31 / 397
第一部 サクセス編(改稿版)
30 アバロンの町
しおりを挟む
翌日、俺達は早朝から出発し、整備された街道に馬車を走らせている。
昨日は、一日馬を休ませたため、どうやら無事に町までは走ってくれそうだ。
時間もあるし、今日はのんびり景色でも眺めながら進もうかな。
「ここまで来ると人の往来が多いなぁ。」
俺は今、御者台にリーチュンと座りながら馬車を進めていると、独り言を漏らす。
街道には様々な人が歩いていた。
商人と思われる馬車や他の冒険者パーティ。
みんな俺達と逆方向に移動しているけど、どこに向かうのかな?
すると、俺の隣にいるリーチュンも周りをキョロキョロ見ながら大き目な独り言を呟いていた。
「あ! あのパーティ強そう! あいつも強そうね。ふふ、アタイとどっちが強いかな!」
武闘家の血が騒ぐとでもいうのであろうか……。
さっきからうずうずしているな。
だが、俺から見ると逆にリーチュンの方が周りに見られているぞ。
リーチュン自身が美人であるため、他のパーティの目線を引いているのだ。
おい! あんまみんな!
このおっぱい女神は俺のだぞ!
嘘です、俺のじゃありません。
あれ? でも以前、俺の事アタイのものとか言ってたっけ?
まぁいい……。
そんな事より、これ以上周りの男のエロイ視線をリーチュンに向けられたくない。
「リーチュン、そろそろ町に着きそうだから馬車の中に入ってみんなと準備しててくれ。」
「え? いいの? ありがとう! サクセス!」
準備と言っても何もない気もするが、なぜかリーチュンは嬉しそうに馬車の中に入っていった。
女性だし、きっと町に入る前に体を拭いたり、色々あるのかもしれないな。
なんにせよ、これで他の男どもにリーチュンの綺麗な生足は見せなくて済む。
そうこうしていると、ようやく町の壁が見えて来た。
「うぉぉ! 近くで見るとでけぇなぁ!! こりゃ、色んな店がありそうだな!」
俺は、初めて見るアリエヘンより大きな町にワクワクが止まらない。
大きな町には「ぱふぱふ屋」という男の欲望を満たしてくれる店があると聞いた事を思い出す。
ここまで我慢したんだ!
町に着いたら、スッキリさせてもらおうじゃないか!
そして俺は、期待を胸に、町の中に入っていく。
「サクセス様、この町には、私の行きつけの宿屋があります。品質もよく、値段もリーズナブルなのでお勧めかと。いかがなさいますか?」
「お! いいね。じゃあ馬車も置きたいし、早速そこに行こうか。」
「さんせーーーい。ねぇねぇ、ちゃんとおいしいご飯はある?」
「ご飯も美味しいですわよ。でもそこの一番のおすすめはお風呂ですわね。そこで身を清めて、今夜は……。ぐふふふふ……。」
イーゼが怪しい笑みを浮かべている。
だがしかし、それは無理だぞ!
今日の俺には予定があるからな。 ぐふふ。
でもしかし、お風呂か……。
お店に行く前にお風呂で身を清めて……でへへへ。
「お風呂ですか。いいですね。私も久しぶりに温かいお湯にゆっくり浸かりたいです。」
シロマも嬉しそうだ。
俺もお風呂は嬉しいな。
できる事なら俺も君たちと一緒に……。
いかんいかん! ダメだ! 俺の事はプロに任せるんだ!
待っててください! まだ見ぬ初めての人!
