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9 ノアニールの町
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アタシは今、ノアニールの町に来ている。
ここは港町という事で、色んな大陸から様々な商品が運び込まれていたわ。
そのためか、沢山の露店が所狭しと立ち並んでいて、行き交う人々で街全体が活気に溢れているみたいね。
もしも、サクセスと二人でこの街に観光に来ていたなら、色んなお店を見て回ったり、夕日が反射する美しい海を背景に、ディナーもいいかもしれない。
だけど、残念。
今隣にいるのは、口が臭くて弱いだけの賢者。
間違っても、二人で観光する気はないわ。
そして何より、私の耳にいつまでも響く、この耳障りな音……正直不快ね。
なんなのよ、この鳴き声は!
「ミャーミャーうるさいわね! なんなのよ、あれ?」
ビビアンは、海の上を飛んでいる大量の鳥を指して聞くと、それを楽しそうに眺めているシャナクが答えた。
「あれは海鳥ですね。この町は、いつ来ても活気があり、そして風情がありますなぁ。」
風情?
うるさいだけじゃない。
まぁ、こんな町どうでもいいわ!
「それよりさっさと占い師を探すわよ。」
「かしこまりました。では、早速ギルドで話を聞いてみましょう。もしかしたら、占い師の話の他に、サクセスさんの話も聞けるかもしれません。」
「サクセスじゃなくて、彼氏よ! 彼氏! 間違えないで!」
間違えないでと言われても無理である。
彼氏と呼べと言われたのは初めてだからだ。
しかし、決して反論してはないらない。
相手は暴虐の勇者ビビアン。
逆らえばタダでは済まない。
シャナクは、心の備忘録に
サクセス=彼氏
と書き込むことにした。
「失礼しました。早速彼氏と占い師の情報を集めましょう。ところでですが、勇者様が倒した伝説の……いえ、通りすがりのモンスターからは魔石はでませんでしたか? もしあれば、ついでに交換しましょう。」
「魔石? 知らないわそんなの。あ、でも綺麗で大きな石は落ちてたから一応拾ってはおいたわ。」
「さすがは勇者様! 素晴らしいご慧眼でございます。早速見せてはいただけませんか?」
「見せるもなにも、馬車の中に入ってるから勝手に持ってきなさいよ。」
苛立つビビアン。
今日は、いつも以上に機嫌が悪いようだ。
「は! 直ちに!」
シャナクはキレのいい返事をすると、急いで馬車に戻り、大きな袋の中を確認した。
そして、色の濃い巨大な魔石を四つ見つける。
「こ、これが伝説の魔物の魔石……まさか生きている内にこんな凄い物を目にする日が来るとは……。これは換金するのに大分時間が掛かりそうですなぁ……時間が掛かれば、またボコられるかもしれませんね。」
シャナクは悩んだ。
流石にギルドと言えども、これを換金するのはかなり難しい。
なぜなら、この魔石の価値は国宝クラス。
魔石としてだけの価値はさることながら、これが伝説の魔物の魔石と分かった時点で、桁違いの希少価値が付加されるだろう。
どうする……。
いっそこのまま持っていた方がいいのでは?
だが私は、ギルドで換金すると先ほど言ったばかりだ。
もしも言った事を違えば、私はただではすまないだろう。
ブルブル……。
想像するだけで、シャナクは体が震えてきた。
もう殴られるのは嫌だ……。
数瞬の迷いの後、シャナクは覚悟を決める。
ギルドに出すだけは出して、時間が掛かるなら撤退すればいいと。
心は決まった。
早速ビビアンに報告だ。
「勇者様、ありました。それではギルドに向かいましょう。」
ビビアンは両腕を組み、落ち着かない様子で足首を上下にパタパタさせていた。
どうやら、待たせすぎたらしい。
「遅い! 何してたのよ! さっさと行くわよ。」
ビビアンはそういうと早足で歩き始めたが、当然ギルドの場所など知らない。
故に、シャナクはダッシュをしてビビアンに追いつくと、息を切らせながらビビアンの前を歩いてギルドまで案内するのだった。
頑張れ!
