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やらしく腰を撫でてくる手を叩き落とすと、ネロは腰をさすった

手を叩き落とされたミネルバは涼しい顔で、きょろきょろと街並みを眺めている

軍服のままでは目立つ為、模倣で冒険者のような格好に改造させてもらった服を着たミネルバは、筋肉質で細い腰にダガーを引っ掛けて、綺麗な金髪を後ろに撫でつけていた

髪をあげる事で秀でた美貌に其処らの娘達が騒いでいた

ネロはお面を被って、パーチェスに買ってもらった衣服を身につけてミネルバに腰を抱かれたままギルドに向かっていた

頭一個分背が高いミネルバを見上げると、ミネルバも、ん?と言わんばかりに優しい顔をする

冷たい視線は鳴りを潜め、何をしていても愛おしいといわんばかりの熱い蕩けそうな視線に居心地が悪くなりそうだ

ギルドに着くと、目立つ容姿のミネルバは注目の的で、いつもあんなに覇気がある受付嬢ですら目がハートになっていた

綺麗な顔だよな、本当…スタイルもいいし、性格はあれだけど…

ミネルバの素性は特に聞かれず、ギルド長の部屋に案内された

今まで受付嬢は、ちゃんと案内してくれた事なかったけどなあとイケメンパワーに感服する

「クロ!無事だったんだね!良かった!」

扉を開くと、銀色の長い髪のパーチェスが飛びついてきた

後ろでクーが右手を上げて嬉しそうに合図を送ってくれて、再会の嬉しい気持ちが湧き上がってくる

「助けてくれたって、ギルド長から聞いたよ!ありがとう!…あれ?そちらは?あ…クロは喋れないか…」

パーチェスが訝しむようにミネルバを見上げたので、ミネルバを見ると鬼の形相だった

こ、これくらいの接触も許せないのかよ?

内心、汗をかきながら、パーチェスをそっと引き剥がす

「この人は…ミネルバです。俺を治してくれました。パーチェス達こそ、あの時は言えなかったけど本当にありがとう」

深々とパーチェス達にお礼を言うと、治ったの!と自分のことのように喜んでくれた

「あ、でも、グリフォンが良くなくてね…お見舞いしてあげてくれる?奥の部屋に寝てるんだ」

パーチェス達と連れ立って部屋を出て行こうとしたら、ギルド長が手を出してきたので、オンズの花の露が入った瓶とオンズの花を渡す

「助かる。S級難易度を、こう何回もこなされちゃ…すげぇな、クロは」

「約束ですからね。お願いします」

何か言いたげなミネルバの背中を押して、グリフォンの部屋に向かう

ギルドの中でも良い部屋を使ってくれているらしく、グリフォンはベッドに寝かされていた

虚な瞳に、思わずグリフォンの手を握る

「ミネルバが治してくれるから、パーチェス達は部屋で待っていてくれる?」

ネロの言葉に、パーチェスとクーはミネルバに頭を下げて部屋を出ていく

頭を下げられたミネルバも剣呑な空気をやめ、軽く会釈を返していた

「ミネルバお願い、グリフォンを治して?」

ネロの言葉に、ミネルバはグリフォンの前まで行くと、解除と呟く

グリフォンはみるみるうちに目に光を取り戻し、頬に朱色が戻ってくる

「グリフォン!グリフォン!!」

グリフォンに駆け寄れば、グリフォンは不思議そうに瞬きをする

「あれ?にぃに?喋れるようになったの?あ…あの蟲に襲われて……助かったの?」

泣きながらグリフォンを抱きしめると、グリフォンも小さく抱きしめ返してくる

「クーとパーチェスが待ってるから、呼んでくるね」

ネロがパーチェス達を呼びに行くと、クーとパーチェスはグリフォンに飛びついて3人共泣き笑いしている

本当に良かったーー!

「あ、ありがとうございました!本当にありがとうございます!」

クーとパーチェスが泣きながら手を取りミネルバにお礼を言うと、ミネルバは少し居心地が悪そうにしていた

まあ、ミネルバが全ての元凶なんだけれども

パーチェスはくるっと、こっちを向くと寂しそうに笑う

「クロ、もう違う道を選ぶんだろ?ギルド長からも聞いている。でも、何処にいても俺たちは家族だから、辛くなったら帰ってくるんだぞ?」

クーとパーチェスが抱きしめてきたので、抱き返す

パーチェスの言葉にちょっとうるっときた

「……たくさん会いにくるから、お別れみたいに言うのやめて」

ネロがそう言うと、そうだなっとクーが笑う

ミネルバが気まずそうにネロの手を引くので、またグリフォンの様子を見にくると約束してギルドを出た

ギルドを出る時、自然とミネルバの右手を握る

「ミネルバ、ありがとう。俺の家族を助けてくれて」

見上げながら言うと、ミネルバの耳は真っ赤になっていた

「ふん、そんなにたくさん会いに行くのはダメだ。弟のグリフォンを連れて行かないのか?ネロ」

ぎゅうとミネルバの手が、繋いだ手に力が入り、腕をとって寄りそう

「……パーチェス達といる方がグリフォンにはいいんだよ。帰って大丈夫なの?」

そうだ、確か聖女騒動で屋敷が取り囲まれ、聖女を分け合わないと収まらないのではなかっただろうか?
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