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第三部 オーブを求めて
第十六話 自慢
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ガタガタガタガタ……。
およそ、人が通るような場所ではない獣道を、現在1台の馬車が激しい音をたてながら走っている。
この山は、誰も通らなくなって相当の年数が立っているのか、整備された道はもとより、先人がとった轍(わだち)すらない。
時に、馬車が通れなくなるような事もあったが、それらは全てゲロゲロの謎ブレスにより、新しく道を切り開いて通ってきた。
驚くことに、ゲロゲロは、もふもふバージョンの姿のまま、古龍狼のブレスを放つことができたのだ。
俺がスキルを使って道を作ってもいいのだが、それだと山が崩れる可能性があるから、簡単に使うわけにはいかない。
つまり、ゲロゲロさまさまってことだ。
「しっかし、ゲロゲロ。お前、本当に凄いな。」
ゲロォ~(褒めて褒めて!!)
「あぁ、何度だって褒めてやるさ! ゲロゲロ凄い! よっ! この狼の中の狼!!」
ゲロロ~ん(それほどでもぉ~)
ゲロゲロは俺に褒められて嬉しいのか、体をよじらせてクネクネしている。
どんな姿でも可愛いゲロゲロだが、この姿は一際可愛い。
思わず、俺は抱きしめてしまった。
「確かにスゲェな。前の世界でも、こんなモンスター……いや、こんな動物は見た事がない。サクセスはどこで仲間にしたんだ?」
俺がゲロゲロといちゃついていると、馬車からカリーが出てきた。
「あぁ、ゲロゲロはさ、俺が冒険者になって間もない頃に、他のモンスターの縄張りに迷い込んでしまって、囲まれていたんだ。そこで、俺が助けたら仲間になった感じだな。」
「へぇ~。ってか、今更だけど、サクセスはゲロゲロと話せるのか? なんか普通に会話しているけど、頭がおかしいわけではないよな?」
失礼な!
異議あり!
「誰が頭がおかしいだ。俺の職業は魔心って言って、簡単にいうと魔物つかいの上位職だ。つまり、魔物と心を通わせることができるし、仲間にもできる。」
「は!? いやいや、おかしいだろ。お前、勇者じゃないのか?」
どうやら、まだカリーは、俺を勇者フェイルと勘違いしている節がある。
だから、違うってばよ!
そんな非童貞は知りません!
「勇者は俺の幼馴染だ。この間話しただろ?」
「あぁ、そういえば言ってたな。てっきり、勇者が二人いるのかと思ってたぜ。いや、でもそれだとおかしいな。だって、サクセスは俺の必殺の一撃を簡単に止めてたじゃないか。いくら上位職とはいえ、魔物つかい系統にそんな事できるわけないだろ。」
まぁ、普通ならそうだよね。
そういえば、俺のセットスキルとかについては、端折って説明してたな。
うーん、一応説明しておくか。
俺はとりあえず、カリーに自身のセットスキル、そしてトンズラの事も含めて説明した。
「え? じゃあ、二つの職業持ってるのか!? それって勇者よりやばくないか? 聖戦士なんて聞いた事もないしな。ちょっと冒険者カード見せてくれよ。」
俺の説明を聞き終えたカリーは、まだ半信半疑のようだ。
まぁ、普通そうだよね。
んじゃ、見せてやるか。
俺は冒険者カードを取り出すと、カリーに見せる。
サクセス 聖戦士(魔心) LV45
攻撃力 555
みのまもり 625
力 495
体力 475
すばやさ 470
知力 465
うん 450
総戦力値 2355
「う、嘘だろ……なんだよ…これ? 化け物じゃねぇか! サクセス……お前……。」
カリーは驚き過ぎて、開いた口がふさがらないようだ。
まぁ誰でもこんなもん見せられたら、ビックリするわな。
このステータスは、普通に考えれば、レベル500に近い冒険者である。
前の世界で冒険していたならば、当然カリーだってわかっているはずだ。
「まぁ、うん。こんな感じなんだよね。でもさ、ぶっちゃけ、今のゲロゲロは俺のステータスとほとんど変わらないから、やっぱゲロゲロ半端ねぇ!」
ゲロ!(えっへん!)
