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番外SS
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「どうだ?変なところはないか?ちゃんとかっこいいか?」
大の男がなにをしているのか、呆れるくらい凄まじい美貌の男がお気に入りのツートーンのスーツを引っ張りだして姿見で己の姿をチェックしている
黒い硬そうな髪を後ろに撫で付け、それは男の秀でた整った顔立ちを存分にひきたたせる
吸い込まれそうな鋭く切れ長の目は深い翠で
確かに凄まじい美貌ではあるが、大東優雅さまはナルシストではなかったのに
パーフェクトな頭と外見ではあるが、己の外見はある程度奇異なものでなければいいとそうお考えかと思っていた
急に目覚めたのかと首を傾げていると、返事を待っているらしく睨まれた
「一宮、お前は木偶の坊か?」
「いええ、感心してしまって言葉が出ませんでした。優雅さまは(内面はともかく外見は)完璧ですよ」
これでも優雅さまは大東組の組長で、一宮にとっては主にあたる
言葉を選びながら返事をすると俄かに外が騒がしい
何事か窓から覗くと、庭が荒れ、犬が、私のかわいいドーベルマンのステファンとキーラ、ミッシェルとベルモットそして群れのリーダーである愛らしいテスタが血を流し、怪我をしているではないか!
「だ…だれがこのような所業を…テスタ…!!」
窓を飛び越え、テスタ達に駆け寄る
犬たちは多少あらぶってはいるものの傷はそんなに深くないようだ
しかし、みな怯えてしまっている
可哀相に
「お前たちをこのような目に遭わせた奴を殺してやる…が、先に病院に行こう!大丈夫か?ああ、ステファンが一番ひどい…」
窓に寄りかかりあまり興味がなさそうな優雅さまは放っておいて、犬達を車に運び乗せていると、やはり優雅さまから声がかかった
「犯人はもう捕まえてある。一宮、おまえは残れ。動物病院には中山に行かせろ」
付き添いたいが、主の命令である
渋々優雅さまの元に戻れば、顔やスタイルも小綺麗なまだ子供、中学生くらいだろう
2人芋虫のようにして縛り上げられていた
「伊刈吉政と吉持か。昔から邪魔ばかりして今度は襲撃ごっこか?ん?」
次に驚いたのは伊刈という名前だった
聞き覚えがある
とゆうかー
「うるせえよ!この変態ロリコン!兄貴に近付くなって何回言や気が済むんだ!?」
「いつも変質的な目でいつもじろじろみやがって、このストーカー!!家のトイレに監視カメラなんか仕込んでなにするつもりだった!?」
なるほど。聞き覚えがある筈である
彼らは優雅様のストー…いや、想い人であらせられる伊狩吉富さんの弟達だ
優雅様と吉富さんの出会いは、かれこれ5年前
現在より荒れに荒れていた優雅様の前に募金ボランティアで街角に立っていた吉富さんが優雅様の前に箱を突き出したことからはじまる
だれもが優雅様を避けて通る界隈で、無言で箱を突き出す吉富さんに優雅様は気まぐれに万札をねじ込んだらしい
無言の少年はお礼をいい、去るだろうと
しかし、優雅様の見立てと違い、少年は箱を振ると頷いて黙ってまた街角に戻った
上目遣いで、満面の笑顔を残して
その笑顔が、いけなかったらしい。優雅様はその日からストー…慎ましく吉富さんを見守るようになってしまった
が、
「下着や、使用済みの歯ブラシなんて何に使ってんだこの変態!!」
弟、吉持の叫びにも力が入る
本当に何に使ってるのか、いつの間にストー・いや、慎ましい見守り行動を、そんなにエスカレートさせていたのか怖くもなる
しかし、一宮のそんな絶望の視線もむなしく優雅さまはカラカラと笑っている
「これで吉富が手に入る。あくまで初対面を装え。最初は抵抗できないよう脅しつけろ。でも傷つけるなよ。」
