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第一章
17 燃え盛る貧民街
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「早く負傷者を救護所に運べ!」
「無理だ! もうあそこは一杯だぞ!」
「クソ! 国は何やってんだよ! 貧民街なんてどうでもいいってか?」
メリッサ三番街貧民区画は、現在阿鼻叫喚の状況であった。
突然のモンスターの襲撃
逃げ遅れる住民
燃え盛る民家
子供を抱いて走る母と子
魔物を食い止める冒険者
民家の火を消して回る魔法使い
負傷者を治癒し続ける僧侶
あまりに突然の出来事に誰もが混乱した。
そもそもこんな形で国内に魔物が侵入される事等ありえない。
……だが、現実にそれは起こっている。
迷う事はない。
戦える者は、魔物と戦い。
戦えない者は、ひたすら逃げるだけ。
今回襲撃を受けたのは三番街区。
ここには裕福層が住む富裕区画と、平民が多く住む商業区画、そして貧しい者が暮らす貧民区画があった。
魔物が最初に現れたのは富裕区画。
しかし不思議な事に魔物達は富裕区画を破壊する事なく、商業区画を通り過ぎて貧民区画(以後貧民街)に真っ直ぐ向かっていった。
最初に現れたのが商業区画であったならば、比較的早い段階で貧民街にも避難警報が伝わったはずである。
しかし、不幸な事に最初に現れたのが裕福区画であった為、富裕層の住民達は自己の財産の保全を最優先として外部に状況を伝える者がいなかった。
結果として、貧民街の住民は何も知らされる事なく窮地に陥ってしまったのである。
そんな中、城から馬に乗って貧民街まで最短ルートで駆けるローズとラギル。
二人の目には、ようやく赤い炎が映り始めた。
「姫。どうやら、魔物の中にフレイムマンがいるようです。貧民街は既に殆ど崩落しているでしょう。一度商業区画に向かうのがよろしいかと。」
「ダメです! まだ助けを待つ人がいるはずです! 一人でも多くの住民を守るには、そんな暇はありませんわ。急ぎますわよ!」
ローズはラギルの進言を無視して馬に鞭を入れて加速すると、一直線に貧民街に向けて駆け抜けた。
そして遂に到着する。
ローズの目に映るは、燃え盛る民家と、通りに倒れ伏している貧民街の住人達。
鎧を着た男。
子を抱いたまま焼け焦げた母親。
既に形もわからないほど炭になった死体。
倒れている人の中にはローズの知っている人達もいた。
あまりの惨状に言葉を失い、立ち尽くすローズ。
「だから言ったではないですか。これは姫が目にしていい景色ではない。」
「……景色? これをあなたは景色と呼ぶの? この酷い光景を!!」
「同じ事です。それよりどうするのですか? この火の海の中、避難誘導するつもりですか? 私は御免です。燃えたくはありませんから。」
「そう……。なら、あなたは帰って下さい。私はそれでも探します。」
「……はぁ。わかりました、ですが火の中へ無闇に突っ込まないで下さい。私の仕事はあなたの護衛。魔物から守るのはわかりますが、火に飛び込んだ姫を守るのは私の仕事ではありませんので。」
ラギルはそう言うと、ローズの後ろを警戒しながら歩き始める。
「誰か、誰かいませんか!? 助けにきました! 誰か!!」
ローズは炎を避けながらも、必死に叫びながら貧民街を歩いた。
運がいいのか、まだ魔物達とは遭遇していない。
だがしかし、その呼び掛けに応える者もまたいなかった。
普段歩き慣れた貧民街とはいえ、あちこちが瓦礫に埋まっており正直方向もわからないでいる。
養護施設に向かいたいローズだが、今はただ歩ける場所を歩きながら叫ぶことしかできなかった。
「無理だ! もうあそこは一杯だぞ!」
「クソ! 国は何やってんだよ! 貧民街なんてどうでもいいってか?」
メリッサ三番街貧民区画は、現在阿鼻叫喚の状況であった。
突然のモンスターの襲撃
逃げ遅れる住民
燃え盛る民家
子供を抱いて走る母と子
魔物を食い止める冒険者
民家の火を消して回る魔法使い
負傷者を治癒し続ける僧侶
あまりに突然の出来事に誰もが混乱した。
そもそもこんな形で国内に魔物が侵入される事等ありえない。
……だが、現実にそれは起こっている。
迷う事はない。
戦える者は、魔物と戦い。
戦えない者は、ひたすら逃げるだけ。
今回襲撃を受けたのは三番街区。
ここには裕福層が住む富裕区画と、平民が多く住む商業区画、そして貧しい者が暮らす貧民区画があった。
魔物が最初に現れたのは富裕区画。
しかし不思議な事に魔物達は富裕区画を破壊する事なく、商業区画を通り過ぎて貧民区画(以後貧民街)に真っ直ぐ向かっていった。
最初に現れたのが商業区画であったならば、比較的早い段階で貧民街にも避難警報が伝わったはずである。
しかし、不幸な事に最初に現れたのが裕福区画であった為、富裕層の住民達は自己の財産の保全を最優先として外部に状況を伝える者がいなかった。
結果として、貧民街の住民は何も知らされる事なく窮地に陥ってしまったのである。
そんな中、城から馬に乗って貧民街まで最短ルートで駆けるローズとラギル。
二人の目には、ようやく赤い炎が映り始めた。
「姫。どうやら、魔物の中にフレイムマンがいるようです。貧民街は既に殆ど崩落しているでしょう。一度商業区画に向かうのがよろしいかと。」
「ダメです! まだ助けを待つ人がいるはずです! 一人でも多くの住民を守るには、そんな暇はありませんわ。急ぎますわよ!」
ローズはラギルの進言を無視して馬に鞭を入れて加速すると、一直線に貧民街に向けて駆け抜けた。
そして遂に到着する。
ローズの目に映るは、燃え盛る民家と、通りに倒れ伏している貧民街の住人達。
鎧を着た男。
子を抱いたまま焼け焦げた母親。
既に形もわからないほど炭になった死体。
倒れている人の中にはローズの知っている人達もいた。
あまりの惨状に言葉を失い、立ち尽くすローズ。
「だから言ったではないですか。これは姫が目にしていい景色ではない。」
「……景色? これをあなたは景色と呼ぶの? この酷い光景を!!」
「同じ事です。それよりどうするのですか? この火の海の中、避難誘導するつもりですか? 私は御免です。燃えたくはありませんから。」
「そう……。なら、あなたは帰って下さい。私はそれでも探します。」
「……はぁ。わかりました、ですが火の中へ無闇に突っ込まないで下さい。私の仕事はあなたの護衛。魔物から守るのはわかりますが、火に飛び込んだ姫を守るのは私の仕事ではありませんので。」
ラギルはそう言うと、ローズの後ろを警戒しながら歩き始める。
「誰か、誰かいませんか!? 助けにきました! 誰か!!」
ローズは炎を避けながらも、必死に叫びながら貧民街を歩いた。
運がいいのか、まだ魔物達とは遭遇していない。
だがしかし、その呼び掛けに応える者もまたいなかった。
普段歩き慣れた貧民街とはいえ、あちこちが瓦礫に埋まっており正直方向もわからないでいる。
養護施設に向かいたいローズだが、今はただ歩ける場所を歩きながら叫ぶことしかできなかった。
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