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第二部 新たなる旅立ち
第十六話 森の王者 ゲロゲロ
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「デスバトラー、逃げないで俺と勝負しろ!」
「いやいや、これでも私は忙しいのです。邪竜王様からお借りしたドラゴン達には残念ですが、ここで足止めに使わせていただきましょう。」
デスバトラーはそういうと、翼をはためかせて空を飛び始めた。
「あいつに逃げられるとまずいな。」
デスバトラーは今回の魔物軍の指揮官。
ここで奴に逃げられたら、マーダ神殿の損害が大きくなる。
「サクセス様、追ってください。ここは私達で何とかいたしますわ。」
「いや、流石にドラゴンを相手にするのに、前衛の俺が抜けるわけには……」
「いいから行って! たまにはアタイ達を信頼してよ。サクセス。」
イーゼだけでなく、リーチュンまで俺を行かせようとする。
確かに、俺のパーティは強い。
俺がいなくても、冒険者の間であれば最上級だろう。
しかし、敵は最強種族のドラゴンの集団。
特にあの黒いドラゴンからは嫌な感じがする。
デスバトラーに逃げられるのは困るが、仲間が傷つく方が俺は怖い。
俺がまだ悩んでいると、今度はゲロゲロが近づいてきた。
ゲロロ、ゲロォ(僕、サクセスの代わりに頑張るよ!)
力のこもった目で見つめるゲロゲロ。
…………。
そして俺は決断する!
仲間を信じることを。
「わかった! でも勝てそうもなかったら、すぐに逃げてくれ。作戦は【いのちだいじに】これだけは絶対だ!」
「わかりましたわ。サクセス様こそ、無理をしないでくださいね。危険になったら、私が責任をもってみんなを退却させますわ。」
俺が遂に決断すると、イーゼが真剣な目で答えた。
「こっちはアタイがやっつけておくから、サクセスもあいつをぶっ飛ばしてきて!」
ゲロォ(サクセス、あれやって!)
あれか。
確かに使うなら今だな。
「よし、じゃあゲロゲロ。今日はお前が俺の代わりだ! しっかり頼むぜ相棒!【能力解放】」
ゲロゲロがキングフロッグウルフに成長する。
ゲロォ!!(任せて!)
こうして俺は、ドラゴン集団を仲間に任せてデスバトラーを追う事にした。
「待ってろよ! すぐに追いついてやるからな!」
【仲間の戦場】
「行きましたわね。丁度シロマさんも戻ってきましたし、あれを使いますわ。」
「あれってなによ? ってシロマ! いつの間に!?」
「はぁはぁ……サクセスさんは行ったんですね。少し不安ですが、頑張りましょう。」
息を切らせながら、リーチュンの後ろに立つシロマ。
馬車を逃がすと、急いで戻ってきたらしい。
「それではみなさんに魔法をかけますわ。【マフーバ】」
イーゼが魔法を唱えると、全員の体の前に光の壁が出来上がる。
「これはなんですか? イーゼさん?」
シロマは不思議そうに目の前の壁をちょんちょんと指でつつく。
しかし、指は簡単に壁を貫通した。
「これはブレスを軽減する壁ですわ。直接攻撃には効果ありませんので気を付けてください。」
「へぇ~、凄いじゃないイーゼ。 よし! じゃあアタイが一番最初にやっつけてやるわ!」
そう言って駆け出すリーチュン。
しかしその後方から、それよりも早いスピードで駆けていくものがいた。
ゲロゲロだ。
ゲロォォォォン!
ゲロゲロは雄たけびを上げながら、一番小さなドラゴンに突進する。
一番小さいといっても、キングになったゲロゲロの三倍はあった。
ズバッ!!
ゲロゲロの攻撃がドラゴンにヒットすると……なんと、一撃でドラゴンを倒した。
ゲロゲロはサクセスの代わりという事で、かなり張り切っている。
そしてそのステータスは、サクセスの半分……そう、半分もあるのだ。
普通のドラゴンでは、ゲロゲロの前じゃ雑魚同然である。
「ちょっと! ゲロゲロ! アタイより先に倒さないでよ!」
ゲロゲロ! ゲロ!(早い者勝ち! 僕一番!)
「くっそーー! 見てなさい! 今度はアタイの番よ!」
今度はリーチュンが、ゲロゲロが倒したドラゴンより少し大きなブルードラゴンを狙う。
ズバズバズバズバズバッ!
