上 下
251 / 397
第四部 サムスピジャポン編

2 セイメイ加入②

しおりを挟む
 カリーとイモコの意見から、俺はセイメイをパーティに加える事を決めようとしたしたその時、それまで黙っていたシロマが口を開いた。


「待ってください、サクセスさん。私達の旅は危険です。サムスピジャポンにいる間は、一緒にいてもらえるのは賛成ですが、それ以後は反対です。」


 うーむ。確かにシロマの言う通りだ。
 正直、大魔王や魔王と戦うとなったら、セイメイがいると厳しい。
 だがこれで、サムスピジャポンの間だけなら、全員が賛成という事である。
 つまり、答えは決まった。


「そうだな。セイメイ、正直に言おう。サムスピジャポンに滞在する間は同行してもらうが、それ以後については、今この場で約束することはできない。状況によっては、抜けてもらう事になる。それでもいいか?」

「はい! 当然問題ございません。もうしばらく、サクセス様という大きな光の下に居たいと思う私をお許し下さい。サクセス様……あなたは私の光です。」


 突然真剣な目で、愛の告白の様に語るセイメイ。
 イケメン過ぎる容姿故に、何かその顔の周りに、赤い薔薇が……いや黒い薔薇が咲いているように錯覚する。


「いや、光って……。でもなんで、俺と一緒に居たいんだ?」

「まだわかりませんか? 私のこの気持ちを……。いえ、そうですね。ハッキリ言いましょう。」


 うわ! なんか地雷踏んだかな……。
 聞かなきゃよかったか?


「お、おう。変な事なら言うなよ?」

「私はサクセス様と……。」


 ゴクリッ……。


「一緒にいる事で、この国で権力を手に入れたいと思います! その為に、利用させていただきます!」

「……へ?」

「サクセス様は必ずこの国の英雄となります。その時、御傍に仕えさせていただければ、私の将来は安泰でございます。そう、サクセス様は私の未来を照らす光なのです!!」


 え……えっ?
 あれ? なんか少しゲスい?
 いや、でもまぁ普通か。
 逆にむしろ安心するわ。


「お、おう。まぁ俺もセイメイの知識を頼るってことは、利用することだしな。俺はそれでも構わない。むしろわかりやすくていい。そう言ってもらえるならば、特に戦闘で育てる必要もないしな。」

 
 俺が妙に納得して安心していると、隣にいるシロマから、なんとも不機嫌なオーラを感じ始めた。


「そういうことですか。それでサクセスさんに……。でも、それならいつでも関係を切れますし、サムスピジャポンを出た際にも、スッパリお別れできそうですね。私も安心しました。」


 ちょっと、シロマの言葉に棘を感じるな。
 まぁ、あんな風に言えばシロマも少しは、ムカッとするか。
 俺はあまり気にならないけどなぁ。


「俺は、ちょっとそう言うのは気に入らねぇな。まぁ、サクセスがいいって決めたなら文句を言うつもりはねぇが……。」


 カリーは、やはりこういう考えは嫌いなようだ。
 でも大なり小なり、お互いの力を必要とするってことは、実際には利用するって事だと思う。
 そう言う意味では、正直にわかりやすく伝えたセイメイを、俺は評価する。

 
 まぁいい。とりあえずこれで決まったな。


「じゃあセイメイの同行は決定だ。しかし、パーティにはいれない。後、一応冒険者カードみたいなのがあれば見せてくれ。」

「ありがたきお言葉! わかりました、どうぞご確認下さい。冒険者カードではないですが、職安カードと呼ばれるカードです。内容は、ほとんど同じになっております。」


 そういうとセイメイは冒険者カードと同じような物を差し出す。


 セイメイ レベル58(総合310)
 職業 陰陽師
 ちから   25
 体力    45
 すばやさ  40
 知力    185
 うん    25


 魔法使いと同じような能力振りだな。
 まぁこれなら多少の戦闘なら、危険になることは少ないだろう。
 この国の魔物事情は、よくわからないけど……。


「サンキュ。オーケーだ。じゃあこれからも頼むぞ。」

「はい! 小間使いでもなんでも、私をお使いください。」


 そういうと、セイメイが仲間に加わった。


 そして、遂に船が港に到着する。
 これより、サムスピジャポンでの冒険が始まるのであった。



 現在のパーティ情報
 サクセス LV58 総2885(3095)
 カリー  LV49 総980(1245) 
 シロマ  LV38 総1035(1230)
 イモコ  LV99   総515  ( 640)
 ゲロゲロ LV20 総2500
 