「これさ……確かに俺……必要ないな。お前ら二人で世界獲れるよ。」
カリーは少し落ち込んでいた。
どうやら、俺より自分の方が強いと思っていたらしい。
でも、残念。
多分、俺の方が圧倒的に強い!
えっへん!
「ちなみにだけど、俺さ、魔心の職業もってるじゃない? 1時間って制限はあるけど、ゲロゲロから力を分けてもらえるんだよね、すると、多分、今のステータスの1・5倍まで上がるかな。」
ふふん!
ここで、俺は更に追い打ちをかけた。
確かに顔面レベルは負けてるかもしれない……いや、他にも色々負けてるが、唯一勝てるところに関しては、自慢してやるぜ!
「まじかよ。え? 何……ゲロゲロと合体とかできるってことか?」
「合体かぁ……。言い得て妙だな。うん、そうだね。そんな感じ。」
俺がとどめの会心の一撃を加えると、完全にカリーは沈黙した。
…………。
「ん? いや、むしろこれはラッキーだな。お前ならディアブロに勝てるかもしれねぇ!!」
凹んでいると思ったら、どうやら違う事を考えていたようだ。
だが、断る!
少なくとも今はな!
俺は早く大魔王マーゾを倒して、この憎き呪いを解かねばならぬのだ!
寄り道などしている暇はない!!
「悪いが、それは最後だ。俺には俺でやるべきことがある。まずは、それからだ。後さ、一応カリーのも見せてよ。冒険者カード。」
「おっとわりぃ。確かに俺だけ見せてもらっておいて、自分のを見せないってのはマナー違反だな。サクセスに比べると雑魚かもしれないが……これでも、俺は最強の部類だと思ってたんだからな。笑わないでくれよ。」
「笑うもんか。でも、仲間のステータスは把握しているに越したことはない。確認させてもらうよ。」
「だな、ほれ。これが俺のステータスだ。」
カリーは、少し恥ずかしそうに自分の冒険者カードを俺に見せる。
カリー(21歳)
ブレイブロード LV31
攻撃力 300-350(武器により変動)
みのまもり 385
力 240
体力 230
すばやさ 210
知力 20
うん 40
総戦力値 740
「うお!! 普通につええじゃん! え? なんで? なんで31レベルなのに、こんなステータス高いの!?」
「あぁ、それな。俺って天空職だろ? 天空職になる時、それ以前のステータスが半分引き継がれるんだ。それと、天空職は、レベルアップに今までの3倍経験値が必要なんだが、その分、レベルアップ時に伸びるステータスも3倍なんだ。」
幻の職業、天空職で3倍。
そう考えると、俺の10倍はやはり桁違いだな。
「なるほどな、つか21歳って大分俺より年上なんだな。てっきり同じ位だと思ってたよ。」
「俺もサクセスが16歳だとは思わなかった。てっきりフェイルと同じ24歳かと。」
「いやいや、そんな老けてないから。まぁ、これでお互いの戦力が把握できたな。そう言えば、カリーもマーダ神殿で戦ってたんでしょ?」
「あぁ、といっても実力は隠していたがな。俺は、それだけ人が集まるならば、もしかしたら姉さんやソレイユがいると思ったんだ。だから、戦うことよりも戦場にいる人間を観察していたってのが正しいな。」
「確かに。あれだけ人が集まってれば、もしこっちの世界に来ているならば、いてもおかしくないからな。でもその様子ってか、言わなくてもわかるか。残念だったな。」
「いや、でもお蔭でサクセスに会えたから無駄ではなかった。なんにせよ、俺は、姉とソレイユはこの世界に来ていると思うんだ。なんとなく姉の存在を感じるんだよ。だから、必ず見つけてみせる!」
カリーは、真剣な眼差しで決意を言葉にすると、そのまま、また馬車の中に入っていった。
多分、また考えごとしているな。
カリーは、何か考えている時は、どうやら一人になりたいらしい。
でもそうだよな、色々と考える事は沢山だ。
できるならば、力になってあげたい。
そして俺も、きっとカリーが家族や仲間に会えると信じている。
いつか……必ず。
およそ、人が通るような場所ではない獣道を、現在1台の馬車が激しい音をたてながら走っている。
この山は、誰も通らなくなって相当の年数が立っているのか、整備された道はもとより、先人がとった轍(わだち)すらない。
時に、馬車が通れなくなるような事もあったが、それらは全てゲロゲロの謎ブレスにより、新しく道を切り開いて通ってきた。
驚くことに、ゲロゲロは、もふもふバージョンの姿のまま、古龍狼のブレスを放つことができたのだ。
俺がスキルを使って道を作ってもいいのだが、それだと山が崩れる可能性があるから、簡単に使うわけにはいかない。
つまり、ゲロゲロさまさまってことだ。
「しっかし、ゲロゲロ。お前、本当に凄いな。」
ゲロォ~(褒めて褒めて!!)
