195 / 397
第三部 オーブを求めて
第三十八話 愛の炎
しおりを挟む
「ここは? 俺は死んだのか?」
気が付くと、俺は真っ暗な空間にいた。
不思議な事に肩の痛みは消えている。
そして体を触ってみると、俺の体はしっかりとそこに存在した。
これが死後の世界……。
「お久しぶりです、サクセスさん。」
突然後ろから声を掛けられた俺は、驚きつつも、その懐かしい声に思わず自分の耳を疑った。
あの子がここにいるわけがない。
そう思いつつも振り返ってみると、そこにいたのは、やっぱりシロマだった。
「シ、シロマ!! 無事だったのか!?」
俺は咄嗟(とっさ)にシロマの華奢(きゃしゃ)な身体を抱きしめる。
シロマはとても柔らかく、そしていい匂いがした。
そして少し膨らみかけた未成熟なパパイヤが俺に当たる。
この感触……間違いない!
シロマだ!
夢じゃない!
パイオツでシロマが本物であると確信する俺。
小さいのも嫌いじゃないぜ?
「サクセスさん……嬉しいです。ずっと会いたかった。」
シロマも俺の体に手を巻き付けて言う。
その目には涙が浮かんでいた。
相変わらずシロマは可愛かった。
会っていなかった時間が長かったせいか、その可憐さが一層際立って俺の目に映る。
いつも一緒にいると忘れてしまうが、やはりシロマは超絶美少女だった。
しかしその時、俺は大事な事に気付いてしまった。
「ここにシロマがいるってことは……まさかシロマも……。」
俺は間違いなく死んだ。
そしてここは死後の世界。
ここにシロマがいるという事は、シロマも死んだという事に他ならない。
そうか……シロマまで……。
もしかしたら他のみんなも既に……。
「安心してください、サクセスさん。私は死んでません。もちろん、サクセスさんもです。」
俺の不安な表情から心を読んだのか、シロマは俺が口にできなかった疑問に答えた。
!?
「え? だって、ここは死後の世界じゃ……。」
「違います。ここは私が作り出した亜空間です。私、無事に天空職に転職できました。これは私のスキル【亜空間バリア】の中です。」
シロマが使った【亜空間バリア】
それはあらゆる攻撃を亜空間に飛ばす事のできる究極の防御スキル。
シロマ本人も初めて使うスキルであり、どんなことになるのか未知であった。
使ってみてわかったのだが、これは二つの空間を作るスキル。
一つ目は、一定の範囲における攻撃効果を反らすための空間。
二つ目は、守る対象を完全に外界からの影響を反らす為の空間。
サクセス達がいるのは二つ目の亜空間の中だった。
【亜空間バリア】は、この二つの空間を瞬時に展開することにより、完璧なる防御スキルとなる。
だがそんな事を知るわけもない俺は、シロマのその言葉に混乱した。
死んでない?
天空職?
シロマのスキル?
「じゃあ……俺は……。」
「はい、生きてます。本当はもっと遅くなる予定だったのですが、少し時間に干渉してズルしました。でも、説明は後です。まずはあいつを倒しましょう。」
その瞬間、俺の視界が元の世界に戻る。
「ガッハッハ!」
聞こえてくるのはガンダッダの耳障りな高笑い。
どうやら、あいつは俺を完全に消滅させたと思って悦に浸っているようだ。
はっ!?
シロマは!?
ここは空中。
シロマが飛べるわけが……あるのね。
シロマは俺の隣で、普通に空の上を立っていた。
もうちょい上にいてくれたら、パンツが見れたかもしれない……残念だ。
という冗談はさておき、まさか翼もないのに飛べる事に俺は驚く。
さっきから驚きっぱなしだ。
「飛べるのか!?」
「いえ、飛べません。時間があれば、空間移動はできますが、今は落ちる時間を僅かに止めているだけに過ぎません。ですので、時間がないです。」
どうやら、流石にシロマでも飛べないらしい。
っと、そんな事を言ってる場合じゃない!