そんな事を考えていると、いつの間にか一見して立派な宿屋の前に着いた。
どうやら邪な事を考えている間に、目的の宿屋に着いたらしい。
イーゼがお勧めするだけあって、アリエヘンの宿屋とは比べ物にならない位、立派で大きいな。
「サクセス様、ここです。私が二部屋借りてきますわ。料金が変わっていなければ一泊30ゴールドです。よろしいでしょうか?」
ん~、一泊30ゴールドか。ちと高いな。
「ここら辺の宿屋の相場ってそんなもんなのか?」
一応聞いてみる。
「そうですね、安いところを探せば20ゴールドくらいのところはありますが、大体30から100ゴールドの間ですね。ここは栄えてますので店も人も多いから、結構値段に幅があります。ここは品質の割に値段が安い宿ですわ。」
なるほどね、それなら仕方ないか。
むしろ、安いほうだ。
「オーケーだ。でもその値段で、この立派な宿屋じゃ部屋が埋まっているんじゃないか?」
「そうですわね。でも馴染みの宿なので融通はきかせてくれると思いますわ。もしもダメだったら他のところを探しましょう。」
流石イーゼ様。125歳は伊達じゃない。
「それじゃあ、いつも通りここはイーゼとリーチュンに任せて、俺はシロマと一緒に冒険者ギルドに行って換金と馬車の延長してくるか。」
俺がそういって別れようとすると、リーチュンがでかい声で叫ぶ。
「ちょっと待ったーー! 前回シロマと行ったんだから、今度はアタイの番だよ! それに武器も買ってくれるって約束したじゃん!」
そういえば、そんな事も……。
まぁ別にシロマじゃなきゃいけないわけはないから、俺は構わない。
「いいですよ、サクセスさん。それでは私は宿屋で手続きと馬車の整備をしていますから、お昼になったら戻ってきてください。あと、できれば大きな町なのでクエストとかがないかだけは確認お願いします。」
シロマも特に文句はないようで、ついでに忘れていたクエストについても注意してくれた。
ほんと、この子は気が利くな。
「わかった、じゃあリーチュン行こうか。ちょっと時間ありそうだから、先に二人で町を散策してくる。昼には戻るから戻ったら飯にしよう。」
俺達が話している間、イーゼは宿屋の女将と談笑していた。
どうやら、今日はこの宿に泊まれそうだ。
よし、じゃあ早速冒険者ギルドだ!
「やたーーー! 早く行こ! サクセス!」
リーチュンはテンション高めで俺の腕を抱きかかえて歩き出す。
ムニュ……。
ええわ。
ほんとええわ。
これ、はたから見たらカップルじゃね?
俺みたいな冴えない農民にこんな美女が……。
父さん、母さん……見てくれていますか?
息子はこんなにキレイな嫁を貰いました……。
そんなデレ顔の俺に、どこからか鋭い視線が突き刺さる。
ジーー……。
うげ! シロマがいるのを忘れていた!
「楽しそうでよかったですねサクセスさん。じゃあ私はゲロちゃんを連れて行きますね!」
やっば! シロマを怒らせてしまった。
「あ、あぁよろしく頼んだ、シロマ。す、すぐ戻るからな!」
俺はそれだけ言うと宿屋を後にした。
しかし、この町は広い。
本当に広い。
冒険者ギルドを見つけるのに30分もかかってしまった。
すぐ戻るとか言ったけど、こりゃ無理そうだわ。
「やっと着いたわね、ここがそうかしら?」
「だな、やっぱでかいな。早速中に入ろうか。」
俺は、そういうと二人で冒険者ギルドの中に入る。
冒険者ギルドのカウンターには三人のおねぇさんが受付をしていた。
いずれもリーチュン程ではないが、それなりに綺麗で若い。
やはりこういった町では、冒険者も多いし、受付嬢にも力が入っているのだろうか。
リーチュン達と出会ってなければ、目がハートマークになってたかもしれないが、ふふん! 全然興味ないね!
あ、でもあの子は……ちょっと……。
俺が受付嬢を眺めて突っ立っていると、リーチュンが腕を強く引っ張った。
「ほらサクセス、デレデレしないで! 早く換金するわよ!」
あれれ? 嫉妬ですか?
嫉妬ですかぁ~?
大丈夫だ、YOU WINだぞ!
「ごめんごめん。あまりに広いから少し戸惑っただけだ。よし、じゃあ交換しに行こうか。」
そういいつつ、さっきチェックした子の下にさりげなく進む俺。
「すいません、魔石の交換をしたいのですがよろしいですか? それと馬車のレンタル延長をしたいのですが?」
俺がそういうと、綺麗な受付嬢は丁寧にお辞儀をして返してくれる。
すげぇ、礼儀作法までしっかりしてるわ。
やるな、アバロン。
「はい、承りました。冒険者様はこの町は初めてでしょうか? 換金に少々時間がかかりますので、よろしければそれまでの間、そちらの掲示板をご覧になって頂くと良いかと存じます。そちらに張り出されているものが、現在受注可能なクエストでございます。更に今は運が良い事に、緊急クエストも張り出されておりますので、どうぞゆっくりとご覧になって下さい。」
運がいい? 緊急クエスト? なんじゃそりゃ。
とりあえず、聞くべし!