リーチュンは、闘気を込めた爪で何度もドラゴンを切り裂いた。
ゲロゲロに比べると一撃の攻撃力は弱いが、闘気を込めることによって相手の防御を無効化する。
そこに【百裂ひっかき】による多段攻撃。
ブルードラゴンもまた、為すすべなく塵となった。
「へっへーん! アタイの方が強いのを倒したから、アタイの勝ちね!」
リーチュンは大きな胸を張りながら、ゲロゲロに向けて言った。
ブォォォォォ!!
しかし、その隙を見逃すドラゴン達ではなく、一斉にリーチュン目掛けて炎のブレスを吐く。
「油断しすぎですわ! 【ブリザック】」
リーチュンの後ろからイーゼの氷魔法が放たれ、そして激しい炎のブレスを相殺した。
「あちち、あ、でもあんまりダメージないわね。」
イーゼの魔法は一番強そうなブレスをかき消しただけで、他の炎はリーチュンに当たる。
だが、マフーバがあったため、そのダメージも大幅に軽減されていた。
「よそ見しないでください、リーチュン【ヒール】」
あまりダメージを受けていないと見たシロマは、注意しながらも低級の回復魔法をかける。
「ごめーん。サンキュ! イーゼ、シロマ! んじゃ、がんがんいくわよぉ!」
そこから、4人による総攻撃が始まった。
回復魔法と補助魔法で仲間をカバーしつつ、ギバタイフーンでダメージをあてるシロマ。
敵の弱点属性を見極めて、効率よく攻撃魔法を放つイーゼ。
闘気を込めた爪で、防御力を無視して敵を切り裂くリーチュン。
そして……圧倒的な戦闘力で敵を無双するゲロゲロ。
この中で一番敵を多く倒したのは、やはりゲロゲロだった。
他のメンバーと比べても、頭二つは飛びぬけている。
圧倒的な攻撃力とスピードで、瞬く間にドラゴン達を塵に変えていった。
正に森の王者とも言える雄々しい姿だ。
戦闘が始まって30分。
既に、敵の中でも比較的弱い、
ドラゴン、ブルードラゴン、イエロードラゴン
は全滅した。
そして味方に目立った負傷はない。
前衛のリーチュンやゲロゲロは、ブレスや直接攻撃をくらいはするが、直ぐにシロマが回復させたお蔭である。
残る敵は、三匹のレッドドラゴンとダークドラゴン一匹。
「ゲロゲロちゃん、本当に凄いです。あんなに強かったんですね。」
ゲロォ ゲロロォォン!(サクセスの代わりに僕が頑張る!)
ゲロゲロの顔は自信に満ちていた。
「みなさん油断しないでください。レッドドラゴンはどうにかなるとは思いますが……あれは厄介です。」
イーゼは未だに動こうとしないダークドラゴンを見て言い放つ。
しかし、リーチュンはイーゼの言葉を軽く捉えてしまった。
「心配しすぎでしょ! あんなの見掛け倒しだわ! 見てて!」
そういうとリーチュンは、ダークドラゴン目掛けて駆けていく。
「アンタがどんなに堅くても、アタイなら!!」
リーチュンはダークドラゴンの胴目掛けて、はがねのつめを振ろうとした。
その瞬間である。
鈍い音が響いた。
ドンッ!!
リーチュンがダークドラゴンに接近した瞬間、リーチュンは弾き飛ばされて木に激突する。
「リーチュン! 【エクスヒール】」
シロマは叫ぶと、直ぐに上級の回復魔法をかけた。
リーチュンのダメージは思った以上に大きい。
しかし、シロマの素早い回復魔法のお蔭でなんとか立ち上がることができた。
「嘘でしょ? アタイ、何されたの?」
困惑するリーチュン。
そしてその疑問に、謎の声が答えた。
「弱い! 弱すぎるぞ人間よ! その程度で思い上がるとは。我はただ腕を振っただけである。」
声の主は、ダークドラゴンであった。
「嘘! 喋った!?」
「何を驚いている? 我は魔界のドラゴンなり。人族の言葉くらい話せるわ!」
ダークドラゴンとは魔界に君臨する最上級のドラゴン。
邪竜王の右腕にして、最強のドラゴンであった。
火、水、雷、風の4属性に耐性がある他、素のステータスも桁違いに高い。
「困りましたわね。あれはちょっと倒せそうにありませんわ。みなさん、撤退しましょう。」
イーゼはダークドラゴンを見て、即座に撤退を判断した。
サクセスに言われたことは責任をもって守るつもりである。
ゲロォォォォ!(よくもリーチュンをやったな!)