パンツを覗こうとしている暇もない!
早く倒さないとシロマも海に落ちてしまう。
だが、どうやって倒せば……。
死ななかったものの、あいつを倒せる術は未だ見つかっていないのだ。
「どうすれば倒せるんだ……。」
俺が自信なさげにそう呟くと、シロマは言った。
「私の経験では、あのようなモンスターには核があるはずです。つまり、全て消滅させれば核も壊せるはずです。」
シロマはグリムワールの世界で幾多の敵と戦い続けてきた。
当然、その中には再生能力が凄まじい敵も多い。
故に、その経験と敵の姿から相手の弱点を的確に掴む。
「そうか……でも、あの大きさを全て屠る(ほふる)のは……。」
「わかりました、では私が周りの竜の首を消します。サクセスさんは胴体だけを消滅させてください。」
「胴体……そうか! 核は海に隠されている胴体の中か! でも、海中となると……いやまて! あれがあったな!」
俺がある事に気付くとシロマはフッと微笑む。
「サクセスさんならできます。だって、サクセスさんは私の英雄ですから。」
その言葉が俺の背中を後押しする。
絶対的な信頼。
これ程心強いものはない。
「わかった。でもシロマはやれるのか? あいつは堅いぞ?」
「はい、できます。ですが、その瞬間に私は海に落ちると思いますので、絶対助けてくださいね。」
どうやらシロマは自信有り気だ。
天空職がどんなものかわからないけど、さっきのスキルや、今の状況から見て、強がりではないのだろう。
それに、愛するシロマの言葉を信じないという選択肢など俺にはない。
そして、それはシロマも同じだった。
お互いを信頼して見つめ合う二人。
心は決まった。
ならば、やるだけだ。
「当たり前だ! じゃあ……行くぞ!!」
初めての二人の共同作業……
作戦コードネームは【ラブラブースト】
俺はリヴァイアサンがいる海に向かって【ガイアの剣】を投げつける。
バチャ……
「ん? なんの音だ……?」
突然の音に気づいたガンダッダは、音がした海面を見る。
その瞬間……。
【リアリティアロー】
シロマは空中で弓を構える仕草をすると、黒い何かを6発放った。
パチンパチンパチン!
ガンダッダ以外の竜の首に黒い矢が刺さると、その頭部は【パチン】という音をたてて消滅する。
「後は……任せました、サクセスさん。」
そしてそのまま頭を下にして海に落下していくシロマ。
その姿を一瞬横目で見た俺は、一気に海面に急降下する。
ゴゴゴゴゴゴゴゴッ…………
その時、海面にある地上が一斉に隆起し、海に大地が浮かんだ。
【ガイアの剣】は無事に海の底に突き刺さったらしい。
浮かび上がる大地の中央に、突き刺さった【ガイアの剣】が見える。
ーーと同時に、リヴァイアサンの胴体の全貌が見えてきた。
そこにあるのは、見えていた首とは比べ物にならない程大きい胴体。
デカい……。
いや、あれはトグロを巻いているいるのか。
おあつらえ向きだぜ!
大きなトグロから伸びるガンダッダの首。
俺はガンダッダの首の真上を目掛けて、一気に加速する。
【ドラゴニックメテオ】
剣を下に隕石が如く、超スピードで落下する俺。
剣と俺の体は一つになるかのように、赤い炎に包まれた。
「ば、ばかな!! お前は死んだはずじゃ……!!」
「俺にあって、お前に無い物……これが愛の力だ!!」
俺に気づいたガンダッダは、何故か一瞬かたまった。
少しは避けるかもしれないと思ったのだが、奴はその場から全く動かない。
俺を見て固まっていた。
ズブッ!
ズドドドドドッ!!
剣と体が、ガンダッタの頭の上から体まで一気に貫通していく。
そして、リヴァイアサンの胴体の中央まで貫通していくと、そこで俺の体と剣全体から特大の爆発が巻き起こった。
バァァァァァン!!