「緊急クエストとはなんでしょうか?」
「はい、主に優先度が高く、報酬のよろしいクエストになります。詳しくは掲示板に記載されておりますので、お読みください。」
なるほどねぇ~、報酬が良いなら確かに見ておいて損はない。
しっかし、このおねぇさん。
綺麗だし、言葉も丁寧だけど事務的過ぎる。
これなら、テーゼやアリエヘンの方が温かみがあって俺は好きだな。
俺はそれだけ聞くと、早速掲示板を見に行った。
【緊急クエスト】 依頼者:アバロン王
依頼内容:盗賊王ダンガの捕縛及び盗まれた財宝の確保
報酬:30000ゴールド
詳細:先日、アバロン城からマーダ神殿に運んでいた財宝が奪われた。犯人は、いにしえの塔に根城を構えているガンダッダと思われる。アバロン城からもロイヤルガードを派遣するも、塔は結界に覆われていて入ることはできなかった。よって、今回の依頼は、どこかに潜伏しているガンダッダ一味を捉えることである。あわよくばガンダッダ本人の捕縛を願いたい。又、先の報酬は一味を捕縛し、いにしえの塔に入れるようになっただけでも完遂とみなす。ガンダッダ本人の捕縛及び財宝を取り戻した者には、直接王の謁見を許可する。その際に、特別報酬も出る。以上だ! 冒険者諸君! よろしく頼んだぞ!
「おお! なんかすげぇ報酬がいいぞ。さすが王様の依頼だ。」
緊急クエストの内容を確認した俺は完全にやる気満々だ。
そういえば、町の外で沢山の冒険者を見たな。
もしかしたら、彼らもガンダッダを探していたのかもしれない。
まぁなんにせよ、やるっきゃねぇ!!
「サクセスサクセス! これ絶対アタイ達が捕まえよう! 腕が鳴るわ!!」
リーチュンもやる気満々で拳を握り締めている。
すると丁度、先ほどの受付嬢に呼ばれた。
相変わらず事務的な対応だったので、そのやり取りは省略するが、とりあえず馬車の延長料金を払った段階で現在の所持金は5200ゴールド。
スリープきのこの報酬が特に高かった。
要注意モンスターとして指定されているだけある。
危険な魔物だから、わざわざ倒しに行くものも少ないらしい。
換金を終えた俺達は、まだ昼まで時間があったため、リーチュンの武器を探しに行くことにする。
まぁ探すのはそれだけではないが……。
本当の目的は、男のロマン!
そう、パフパフ屋を探す事だ!
俺にお金を預けた事を後悔するがいい……。
ぐへへへへ……。
昨日は、一日馬を休ませたため、どうやら無事に町までは走ってくれそうだ。
時間もあるし、今日はのんびり景色でも眺めながら進もうかな。
「ここまで来ると人の往来が多いなぁ。」
俺は今、御者台にリーチュンと座りながら馬車を進めていると、独り言を漏らす。
街道には様々な人が歩いていた。
商人と思われる馬車や他の冒険者パーティ。
みんな俺達と逆方向に移動しているけど、どこに向かうのかな?
すると、俺の隣にいるリーチュンも周りをキョロキョロ見ながら大き目な独り言を呟いていた。
「あ! あのパーティ強そう! あいつも強そうね。ふふ、アタイとどっちが強いかな!」
武闘家の血が騒ぐとでもいうのであろうか……。
さっきからうずうずしているな。
だが、俺から見ると逆にリーチュンの方が周りに見られているぞ。
リーチュン自身が美人であるため、他のパーティの目線を引いているのだ。
おい! あんまみんな!
このおっぱい女神は俺のだぞ!
嘘です、俺のじゃありません。
あれ? でも以前、俺の事アタイのものとか言ってたっけ?
