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皮はカリカリが好みです
しおりを挟む騎士たちはクラレンスの持つ瓶の中身に興味深々だった。
なぜなら、危険な地へ出向いたり、魔物の討伐に携わる彼らは薬草のお世話になる機会が多い。
解毒、止血、滋養強壮などさまざまな薬草が対象だ。
ルークのように「これを口にするなら苦しむ方がマシ!」というような薬草を食べること自体がダメージを負うような種類もあるわけで……。
若干ギラギラした視線の騎士たちから向くのも仕方なかった。
さらに詳しく話を聞こうとするみんなだったが、そこへ抗議の声があがった。
くぅぅぅ~~。
切なげな抗議の主は、クラレンスのお腹の音だった。
「……お腹すいた」
誰に聞かせるでもないひとりごとがぽつりと響く。
気付けば正午過ぎ。
バタバタして失念していたが昼食の時間が過ぎていた。
そして案内された騎士団の食堂。
大きな室内にはズラーと椅子と机が並べられ、配膳台の前には大勢のマッチョたちが群れを成していた。
「ふわぁ~」
思わず感嘆の声が漏れる暑苦し……げふんげふん。
壮観な眺めだった。
「俺らが取って来ますので団長たちは座っててください」
部外者であるクラレンスがいるからかシンがそう申し出てくれる。
ちなみに兄ヘンリーは業務のため一時別行動だったが先程合流した。
シンたちが料理を取りに行っている間、クラレンスは父とイザークと待っている。
椅子が高いので座ると足がぷらぷらした。
「【解毒】と【解呪】を施した薬草以外も使用すると言ってましたが、効果はどれぐらい違うのです?」
「毒や呪いの程度によっても違うので一概には。でも基本2倍ぐらいかなぁ?」
「先程のは小さめのスプーン2さじでしたね」
「よかったら作り方教えましょうか?」
「いいのか?!」
「いいんですか?!」
おぅ。両隣がすっごい食いついてきた。
むしろ聞き耳たててる周囲の騎士さんたちも。
紙とペンを借りようとするクラレンスにイザークが待ったをかけた。
「作り方の説明は食事のあとで執務室で伺います。契約書を作成し権利料もお支払いします」
「えっ?別にいいですよ?これぐらい」
のほほーんと答えるクラレンスにイザークはすっと瞳を細めた。
見た目に似合わない知識や発想、そしてゆるゆるとした雰囲気に不安を抱いたのだった。
ようは危なっかしくて仕方ない。
保護者はほぼ脳筋よりだし、エドワードは中々家に帰れない。
ここは自分もよく見ておいてあげなければ、的心境だった。
知らぬ間に有能な保護者GET。
ちなみにセバスも同じような心境に至ってます。
「いいですか?知識は能力です。そしてそれを利用する人だっているんです」
いつの間にかお説教(?)がはじまってしまった。
ええぇ、なんでー?な心境ながら大人しくコクコクしつつ、兄たちの帰りを待つ。
早くごはんもって戻ってきてー。
心の声が通じたのかごはんはすぐにやってきた。
やったー。
どうやら食堂のメニューは日替わりで一種類らしい。
パンとスープはおかわり自由。
本日のメニューは、ハード系のパンにメインがチキンの小悪魔風とフィッシュフライ。サラダに具沢山のミネストローネ。デザートにゼリー。
ボリューミーかつ美味しそうだった。
ちなみに小悪魔風とは辛みのある調味料を使うとか、悪魔がマントを広げたように見えるっていう説がある。
いくつかパターンがあるが目の前のはカイエンペッパーやローズマリー、ニンニク、オリーブオイルなどでマリネしてこんがり焼いたタイプ。
こんがり皮目がおいしそう!
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