リヴァイアサンの胴体が木端微塵に吹き飛んだ。
「嘘だ! 嘘だ! 嘘だ! 愛など……愛などぉぉぉぉぉ!!」
その言葉を最後に、リヴァイアサンの体、そしてガンダッダの首がパラパラと塵に変わっていき、そして完全に消滅した。
「今度こそやったぞ! って、馬鹿! シロマぁぁぁぁぁぁ!!」
海が無くなった事で、大地にシロマは急落下し、そして今にも衝突するところであった。
【ドラゴニックブラスター】
俺はシロマをキャッチするために、加速スキルを駆使して飛ぶ。
「間に合え!! シロマぁぁぁぁぁ!!」
ガシッ!!
間一髪でシロマをキャッチする俺。
危なかった。
ゼロコンマ1秒でも遅れていたら間に合わないところであった。
しかし、間に合った。
その結果こそが全てだ。
「サクセスさん。やっぱりサクセスさんは凄いです。」
「何……言ってるんだよ……。凄いのはシロマだよ……本当に良かった……。」
安心した瞬間、急に俺の目から涙が溢れる。
ここに長くも短い戦いは終わりを告げた。
遂に俺はリヴァイアサンを倒す事ができたのだ。
俺一人では絶対に敵わない相手。
カリー……そしてシロマがいてくれたからこそ、勝利することができた。
そして皮肉な事に、最後にガンダッダを消滅させたものこそ、ガンダッダが否定し続けてきたもの。
愛を知らずに生き、この世への憎悪から世界を滅ぼそうとしたガンダッダ。
彼は最後まで愛を知らずに生き、そして愛によって滅ぼされた。
ガンダッダもまた、この世界の被害者であったのかもしれない。
しかし、だからと言って他者の命を奪っていい理由にはならない。
ガンダッダを消滅させた赤い炎。
その炎を見た時、なぜだかガンダッダは、心の底でその炎に触れる事を望んだ。
あの炎はシロマとサクセスの愛が生んだもの。
ガンダッダは感じた。
あれが自分の知らない愛に溢れた何かである事に。
そして、触れてみたくなってしまったのだ。
自分の知らない愛に……。
故にあの時、ガンダッダは固まってしまったのだ。
彼が本当に求めていたのは、破壊ではなく、愛だったのかもしれない。
愛知らぬゆえに……愛を捨てた男、ガンダッダ……。
その生涯の最後に、自分が本当に求めていたものが、愛であったと気づくのであった。
気が付くと、俺は真っ暗な空間にいた。
不思議な事に肩の痛みは消えている。
そして体を触ってみると、俺の体はしっかりとそこに存在した。
これが死後の世界……。
「お久しぶりです、サクセスさん。」
突然後ろから声を掛けられた俺は、驚きつつも、その懐かしい声に思わず自分の耳を疑った。
あの子がここにいるわけがない。
そう思いつつも振り返ってみると、そこにいたのは、やっぱりシロマだった。
「シ、シロマ!! 無事だったのか!?」
俺は咄嗟(とっさ)にシロマの華奢(きゃしゃ)な身体を抱きしめる。
シロマはとても柔らかく、そしていい匂いがした。
そして少し膨らみかけた未成熟なパパイヤが俺に当たる。
この感触……間違いない!
シロマだ!
夢じゃない!
パイオツでシロマが本物であると確信する俺。
小さいのも嫌いじゃないぜ?
「サクセスさん……嬉しいです。ずっと会いたかった。」
シロマも俺の体に手を巻き付けて言う。
その目には涙が浮かんでいた。
相変わらずシロマは可愛かった。
会っていなかった時間が長かったせいか、その可憐さが一層際立って俺の目に映る。
いつも一緒にいると忘れてしまうが、やはりシロマは超絶美少女だった。
しかしその時、俺は大事な事に気付いてしまった。
「ここにシロマがいるってことは……まさかシロマも……。」
俺は間違いなく死んだ。
そしてここは死後の世界。
ここにシロマがいるという事は、シロマも死んだという事に他ならない。
そうか……シロマまで……。
もしかしたら他のみんなも既に……。
「安心してください、サクセスさん。私は死んでません。もちろん、サクセスさんもです。」
俺の不安な表情から心を読んだのか、シロマは俺が口にできなかった疑問に答えた。
!?