※ 災禍の渦潮における経験値配分について
  最初に湧き出たモンスターの大群を討伐した経験値は、
  サクセス、カリー、イモコ、シロマ
 に分配されています。

  災禍の渦潮本体の討伐に関しては、サクセスのみに経験値が入っている。
  災禍の渦潮本体の経験値は、極大。
  また、それが生み出していたモンスターも全て高レベル。

  パーティ経験値配分については、パーティとしての認識があれば、ある程度広い戦場でも分配はされる。
  しかし、あまりに距離が開きすぎると、配分されない。
  イメージは、MMORPGでマップが変わると反映されないけど、同一マップ上だと、どんなに離れていても経 
 験値が配分される感覚です。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

45歳のおっさん、異世界召喚に巻き込まれる

よっしぃ
ファンタジー
2月26日から29日現在まで4日間、アルファポリスのファンタジー部門1位達成!感謝です! 小説家になろうでも10位獲得しました! そして、カクヨムでもランクイン中です! ●●●●●●●●●●●●●●●●●●●● スキルを強奪する為に異世界召喚を実行した欲望まみれの権力者から逃げるおっさん。 いつものように電車通勤をしていたわけだが、気が付けばまさかの異世界召喚に巻き込まれる。 欲望者から逃げ切って反撃をするか、隠れて地味に暮らすか・・・・ ●●●●●●●●●●●●●●● 小説家になろうで執筆中の作品です。 アルファポリス、、カクヨムでも公開中です。 現在見直し作業中です。 変換ミス、打ちミス等が多い作品です。申し訳ありません。

無能なので辞めさせていただきます!

サカキ カリイ
ファンタジー
ブラック商業ギルドにて、休みなく働き詰めだった自分。 マウントとる新人が入って来て、馬鹿にされだした。 えっ上司まで新人に同調してこちらに辞めろだって? 残業は無能の証拠、職務に時間が長くかかる分、 無駄に残業代払わせてるからお前を辞めさせたいって? はいはいわかりました。 辞めますよ。 退職後、困ったんですかね?さあ、知りませんねえ。 自分無能なんで、なんにもわかりませんから。 カクヨム、なろうにも同内容のものを時差投稿しております。

【完結】私だけが知らない

綾雅(りょうが)祝!コミカライズ
ファンタジー
目が覚めたら何も覚えていなかった。父と兄を名乗る二人は泣きながら謝る。痩せ細った体、痣が残る肌、誰もが過保護に私を気遣う。けれど、誰もが何が起きたのかを語らなかった。 優しい家族、ぬるま湯のような生活、穏やかに過ぎていく日常……その陰で、人々は己の犯した罪を隠しつつ微笑む。私を守るため、そう言いながら真実から遠ざけた。 やがて、すべてを知った私は――ひとつの決断をする。 記憶喪失から始まる物語。冤罪で殺されかけた私は蘇り、陥れようとした者は断罪される。優しい嘘に隠された真実が徐々に明らかになっていく。 【同時掲載】 小説家になろう、アルファポリス、カクヨム、エブリスタ 2023/12/20……小説家になろう 日間、ファンタジー 27位 2023/12/19……番外編完結 2023/12/11……本編完結(番外編、12/12) 2023/08/27……エブリスタ ファンタジートレンド 1位 2023/08/26……カテゴリー変更「恋愛」⇒「ファンタジー」 2023/08/25……アルファポリス HOT女性向け 13位 2023/08/22……小説家になろう 異世界恋愛、日間 22位 2023/08/21……カクヨム 恋愛週間 17位 2023/08/16……カクヨム 恋愛日間 12位 2023/08/14……連載開始

貴族に生まれたのに誘拐され1歳で死にかけた

佐藤醤油
ファンタジー
 貴族に生まれ、のんびりと赤ちゃん生活を満喫していたのに、気がついたら世界が変わっていた。  僕は、盗賊に誘拐され魔力を吸われながら生きる日々を過ごす。  魔力枯渇に陥ると死ぬ確率が高いにも関わらず年に1回は魔力枯渇になり死にかけている。  言葉が通じる様になって気がついたが、僕は他の人が持っていないステータスを見る力を持ち、さらに異世界と思われる世界の知識を覗ける力を持っている。  この力を使って、いつか脱出し母親の元へと戻ることを夢見て過ごす。  小さい体でチートな力は使えない中、どうにか生きる知恵を出し生活する。 ------------------------------------------------------------------  お知らせ   「転生者はめぐりあう」 始めました。 ------------------------------------------------------------------ 注意  作者の暇つぶし、気分転換中の自己満足で公開する作品です。  感想は受け付けていません。  誤字脱字、文面等気になる方はお気に入りを削除で対応してください。

神様との賭けに勝ったので、スキルを沢山貰えた件。

猫丸
ファンタジー
ある日の放課後。突然足元に魔法陣が現れると、気付けば目の前には神を名乗る存在が居た。 そこで神は異世界に送るからスキルを1つ選べと言ってくる。 あれ?これもしかして頑張ったらもっと貰えるパターンでは? そこで彼は思った――もっと欲しい! 欲をかいた少年は神様に賭けをしないかと提案した。 神様とゲームをすることになった悠斗はその結果―― ※過去に投稿していたものを大きく加筆修正したものになります。

【完結】悪役令嬢に転生したけど、王太子妃にならない方が幸せじゃない?

みちこ
ファンタジー
12歳の時に前世の記憶を思い出し、自分が悪役令嬢なのに気が付いた主人公。 ずっと王太子に片思いしていて、将来は王太子妃になることしか頭になかった主人公だけど、前世の記憶を思い出したことで、王太子の何が良かったのか疑問に思うようになる 色々としがらみがある王太子妃になるより、このまま公爵家の娘として暮らす方が幸せだと気が付く

【完結】4人の令嬢とその婚約者達

cc.
恋愛
仲の良い4人の令嬢には、それぞれ幼い頃から決められた婚約者がいた。 優れた才能を持つ婚約者達は、騎士団に入り活躍をみせると、その評判は瞬く間に広まっていく。 年に、数回だけ行われる婚約者との交流も活躍すればする程、回数は減り気がつけばもう数年以上もお互い顔を合わせていなかった。 そんな中、4人の令嬢が街にお忍びで遊びに来たある日… 有名な娼館の前で話している男女数組を見かける。 真昼間から、騎士団の制服で娼館に来ているなんて… 呆れていると、そのうちの1人… いや、もう1人… あれ、あと2人も… まさかの、自分たちの婚約者であった。 貴方達が、好き勝手するならば、私達も自由に生きたい! そう決意した4人の令嬢の、我慢をやめたお話である。 *20話完結予定です。

幼なじみ三人が勇者に魅了されちゃって寝盗られるんだけど数年後勇者が死んで正気に戻った幼なじみ達がめちゃくちゃ後悔する話

妄想屋さん
ファンタジー
『元彼?冗談でしょ?僕はもうあんなのもうどうでもいいよ!』 『ええ、アタシはあなたに愛して欲しい。あんなゴミもう知らないわ!』 『ええ!そうですとも!だから早く私にも――』  大切な三人の仲間を勇者に〈魅了〉で奪い取られて絶望した主人公と、〈魅了〉から解放されて今までの自分たちの行いに絶望するヒロイン達の話。

処理中です...