だがしかし、ゲロゲロはイーゼの言葉がわからなかった。
仲間をやられて怒ったゲロゲロは、ダークドラゴンに戦いを挑んでしまうのであった……。
「いやいや、これでも私は忙しいのです。邪竜王様からお借りしたドラゴン達には残念ですが、ここで足止めに使わせていただきましょう。」
デスバトラーはそういうと、翼をはためかせて空を飛び始めた。
「あいつに逃げられるとまずいな。」
デスバトラーは今回の魔物軍の指揮官。
ここで奴に逃げられたら、マーダ神殿の損害が大きくなる。
「サクセス様、追ってください。ここは私達で何とかいたしますわ。」
「いや、流石にドラゴンを相手にするのに、前衛の俺が抜けるわけには……」
「いいから行って! たまにはアタイ達を信頼してよ。サクセス。」
イーゼだけでなく、リーチュンまで俺を行かせようとする。
確かに、俺のパーティは強い。
俺がいなくても、冒険者の間であれば最上級だろう。
しかし、敵は最強種族のドラゴンの集団。
特にあの黒いドラゴンからは嫌な感じがする。
デスバトラーに逃げられるのは困るが、仲間が傷つく方が俺は怖い。
俺がまだ悩んでいると、今度はゲロゲロが近づいてきた。
ゲロロ、ゲロォ(僕、サクセスの代わりに頑張るよ!)
力のこもった目で見つめるゲロゲロ。
…………。
そして俺は決断する!
仲間を信じることを。
「わかった! でも勝てそうもなかったら、すぐに逃げてくれ。作戦は【いのちだいじに】これだけは絶対だ!」
「わかりましたわ。サクセス様こそ、無理をしないでくださいね。危険になったら、私が責任をもってみんなを退却させますわ。」
俺が遂に決断すると、イーゼが真剣な目で答えた。
「こっちはアタイがやっつけておくから、サクセスもあいつをぶっ飛ばしてきて!」
ゲロォ(サクセス、あれやって!)
あれか。
確かに使うなら今だな。
「よし、じゃあゲロゲロ。今日はお前が俺の代わりだ! しっかり頼むぜ相棒!【能力解放】」
ゲロゲロがキングフロッグウルフに成長する。
ゲロォ!!(任せて!)
こうして俺は、ドラゴン集団を仲間に任せてデスバトラーを追う事にした。
「待ってろよ! すぐに追いついてやるからな!」
【仲間の戦場】
「行きましたわね。丁度シロマさんも戻ってきましたし、あれを使いますわ。」
「あれってなによ? ってシロマ! いつの間に!?」
「はぁはぁ……サクセスさんは行ったんですね。少し不安ですが、頑張りましょう。」
息を切らせながら、リーチュンの後ろに立つシロマ。
馬車を逃がすと、急いで戻ってきたらしい。
「それではみなさんに魔法をかけますわ。【マフーバ】」
イーゼが魔法を唱えると、全員の体の前に光の壁が出来上がる。
「これはなんですか? イーゼさん?」
シロマは不思議そうに目の前の壁をちょんちょんと指でつつく。
しかし、指は簡単に壁を貫通した。
「これはブレスを軽減する壁ですわ。直接攻撃には効果ありませんので気を付けてください。」
「へぇ~、凄いじゃないイーゼ。 よし! じゃあアタイが一番最初にやっつけてやるわ!」
そう言って駆け出すリーチュン。
しかしその後方から、それよりも早いスピードで駆けていくものがいた。
ゲロゲロだ。
ゲロォォォォン!
ゲロゲロは雄たけびを上げながら、一番小さなドラゴンに突進する。
一番小さいといっても、キングになったゲロゲロの三倍はあった。
ズバッ!!
ゲロゲロの攻撃がドラゴンにヒットすると……なんと、一撃でドラゴンを倒した。
ゲロゲロはサクセスの代わりという事で、かなり張り切っている。
そしてそのステータスは、サクセスの半分……そう、半分もあるのだ。
普通のドラゴンでは、ゲロゲロの前じゃ雑魚同然である。
「ちょっと! ゲロゲロ! アタイより先に倒さないでよ!」
ゲロゲロ! ゲロ!(早い者勝ち! 僕一番!)
「くっそーー! 見てなさい! 今度はアタイの番よ!」
今度はリーチュンが、ゲロゲロが倒したドラゴンより少し大きなブルードラゴンを狙う。
ズバズバズバズバズバッ!
