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たぬきくんの車
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たぬきくんには
大事にしている
おもちゃの車があります。
真っ赤でピカピカにひかってる
かっこいい車です。
とってもだいすきなのに、
きのう森であそんでいるときに
なくしてしまいました。
きつねくんと暗くなるまでさがしましたが
みつかりませんでした。
今日もまたいっしょにきつねくんが
さがしてくれるというので
たぬきくんはいつものように
きつねくんの家にいきました。
するときつねくんはいません。
「きつねくん、どこにいったんだろう」
するととびらに何かかいてある紙が
はってありました。
ーーー森にさきにいってるね―――
たぬきくんはいそいで森にいくと
きつねくんがもぞもぞとなにかしています。
「おーい、きつねくーん」
「た、たぬきくん……」
きつねくんは急いでうしろに
何かかくしました。
「今かくしたのなあに?」
「べつになにもかくしてないよ!」
「えーぜったいなにかもってたよ…ほら!」
「やめてってば!あっ」
きつねくんからとったたぬきくんの手には
真っ赤な車がにぎられていました。
「これ……ぼくの……
なんでかくそうとしたの?
あ!泥だらけだ…きつねくんがやったの?!
だからかくしてたの?!」
「ちがうよ!きいて?たぬきくん!」
「きつねくんとはもうあそばない!!
大好きな車だったのに!」
「なんでそんなこというの?!
たぬきくんなんてだいきらいだよ!」
でもね……
だいきらいといったきつねくんのほうが
泣きながら走って
家にかえっていったのでした。
たぬきくんの車をもったまま……
たぬきくんはいわれて
びっくりしていたけれど
だんだんおこってきました。
「なんでうそをついた
きつねくんがわるいのに、
ぼくがだいきらいなんて
いわれなきゃいけないの?
車ももっていっちゃったし、
ぼくだってきつねくんだいきらいだ!」
ちくりっとむねがいたくなりました。
だいきらいって
なんてかなしいことばなんだろう。
その日のよるは
なんだかあたまもこころも
もやもやもや……
いつものだいすきなごはんも
おいしくありません。
ねむたいのに
ねむることもできませんでした。
コンコン
たぬきくんはゆめなのか
本当にだれかがとびらをたたいたのか
わかりませんでした。
だって、やっとおひさまがすこーしだけ
のぼってきたような早い時間だったから
だれかくるとはおもえません。
きょうはどんよりくもっているせいもあって
おそとはまだくらいです。
コンコン
それでもやっぱりきこえます。
「だれか……いるの?」
おそるおそる聞いたたぬきくんに
こたえる声があります。
「ぼくだよ、あさはやくごめんね?」
それは消えてしまいそうなぐらい
ちいさなちいさな声でこたえる
きつねくんでした。
おどろいたたぬきくんは
けんかしているのもわすれて
急いでとびらをあけました。
そこにはしょんぼりうつむく
きつねくんがいます。
手にはピカピカのまっかな車をもって……
「たぬきくん、これ……」
「ぼくの車……
きつねくんがきれいにしたの?」
そう聞くときつねくんはなきだしました。
「えーんえーん、ごめんね、たぬきくん
うそつくつもりじゃなかったの。
先に行ったら車見つけたんだけど
泥だらけだったから
たぬきくん悲しむと思ってみがいてたの。
でもたぬきくん来るのが早くて……
うそついてごめんね」
「えーんえーん、おはなし聞かずに
おこってごめんね。
こんなにきれいに
みがいてくれたのうれしい!
