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第二部 新たなる旅立ち
第三十八話 魔王誕生
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「邪竜王様……。」
「皆まで言うな、間もなく目覚めるであろう。先ほどから、周囲に集まっていた瘴気が大分薄まってきておる。そのほとんどがこの勇者……いや、新たな魔王に吸収されておる。」
「さようでございますか。流石は邪竜王様でございます。」
ビビアンが気を失ってから、一体どのくらいの時間が経過したのであろうか……。
時計などはないことから、正確な時間はわからないが、既に2時間は超えている。
その間、デスバトラーと邪竜王の前で眠るビビアンには、絶えず周囲から集まってきている漆黒の瘴気が吸収されていった。
黒と青が混ざり合った色……ダークブルーのオーラがビビアンを包み込む。
ピクっ……
そして遂に、ビビアンの指が動き始める。
目覚めの刻がきた。
「ふむ。ようやくお目覚めか。新しい魔王は寝坊助のようだな。」
「ははっ。違いありませぬ。しかし先ほどから、わたくしめは、鳥肌が止まらないのですが……。」
「ほほぅ。お主も気づいたか。こやつから発せられる凄まじい力に。これは我とて、簡単には倒せぬかもしれぬな。どれ、目覚めたら試しに戦ってみるのも一考であるな。」
「お戯れを。邪竜王様とこの元勇者が戦えば、近くにいるわたくしなど直ぐに消え去ってしまいます故、どうかご勘弁を……。」
「はっはっは。お主は本当に面白い奴だな。どうだ? ゲルマのところなどではなく、ワシに仕える気はないか?」
「ありがたきお言葉……しかし、流石に産みの親を裏切る訳にはいきませぬ。邪竜王様の意に添えない事を謝罪いたします。」
「はっはっは! お主は本当に良いな。まぁわかっておる。もしも、ゲルマのところが嫌になったら、ワシのところに来るがいい。」
「はは! ありがたき幸せ!!」
「さっきからうるさいわね!! 誰よ! 人が気持ちよく寝ているのに! 殺すわよ!」
いつの間にか邪竜王の前に、ダークブルーのオーラを纏ったビビアンが立っていた。
その者は、二人のうるさい声で起こされてしまい、寝起きからご立腹である。
「おお、やっと目覚めたか新しき魔王よ。」
「あんた誰よ? 馴れ馴れしく話かけないでくれる? 大体ね、そんな無駄にでかい図体して言葉をしゃべるとか気持ち悪いわ。消えなさい。」
ぴくぴく……
「そうか。目覚めたばかりで己の立場を分かっておらぬようだな。これは少々躾が必要だな。」
「お待ちください邪竜王様。それよりも、新しき魔王殿のお名前を聞かせて頂けませんか?」
邪竜王の怒りを感じ取ったデスバトラーは焦りだす。
そして魂に残されたシャナクの記憶がそうさせるのか、直ぐに場をおさめようと動き始めた。
それは、ビビアンとシャナクが二人で旅をしてきた時、日常的にみられる光景であった。
「はぁ? アンタも誰よ? ん? あれ? シャ……ナク? なんでアタシはアンタの名前がわかるのよ! 気持ち悪いわ!」
ダークビビアムとなったビビアンには、過去の記憶は既にない。
だが、やはりシャナクと同じで魂の奥底に眠る記憶の一部だけは、わずかにその残滓を残していた。
「申し訳ございませぬ。わたくしの名前はデスバトラー。シャナクという者ではございませぬ。」
「は? どうでもいいわよ、そんなことは。アタシがそう言ったんだから、アンタはシャナクよ。まぁいいわ、私の名前はダークビビアム。一応名乗ってあげるわ。ありがたく思いなさい。」
「ははっ! ダークビビアム様! このデスバトラー……いえ! このシャナク、しかと記憶致しました。」
デスバトラーと名乗った瞬間に、ビビアムに睨まれたシャナクは即座に訂正する。
睨まれただけで、殺されると思う程の恐怖がシャナクを包んだ。
「ほほう。まだ記憶が残っているようだな。やはり、これは一度大魔王に……。」
「アンタは黙ってなさい! 気持ち悪いっていってるでしょ? それになによ? 記憶? 誰のよ? アタシに記憶なんてものはないわ。頭悪いんだから、喋らないほうがいいわ。というか、喋らないで。」
ピクピクっ!
