59 / 59
第一章:アナザーニューワールド
60 昭和のヤンキー
しおりを挟む
しかし突然、そんな幸せ空間に不吉な声が届いた。
「お? なんだありゃ? 相棒! 変な物がこっち来てるぜバーロー。」
ブライアンの声で、俺は幸せな妄想世界から戻る。
「砂煙……なんだあれ? え? 嘘だろ! なんでこの世界に……?」
俺は、思いもよらぬ光景に目を見開いた。
「あれは? バイクと自転車……というより暴走族?」
パラリラパラリラ!!
そう。前方から突然現れたのは、昭和の匂いが漂う田舎のヤンキー集団。どう考えても場違いなその集団に驚きが隠せない。しかし、それをみたマリリン達は違った。その目に殺意を宿し始める。
「あれは……鬼族! もしかしてあいつらが村のみんなを!」
「鬼族……ゆるさない……仇!」
マリリンが怒気の篭った声で叫ぶと、ヒヨリンもまた静かに怒りを表す。
「え? 鬼族って和服じゃないのか? 確かによくみると角が見えるな。だが、もしあいつらが村を襲った連中なら、ただではすませねぇぞ!」
鬼族と聞いて、俺も怒りの闘志が滾ってくる。そして互いに近づくにつれ、その集団がよく見えてきた。
その集団の先頭には、ファイアーボール模様の赤い単車に跨がる白い特攻服を着た鬼族がいる。そいつは、襟足の長い金髪リーゼントに角が生やした男だった。そして後ろには、中学生が無理してヤンキー仕様に変えたような自転車に跨る緑色の体をしたゴブリンが50人程連なっている。この世界でゴブリンとは始めた会ったが、その容姿は今までアニメで見てきたゴブリンと全く同じであった。
「おう、おめぇら! ちっと止まれや! あん? 聞いてんのかコラ! 止まれっつてんだよ!」
先頭のヤンキー鬼が単車を横に滑らせて止まり、ブライアンの進行を妨げる。
「ブライアン、止まってみんなを降ろしてくれ。」
今にも襲い掛かってきそうなそいつらを見て、俺は急いでブライアンを停止させた。すると、みんなを降ろしたブライアンは馬化を解除し、殺気立つ。
「おう、相棒。あいつらは俺っちがやっつけいいか?」
「ああ、よろしくっと言いたいところだけど、その前に一つ確認することがある。少しだけ我慢してくれ、ブライアン。」
「わかったぜバーロー。」
俺の言葉にブライアンは拳を握り締めたまま止まった。
「シン、あのトサカ男、火の使い手ニャ。気を付けるニャ。」
アズが俺にそう伝えると、俺は無言で頷く。なんとなくだが俺にも感じる。あいつは強い! すると、目の前のヤンキーは背中から金属バットを取り出して俺達に向けた。
「ごちゃごちゃくっちゃべってんじゃねぇよ! おめぇら、最近刀持ってた鬼族と喧嘩したか? ああん? 5秒以内に答えろや!」
「あ? それが人に聞く態度か、おい。そんなことよりも、お前らこそ昨日人族の村襲ったりしてないだろうな?」
「なんだとコラ? おめぇらの話なんざ聞いてねぇんだよ。俺が質問してんだよコラ、やんぞオラ?」
ヤンキー鬼がそう言って一歩づつ近づいて来ると、挑発された事にブライアンは冷静を失って歩み始める。
「お? やんのかチビ。頭に尻尾生えてんぞバーロー。俺っちは鬼族には手加減できねぇぞ。」
「あん? てめぇこそ、なんだそのアゴは? アゴで笑いとってんじゃねぇぞコラ?」
二人は顔面を近づけると、ブライアンは見下ろすように、ヤンキーは顔を斜め上にあげてメンチを切り合う。今にも戦闘が始まりそうだ。だが、まだ早い。重要な事が聞けていないぞ。
「ブライアンちょっと下がってくれ。」
俺も二人に近づくとブライアンの肩に手をかけて、後ろに下げた。
「おい、そこのヤンキー。刀もってた奴らはお前の仲間か? そいつらなら、俺がぶっ飛ばしたぞ。文句あんならこいや、相手してやるよ。その代わり俺の質問にも答えろ、人族を攫ったのはお前か?」
「ああん? お前が? 随分と弱そうじゃねぇか。そいつらは俺の舎弟だ。うちの若いもんがお世話になったみたいじゃねぇか。」
「質問に答えてないぞ、人族を攫ったのはお前かって聞いてんだよ!」
「はぁ? いちいちひ弱な人族のことなんざ覚えてねぇよ、まぁどうしても聞きてぇなら、力ずくで聞いてみろや。それが鬼族のルールっちゅうもんだ。それに俺は、ただ強い奴と喧嘩してぇだけだ。まずは、この馬づらからボコってやんよ。」