リーチュンは、闘気を込めた爪で何度もドラゴンを切り裂いた。
ゲロゲロに比べると一撃の攻撃力は弱いが、闘気を込めることによって相手の防御を無効化する。
そこに【百裂ひっかき】による多段攻撃。
ブルードラゴンもまた、為すすべなく塵となった。
「へっへーん! アタイの方が強いのを倒したから、アタイの勝ちね!」
リーチュンは大きな胸を張りながら、ゲロゲロに向けて言った。
ブォォォォォ!!
しかし、その隙を見逃すドラゴン達ではなく、一斉にリーチュン目掛けて炎のブレスを吐く。
「油断しすぎですわ! 【ブリザック】」
リーチュンの後ろからイーゼの氷魔法が放たれ、そして激しい炎のブレスを相殺した。
「あちち、あ、でもあんまりダメージないわね。」
イーゼの魔法は一番強そうなブレスをかき消しただけで、他の炎はリーチュンに当たる。
だが、マフーバがあったため、そのダメージも大幅に軽減されていた。
「よそ見しないでください、リーチュン【ヒール】」
あまりダメージを受けていないと見たシロマは、注意しながらも低級の回復魔法をかける。
「ごめーん。サンキュ! イーゼ、シロマ! んじゃ、がんがんいくわよぉ!」
そこから、4人による総攻撃が始まった。
回復魔法と補助魔法で仲間をカバーしつつ、ギバタイフーンでダメージをあてるシロマ。
敵の弱点属性を見極めて、効率よく攻撃魔法を放つイーゼ。
闘気を込めた爪で、防御力を無視して敵を切り裂くリーチュン。
そして……圧倒的な戦闘力で敵を無双するゲロゲロ。
この中で一番敵を多く倒したのは、やはりゲロゲロだった。
他のメンバーと比べても、頭二つは飛びぬけている。
圧倒的な攻撃力とスピードで、瞬く間にドラゴン達を塵に変えていった。
正に森の王者とも言える雄々しい姿だ。
戦闘が始まって30分。
既に、敵の中でも比較的弱い、
ドラゴン、ブルードラゴン、イエロードラゴン
は全滅した。
そして味方に目立った負傷はない。
前衛のリーチュンやゲロゲロは、ブレスや直接攻撃をくらいはするが、直ぐにシロマが回復させたお蔭である。
残る敵は、三匹のレッドドラゴンとダークドラゴン一匹。
「ゲロゲロちゃん、本当に凄いです。あんなに強かったんですね。」
ゲロォ ゲロロォォン!(サクセスの代わりに僕が頑張る!)
ゲロゲロの顔は自信に満ちていた。
「みなさん油断しないでください。レッドドラゴンはどうにかなるとは思いますが……あれは厄介です。」
イーゼは未だに動こうとしないダークドラゴンを見て言い放つ。
しかし、リーチュンはイーゼの言葉を軽く捉えてしまった。
「心配しすぎでしょ! あんなの見掛け倒しだわ! 見てて!」
そういうとリーチュンは、ダークドラゴン目掛けて駆けていく。
「アンタがどんなに堅くても、アタイなら!!」
リーチュンはダークドラゴンの胴目掛けて、はがねのつめを振ろうとした。
その瞬間である。
鈍い音が響いた。
ドンッ!!
リーチュンがダークドラゴンに接近した瞬間、リーチュンは弾き飛ばされて木に激突する。
「リーチュン! 【エクスヒール】」
シロマは叫ぶと、直ぐに上級の回復魔法をかけた。
リーチュンのダメージは思った以上に大きい。
しかし、シロマの素早い回復魔法のお蔭でなんとか立ち上がることができた。
「嘘でしょ? アタイ、何されたの?」
困惑するリーチュン。
そしてその疑問に、謎の声が答えた。
「弱い! 弱すぎるぞ人間よ! その程度で思い上がるとは。我はただ腕を振っただけである。」
声の主は、ダークドラゴンであった。
「嘘! 喋った!?」
「何を驚いている? 我は魔界のドラゴンなり。人族の言葉くらい話せるわ!」
ダークドラゴンとは魔界に君臨する最上級のドラゴン。
邪竜王の右腕にして、最強のドラゴンであった。
火、水、雷、風の4属性に耐性がある他、素のステータスも桁違いに高い。
「困りましたわね。あれはちょっと倒せそうにありませんわ。みなさん、撤退しましょう。」
イーゼはダークドラゴンを見て、即座に撤退を判断した。
サクセスに言われたことは責任をもって守るつもりである。
ゲロォォォォ!(よくもリーチュンをやったな!)
だがしかし、ゲロゲロはイーゼの言葉がわからなかった。
仲間をやられて怒ったゲロゲロは、ダークドラゴンに戦いを挑んでしまうのであった……。
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