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第一章:アナザーニューワールド
30 歓喜
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遡ること10日前。
俺達がいる小さな体育館には、不自然な宝箱と電光掲示板、そしてバスケットゴールしかなかった。しかし、現在は随分変わっている。体育館の隅には、バスケットコートには不似合いな居住空間が広がっていた。
岩でできた露天風呂、ハンモック、ウォーターベッド、冷蔵庫、テレビ、漫画、CDコンポ、ソファー、マッサージチェア等……。全部、俺が創造で作り出したものであった。
欲するものを強く具体的にイメージする。
ここでは、それだけで何でも創造することができた。
そして、当然フリースローの試練は継続中である。
【4869】
10日間の間に失敗した回数は既に5000回を超えている。
当初は、疲れきるまでひたすら打ち続けていた。
疲れたら休憩、回復したら、フリースロー。
しかし途中でそれが間違っていることに気付く。
不規則な休憩は、逆に精神的に追い詰められた。
そこで、俺はルールを決める。
1時間打ち続けたら30分休憩
4時間やったら、2時間休憩。
時間にするとこれで、7時間半。
これを2回、つまり15時間経過したら睡眠というスタンスに変えたのだった。
俺は創造でタイマーを作ると、その時間を設定し、生活のリズムを作りはじめる。
すると精神的な負担がかなり減り、連続70本を超える結果が格段と増えた。
最高記録は98回
つまり後少しでクリアというところまで来ていた。
休憩中は如何にリラックスするかを考えた。
ロング休憩中は映画を見たり、ハンモックの上で漫画を読んだり、心身ともに万全な状態で試練に挑戦する。
休憩の時間を決めているのは、時間を決めないと、この快適空間の誘惑に負けそうになるからだ。
過度にリラックスしすぎると逆に集中力が落ちるため、細かくショートレストを入れる方法をとる。
その結果、失敗回数も減り、確実に100本に近づいていった。
失敗回数は残り約半分、毎日フリースローのみを打ち続けているためか、シュート精度も上がっている。
ここまでくればクリアは目の前であった。
「よし!今日こそ、クリアしてやるぜ!!」
「大分上手くなったニャ! フリースローだけなら、プロでもやっていけるかもニャ」
「そんな褒めんなよ、俺はすぐ調子に乗るからさ。でもなんか今日はいける気がするぜ。」
「にゃあは、褒めて伸ばすタイプの指導員ニャ」
「誰が指導員だよ。一回もアドバイスなんかなかったじゃねぇか。」
「黙って見守ることも指導の一環ニャ。間違っているときに背中を押すだけでいいニャ。だから間違えなければ何も言わないのニャ。」
「なんかそういわれるとそれっぽく聞こえるのが不思議だな。ほんと、アズってなんなの? 妙に人間くさい事言うし……前世は人間だったのか?」
「それは秘密ニャ。今は試練に集中ニャ!!」
「あいよ! コーチ! んじゃ、やりますかな。」
そして遂に努力が実る瞬間が訪れた。
【4777】
96……97……98……99……
スパっ!
「100! 遂にやったぜ! いやっほーー!」
「おめでとうニャ」
パチパチパチパチっ!!
アズは猫であるにも関わらず、スタンディングオベーションで拍手をしている。
ブブー!!
突然、ブザー音が鳴り響いた。
するとまた電光掲示板が輝き、文字が現れた。
【congratulation! 宝箱の鍵は開かれました。中はご自由にお取りください。】
俺達がいる小さな体育館には、不自然な宝箱と電光掲示板、そしてバスケットゴールしかなかった。しかし、現在は随分変わっている。体育館の隅には、バスケットコートには不似合いな居住空間が広がっていた。
岩でできた露天風呂、ハンモック、ウォーターベッド、冷蔵庫、テレビ、漫画、CDコンポ、ソファー、マッサージチェア等……。全部、俺が創造で作り出したものであった。
欲するものを強く具体的にイメージする。
ここでは、それだけで何でも創造することができた。
そして、当然フリースローの試練は継続中である。
【4869】
10日間の間に失敗した回数は既に5000回を超えている。
当初は、疲れきるまでひたすら打ち続けていた。
疲れたら休憩、回復したら、フリースロー。
しかし途中でそれが間違っていることに気付く。
不規則な休憩は、逆に精神的に追い詰められた。
そこで、俺はルールを決める。
1時間打ち続けたら30分休憩
4時間やったら、2時間休憩。
時間にするとこれで、7時間半。
これを2回、つまり15時間経過したら睡眠というスタンスに変えたのだった。
俺は創造でタイマーを作ると、その時間を設定し、生活のリズムを作りはじめる。
すると精神的な負担がかなり減り、連続70本を超える結果が格段と増えた。
最高記録は98回
つまり後少しでクリアというところまで来ていた。
休憩中は如何にリラックスするかを考えた。
ロング休憩中は映画を見たり、ハンモックの上で漫画を読んだり、心身ともに万全な状態で試練に挑戦する。
休憩の時間を決めているのは、時間を決めないと、この快適空間の誘惑に負けそうになるからだ。
過度にリラックスしすぎると逆に集中力が落ちるため、細かくショートレストを入れる方法をとる。
その結果、失敗回数も減り、確実に100本に近づいていった。
失敗回数は残り約半分、毎日フリースローのみを打ち続けているためか、シュート精度も上がっている。
ここまでくればクリアは目の前であった。
「よし!今日こそ、クリアしてやるぜ!!」
「大分上手くなったニャ! フリースローだけなら、プロでもやっていけるかもニャ」
「そんな褒めんなよ、俺はすぐ調子に乗るからさ。でもなんか今日はいける気がするぜ。」
「にゃあは、褒めて伸ばすタイプの指導員ニャ」
「誰が指導員だよ。一回もアドバイスなんかなかったじゃねぇか。」
「黙って見守ることも指導の一環ニャ。間違っているときに背中を押すだけでいいニャ。だから間違えなければ何も言わないのニャ。」
「なんかそういわれるとそれっぽく聞こえるのが不思議だな。ほんと、アズってなんなの? 妙に人間くさい事言うし……前世は人間だったのか?」
「それは秘密ニャ。今は試練に集中ニャ!!」
「あいよ! コーチ! んじゃ、やりますかな。」
そして遂に努力が実る瞬間が訪れた。
【4777】
96……97……98……99……
スパっ!
「100! 遂にやったぜ! いやっほーー!」
「おめでとうニャ」
パチパチパチパチっ!!
アズは猫であるにも関わらず、スタンディングオベーションで拍手をしている。
ブブー!!
突然、ブザー音が鳴り響いた。
するとまた電光掲示板が輝き、文字が現れた。
【congratulation! 宝箱の鍵は開かれました。中はご自由にお取りください。】
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