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穏やかランチと衝撃発言

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今日の非番はエドワード。
なので一緒にランチです。

「おや、から揚げかい?」

「今後はおウチでもでます」

「それは嬉しいな。とても美味しかったからね」

そう言って一つ摘み瞳を細める様子は本当に気に入っているようで嬉しくなる。

から揚げ、最強ですよね。

絶対にご飯に合うのでいつかお米も見つけたい!
それからしょう油にみそに……とお皿を見つめながら野望に燃える姿にエドワードが不思議そうに首を傾げていた。ちなみに本人は気付いてない。

「こっちはなんだい?」

「海老カツサンドです。ソースはタルタルソース」

「タルタルソース?もしかしてマヨネーズのお仲間かな?」

「そうです。さすが兄さん。マヨネーズに刻んだお野菜とゆで卵をいれて味付けしたものがタルタルソースです。シーフードの揚げ物によく合うんですよー」

「どれ。うん、美味しい。味はすごく濃厚なのに、酸味があるからかな?揚げ物とたしかによく合うね。くどくなりすぎずに食欲を引き立ててくれる。食感もあって贅沢なソースだ」

みんなみたいにバクバクという食べ方じゃないのに、あっという間に皿の中身が減っていくのがすごく不思議。思わずお皿を見つめちゃう。

あとちゃんと食レポしてくれるのがエドワード。
他のメンバーはたいてい「おいしい!」「うまい!」の言葉でおわる。

とはいえ、気持ちのいい食べっぷりだし、表情からも本当にそう思ってくれてるのがよくわかるので全然いやじゃないのだけど。

家族の人数の多い日は厨房が大忙しです。

「クラレンスはパンを使ったレシピが豊富だな」

兄の言葉にふと考える。

サンドイッチに、差し入れしたホットサンドとトーストサンドイッチ、パンではないけどシルクのところではトルティーヤも作ったし、それに今日の海老カツサンド。

白身フライのサンドやチキンフィレバーガーも作る約束をしてるし、定番のハンバーガーだって作りたい。
肉汁ジュワーにチーズもいれたやつがいい。

こう考えると、たしかにパン系多いかもしれない。

そう思いながらパクッとサンドにかぶりつく。
口いっぱいのサクプリ食感とパンとタルタルソースのハーモニーが絶品です。

ハムスターみたいだな、とか思われつつ兄に眺められてるとはしらずモグモグしてごっくん。

「パン系、きらいじゃないけど一番の理由は作りやすさですかね?ほら、料理人さんたちいますし。普段の食事はプロがおいしい料理作ってくれるわけですし、僕が作るのは軽食とかちょこちょこっとしたものになるんですよね」

「それもそうか」

「あとはから揚げみたいに「これ食べたい!」っていうのとか。パン系ってさほど手間もかからなければ、軽食としても差し入れとしても便利ですし」

説明に納得したエドワードがテーブルのうえに手を組んでにっこりと笑う。
お皿のうえはいつの間にか空だった。
……クラレンスの3倍はあったはずなのに。

「料理人たちの料理は確かに美味しいけど、クラレンスの料理もとても美味しいよ。差し入れもすごく嬉しい。いつもありがとう」

「そういえば……」と食後にまったりしているとエドワードが切り出した。

「シルク嬢たちの訪問は決まっているのかい?」

「母さんと休みが合い次第ですけど」

それがどうかしたのか?という風に首を傾げれば、エドワードが困ったような笑みを浮かべた。

「最近はクラレンスも騎士団に出向いてて忙しいしな。殿下が早く済ませろとグチってくるんだよ」

「デンカ……?って殿下?王子サマですか?」

一瞬意味が掴めなかった。
殿下という単語を認識しても意味はわからないままだ。
だって会ったことないし。

「シルク嬢はフェリック殿下の従妹いとこにあたるんだよ」

「そーいえば、そんなこと言ってた気も……」

すっかり忘れてた。

「侯爵夫人の姉である王妃様も殿下もとてもシルク嬢のことを気にかけておられたからね。アザが癒えたと聞いて是非会いたいそうなのだけれど……」

それが自分にどう関係が?と疑問を顔にだせばエドワードの眉が困ったように下がる。

「シルク嬢が「はじめての外出はクラレンス様の所と決めてますの!」って譲らないらしいんだ」

苦笑いを浮かべる兄の言葉にポカンと口が丸くなる。

王族に向かってなに言っちゃてるの、シルク……。

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