「え? だって、ここは死後の世界じゃ……。」
「違います。ここは私が作り出した亜空間です。私、無事に天空職に転職できました。これは私のスキル【亜空間バリア】の中です。」
シロマが使った【亜空間バリア】
それはあらゆる攻撃を亜空間に飛ばす事のできる究極の防御スキル。
シロマ本人も初めて使うスキルであり、どんなことになるのか未知であった。
使ってみてわかったのだが、これは二つの空間を作るスキル。
一つ目は、一定の範囲における攻撃効果を反らすための空間。
二つ目は、守る対象を完全に外界からの影響を反らす為の空間。
サクセス達がいるのは二つ目の亜空間の中だった。
【亜空間バリア】は、この二つの空間を瞬時に展開することにより、完璧なる防御スキルとなる。
だがそんな事を知るわけもない俺は、シロマのその言葉に混乱した。
死んでない?
天空職?
シロマのスキル?
「じゃあ……俺は……。」
「はい、生きてます。本当はもっと遅くなる予定だったのですが、少し時間に干渉してズルしました。でも、説明は後です。まずはあいつを倒しましょう。」
その瞬間、俺の視界が元の世界に戻る。
「ガッハッハ!」
聞こえてくるのはガンダッダの耳障りな高笑い。
どうやら、あいつは俺を完全に消滅させたと思って悦に浸っているようだ。
はっ!?
シロマは!?
ここは空中。
シロマが飛べるわけが……あるのね。
シロマは俺の隣で、普通に空の上を立っていた。
もうちょい上にいてくれたら、パンツが見れたかもしれない……残念だ。
という冗談はさておき、まさか翼もないのに飛べる事に俺は驚く。
さっきから驚きっぱなしだ。
「飛べるのか!?」
「いえ、飛べません。時間があれば、空間移動はできますが、今は落ちる時間を僅かに止めているだけに過ぎません。ですので、時間がないです。」
どうやら、流石にシロマでも飛べないらしい。
っと、そんな事を言ってる場合じゃない!
パンツを覗こうとしている暇もない!
早く倒さないとシロマも海に落ちてしまう。
だが、どうやって倒せば……。
死ななかったものの、あいつを倒せる術は未だ見つかっていないのだ。
「どうすれば倒せるんだ……。」
俺が自信なさげにそう呟くと、シロマは言った。
「私の経験では、あのようなモンスターには核があるはずです。つまり、全て消滅させれば核も壊せるはずです。」
シロマはグリムワールの世界で幾多の敵と戦い続けてきた。
当然、その中には再生能力が凄まじい敵も多い。
故に、その経験と敵の姿から相手の弱点を的確に掴む。
「そうか……でも、あの大きさを全て屠る(ほふる)のは……。」
「わかりました、では私が周りの竜の首を消します。サクセスさんは胴体だけを消滅させてください。」
「胴体……そうか! 核は海に隠されている胴体の中か! でも、海中となると……いやまて! あれがあったな!」
俺がある事に気付くとシロマはフッと微笑む。
「サクセスさんならできます。だって、サクセスさんは私の英雄ですから。」
その言葉が俺の背中を後押しする。
絶対的な信頼。
これ程心強いものはない。
「わかった。でもシロマはやれるのか? あいつは堅いぞ?」
「はい、できます。ですが、その瞬間に私は海に落ちると思いますので、絶対助けてくださいね。」
どうやらシロマは自信有り気だ。
天空職がどんなものかわからないけど、さっきのスキルや、今の状況から見て、強がりではないのだろう。
それに、愛するシロマの言葉を信じないという選択肢など俺にはない。
そして、それはシロマも同じだった。
お互いを信頼して見つめ合う二人。
心は決まった。
ならば、やるだけだ。
「当たり前だ! じゃあ……行くぞ!!」
初めての二人の共同作業……
作戦コードネームは【ラブラブースト】
俺はリヴァイアサンがいる海に向かって【ガイアの剣】を投げつける。
バチャ……
「ん? なんの音だ……?」
突然の音に気づいたガンダッダは、音がした海面を見る。
その瞬間……。
【リアリティアロー】
シロマは空中で弓を構える仕草をすると、黒い何かを6発放った。
パチンパチンパチン!