ビビアンの……いやビビアムの目に余る態度に、流石に邪竜王の眉間がピクついた。
正に一触即発のムードがその場に漂い始める。
そして幸か不幸か、なんとそのタイミングで、そこに……ゲロゲロに乗ったサクセスが遂に到着するのであった。
「皆まで言うな、間もなく目覚めるであろう。先ほどから、周囲に集まっていた瘴気が大分薄まってきておる。そのほとんどがこの勇者……いや、新たな魔王に吸収されておる。」
「さようでございますか。流石は邪竜王様でございます。」
ビビアンが気を失ってから、一体どのくらいの時間が経過したのであろうか……。
時計などはないことから、正確な時間はわからないが、既に2時間は超えている。
その間、デスバトラーと邪竜王の前で眠るビビアンには、絶えず周囲から集まってきている漆黒の瘴気が吸収されていった。
黒と青が混ざり合った色……ダークブルーのオーラがビビアンを包み込む。
ピクっ……
そして遂に、ビビアンの指が動き始める。
目覚めの刻がきた。
「ふむ。ようやくお目覚めか。新しい魔王は寝坊助のようだな。」
「ははっ。違いありませぬ。しかし先ほどから、わたくしめは、鳥肌が止まらないのですが……。」
「ほほぅ。お主も気づいたか。こやつから発せられる凄まじい力に。これは我とて、簡単には倒せぬかもしれぬな。どれ、目覚めたら試しに戦ってみるのも一考であるな。」
「お戯れを。邪竜王様とこの元勇者が戦えば、近くにいるわたくしなど直ぐに消え去ってしまいます故、どうかご勘弁を……。」
「はっはっは。お主は本当に面白い奴だな。どうだ? ゲルマのところなどではなく、ワシに仕える気はないか?」
「ありがたきお言葉……しかし、流石に産みの親を裏切る訳にはいきませぬ。邪竜王様の意に添えない事を謝罪いたします。」
「はっはっは! お主は本当に良いな。まぁわかっておる。もしも、ゲルマのところが嫌になったら、ワシのところに来るがいい。」
「はは! ありがたき幸せ!!」
「さっきからうるさいわね!! 誰よ! 人が気持ちよく寝ているのに! 殺すわよ!」
いつの間にか邪竜王の前に、ダークブルーのオーラを纏ったビビアンが立っていた。
その者は、二人のうるさい声で起こされてしまい、寝起きからご立腹である。
「おお、やっと目覚めたか新しき魔王よ。」
「あんた誰よ? 馴れ馴れしく話かけないでくれる? 大体ね、そんな無駄にでかい図体して言葉をしゃべるとか気持ち悪いわ。消えなさい。」
ぴくぴく……
「そうか。目覚めたばかりで己の立場を分かっておらぬようだな。これは少々躾が必要だな。」
「お待ちください邪竜王様。それよりも、新しき魔王殿のお名前を聞かせて頂けませんか?」
邪竜王の怒りを感じ取ったデスバトラーは焦りだす。
そして魂に残されたシャナクの記憶がそうさせるのか、直ぐに場をおさめようと動き始めた。
それは、ビビアンとシャナクが二人で旅をしてきた時、日常的にみられる光景であった。
「はぁ? アンタも誰よ? ん? あれ? シャ……ナク? なんでアタシはアンタの名前がわかるのよ! 気持ち悪いわ!」
ダークビビアムとなったビビアンには、過去の記憶は既にない。
だが、やはりシャナクと同じで魂の奥底に眠る記憶の一部だけは、わずかにその残滓を残していた。
「申し訳ございませぬ。わたくしの名前はデスバトラー。シャナクという者ではございませぬ。」
「は? どうでもいいわよ、そんなことは。アタシがそう言ったんだから、アンタはシャナクよ。まぁいいわ、私の名前はダークビビアム。一応名乗ってあげるわ。ありがたく思いなさい。」
「ははっ! ダークビビアム様! このデスバトラー……いえ! このシャナク、しかと記憶致しました。」
デスバトラーと名乗った瞬間に、ビビアムに睨まれたシャナクは即座に訂正する。
睨まれただけで、殺されると思う程の恐怖がシャナクを包んだ。
「ほほう。まだ記憶が残っているようだな。やはり、これは一度大魔王に……。」
「アンタは黙ってなさい! 気持ち悪いっていってるでしょ? それになによ? 記憶? 誰のよ? アタシに記憶なんてものはないわ。頭悪いんだから、喋らないほうがいいわ。というか、喋らないで。」
ピクピクっ!
ビビアンの……いやビビアムの目に余る態度に、流石に邪竜王の眉間がピクついた。
正に一触即発のムードがその場に漂い始める。
そして幸か不幸か、なんとそのタイミングで、そこに……ゲロゲロに乗ったサクセスが遂に到着するのであった。
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