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「……少し寒いわね」
肩を出したドレスを着ているアリスは、自分を抱きしめるように両腕を回しながら、体を震わせた。
「……そうだな」
マーティは、アリスの隣を歩きながら、チラチラと彼女の様子を窺っていた。
いつものアリスならば、楽しげな笑い声を上げながら、跳ねるような足取りで歩いて行くのに。
今隣にいる彼女は、うつむき加減で、足取りも重い。
態度がいつもとは明らかに違っているアリスに、マーティは動揺を隠せなかった。
彼の視線に気がついたらしいアリスが、不意にこちらを向いた。
慌ててマーティは目を逸らし、あたかも庭園を見回していたふりをする。
バレバレだろうと自分でも分かっていたが、アリスは何も言ってはこなかった。
庭園には、彼らの他に人影は見えなかった。
肌寒い中を露出の多いドレス姿で歩く、物好きなご婦人方は今夜はいないらしい。
もう少し暖かければ、どの茂みの影にも恋人達が隠れて身を寄せ合っているのが、常だと言うのに。
そこまで考えが及んで、マーティは急に胸がドキドキしてきた。
人気のない静かな庭園という、雰囲気の良い場所を、やけにしおらしい態度のアリスと歩いている。
そう思うと、やけに緊張してきてしまったのである。
いや、これからはもう、アリスとは必要以上に関わらないと決めたじゃないか!
マーティは首を大きく左右に振りながら、心の中で自分に言い聞かせた。
そして決して雰囲気に流されないぞ、と心に誓ってから、アリスに向き直った。
「それで、相談っていうのは?」
「ああ、うん……」
アリスは躊躇いつつも、言葉を選ぶようにして話し始めた。
「相談したいのは、シェイマスのことなの。
彼っていつでもクールっていうか……色々話は聞いてくれるけど、あまり自分のことは話してくれないじゃない?」
言われてマーティは首を傾げた。
「ああ……まあ、確かに、話すよりは聞くタイプかもな」
「ええ。だから、何を考えているか分からないなって、最近少し不安になっちゃって……」
「不安?」
マーティの問いに、アリスは立ち止まった。
つられて彼も足を止めて振り返る。
こちらを見上げてくる彼女は、ちょうど灯りの下にいるせいで、いつも以上に瞳が輝いて見えて。
思わずドキリとさせられた。
「シェイマスは、私との婚約を嫌がっているんじゃないかと心配なの……」
肩を出したドレスを着ているアリスは、自分を抱きしめるように両腕を回しながら、体を震わせた。
「……そうだな」
マーティは、アリスの隣を歩きながら、チラチラと彼女の様子を窺っていた。
いつものアリスならば、楽しげな笑い声を上げながら、跳ねるような足取りで歩いて行くのに。
今隣にいる彼女は、うつむき加減で、足取りも重い。
態度がいつもとは明らかに違っているアリスに、マーティは動揺を隠せなかった。
彼の視線に気がついたらしいアリスが、不意にこちらを向いた。
慌ててマーティは目を逸らし、あたかも庭園を見回していたふりをする。
バレバレだろうと自分でも分かっていたが、アリスは何も言ってはこなかった。
庭園には、彼らの他に人影は見えなかった。
肌寒い中を露出の多いドレス姿で歩く、物好きなご婦人方は今夜はいないらしい。
もう少し暖かければ、どの茂みの影にも恋人達が隠れて身を寄せ合っているのが、常だと言うのに。
そこまで考えが及んで、マーティは急に胸がドキドキしてきた。
人気のない静かな庭園という、雰囲気の良い場所を、やけにしおらしい態度のアリスと歩いている。
そう思うと、やけに緊張してきてしまったのである。
いや、これからはもう、アリスとは必要以上に関わらないと決めたじゃないか!
マーティは首を大きく左右に振りながら、心の中で自分に言い聞かせた。
そして決して雰囲気に流されないぞ、と心に誓ってから、アリスに向き直った。
「それで、相談っていうのは?」
「ああ、うん……」
アリスは躊躇いつつも、言葉を選ぶようにして話し始めた。
「相談したいのは、シェイマスのことなの。
彼っていつでもクールっていうか……色々話は聞いてくれるけど、あまり自分のことは話してくれないじゃない?」
言われてマーティは首を傾げた。
「ああ……まあ、確かに、話すよりは聞くタイプかもな」
「ええ。だから、何を考えているか分からないなって、最近少し不安になっちゃって……」
「不安?」
マーティの問いに、アリスは立ち止まった。
つられて彼も足を止めて振り返る。
こちらを見上げてくる彼女は、ちょうど灯りの下にいるせいで、いつも以上に瞳が輝いて見えて。
思わずドキリとさせられた。
「シェイマスは、私との婚約を嫌がっているんじゃないかと心配なの……」
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