ガンダッダ以外の竜の首に黒い矢が刺さると、その頭部は【パチン】という音をたてて消滅する。
「後は……任せました、サクセスさん。」
そしてそのまま頭を下にして海に落下していくシロマ。
その姿を一瞬横目で見た俺は、一気に海面に急降下する。
ゴゴゴゴゴゴゴゴッ…………
その時、海面にある地上が一斉に隆起し、海に大地が浮かんだ。
【ガイアの剣】は無事に海の底に突き刺さったらしい。
浮かび上がる大地の中央に、突き刺さった【ガイアの剣】が見える。
ーーと同時に、リヴァイアサンの胴体の全貌が見えてきた。
そこにあるのは、見えていた首とは比べ物にならない程大きい胴体。
デカい……。
いや、あれはトグロを巻いているいるのか。
おあつらえ向きだぜ!
大きなトグロから伸びるガンダッダの首。
俺はガンダッダの首の真上を目掛けて、一気に加速する。
【ドラゴニックメテオ】
剣を下に隕石が如く、超スピードで落下する俺。
剣と俺の体は一つになるかのように、赤い炎に包まれた。
「ば、ばかな!! お前は死んだはずじゃ……!!」
「俺にあって、お前に無い物……これが愛の力だ!!」
俺に気づいたガンダッダは、何故か一瞬かたまった。
少しは避けるかもしれないと思ったのだが、奴はその場から全く動かない。
俺を見て固まっていた。
ズブッ!
ズドドドドドッ!!
剣と体が、ガンダッタの頭の上から体まで一気に貫通していく。
そして、リヴァイアサンの胴体の中央まで貫通していくと、そこで俺の体と剣全体から特大の爆発が巻き起こった。
バァァァァァン!!
リヴァイアサンの胴体が木端微塵に吹き飛んだ。
「嘘だ! 嘘だ! 嘘だ! 愛など……愛などぉぉぉぉぉ!!」
その言葉を最後に、リヴァイアサンの体、そしてガンダッダの首がパラパラと塵に変わっていき、そして完全に消滅した。
「今度こそやったぞ! って、馬鹿! シロマぁぁぁぁぁぁ!!」
海が無くなった事で、大地にシロマは急落下し、そして今にも衝突するところであった。
【ドラゴニックブラスター】
俺はシロマをキャッチするために、加速スキルを駆使して飛ぶ。
「間に合え!! シロマぁぁぁぁぁ!!」
ガシッ!!