きつねくんありがとう」
「たぬきくんがよろこんでくれるなら
ぼくもうれしい!」
ふたりはだきあいながらなきました。
にこにこしながらなきました。
けんかはいやだね
こころがもやもやするね
うそをつくのも
うそをつかれるこもかなしい
だいきらいっていうのも
だいきらいっていわれるのもかなしいね
なかなおりをしてふたりはにっこり
いつのまにか雲もきえて
おそとはおひさまもにっこり
ふたりは
あたたかなおひさまに照らされながら
手をつないであそびにいくのでした。
大事にしている
おもちゃの車があります。
真っ赤でピカピカにひかってる
かっこいい車です。
とってもだいすきなのに、
きのう森であそんでいるときに
なくしてしまいました。
きつねくんと暗くなるまでさがしましたが
みつかりませんでした。
今日もまたいっしょにきつねくんが
さがしてくれるというので
たぬきくんはいつものように
きつねくんの家にいきました。
するときつねくんはいません。
「きつねくん、どこにいったんだろう」
するととびらに何かかいてある紙が
はってありました。
ーーー森にさきにいってるね―――
たぬきくんはいそいで森にいくと
きつねくんがもぞもぞとなにかしています。
「おーい、きつねくーん」
「た、たぬきくん……」
きつねくんは急いでうしろに
何かかくしました。
「今かくしたのなあに?」
「べつになにもかくしてないよ!」
「えーぜったいなにかもってたよ…ほら!」
「やめてってば!あっ」
きつねくんからとったたぬきくんの手には
真っ赤な車がにぎられていました。
「これ……ぼくの……
なんでかくそうとしたの?
あ!泥だらけだ…きつねくんがやったの?!
だからかくしてたの?!」
「ちがうよ!きいて?たぬきくん!」
「きつねくんとはもうあそばない!!
大好きな車だったのに!」
「なんでそんなこというの?!
たぬきくんなんてだいきらいだよ!」
でもね……
だいきらいといったきつねくんのほうが
泣きながら走って
家にかえっていったのでした。
たぬきくんの車をもったまま……
たぬきくんはいわれて
びっくりしていたけれど
だんだんおこってきました。
「なんでうそをついた
きつねくんがわるいのに、
ぼくがだいきらいなんて
いわれなきゃいけないの?
車ももっていっちゃったし、
ぼくだってきつねくんだいきらいだ!」
ちくりっとむねがいたくなりました。
だいきらいって
なんてかなしいことばなんだろう。
その日のよるは
なんだかあたまもこころも
もやもやもや……
いつものだいすきなごはんも
おいしくありません。
ねむたいのに
ねむることもできませんでした。
コンコン
たぬきくんはゆめなのか
本当にだれかがとびらをたたいたのか
わかりませんでした。
だって、やっとおひさまがすこーしだけ
のぼってきたような早い時間だったから
だれかくるとはおもえません。
きょうはどんよりくもっているせいもあって
おそとはまだくらいです。
コンコン
それでもやっぱりきこえます。
「だれか……いるの?」
おそるおそる聞いたたぬきくんに
こたえる声があります。
「ぼくだよ、あさはやくごめんね?」
それは消えてしまいそうなぐらい
ちいさなちいさな声でこたえる
きつねくんでした。
おどろいたたぬきくんは
けんかしているのもわすれて
急いでとびらをあけました。
そこにはしょんぼりうつむく
きつねくんがいます。
手にはピカピカのまっかな車をもって……
「たぬきくん、これ……」
「ぼくの車……
きつねくんがきれいにしたの?」
そう聞くときつねくんはなきだしました。
「えーんえーん、ごめんね、たぬきくん
うそつくつもりじゃなかったの。
先に行ったら車見つけたんだけど
泥だらけだったから
たぬきくん悲しむと思ってみがいてたの。
でもたぬきくん来るのが早くて……
うそついてごめんね」
「えーんえーん、おはなし聞かずに
おこってごめんね。
こんなにきれいに
みがいてくれたのうれしい!
きつねくんありがとう」
「たぬきくんがよろこんでくれるなら
ぼくもうれしい!」
ふたりはだきあいながらなきました。
にこにこしながらなきました。
けんかはいやだね
こころがもやもやするね
うそをつくのも
うそをつかれるこもかなしい
だいきらいっていうのも
だいきらいっていわれるのもかなしいね
なかなおりをしてふたりはにっこり
いつのまにか雲もきえて
おそとはおひさまもにっこり
ふたりは
あたたかなおひさまに照らされながら
手をつないであそびにいくのでした。
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