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神秘的っていうのは割と碌でもなかったりする 4
しおりを挟むそして、そんな折に後妻として嫁いできたのが義母だ。
本来なら父さんは義母との家と婚約の話も出ていたらしい。家格を考えれば母さんよりも義母の実家の方が相応しい。だけど母さんと恋に落ちた父さんは母さんと結婚した。
それだけでも思うところはあるだろうに。
母さん亡き後、再び義母の実家から縁談の話が持ち上がった。
因みに最初の縁談の相手は義母ではなくその姉で、家同士の繋がりを欲した結果妹との縁談が上がったそうだ。
後妻として嫁いできた義母はまだ十代後半。
その若さで子持ちの男に嫁ぐことになった義母の気持ちを思うと何ともいえない。
幸いにも、義母は父さんを好きになり、父さんも義母や新しい家族を大切にした。
そうなると、ネックになるのが俺の存在だ。
俺が母さんと他の男の子供だとしたら、
母さんが父さんを裏切っていたことも、公爵家の血を引かない俺がガーネストに代わって爵位を継ぐのも許せないだろう。
俺が父さんが他の女に産ませた子供だとしたら、
それは自分や母さんへの裏切りに他ならない。
もし他所の女に産ませた子を前妻に自分の子として育てさせていたのなら…。
その子が自分との間に生まれた子よりも大切だというのなら…。
その女とずっと関係が続いていたのなら…。
そんなことは考えたくもないことだろう。
要するに、義母が俺を厭うのは当然のことだと思う。
これで俺が二人の子だとわかれば、継子に対する遺恨は完全に消えることはないものの義母の気持ちは大分落ち着くんだと思う。
俺が二人の子ならば俺は正式な公爵家の後継者だし、父さんも母さんもお互いを裏切ってなんていなかったことになる。
そしてそれを証明するのは簡単だ。
何故なら俺が不義の子と見做されたのは俺が『無能』だったから。
ならば俺が現在、異能を持ってることを言えばいい。
「それが嫌だからこんな状態なままなんだよな…」
そう、嫌なのである。
だって誰が「人の心の声が聴こえるんです」って奴に近づきたいと思う?
しかも俺は次期王の親友。
そんな奴が心が読めるんだよ?後ろ暗いことのある奴らにとっては目障りなことこの上ない。確実に即暗殺対象になるっての。
いや、今も暗殺対象だけどさ。
俺も、人質として価値のある家族も今の比じゃなく命を狙われることになる。
苛立ちに任せてぐしゃぐしゃと髪をかき混ぜる。
「あ~!!何でもっとマシな能力じゃなかったんだよっ!!!?」
もっと格好いい異能が欲しかった。切実に。
何ならリリアの『発光』でもいいから他のに……。
いや、やっぱアレは嫌だな。
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