シャナク!
ここは港町という事で、色んな大陸から様々な商品が運び込まれていたわ。
そのためか、沢山の露店が所狭しと立ち並んでいて、行き交う人々で街全体が活気に溢れているみたいね。
もしも、サクセスと二人でこの街に観光に来ていたなら、色んなお店を見て回ったり、夕日が反射する美しい海を背景に、ディナーもいいかもしれない。
だけど、残念。
今隣にいるのは、口が臭くて弱いだけの賢者。
間違っても、二人で観光する気はないわ。
そして何より、私の耳にいつまでも響く、この耳障りな音……正直不快ね。
なんなのよ、この鳴き声は!
「ミャーミャーうるさいわね! なんなのよ、あれ?」
ビビアンは、海の上を飛んでいる大量の鳥を指して聞くと、それを楽しそうに眺めているシャナクが答えた。
「あれは海鳥ですね。この町は、いつ来ても活気があり、そして風情がありますなぁ。」
風情?
うるさいだけじゃない。
まぁ、こんな町どうでもいいわ!
「それよりさっさと占い師を探すわよ。」
「かしこまりました。では、早速ギルドで話を聞いてみましょう。もしかしたら、占い師の話の他に、サクセスさんの話も聞けるかもしれません。」
「サクセスじゃなくて、彼氏よ! 彼氏! 間違えないで!」
間違えないでと言われても無理である。
彼氏と呼べと言われたのは初めてだからだ。
しかし、決して反論してはないらない。
相手は暴虐の勇者ビビアン。
逆らえばタダでは済まない。
シャナクは、心の備忘録に
サクセス=彼氏
と書き込むことにした。
「失礼しました。早速彼氏と占い師の情報を集めましょう。ところでですが、勇者様が倒した伝説の……いえ、通りすがりのモンスターからは魔石はでませんでしたか? もしあれば、ついでに交換しましょう。」
「魔石? 知らないわそんなの。あ、でも綺麗で大きな石は落ちてたから一応拾ってはおいたわ。」
「さすがは勇者様! 素晴らしいご慧眼でございます。早速見せてはいただけませんか?」
「見せるもなにも、馬車の中に入ってるから勝手に持ってきなさいよ。」
苛立つビビアン。
今日は、いつも以上に機嫌が悪いようだ。
「は! 直ちに!」
シャナクはキレのいい返事をすると、急いで馬車に戻り、大きな袋の中を確認した。
そして、色の濃い巨大な魔石を四つ見つける。
「こ、これが伝説の魔物の魔石……まさか生きている内にこんな凄い物を目にする日が来るとは……。これは換金するのに大分時間が掛かりそうですなぁ……時間が掛かれば、またボコられるかもしれませんね。」
シャナクは悩んだ。
流石にギルドと言えども、これを換金するのはかなり難しい。
なぜなら、この魔石の価値は国宝クラス。
魔石としてだけの価値はさることながら、これが伝説の魔物の魔石と分かった時点で、桁違いの希少価値が付加されるだろう。
どうする……。
いっそこのまま持っていた方がいいのでは?
だが私は、ギルドで換金すると先ほど言ったばかりだ。
もしも言った事を違えば、私はただではすまないだろう。
ブルブル……。
想像するだけで、シャナクは体が震えてきた。
もう殴られるのは嫌だ……。
数瞬の迷いの後、シャナクは覚悟を決める。
ギルドに出すだけは出して、時間が掛かるなら撤退すればいいと。
心は決まった。
早速ビビアンに報告だ。
「勇者様、ありました。それではギルドに向かいましょう。」
ビビアンは両腕を組み、落ち着かない様子で足首を上下にパタパタさせていた。
どうやら、待たせすぎたらしい。
「遅い! 何してたのよ! さっさと行くわよ。」
ビビアンはそういうと早足で歩き始めたが、当然ギルドの場所など知らない。
故に、シャナクはダッシュをしてビビアンに追いつくと、息を切らせながらビビアンの前を歩いてギルドまで案内するのだった。
頑張れ!
シャナク!
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