颯爽と歩いていく優雅さまの背中を追いながらため息を押し殺した。
END
大の男がなにをしているのか、呆れるくらい凄まじい美貌の男がお気に入りのツートーンのスーツを引っ張りだして姿見で己の姿をチェックしている
黒い硬そうな髪を後ろに撫で付け、それは男の秀でた整った顔立ちを存分にひきたたせる
吸い込まれそうな鋭く切れ長の目は深い翠で
確かに凄まじい美貌ではあるが、大東優雅さまはナルシストではなかったのに
パーフェクトな頭と外見ではあるが、己の外見はある程度奇異なものでなければいいとそうお考えかと思っていた
急に目覚めたのかと首を傾げていると、返事を待っているらしく睨まれた
「一宮、お前は木偶の坊か?」
「いええ、感心してしまって言葉が出ませんでした。優雅さまは(内面はともかく外見は)完璧ですよ」
これでも優雅さまは大東組の組長で、一宮にとっては主にあたる
言葉を選びながら返事をすると俄かに外が騒がしい
何事か窓から覗くと、庭が荒れ、犬が、私のかわいいドーベルマンのステファンとキーラ、ミッシェルとベルモットそして群れのリーダーである愛らしいテスタが血を流し、怪我をしているではないか!
「だ…だれがこのような所業を…テスタ…!!」
窓を飛び越え、テスタ達に駆け寄る
犬たちは多少あらぶってはいるものの傷はそんなに深くないようだ
しかし、みな怯えてしまっている
可哀相に
「お前たちをこのような目に遭わせた奴を殺してやる…が、先に病院に行こう!大丈夫か?ああ、ステファンが一番ひどい…」
窓に寄りかかりあまり興味がなさそうな優雅さまは放っておいて、犬達を車に運び乗せていると、やはり優雅さまから声がかかった
「犯人はもう捕まえてある。一宮、おまえは残れ。動物病院には中山に行かせろ」
付き添いたいが、主の命令である
渋々優雅さまの元に戻れば、顔やスタイルも小綺麗なまだ子供、中学生くらいだろう
2人芋虫のようにして縛り上げられていた
「伊刈吉政と吉持か。昔から邪魔ばかりして今度は襲撃ごっこか?ん?」
次に驚いたのは伊刈という名前だった
聞き覚えがある
とゆうかー
「うるせえよ!この変態ロリコン!兄貴に近付くなって何回言や気が済むんだ!?」
「いつも変質的な目でいつもじろじろみやがって、このストーカー!!家のトイレに監視カメラなんか仕込んでなにするつもりだった!?」
なるほど。聞き覚えがある筈である
彼らは優雅様のストー…いや、想い人であらせられる伊狩吉富さんの弟達だ
優雅様と吉富さんの出会いは、かれこれ5年前
現在より荒れに荒れていた優雅様の前に募金ボランティアで街角に立っていた吉富さんが優雅様の前に箱を突き出したことからはじまる
だれもが優雅様を避けて通る界隈で、無言で箱を突き出す吉富さんに優雅様は気まぐれに万札をねじ込んだらしい
無言の少年はお礼をいい、去るだろうと
しかし、優雅様の見立てと違い、少年は箱を振ると頷いて黙ってまた街角に戻った
上目遣いで、満面の笑顔を残して
その笑顔が、いけなかったらしい。優雅様はその日からストー…慎ましく吉富さんを見守るようになってしまった
が、
「下着や、使用済みの歯ブラシなんて何に使ってんだこの変態!!」
弟、吉持の叫びにも力が入る
本当に何に使ってるのか、いつの間にストー・いや、慎ましい見守り行動を、そんなにエスカレートさせていたのか怖くもなる
しかし、一宮のそんな絶望の視線もむなしく優雅さまはカラカラと笑っている
「これで吉富が手に入る。あくまで初対面を装え。最初は抵抗できないよう脅しつけろ。でも傷つけるなよ。」
颯爽と歩いていく優雅さまの背中を追いながらため息を押し殺した。
END
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