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【その後】
転生司祭は転職したい 7
しおりを挟むでも冷静に考えてみてほしい。
いくらみんながチートとはいえ、魔王討伐だよ?
旅の仲間も武器も一から集めなきゃならないうえに、あっちこっちの国を行ったり来たりするだけでも相当時間がかかる。
「本来なら十数年にわたる旅の果てに魔王を倒し、凱旋した王都であの事件が起きるんです。でも過酷な旅にそんな長い年月を捧げるのも嫌ですし、ショートカットしまくりました。
仲間も必要な武器や魔術の取得方法も私は事前に知ってますから最短ルートが可能だったんです。一番大きいのは仲間にする順番ですね。ジャンやシルフィーナ様のお蔭で転移術での移動が可能になりましたが、本来なら馬や徒歩、ぐるりと船で海を迂回して一つの場所を訪れるにも数カ月かかることもあったんですよ?時間がかかるのも当然でしょう?」
ゲームでは仲間になる順番はウルフ、ヨハンくん、シルフィーナ、ジャンさんの順だった。
シルフィーナが仲間になるまでに数年が経過していたし、ジャンさんが転移術を取得するのは旅の後半。
だが実際は……エルフの病のこともあったし、僕は真っ先にシルフィーナの元へと向かい、ついでジャンさんを仲間にし、転移術も取得させた。
二人のお蔭で移動は一瞬。
しかもいついつ何処で待ち合わせねーと二手に分かれての同時行動も可能となった。
転移術最高!!
「村の襲撃の原因である魔族の討伐もあって旅の開始が若干早まったこともありますが、それでもまさか一年ちょっとで魔王討伐が終わるとは思いませんでしたけど……」
ははは、と乾いた声で笑う。
だって、ショートカットは便利だけど、旅といえばレベル上げは必須でしょ?
旅を短縮するってことは必然的に経験の短縮にも繋がるから正直、ちょっと不安もあったんだけど、みんなが強すぎて普通に引いた。ドン引いた。
……しかも実質、勇者と聖女だけで魔王倒してるし。
「流石は勇者パーティ。チートすぎます」
「いや、お前がチートすぎて引いてるんだけど」
「ミシェル様、本当に司祭を辞されるのですか?これほど神の寵愛がお厚いミシェル様を神が手放されるでしょうか……」
「お前、ヤベェ奴に執着されるなんかがあるよな」
ウルフの発言が失礼すぎる。
そして実は神に寵愛などされてないけどね。神託とか嘘っぱちだし。
神のお声?聞いたことないですよ。
一方的なお話しなら毎日してるけどね。
色々と抱えきれない心の内をお祈りと見せかけて愚痴り倒すのが僕の日課です。
神様、もしも僕の心の内が届いてるなら僕の胃に平穏を!
哀れな子羊のお願いです!!
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