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第一章:アナザーニューワールド
59 お嫁においでぇ~
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俺達を乗せたブライアンは、森を迂回して馬族の村に向かっていた。移動は順調だ。しかし、それにも関わらず、俺の顔から余裕が消えている……なぜならば、正に今俺は、生殺し状態にもがいているからだ。
くそ……。パイオツが全然あたらねぇ……。
なんで傾斜もなにもないんだ! 森を通るか?
森の中ならアップダウン決められるはずだ!
いやダメだ……。あそこはできればもう行きたくねぇ……。
現在進んでいる道は平坦な道。特に障害物もなく、短めの草が生えているだけだった。故に、いきなり速度を上げたり下げたりする、地獄のアップダウン作戦が実行できずにいる。俺がそんな事をずっと考えているとは露知らず、黙って移動している事に耐えられなくなったマリリンは尋ねた。
「そういえば、シンの事何も聞いてなかったわね。シンってどこで生まれたの? 馬族の村?」
声をかけられた事で、ハッと我にかえる俺。そう言えば、この世界の人は日本を知っているのだろうか?
「え……あ、ん~。いや俺は日本っていう人族の国で生まれて育ったんだ。知ってる?」
「聞いた事ないわね、ヒヨリンは知ってる?」
「ん、昔……本で見た事ある。古代文明が栄えていた時代にあった国の一つ。」
「嘘でしょ! それってどんだけ前の話よ。まぁいいわ、シンが自分の事話したくないなら、無理に言わなくてもいいわよ。」
古代文明? やっぱりこの世界では、俺が住んでいた世界が遠い昔に滅んだ事になってるのか……。
その話を聞いて、俺は少し落ち込む。もしかしたら、まだどこかに日本があって、家族もそこで暮らしているかもしれないという淡い期待が心の隅にあったからだ。
逆にマリリンはそんなあり得ない事を答える俺に対し、何か言いたくないことがあるのかもしれないと思い、気を遣って深くは聞いてこなかった。
「そっか……古代文明か。もう日本はどこにもないんだな……。」
「え? 本当にシンは日本で生まれたの? どういうこと?」
「うん……本当だよ、嘘つく程の話でもないしね。ただまぁ、正直に話しても信じられないと思うよ。」
自分でさえ、今の状況を信じられないのに、他人がそれを信じるとは思えない。しかし、ヒヨリンは違った。
「いい、信じる。シンの事……知りたい。話して。」
ヒヨリンは、昔から知識欲が強く、未知の事について決して最初から否定をしない。そう言った事は自分で調べないと気が済まないのだ。幼少の頃からそれは同じで、わからないことがあると一日中本を読んでいるような子であった。だがしかし、そんな事を知らない俺には、その言葉が「あなたの事がもっと知りたいわ……私はあなたを信じるわ……」と違った意味合いで聞こえてしまう。
「お……俺の事が知りたいだと? まさか……俺にホの字なのか?」
自分の話を無条件で信じると直球で言われたからなのか……なぜか胸がキュンキュンしちゃった俺は、思わず心の呟きを表に出しながらも、後ろを振り返ってヒヨリンを見つめた。
「うん、知りたい。聞かせて。」
それを否定しないヒヨリン。そもそも、ホの字の意味がわからなかっただけであるが……。ヒヨリンが真剣な眼差しで俺の目をジッと見つめ返してくる。
おい、可愛すぎやしないか? 高まる性欲がときめきに押され始めてるぞ!
おっぱいはどうした! 俺!
そんな俺は胸をドキドキさせながらも、自分のいた世界の事、そして突然この世界に来てアズに出会った事等を話し始めた。ヒヨリンはそれを黙って聞き続ける。そして自分なりに考察していた。
「凄い話。でも……信じる……もっと知りたい。」
もっと俺の事が知りたいだと? フラグか? これはフラグなのか!?
「ふーん、よくわからないけど凄い話ね、じゃあシンも家族に会えないんだ……辛いわね……。」
マリリンもまた、自分の境遇と当てはめて俺の話に同情する。そしてブライアンは……。
「お? 相棒なんか難しい話してんな。俺っちにはさっぱりだけど心配すんな相棒、俺っちがいるぜ! いつか相棒に日本を食べさせてやるぜバーロー!」
と、普通に訳わからない勘違いをしている。うん、わかってた。
「お、おう。ありがとなブライアン。でも日本は食い物じゃねぇぞ。あと、マリリンも心配してくれてありがとな。」
「べ、別にあんたの事なんか心配してないわよ! ただ、少し可哀そうに思っただけだわ、勘違いしないでよね!」
出たツンデレ!
わざとか? こいつわざとやってんのか?
