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ダイエットにも効果あり!ジンジャーシロップと入浴剤

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せっせ、せっせとショウガをスライスする。

たわしで軽く洗って泥や汚れを落としたショウガを、包丁で1、2ミリ程度にスライス。
スライス、スライス、スライス…………。

ショウガといえば薬味として使ったり、魚なんかの臭い消しに一緒に煮たり、どちらかといえば脇役的存在だ。

だがしかし、
クラレンスの横にあるザルにはこんもりと山盛りのショウガがあった。
しかも2山。

あんなにいっぱい一体何に……?

そんな料理人さんたちの視線に気づかぬまま、山を作り上げたクラレンスは満足げに頷いて包丁を置いた。

「それをどうなさるんですか?」

疑問に耐えきれなくなったのか料理長が一同を代表して聞いた。

「ジンジャーシロップを作ります」

答えながら1山分のショウガ大きめのボールへとざざざっと移す。
計りを取り出し、同量の砂糖を加え、まぶすようによく混ぜる。
これでしばらく放置だ。

1時間ほど放置するとたっぷりに水分が出てきます。

次の工程はそのあとなので「ちょっとバルコニーに行ってきます!1時間ぐらいしたら戻ってきますね」そう言い残し、もう1山のザルを手に厨房を出た。


「おや、クラレンス様。どちらに?」

「バルコニーです。セバスさん丁度いいところに!これを干したいんですけど、いい感じの平らなザルとかありますか?なければ敷物でもいいです」

「すぐにお持ちしましょう」

「わぁーい!ありがとうございます!」

用意してもらったザルにショウガのスライスを丁寧に並べていく。

このバルコニーは日当たりもいいし、乾燥するのも早いだろう。
一日に一回ぐらい表裏をひっくり返すと乾燥が早まります。

「保存食、でしょうか?」

「いいえー、これは入浴剤用です。普通に食べることも可能ですけどね」

乾燥させると辛み成分のジンゲロールが「ショウガオール」へと変化するのだ。
血行を促進し、代謝アップするのでダイエットにおススメです。

「ただ料理に使うならともかく、そのまま食べるならお砂糖で煮たものを干したショウガ糖の方が食べやすいです」

……お砂糖を使う分、カロリーは多いが。

ダイエット目的でないクラレンス的には辛みの強い干しショウガはあまり得意ではないのだった。

「今回は乾燥させたこれを1、2欠片小袋に入れて入浴剤にします。お風呂に浮かべて揉みながら入浴するとポカポカになるんですよ」

効果をお求めの場合は量を増やしてもOKですが、肌の弱い方は刺激にご注意!

「なら丁度いい大きさの小袋を用意しておきましょう」

お願いされる前に請け負ってくれるセバス。
出来る執事は今日も優秀だった。


さて、1時間経過したので再び戻った厨房。

ボールの中には大量の水分が出ていた。
中身をまるごと鍋へと移し、コトコト弱火~中火で煮込む。

熱い……。

料理人さんたちが差し入れてくれる飲み物で水分補給しながら、ひたすらコトコト煮込むこと約30分弱。
鍋の中身が冷めたらシロップをこして煮沸した瓶へ注ぎましょう。

ジンジャーシロップの完成!!

じゃーん!とシロップ入りの瓶を掲げる。
その行動に特に意味はない。
ただ、じゃーん!ってやりたいノリだっただけだ。
だが親切な厨房の料理人さんたちはパチパチと拍手をくれた。優しい。

ジンジャーシロップは寒い時ならお湯で割ってもいいし、おススメは炭酸で割ったジンジャーエールです。
お酒で割るのもアリ。

お砂糖を少なめにして甘さを抑えてもいいし、シナモン、クローブ、カルダモンなどのスパイスや、ピリリと辛みが欲しい方は唐辛子やブラックペッパーなどを入れても。

シロップを取り出したショウガはショウガ糖やつくだ煮で有効活用できますよ。


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