「あぁ、何度だって褒めてやるさ! ゲロゲロ凄い! よっ! この狼の中の狼!!」
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ゲロゲロは俺に褒められて嬉しいのか、体をよじらせてクネクネしている。
どんな姿でも可愛いゲロゲロだが、この姿は一際可愛い。
思わず、俺は抱きしめてしまった。
「確かにスゲェな。前の世界でも、こんなモンスター……いや、こんな動物は見た事がない。サクセスはどこで仲間にしたんだ?」
俺がゲロゲロといちゃついていると、馬車からカリーが出てきた。
「あぁ、ゲロゲロはさ、俺が冒険者になって間もない頃に、他のモンスターの縄張りに迷い込んでしまって、囲まれていたんだ。そこで、俺が助けたら仲間になった感じだな。」
「へぇ~。ってか、今更だけど、サクセスはゲロゲロと話せるのか? なんか普通に会話しているけど、頭がおかしいわけではないよな?」
失礼な!
異議あり!
「誰が頭がおかしいだ。俺の職業は魔心って言って、簡単にいうと魔物つかいの上位職だ。つまり、魔物と心を通わせることができるし、仲間にもできる。」
「は!? いやいや、おかしいだろ。お前、勇者じゃないのか?」
どうやら、まだカリーは、俺を勇者フェイルと勘違いしている節がある。
だから、違うってばよ!
そんな非童貞は知りません!
「勇者は俺の幼馴染だ。この間話しただろ?」
「あぁ、そういえば言ってたな。てっきり、勇者が二人いるのかと思ってたぜ。いや、でもそれだとおかしいな。だって、サクセスは俺の必殺の一撃を簡単に止めてたじゃないか。いくら上位職とはいえ、魔物つかい系統にそんな事できるわけないだろ。」
まぁ、普通ならそうだよね。
そういえば、俺のセットスキルとかについては、端折って説明してたな。
うーん、一応説明しておくか。
俺はとりあえず、カリーに自身のセットスキル、そしてトンズラの事も含めて説明した。
「え? じゃあ、二つの職業持ってるのか!? それって勇者よりやばくないか? 聖戦士なんて聞いた事もないしな。ちょっと冒険者カード見せてくれよ。」
俺の説明を聞き終えたカリーは、まだ半信半疑のようだ。
まぁ、普通そうだよね。
んじゃ、見せてやるか。
俺は冒険者カードを取り出すと、カリーに見せる。
サクセス 聖戦士(魔心) LV45
攻撃力 555
みのまもり 625
力 495
体力 475
すばやさ 470
知力 465
うん 450
総戦力値 2355
「う、嘘だろ……なんだよ…これ? 化け物じゃねぇか! サクセス……お前……。」
カリーは驚き過ぎて、開いた口がふさがらないようだ。
まぁ誰でもこんなもん見せられたら、ビックリするわな。
このステータスは、普通に考えれば、レベル500に近い冒険者である。
前の世界で冒険していたならば、当然カリーだってわかっているはずだ。
「まぁ、うん。こんな感じなんだよね。でもさ、ぶっちゃけ、今のゲロゲロは俺のステータスとほとんど変わらないから、やっぱゲロゲロ半端ねぇ!」
ゲロ!(えっへん!)