そう言うと、いきなりヤンキーはバットでブライアン目掛けてフルスイングする……が、ブライアンは軽々とそれを片手で受け止める。
「なんだチビ。よわっちいな。おうちに帰ってババァの乳でものんでなバーロー。」
今度は逆にブライアンがバットを受け止めた逆の腕で殴りかかる……が、バックステップで躱された。
「やるじゃねぇか、あご割れ。おいてめぇら、邪魔が入んねぇように周りの奴らをやっちまいな。」
「おう、おめぇら聞いたか? 総長がタイマンだ。誰にも邪魔させんじゃねぇぞ。」
その声で周りにいたゴブリン達は一斉に木製のバットやチェーン等を手に持ち始めた。どうやらブライアンとヤンキー鬼を一騎打ちさせるために俺達に襲い掛かってくるようだ。
「おい、あご割れ。てめぇは俺とタイマンだコラ!」
「お? タイマンってなんだバーロー?」
「一騎打ちってことだよ! このカスが!」
その声を開始の合図に、二人は正面からぶつかり合うのであった。
「お? なんだありゃ? 相棒! 変な物がこっち来てるぜバーロー。」
ブライアンの声で、俺は幸せな妄想世界から戻る。
「砂煙……なんだあれ? え? 嘘だろ! なんでこの世界に……?」
俺は、思いもよらぬ光景に目を見開いた。
「あれは? バイクと自転車……というより暴走族?」
パラリラパラリラ!!
そう。前方から突然現れたのは、昭和の匂いが漂う田舎のヤンキー集団。どう考えても場違いなその集団に驚きが隠せない。しかし、それをみたマリリン達は違った。その目に殺意を宿し始める。
「あれは……鬼族! もしかしてあいつらが村のみんなを!」
「鬼族……ゆるさない……仇!」
マリリンが怒気の篭った声で叫ぶと、ヒヨリンもまた静かに怒りを表す。
「え? 鬼族って和服じゃないのか? 確かによくみると角が見えるな。だが、もしあいつらが村を襲った連中なら、ただではすませねぇぞ!」
鬼族と聞いて、俺も怒りの闘志が滾ってくる。そして互いに近づくにつれ、その集団がよく見えてきた。
その集団の先頭には、ファイアーボール模様の赤い単車に跨がる白い特攻服を着た鬼族がいる。そいつは、襟足の長い金髪リーゼントに角が生やした男だった。そして後ろには、中学生が無理してヤンキー仕様に変えたような自転車に跨る緑色の体をしたゴブリンが50人程連なっている。この世界でゴブリンとは始めた会ったが、その容姿は今までアニメで見てきたゴブリンと全く同じであった。
「おう、おめぇら! ちっと止まれや! あん? 聞いてんのかコラ! 止まれっつてんだよ!」
先頭のヤンキー鬼が単車を横に滑らせて止まり、ブライアンの進行を妨げる。
「ブライアン、止まってみんなを降ろしてくれ。」
今にも襲い掛かってきそうなそいつらを見て、俺は急いでブライアンを停止させた。すると、みんなを降ろしたブライアンは馬化を解除し、殺気立つ。
「おう、相棒。あいつらは俺っちがやっつけいいか?」
「ああ、よろしくっと言いたいところだけど、その前に一つ確認することがある。少しだけ我慢してくれ、ブライアン。」
「わかったぜバーロー。」
俺の言葉にブライアンは拳を握り締めたまま止まった。
「シン、あのトサカ男、火の使い手ニャ。気を付けるニャ。」
アズが俺にそう伝えると、俺は無言で頷く。なんとなくだが俺にも感じる。あいつは強い! すると、目の前のヤンキーは背中から金属バットを取り出して俺達に向けた。
「ごちゃごちゃくっちゃべってんじゃねぇよ! おめぇら、最近刀持ってた鬼族と喧嘩したか? ああん? 5秒以内に答えろや!」
「あ? それが人に聞く態度か、おい。そんなことよりも、お前らこそ昨日人族の村襲ったりしてないだろうな?」
「なんだとコラ? おめぇらの話なんざ聞いてねぇんだよ。俺が質問してんだよコラ、やんぞオラ?」
ヤンキー鬼がそう言って一歩づつ近づいて来ると、挑発された事にブライアンは冷静を失って歩み始める。
「お? やんのかチビ。頭に尻尾生えてんぞバーロー。俺っちは鬼族には手加減できねぇぞ。」
「あん? てめぇこそ、なんだそのアゴは? アゴで笑いとってんじゃねぇぞコラ?」
二人は顔面を近づけると、ブライアンは見下ろすように、ヤンキーは顔を斜め上にあげてメンチを切り合う。今にも戦闘が始まりそうだ。だが、まだ早い。重要な事が聞けていないぞ。