かわいいじゃねぇか、くそ。
さっきまでヒヨリンにときめいていたはずが、マリリンにもドキドキしてしまう俺。
これが、ハーレム系主人公か……。
遂に来たな、俺の時代!
もうみんなお嫁においでぇ~。
くそ……。パイオツが全然あたらねぇ……。
なんで傾斜もなにもないんだ! 森を通るか?
森の中ならアップダウン決められるはずだ!
いやダメだ……。あそこはできればもう行きたくねぇ……。
現在進んでいる道は平坦な道。特に障害物もなく、短めの草が生えているだけだった。故に、いきなり速度を上げたり下げたりする、地獄のアップダウン作戦が実行できずにいる。俺がそんな事をずっと考えているとは露知らず、黙って移動している事に耐えられなくなったマリリンは尋ねた。
「そういえば、シンの事何も聞いてなかったわね。シンってどこで生まれたの? 馬族の村?」
声をかけられた事で、ハッと我にかえる俺。そう言えば、この世界の人は日本を知っているのだろうか?
「え……あ、ん~。いや俺は日本っていう人族の国で生まれて育ったんだ。知ってる?」
「聞いた事ないわね、ヒヨリンは知ってる?」
「ん、昔……本で見た事ある。古代文明が栄えていた時代にあった国の一つ。」
「嘘でしょ! それってどんだけ前の話よ。まぁいいわ、シンが自分の事話したくないなら、無理に言わなくてもいいわよ。」
古代文明? やっぱりこの世界では、俺が住んでいた世界が遠い昔に滅んだ事になってるのか……。
その話を聞いて、俺は少し落ち込む。もしかしたら、まだどこかに日本があって、家族もそこで暮らしているかもしれないという淡い期待が心の隅にあったからだ。
逆にマリリンはそんなあり得ない事を答える俺に対し、何か言いたくないことがあるのかもしれないと思い、気を遣って深くは聞いてこなかった。
「そっか……古代文明か。もう日本はどこにもないんだな……。」
「え? 本当にシンは日本で生まれたの? どういうこと?」
「うん……本当だよ、嘘つく程の話でもないしね。ただまぁ、正直に話しても信じられないと思うよ。」
自分でさえ、今の状況を信じられないのに、他人がそれを信じるとは思えない。しかし、ヒヨリンは違った。
「いい、信じる。シンの事……知りたい。話して。」
ヒヨリンは、昔から知識欲が強く、未知の事について決して最初から否定をしない。そう言った事は自分で調べないと気が済まないのだ。幼少の頃からそれは同じで、わからないことがあると一日中本を読んでいるような子であった。だがしかし、そんな事を知らない俺には、その言葉が「あなたの事がもっと知りたいわ……私はあなたを信じるわ……」と違った意味合いで聞こえてしまう。
「お……俺の事が知りたいだと? まさか……俺にホの字なのか?」
自分の話を無条件で信じると直球で言われたからなのか……なぜか胸がキュンキュンしちゃった俺は、思わず心の呟きを表に出しながらも、後ろを振り返ってヒヨリンを見つめた。
「うん、知りたい。聞かせて。」
それを否定しないヒヨリン。そもそも、ホの字の意味がわからなかっただけであるが……。ヒヨリンが真剣な眼差しで俺の目をジッと見つめ返してくる。
おい、可愛すぎやしないか? 高まる性欲がときめきに押され始めてるぞ!
おっぱいはどうした! 俺!
そんな俺は胸をドキドキさせながらも、自分のいた世界の事、そして突然この世界に来てアズに出会った事等を話し始めた。ヒヨリンはそれを黙って聞き続ける。そして自分なりに考察していた。
「凄い話。でも……信じる……もっと知りたい。」
もっと俺の事が知りたいだと? フラグか? これはフラグなのか!?
「ふーん、よくわからないけど凄い話ね、じゃあシンも家族に会えないんだ……辛いわね……。」
マリリンもまた、自分の境遇と当てはめて俺の話に同情する。そしてブライアンは……。
「お? 相棒なんか難しい話してんな。俺っちにはさっぱりだけど心配すんな相棒、俺っちがいるぜ! いつか相棒に日本を食べさせてやるぜバーロー!」
と、普通に訳わからない勘違いをしている。うん、わかってた。
「お、おう。ありがとなブライアン。でも日本は食い物じゃねぇぞ。あと、マリリンも心配してくれてありがとな。」
「べ、別にあんたの事なんか心配してないわよ! ただ、少し可哀そうに思っただけだわ、勘違いしないでよね!」
出たツンデレ!
わざとか? こいつわざとやってんのか?
かわいいじゃねぇか、くそ。
さっきまでヒヨリンにときめいていたはずが、マリリンにもドキドキしてしまう俺。
これが、ハーレム系主人公か……。
遂に来たな、俺の時代!
もうみんなお嫁においでぇ~。
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