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こっそりしていない
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此処は魔界を統べる恐ろしい魔王様のお城。
テーブルを指でとんとん、と叩く音が部屋に小さく聞こえた。
(魔女は指を滑らせたり叩いたりして一定の音を響かせている)
「今度は何だ、また楽器でも挑戦するのか?」
同じような間隔で何かのリズムをとっている魔女に魔狼は首を捻る。
「いや、恐らくあれは人間達が使う、音の組み合わせで言葉を伝える技術だな」
毒竜は、魔女が長い音と短い音を特定の組み合わせで鳴らしているのを聞き、そう結論を出した。
「知ってんの?」
「昔見たことがある。少しは私でも読みとれるが……」
少し間を開け毒竜が困ったような顔で口を開く。
「魔王様はご存知ないと思う」
「だろうなぁ」
魔狼は予想出来ていた答えを聞き、頑張って覚えたのであろう魔女に同情の視線を送った。
「しかし、何か変な文になっているな」
「変?」
「何だ……? ま、お、う、さ、ま、『魔王様』此処はわかる」
魔女は魔王に向けて伝えようとしているのだから、それはそうだろう。
「次が、す……」
す、から始まるとなれば『好きです』とか『素敵です』とかだろうかと魔狼は思ったが、それでは可笑しい文という訳ではない。
「て、る、す。『魔王様ステルス』?」
「何でステルス」
魔女は間違えて覚えていたようだ。
テーブルを指でとんとん、と叩く音が部屋に小さく聞こえた。
(魔女は指を滑らせたり叩いたりして一定の音を響かせている)
「今度は何だ、また楽器でも挑戦するのか?」
同じような間隔で何かのリズムをとっている魔女に魔狼は首を捻る。
「いや、恐らくあれは人間達が使う、音の組み合わせで言葉を伝える技術だな」
毒竜は、魔女が長い音と短い音を特定の組み合わせで鳴らしているのを聞き、そう結論を出した。
「知ってんの?」
「昔見たことがある。少しは私でも読みとれるが……」
少し間を開け毒竜が困ったような顔で口を開く。
「魔王様はご存知ないと思う」
「だろうなぁ」
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「しかし、何か変な文になっているな」
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