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あれから義兄に身体を思う存分好き勝手されたが、それは義兄が家を出る少し前まで続いた
最初は気のせいかなと思った
だんだんと接触が減り、無理矢理、避妊薬を飲ませなくてすむようになり義母が喜んでいた
甘い匂いが義兄からするようになり、遠くから漏れ聞こえる家族の会話から義兄に恋人が出来て、それが"運命の番"だという話を聞いて、本当に全身から力が抜けていくようだった
やっと解放された
しかし、それは何だかとても虚しくて悲しいものだった
逃げるように寮のある学園に入学し、家族とも縁を切ったと思えた
それなのに
息が触れるほど近くにいる義兄の美貌に俯きながら、藁をも掴む思いでマグカップを包む指に力が入る
「…ダメだよ、運命の番なんでしょう?俺みたいなのが側にいるの、絶対に良くないよ…」
さらりと義兄が首筋を撫でる。くすぐったさに首を縮めてはにかみながら笑うと、義兄は本当に嬉しそうに微笑み返してくれる
しかし、さらりとした感触に同時に、ざっと全身の血の気が引いていくのを感じた
今まで義母が首輪の管理をしていたのだ。しかし、寮に入る前に何処ぞの誰とでも番えばいいと首輪は外されたのだ
最終ヒートはいつだっただろうか?もうそろそろ発情期のオメガを保護するシェルターから、移動するように連絡があった筈だ
無防備な首筋に義兄の欲を孕んだ視線が固定されている
なるべく、自然に見えるように逃げなくてはーー
「あのおばさんやっと首輪を外したんだ。油断させる為に相手がいるふりしたり、鉄をベータしかいない学園の寮に入れたり長かったよな」
ぎゅうと背後から抱きしめられて首筋を舐められ戦慄する
相手がいるふりをしていたーー?
義兄はずっと待っていたのだ
狡猾に獲物を狙う肉食獣のように、首輪が外される瞬間を
頼りのマグカップは取り上げられ、どさりと押し倒されて慣れた手付きで服を脱がされ、のしかかられる
「あ、あ…俺、その…待っ…まだ、心の準備が…」
義兄の胸に手を突っ張ると、優しく手を取られて、ちゅうと吸いつかれる
「すごくすごく待ったから、もうだめだよ…」
手に頬擦りしながら、うっとりと言う義兄に胸がざわざわと騒ぐ
甘い痺れが身体から湧いてくる感覚は、ヒートだろう
義兄の手が伸びてくる
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あれから義兄に身体を思う存分好き勝手されたが、それは義兄が家を出る少し前まで続いた
最初は気のせいかなと思った
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甘い匂いが義兄からするようになり、遠くから漏れ聞こえる家族の会話から義兄に恋人が出来て、それが"運命の番"だという話を聞いて、本当に全身から力が抜けていくようだった
やっと解放された
しかし、それは何だかとても虚しくて悲しいものだった
逃げるように寮のある学園に入学し、家族とも縁を切ったと思えた
それなのに
息が触れるほど近くにいる義兄の美貌に俯きながら、藁をも掴む思いでマグカップを包む指に力が入る
「…ダメだよ、運命の番なんでしょう?俺みたいなのが側にいるの、絶対に良くないよ…」
さらりと義兄が首筋を撫でる。くすぐったさに首を縮めてはにかみながら笑うと、義兄は本当に嬉しそうに微笑み返してくれる
しかし、さらりとした感触に同時に、ざっと全身の血の気が引いていくのを感じた
今まで義母が首輪の管理をしていたのだ。しかし、寮に入る前に何処ぞの誰とでも番えばいいと首輪は外されたのだ
最終ヒートはいつだっただろうか?もうそろそろ発情期のオメガを保護するシェルターから、移動するように連絡があった筈だ
無防備な首筋に義兄の欲を孕んだ視線が固定されている
なるべく、自然に見えるように逃げなくてはーー
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「すごくすごく待ったから、もうだめだよ…」
手に頬擦りしながら、うっとりと言う義兄に胸がざわざわと騒ぐ
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義兄の手が伸びてくる
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