間一髪でシロマをキャッチする俺。
危なかった。
ゼロコンマ1秒でも遅れていたら間に合わないところであった。
しかし、間に合った。
その結果こそが全てだ。
「サクセスさん。やっぱりサクセスさんは凄いです。」
「何……言ってるんだよ……。凄いのはシロマだよ……本当に良かった……。」
安心した瞬間、急に俺の目から涙が溢れる。
ここに長くも短い戦いは終わりを告げた。
遂に俺はリヴァイアサンを倒す事ができたのだ。
俺一人では絶対に敵わない相手。
カリー……そしてシロマがいてくれたからこそ、勝利することができた。
そして皮肉な事に、最後にガンダッダを消滅させたものこそ、ガンダッダが否定し続けてきたもの。
愛を知らずに生き、この世への憎悪から世界を滅ぼそうとしたガンダッダ。
彼は最後まで愛を知らずに生き、そして愛によって滅ぼされた。
ガンダッダもまた、この世界の被害者であったのかもしれない。
しかし、だからと言って他者の命を奪っていい理由にはならない。
ガンダッダを消滅させた赤い炎。
その炎を見た時、なぜだかガンダッダは、心の底でその炎に触れる事を望んだ。
あの炎はシロマとサクセスの愛が生んだもの。
ガンダッダは感じた。
あれが自分の知らない愛に溢れた何かである事に。
そして、触れてみたくなってしまったのだ。
自分の知らない愛に……。
故にあの時、ガンダッダは固まってしまったのだ。
彼が本当に求めていたのは、破壊ではなく、愛だったのかもしれない。
愛知らぬゆえに……愛を捨てた男、ガンダッダ……。
その生涯の最後に、自分が本当に求めていたものが、愛であったと気づくのであった。
0
お気に入りに追加
290
あなたにおすすめの小説
愚かな父にサヨナラと《完結》
アーエル
ファンタジー
「フラン。お前の方が年上なのだから、妹のために我慢しなさい」
父の言葉は最後の一線を越えてしまった。
その言葉が、続く悲劇を招く結果となったけど・・・
悲劇の本当の始まりはもっと昔から。
言えることはただひとつ
私の幸せに貴方はいりません
✈他社にも同時公開
45歳のおっさん、異世界召喚に巻き込まれる
よっしぃ
ファンタジー
2月26日から29日現在まで4日間、アルファポリスのファンタジー部門1位達成!感謝です!
小説家になろうでも10位獲得しました!
そして、カクヨムでもランクイン中です!
●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●
スキルを強奪する為に異世界召喚を実行した欲望まみれの権力者から逃げるおっさん。
いつものように電車通勤をしていたわけだが、気が付けばまさかの異世界召喚に巻き込まれる。
欲望者から逃げ切って反撃をするか、隠れて地味に暮らすか・・・・
●●●●●●●●●●●●●●●
小説家になろうで執筆中の作品です。
アルファポリス、、カクヨムでも公開中です。
現在見直し作業中です。
変換ミス、打ちミス等が多い作品です。申し訳ありません。
僕の家族は母様と母様の子供の弟妹達と使い魔達だけだよ?
闇夜の現し人(ヤミヨノウツシビト)
ファンタジー
ー 母さんは、「絶世の美女」と呼ばれるほど美しく、国の中で最も権力の強い貴族と呼ばれる公爵様の寵姫だった。
しかし、それをよく思わない正妻やその親戚たちに毒を盛られてしまった。
幸い発熱だけですんだがお腹に子が出来てしまった以上ここにいては危険だと判断し、仲の良かった侍女数名に「ここを離れる」と言い残し公爵家を後にした。
お母さん大好きっ子な主人公は、毒を盛られるという失態をおかした父親や毒を盛った親戚たちを嫌悪するがお母さんが日々、「家族で暮らしたい」と話していたため、ある出来事をきっかけに一緒に暮らし始めた。
しかし、自分が家族だと認めた者がいれば初めて見た者は跪くと言われる程の華の顔(カンバセ)を綻ばせ笑うが、家族がいなければ心底どうでもいいというような表情をしていて、人形の方がまだ表情があると言われていた。
『無能で無価値の稚拙な愚父共が僕の家族を名乗る資格なんて無いんだよ?』
さぁ、ここに超絶チートを持つ自分が認めた家族以外の生き物全てを嫌う主人公の物語が始まる。
〈念の為〉
稚拙→ちせつ
愚父→ぐふ
⚠︎注意⚠︎
不定期更新です。作者の妄想をつぎ込んだ作品です。
【完結】私だけが知らない
綾雅(りょうが)祝!コミカライズ
ファンタジー
