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陽を見下す一条の黒い美しい瞳が残酷に歪むたびに怯える毎日
今日はトイレで一条が眺める中でΩ達に髪を切られたり、ビンタを何回かされた後に便器に顔を突っ込まれた
いつになく興味の薄い一条と何人かいたαに女たちは媚びた会話を笑いながらして、Ωの女達に笑いながら蹴りを入れられて吹っ飛んで呻いて情けなくて堪らなかった
いつも何を考えているのか解らない一条の眼が恐ろしく、なすがままだったのだが、その日はΩの女達がいたせいか、いつもと違った
「なにこいつ、汚い。脱がせてみよ」
「鼻血出てんじゃん!シャツ汚れるから脱ぎなよ、早く」
Ωの高橋と三木が左右に制服を引っ張り、制服のボタンが飛んだ
ぼたぼたと溢れる鼻血を手で押さえながら、あっという間にシャツとスラックスまで抜かれた
「雄のΩの体って初めて見る。なに隠そうとしてんの?男の癖に。ほら、下も脱げよ」
白い女の手が、ベルトを外してずらそうとしてきた時、不意につまらなそうにしていた一条が立ち上がった
長い脚を放り出して、興味もなさそうだったのにαだけあって動くだけでも威圧感があるので、その場にいる全員が一条の動向を気にしているのがわかる
恐ろしくも綺麗な顔に何の表情も乗せないまま一条は伸び上がる仕草すら様になる
「あー、もうお前ら帰れ。あとは俺だけで陽と遊ぶから」
陽の前にしゃがみこみ大きな手で髪を撫で混ぜながら、そう言う一条に取り巻き達が息を呑んだ
それぞれに畏れが顔色に浮かび、やはり一条が絶対的な王者であるのを思い知らされるのと共に、今から何をされるのか不安と苦痛で涙までポタポタと溢れてくる
「や、やりすぎんなよ…?帰るぞ」
いつも金魚のフンみたいに一条にくっついているαなのに子分の船木が一条の表情を窺うようにしてトイレから出て行くと、女達や子分達も慌てて出て行く
陽は一条から目が離せなかった
こんな時なのに、一条の白い顔は誰よりも美しくて、この世のものではないかのような造形で、何の感情も読めない表情で長い指で陽の髪をかき混ぜている
「何でこうなってるか解る?」
すっと一条の指が頬を撫でて、ぞわりと怖気が背中に走った
何でこうなったのか?
そんなの俺が知りたい…何で俺をこんな目に遭わせる?何で俺がこんなに惨めな思いをしなきゃいけない?何で誰も助けてくれない?
婚約の打診だって陽のせいではない
あんなに両親に賛の代わりは無理だ、嫌だって言ったのに
喉が塩辛くなって、涙と嗚咽まで溢れてくる
一条の前でなんか泣きたくないのに!
「ふっ、…えぐっ…な、なで、なんでぇ?おれ、俺、そんなに嫌だった?一条に何が…したぁ…?」
えぐえぐ泣く俺を、きっと一条は残酷な目で見下ろしているのだろう
涙と鼻血が混ざって床のタイルに滴り落ちる
破れてしまったシャツの袖で顔を拭いながら、強烈な視線を感じて顔を上げると、陽は固まってしまった
一条は確かに陽を見下ろしていた
それは、ぞくぞくと恍惚したような悍ましい表情で
今日はトイレで一条が眺める中でΩ達に髪を切られたり、ビンタを何回かされた後に便器に顔を突っ込まれた
いつになく興味の薄い一条と何人かいたαに女たちは媚びた会話を笑いながらして、Ωの女達に笑いながら蹴りを入れられて吹っ飛んで呻いて情けなくて堪らなかった
いつも何を考えているのか解らない一条の眼が恐ろしく、なすがままだったのだが、その日はΩの女達がいたせいか、いつもと違った
「なにこいつ、汚い。脱がせてみよ」
「鼻血出てんじゃん!シャツ汚れるから脱ぎなよ、早く」
Ωの高橋と三木が左右に制服を引っ張り、制服のボタンが飛んだ
ぼたぼたと溢れる鼻血を手で押さえながら、あっという間にシャツとスラックスまで抜かれた
「雄のΩの体って初めて見る。なに隠そうとしてんの?男の癖に。ほら、下も脱げよ」
白い女の手が、ベルトを外してずらそうとしてきた時、不意につまらなそうにしていた一条が立ち上がった
長い脚を放り出して、興味もなさそうだったのにαだけあって動くだけでも威圧感があるので、その場にいる全員が一条の動向を気にしているのがわかる
恐ろしくも綺麗な顔に何の表情も乗せないまま一条は伸び上がる仕草すら様になる
「あー、もうお前ら帰れ。あとは俺だけで陽と遊ぶから」
陽の前にしゃがみこみ大きな手で髪を撫で混ぜながら、そう言う一条に取り巻き達が息を呑んだ
それぞれに畏れが顔色に浮かび、やはり一条が絶対的な王者であるのを思い知らされるのと共に、今から何をされるのか不安と苦痛で涙までポタポタと溢れてくる
「や、やりすぎんなよ…?帰るぞ」
いつも金魚のフンみたいに一条にくっついているαなのに子分の船木が一条の表情を窺うようにしてトイレから出て行くと、女達や子分達も慌てて出て行く
陽は一条から目が離せなかった
こんな時なのに、一条の白い顔は誰よりも美しくて、この世のものではないかのような造形で、何の感情も読めない表情で長い指で陽の髪をかき混ぜている
「何でこうなってるか解る?」
すっと一条の指が頬を撫でて、ぞわりと怖気が背中に走った
何でこうなったのか?
そんなの俺が知りたい…何で俺をこんな目に遭わせる?何で俺がこんなに惨めな思いをしなきゃいけない?何で誰も助けてくれない?
婚約の打診だって陽のせいではない
あんなに両親に賛の代わりは無理だ、嫌だって言ったのに
喉が塩辛くなって、涙と嗚咽まで溢れてくる
一条の前でなんか泣きたくないのに!
「ふっ、…えぐっ…な、なで、なんでぇ?おれ、俺、そんなに嫌だった?一条に何が…したぁ…?」
えぐえぐ泣く俺を、きっと一条は残酷な目で見下ろしているのだろう
涙と鼻血が混ざって床のタイルに滴り落ちる
破れてしまったシャツの袖で顔を拭いながら、強烈な視線を感じて顔を上げると、陽は固まってしまった
一条は確かに陽を見下ろしていた
それは、ぞくぞくと恍惚したような悍ましい表情で
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