堕ちて逝った塊 上

佐野絹子

文字の大きさ
上 下
12 / 40
02

09

しおりを挟む
アルの説明聞き終えた後(のち)
部屋にはしばらく沈黙が続く

おそらく俺達の顔面は蒼白であろう

俺達は顔を見合わせる

アルはベッドに寝かせたままだが、部屋を出た
2人の安否確認の為、探しに向かう

早く2人が無事か確かめないと…
人命がかかっている

先ずは食堂に向かう
食堂の扉を開けたが誰もいない

直ぐに引き返し個室の部屋に向かった
先ず芹澤の部屋から
ドアをノックをするが応答がない

「まさか!?」

秀一の蒼白い顔が増々蒼くなる
ドアを開けた

………………

部屋の明かりは消され
静寂が部屋を包んでいる
空室の様だ

「誰もいないね」

俺が秀一にそう言うと
芹澤の部屋を後にする

次に向かったのは佐藤の部屋

秀一は冷静さを失ったのか
部屋のドアをノックしないまま開けた

「なっ!?」

部屋の証明は消され暗い部屋のベッドで
芹澤と佐藤が裸で抱き合っている

「何?今、取り込み中、出て行って」

佐藤が冷たい口調で言い放った後
芹澤に口付けをする

蒼白い顔をした秀一の顔は
沸騰でもしたかの様に
赤く早変わりした

「どうしたの…?秀一?」

部屋の入口付近で
固まっている秀一に俺は声をかける

秀一がドアを塞いでる為
部屋の様子を伺えない
秀一を退けて部屋の様子を確認しようとした時

「失礼致しました!!」

秀一はそう言い俺を持ち抱えて
佐藤の部屋を後にする

廊下には佐藤の部屋のドアが閉まる音が響いた
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
5人全員は食堂で無言で食事をしている

「…ハァ…」
佐藤が小さく溜息をする

「このお通夜みたいな陰気なムードなんなのよ」

食堂では長い沈黙が続いていたが
佐藤は長い沈黙を破る
この雰囲気に耐えられなかったのだろう

「顔、美人なのに性格きついな」

「シッ」

俺は小声で佐藤の悪口を口にする
直ぐに秀一に注意されたが
しまった…と思った時には既に遅かった

佐藤が俺を睨んでいる

「あんた達男が不細工だから
可愛い可愛い珠里ちゃんを
抱くしかなかったのよ」

佐藤の言い掛りは酷い

俺は言い争いは嫌いだが
流石にこの言葉には怒る

「俺は不細工かもしれないけど
秀一はどう見てもイケメンだろ
お前の目は節穴か!!」

「はぁ!?」

佐藤の逆鱗に触れてしまった様だ

佐藤の眉間に皺(しわ)が寄っている
なんと悍(おぞ)ましい顔だ
まるで妖怪だ

「申し訳ありません、佐藤さん…
貴女を退屈させてしまったようですね」

秀一は佐藤に謝罪をしている

秀一が佐藤に謝るのは筋違いである

「何で秀一が謝るグホッ!!」

秀一に強く足を踏まれる

あまりの激痛に俺は悶絶(もんぜつ)し
その場にうずぐまる

黙っていろと言う事か……
それでも酷いよ秀一…あんまりだぁ…

「何なの!!その男は!!私もう行く!!」

佐藤はソファーから立ち上がると
隣にいた芹澤も慌てて立ち上がり
佐藤の後ろを付いて行く

え?

うずぐまった身体で2人を見送った時
佐藤と芹澤の顔を見た

一瞬  芹澤の顔が笑っている様に見えた

芹澤のその笑顔は
恐怖に満ちた恐ろしかった

食堂の扉の閉まる音が響いた

しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

校長室のソファの染みを知っていますか?

フルーツパフェ
大衆娯楽
校長室ならば必ず置かれている黒いソファ。 しかしそれが何のために置かれているのか、考えたことはあるだろうか。 座面にこびりついた幾つもの染みが、その真実を物語る

小学生最後の夏休みに近所に住む2つ上のお姉さんとお風呂に入った話

矢木羽研
青春
「……もしよかったら先輩もご一緒に、どうですか?」 「あら、いいのかしら」 夕食を作りに来てくれた近所のお姉さんを冗談のつもりでお風呂に誘ったら……? 微笑ましくも甘酸っぱい、ひと夏の思い出。 ※性的なシーンはありませんが裸体描写があるのでR15にしています。 ※小説家になろうでも同内容で投稿しています。 ※2022年8月の「第5回ほっこり・じんわり大賞」にエントリーしていました。

寝室から喘ぎ声が聞こえてきて震える私・・・ベッドの上で激しく絡む浮気女に復讐したい

白崎アイド
大衆娯楽
カチャッ。 私は静かに玄関のドアを開けて、足音を立てずに夫が寝ている寝室に向かって入っていく。 「あの人、私が

令嬢の名門女学校で、パンツを初めて履くことになりました

フルーツパフェ
大衆娯楽
 とある事件を受けて、財閥のご令嬢が数多く通う女学校で校則が改訂された。  曰く、全校生徒はパンツを履くこと。  生徒の安全を確保するための善意で制定されたこの校則だが、学校側の意図に反して事態は思わぬ方向に?  史実上の事件を元に描かれた近代歴史小説。

校外学習の帰りに渋滞に巻き込まれた女子高生たちが小さな公園のトイレをみんなで使う話

赤髪命
大衆娯楽
少し田舎の土地にある女子校、華水黄杏女学園の1年生のあるクラスの乗ったバスが校外学習の帰りに渋滞に巻き込まれてしまい、急遽トイレ休憩のために立ち寄った小さな公園のトイレでクラスの女子がトイレを済ませる話です(分かりにくくてすみません。詳しくは本文を読んで下さい)

同僚くすぐりマッサージ

セナ
大衆娯楽
これは自分の実体験です

ねえ、私の本性を暴いてよ♡ オナニークラブで働く女子大生

花野りら
恋愛
オナニークラブとは、個室で男性客のオナニーを見てあげたり手コキする風俗店のひとつ。 女子大生がエッチなアルバイトをしているという背徳感! イケナイことをしている羞恥プレイからの過激なセックスシーンは必読♡

校長先生の話が長い、本当の理由

フルーツパフェ
大衆娯楽
学校によっては、毎週聞かされることになる校長先生の挨拶。 学校で一番多忙なはずのトップの話はなぜこんなにも長いのか。 とあるテレビ番組で関連書籍が取り上げられたが、実はそれが理由ではなかった。 寒々とした体育館で長時間体育座りをさせられるのはなぜ? なぜ女子だけが前列に集められるのか? そこには生徒が知りえることのない深い闇があった。 新年を迎え各地で始業式が始まるこの季節。 あなたの学校でも、実際に起きていることかもしれない。

処理中です...