目が覚めたら何も覚えていなかった。父と兄を名乗る二人は泣きながら謝る。痩せ細った体、痣が残る肌、誰もが過保護に私を気遣う。けれど、誰もが何が起きたのかを語らなかった。
優しい家族、ぬるま湯のような生活、穏やかに過ぎていく日常……その陰で、人々は己の犯した罪を隠しつつ微笑む。私を守るため、そう言いながら真実から遠ざけた。
やがて、すべてを知った私は――ひとつの決断をする。
記憶喪失から始まる物語。冤罪で殺されかけた私は蘇り、陥れようとした者は断罪される。優しい嘘に隠された真実が徐々に明らかになっていく。
【同時掲載】 小説家になろう、アルファポリス、カクヨム、エブリスタ
2023/12/20……小説家になろう 日間、ファンタジー 27位
2023/12/19……番外編完結
2023/12/11……本編完結(番外編、12/12)
2023/08/27……エブリスタ ファンタジートレンド 1位
2023/08/26……カテゴリー変更「恋愛」⇒「ファンタジー」
2023/08/25……アルファポリス HOT女性向け 13位
2023/08/22……小説家になろう 異世界恋愛、日間 22位
2023/08/21……カクヨム 恋愛週間 17位
2023/08/16……カクヨム 恋愛日間 12位
2023/08/14……連載開始
貴族に生まれたのに誘拐され1歳で死にかけた
佐藤醤油
ファンタジー
貴族に生まれ、のんびりと赤ちゃん生活を満喫していたのに、気がついたら世界が変わっていた。
僕は、盗賊に誘拐され魔力を吸われながら生きる日々を過ごす。
魔力枯渇に陥ると死ぬ確率が高いにも関わらず年に1回は魔力枯渇になり死にかけている。
言葉が通じる様になって気がついたが、僕は他の人が持っていないステータスを見る力を持ち、さらに異世界と思われる世界の知識を覗ける力を持っている。
この力を使って、いつか脱出し母親の元へと戻ることを夢見て過ごす。
小さい体でチートな力は使えない中、どうにか生きる知恵を出し生活する。
------------------------------------------------------------------
お知らせ
「転生者はめぐりあう」 始めました。
------------------------------------------------------------------
注意
作者の暇つぶし、気分転換中の自己満足で公開する作品です。
感想は受け付けていません。
誤字脱字、文面等気になる方はお気に入りを削除で対応してください。
神様との賭けに勝ったので、スキルを沢山貰えた件。
猫丸
ファンタジー
ある日の放課後。突然足元に魔法陣が現れると、気付けば目の前には神を名乗る存在が居た。
そこで神は異世界に送るからスキルを1つ選べと言ってくる。
あれ?これもしかして頑張ったらもっと貰えるパターンでは?
そこで彼は思った――もっと欲しい!
欲をかいた少年は神様に賭けをしないかと提案した。
神様とゲームをすることになった悠斗はその結果――
※過去に投稿していたものを大きく加筆修正したものになります。
【完結】悪役令嬢に転生したけど、王太子妃にならない方が幸せじゃない?
みちこ
ファンタジー
12歳の時に前世の記憶を思い出し、自分が悪役令嬢なのに気が付いた主人公。
ずっと王太子に片思いしていて、将来は王太子妃になることしか頭になかった主人公だけど、前世の記憶を思い出したことで、王太子の何が良かったのか疑問に思うようになる
色々としがらみがある王太子妃になるより、このまま公爵家の娘として暮らす方が幸せだと気が付く
冷宮の人形姫
りーさん
ファンタジー
冷宮に閉じ込められて育てられた姫がいた。父親である皇帝には関心を持たれず、少しの使用人と母親と共に育ってきた。
幼少の頃からの虐待により、感情を表に出せなくなった姫は、5歳になった時に母親が亡くなった。そんな時、皇帝が姫を迎えに来た。
※すみません、完全にファンタジーになりそうなので、ファンタジーにしますね。
※皇帝のミドルネームを、イント→レントに変えます。(第一皇妃のミドルネームと被りそうなので)
そして、レンド→レクトに変えます。(皇帝のミドルネームと似てしまうため)変わってないよというところがあれば教えてください。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる