揶揄されたと思われた…。
それでもショックを与えた原因がわかって違うと説明する。
「解説がとてもわかりやすかったので」
嫌味ではなく褒めたつもりでした。
「あ、他の教科の説明も簡潔でわかりやすかったですよ?ですが文学は特に間違え易いポイントの解説がわかりやすいなと思って。ベアトリクスたちも気をつけるポイントがよくわかっただろう?」
「ええ、とても参考になりました」
「私も凄くわかりやすかったです」
「僕も何となくわかりました」
「でもお兄様、どうしてそれが得意じゃないと思われることに?」
「自分が出来ることの方が意外に説明が難しいこともあるんだよ。例えば息をする。あまりに当たり前すぎてどうしてるかなんて考えないだろう?自分が出来ることは無意識にでも自分がわかっている。出来て当たり前だと何故出来ないかがわからない。逆に自分が苦手だったことは何処か難しいのか、何処が躓きやすいか経験からよくわかる」
「「成程」」
「サフィア様の説明はとてもわかりやすかったです。苦手なことを理解され、深い知識として落とし込まれたからこその解説だと思ったんです」
「ありがとう、ございます」
褒められ薄っすら頬を染めて礼を告げるサフィアに一先ず嫌味疑惑が晴れほっとする。
「苦手なものが苦手なままの場合はどうすればいいですか~」
しょんぼりワンコ再び。
うん、明らかに勉強とか苦手だもんね。君。
「何とか折り合いをつけるしかないんじゃないかな?」
そんな捨て犬みたいな眼で見んな。
「絶対に勝てない敵と出会った時、メラルドはどうする?」
「逃げます。逃げるわけにいかない時は闘います」
「そうだね、負けが分かって闘うのは勇敢ではなく無謀だし、誇りを掛けて剣をとるなら引くわけにはいかないけれど、逃げていい闘いなら無駄死にする意味はない」
じゃあ、勉強しなくていい?ってキラキラお目々のワンコ。
いや、聞け。
「だけど逃げられない時だってあるだろう?そんな時は相手を凌ぐしかない」
「……(´・ω・`)」
「赤点を取ったら暫くは補習だろう?そんなことになったら毎日鍛錬の時間が削られてしまうよ?それだったら数日間逃げずに勉強を頑張ってその後の鍛錬の時間を確保する方がよっぽど効率的じゃないかな」
『補習?!鍛錬の時間が減る!』
ピンっ、と立った耳。
可笑しいな、こいつ尻尾も耳も無い筈なのにめっちゃはっきり幻覚見える。
「頑張ります!」
まぁ、やる気になってくれたならいいか。
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