「ブライアンちょっと下がってくれ。」
俺も二人に近づくとブライアンの肩に手をかけて、後ろに下げた。
「おい、そこのヤンキー。刀もってた奴らはお前の仲間か? そいつらなら、俺がぶっ飛ばしたぞ。文句あんならこいや、相手してやるよ。その代わり俺の質問にも答えろ、人族を攫ったのはお前か?」
「ああん? お前が? 随分と弱そうじゃねぇか。そいつらは俺の舎弟だ。うちの若いもんがお世話になったみたいじゃねぇか。」
「質問に答えてないぞ、人族を攫ったのはお前かって聞いてんだよ!」
「はぁ? いちいちひ弱な人族のことなんざ覚えてねぇよ、まぁどうしても聞きてぇなら、力ずくで聞いてみろや。それが鬼族のルールっちゅうもんだ。それに俺は、ただ強い奴と喧嘩してぇだけだ。まずは、この馬づらからボコってやんよ。」
そう言うと、いきなりヤンキーはバットでブライアン目掛けてフルスイングする……が、ブライアンは軽々とそれを片手で受け止める。
「なんだチビ。よわっちいな。おうちに帰ってババァの乳でものんでなバーロー。」
今度は逆にブライアンがバットを受け止めた逆の腕で殴りかかる……が、バックステップで躱された。
「やるじゃねぇか、あご割れ。おいてめぇら、邪魔が入んねぇように周りの奴らをやっちまいな。」
「おう、おめぇら聞いたか? 総長がタイマンだ。誰にも邪魔させんじゃねぇぞ。」
その声で周りにいたゴブリン達は一斉に木製のバットやチェーン等を手に持ち始めた。どうやらブライアンとヤンキー鬼を一騎打ちさせるために俺達に襲い掛かってくるようだ。
「おい、あご割れ。てめぇは俺とタイマンだコラ!」
「お? タイマンってなんだバーロー?」
「一騎打ちってことだよ! このカスが!」
その声を開始の合図に、二人は正面からぶつかり合うのであった。
0
お気に入りに追加
15
この作品の感想を投稿する
みんなの感想(3件)
あなたにおすすめの小説
校長室のソファの染みを知っていますか?
フルーツパフェ
大衆娯楽
校長室ならば必ず置かれている黒いソファ。
しかしそれが何のために置かれているのか、考えたことはあるだろうか。
座面にこびりついた幾つもの染みが、その真実を物語る
淫らなお姫様とイケメン騎士達のエロスな夜伽物語
瀬能なつ
恋愛
17才になった皇女サーシャは、国のしきたりに従い、6人の騎士たちを従えて、遥か彼方の霊峰へと旅立ちます。
長い道中、姫を警護する騎士たちの体力を回復する方法は、ズバリ、キスとH!
途中、魔物に襲われたり、姫の寵愛を競い合う騎士たちの様々な恋の駆け引きもあったりと、お姫様の旅はなかなか困難なのです?!
転生貴族のハーレムチート生活 【400万ポイント突破】
ゼクト
ファンタジー
ファンタジー大賞に応募中です。 ぜひ投票お願いします
ある日、神崎優斗は川でおぼれているおばあちゃんを助けようとして川の中にある岩にあたりおばあちゃんは助けられたが死んでしまったそれをたまたま地球を見ていた創造神が転生をさせてくれることになりいろいろな神の加護をもらい今貴族の子として転生するのであった
【不定期になると思います まだはじめたばかりなのでアドバイスなどどんどんコメントしてください。ノベルバ、小説家になろう、カクヨムにも同じ作品を投稿しているので、気が向いたら、そちらもお願いします。
累計400万ポイント突破しました。
応援ありがとうございます。】
ツイッター始めました→ゼクト @VEUu26CiB0OpjtL
【R18】スライムにマッサージされて絶頂しまくる女の話
白木 白亜
ファンタジー
突如として異世界転移した日本の大学生、タツシ。
世界にとって致命的な抜け穴を見つけ、召喚士としてあっけなく魔王を倒してしまう。
その後、一緒に旅をしたスライムと共に、マッサージ店を開くことにした。卑猥な目的で。
裏があるとも知れず、王都一番の人気になるマッサージ店「スライム・リフレ」。スライムを巧みに操って体のツボを押し、角質を取り、リフレッシュもできる。
だがそこは三度の飯よりも少女が絶頂している瞬間を見るのが大好きなタツシが経営する店。
そんな店では、膣に媚薬100%の粘液を注入され、美少女たちが「気持ちよくなって」いる!!!