「これさ……確かに俺……必要ないな。お前ら二人で世界獲れるよ。」
カリーは少し落ち込んでいた。
どうやら、俺より自分の方が強いと思っていたらしい。
でも、残念。
多分、俺の方が圧倒的に強い!
えっへん!
「ちなみにだけど、俺さ、魔心の職業もってるじゃない? 1時間って制限はあるけど、ゲロゲロから力を分けてもらえるんだよね、すると、多分、今のステータスの1・5倍まで上がるかな。」
ふふん!
ここで、俺は更に追い打ちをかけた。
確かに顔面レベルは負けてるかもしれない……いや、他にも色々負けてるが、唯一勝てるところに関しては、自慢してやるぜ!
「まじかよ。え? 何……ゲロゲロと合体とかできるってことか?」
「合体かぁ……。言い得て妙だな。うん、そうだね。そんな感じ。」
俺がとどめの会心の一撃を加えると、完全にカリーは沈黙した。
…………。
「ん? いや、むしろこれはラッキーだな。お前ならディアブロに勝てるかもしれねぇ!!」
凹んでいると思ったら、どうやら違う事を考えていたようだ。
だが、断る!
少なくとも今はな!
俺は早く大魔王マーゾを倒して、この憎き呪いを解かねばならぬのだ!
寄り道などしている暇はない!!
「悪いが、それは最後だ。俺には俺でやるべきことがある。まずは、それからだ。後さ、一応カリーのも見せてよ。冒険者カード。」
「おっとわりぃ。確かに俺だけ見せてもらっておいて、自分のを見せないってのはマナー違反だな。サクセスに比べると雑魚かもしれないが……これでも、俺は最強の部類だと思ってたんだからな。笑わないでくれよ。」
「笑うもんか。でも、仲間のステータスは把握しているに越したことはない。確認させてもらうよ。」
「だな、ほれ。これが俺のステータスだ。」
カリーは、少し恥ずかしそうに自分の冒険者カードを俺に見せる。
カリー(21歳)
ブレイブロード LV31
攻撃力 300-350(武器により変動)
みのまもり 385
力 240
体力 230
すばやさ 210
知力 20
うん 40
総戦力値 740
「うお!! 普通につええじゃん! え? なんで? なんで31レベルなのに、こんなステータス高いの!?」
「あぁ、それな。俺って天空職だろ? 天空職になる時、それ以前のステータスが半分引き継がれるんだ。それと、天空職は、レベルアップに今までの3倍経験値が必要なんだが、その分、レベルアップ時に伸びるステータスも3倍なんだ。」
幻の職業、天空職で3倍。
そう考えると、俺の10倍はやはり桁違いだな。
「なるほどな、つか21歳って大分俺より年上なんだな。てっきり同じ位だと思ってたよ。」
「俺もサクセスが16歳だとは思わなかった。てっきりフェイルと同じ24歳かと。」
「いやいや、そんな老けてないから。まぁ、これでお互いの戦力が把握できたな。そう言えば、カリーもマーダ神殿で戦ってたんでしょ?」
「あぁ、といっても実力は隠していたがな。俺は、それだけ人が集まるならば、もしかしたら姉さんやソレイユがいると思ったんだ。だから、戦うことよりも戦場にいる人間を観察していたってのが正しいな。」
「確かに。あれだけ人が集まってれば、もしこっちの世界に来ているならば、いてもおかしくないからな。でもその様子ってか、言わなくてもわかるか。残念だったな。」
「いや、でもお蔭でサクセスに会えたから無駄ではなかった。なんにせよ、俺は、姉とソレイユはこの世界に来ていると思うんだ。なんとなく姉の存在を感じるんだよ。だから、必ず見つけてみせる!」
カリーは、真剣な眼差しで決意を言葉にすると、そのまま、また馬車の中に入っていった。
多分、また考えごとしているな。
カリーは、何か考えている時は、どうやら一人になりたいらしい。
でもそうだよな、色々と考える事は沢山だ。
できるならば、力になってあげたい。
そして俺も、きっとカリーが家族や仲間に会えると信じている。
いつか……必ず。
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