感想大歓迎です!
※1グロは一切ありません。登場人物が圧倒的な不幸になることも(たぶん)ありません。今日も王都は平和です。異種姦というよりは、スライムは主人公の補助ツールとして扱われます。そっち方面を期待していた方はすみません。
【R18】抑圧された真面目男が異世界でハメを外してハメまくる話
黒丸
ファンタジー
※大変アダルトな内容です。
※最初の方は、女の子が不潔な意味で汚いです。苦手な方はご注意ください。
矢島九郎は真面目に生きてきた。
文武の両道に勤め、人の模範となるべく身を慎んで行いを正しくし生きてきた。
友人達と遊んでも節度を保ち、女子に告白されても断った。
そしてある日、気づいてしまう。
人生がぜんっぜん楽しくない!
本当はもっと好きに生きたい。
仲間と遊んではしゃぎ回り、自由気ままに暴力をふるい、かわいい娘がいれば後腐れなくエッチしたい。
エッチしたい!
もうネットでエグめの動画を見るだけでは耐えられない。
意を決し、進学を期に大学デビューを決意するも失敗!
新歓でどうはしゃいだらいいかわからない。
女の子とどう話したらいいかわからない。
当たり前だ。女の子と手をつないだのすら小学校が最後だぞ!
そして行き着くところは神頼み。
自分を変える切欠が欲しいと、ものすごく控えめなお願いをしたら、男が存在しないどころか男の概念すらない異世界に飛ばされました。
そんな彼が、欲望の赴くままにハメを外しまくる話。
チートがちと強すぎるが、異世界を満喫できればそれでいい
616號
ファンタジー
不慮の事故に遭い異世界に転移した主人公アキトは、強さや魔法を思い通り設定できるチートを手に入れた。ダンジョンや迷宮などが数多く存在し、それに加えて異世界からの侵略も日常的にある世界でチートすぎる魔法を次々と編み出して、自由にそして気ままに生きていく冒険物語。
【R18】童貞のまま転生し悪魔になったけど、エロ女騎士を救ったら筆下ろしを手伝ってくれる契約をしてくれた。
飼猫タマ
ファンタジー
訳あって、冒険者をしている没落騎士の娘、アナ·アナシア。
ダンジョン探索中、フロアーボスの付き人悪魔Bに捕まり、恥辱を受けていた。
そんな折、そのダンジョンのフロアーボスである、残虐で鬼畜だと巷で噂の悪魔Aが復活してしまい、アナ·アナシアは死を覚悟する。
しかし、その悪魔は違う意味で悪魔らしくなかった。
自分の前世は人間だったと言い張り、自分は童貞で、SEXさせてくれたらアナ·アナシアを殺さないと言う。
アナ·アナシアは殺さない為に、童貞チェリーボーイの悪魔Aの筆下ろしをする契約をしたのだった!
女神様から同情された結果こうなった
回復師
ファンタジー
どうやら女神の大ミスで学園ごと異世界に召喚されたらしい。本来は勇者になる人物を一人召喚するはずだったのを女神がミスったのだ。しかも召喚した場所がオークの巣の近く、年頃の少女が目の前にいきなり大量に現れ色めき立つオーク達。俺は妹を守る為に、女神様から貰ったスキルで生き残るべく思考した。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる
本作については削除予定があるため、新規のレンタルはできません。
このユーザをミュートしますか?
※ミュートすると該当ユーザの「小説・投稿漫画・感想・コメント」が非表示になります。ミュートしたことは相手にはわかりません。またいつでもミュート解除できます。
※一部ミュート対象外の箇所がございます。ミュートの対象範囲についての詳細はヘルプにてご確認ください。
※ミュートしてもお気に入りやしおりは解除されません。既にお気に入りやしおりを使用している場合はすべて解除してからミュートを行うようにしてください。
テンポがよく、読みやすくて私好みの作品です♪♪他の作品も見てみたいです(^^)
いつもありがとうございます。
色々あり、しばらく小説から離れていましたがまた更新をしていきたいと思います。
おもしろい!
お気に入りに登録しました~
いつもありがとうございます!
本当に感謝です。
序章から話のテンポが良く、疾走感を感じながらスムーズに読めます。
穏やかな日常から主人公がどこへ導かれていくのか、ハラハラしながら続きが気になってたまりません(。>ㅅ<。)
アレがアレとは盲点過ぎました(泣)←ネタバレ防止な代名詞乱発ッ!!
感想ありがとう😭
今日明日で大分公開するので、是非楽しんで下さい!