まぁいい……。
そんな事より、これ以上周りの男のエロイ視線をリーチュンに向けられたくない。
「リーチュン、そろそろ町に着きそうだから馬車の中に入ってみんなと準備しててくれ。」
「え? いいの? ありがとう! サクセス!」
準備と言っても何もない気もするが、なぜかリーチュンは嬉しそうに馬車の中に入っていった。
女性だし、きっと町に入る前に体を拭いたり、色々あるのかもしれないな。
なんにせよ、これで他の男どもにリーチュンの綺麗な生足は見せなくて済む。
そうこうしていると、ようやく町の壁が見えて来た。
「うぉぉ! 近くで見るとでけぇなぁ!! こりゃ、色んな店がありそうだな!」
俺は、初めて見るアリエヘンより大きな町にワクワクが止まらない。
大きな町には「ぱふぱふ屋」という男の欲望を満たしてくれる店があると聞いた事を思い出す。
ここまで我慢したんだ!
町に着いたら、スッキリさせてもらおうじゃないか!
そして俺は、期待を胸に、町の中に入っていく。
「サクセス様、この町には、私の行きつけの宿屋があります。品質もよく、値段もリーズナブルなのでお勧めかと。いかがなさいますか?」
「お! いいね。じゃあ馬車も置きたいし、早速そこに行こうか。」
「さんせーーーい。ねぇねぇ、ちゃんとおいしいご飯はある?」
「ご飯も美味しいですわよ。でもそこの一番のおすすめはお風呂ですわね。そこで身を清めて、今夜は……。ぐふふふふ……。」
イーゼが怪しい笑みを浮かべている。
だがしかし、それは無理だぞ!
今日の俺には予定があるからな。 ぐふふ。
でもしかし、お風呂か……。
お店に行く前にお風呂で身を清めて……でへへへ。
「お風呂ですか。いいですね。私も久しぶりに温かいお湯にゆっくり浸かりたいです。」
シロマも嬉しそうだ。
俺もお風呂は嬉しいな。
できる事なら俺も君たちと一緒に……。
いかんいかん! ダメだ! 俺の事はプロに任せるんだ!
待っててください! まだ見ぬ初めての人!
そんな事を考えていると、いつの間にか一見して立派な宿屋の前に着いた。
どうやら邪な事を考えている間に、目的の宿屋に着いたらしい。
イーゼがお勧めするだけあって、アリエヘンの宿屋とは比べ物にならない位、立派で大きいな。
「サクセス様、ここです。私が二部屋借りてきますわ。料金が変わっていなければ一泊30ゴールドです。よろしいでしょうか?」
ん~、一泊30ゴールドか。ちと高いな。
「ここら辺の宿屋の相場ってそんなもんなのか?」
一応聞いてみる。
「そうですね、安いところを探せば20ゴールドくらいのところはありますが、大体30から100ゴールドの間ですね。ここは栄えてますので店も人も多いから、結構値段に幅があります。ここは品質の割に値段が安い宿ですわ。」
なるほどね、それなら仕方ないか。
むしろ、安いほうだ。
「オーケーだ。でもその値段で、この立派な宿屋じゃ部屋が埋まっているんじゃないか?」
「そうですわね。でも馴染みの宿なので融通はきかせてくれると思いますわ。もしもダメだったら他のところを探しましょう。」
流石イーゼ様。125歳は伊達じゃない。
「それじゃあ、いつも通りここはイーゼとリーチュンに任せて、俺はシロマと一緒に冒険者ギルドに行って換金と馬車の延長してくるか。」
俺がそういって別れようとすると、リーチュンがでかい声で叫ぶ。
「ちょっと待ったーー! 前回シロマと行ったんだから、今度はアタイの番だよ! それに武器も買ってくれるって約束したじゃん!」
そういえば、そんな事も……。
まぁ別にシロマじゃなきゃいけないわけはないから、俺は構わない。
「いいですよ、サクセスさん。それでは私は宿屋で手続きと馬車の整備をしていますから、お昼になったら戻ってきてください。あと、できれば大きな町なのでクエストとかがないかだけは確認お願いします。」
シロマも特に文句はないようで、ついでに忘れていたクエストについても注意してくれた。
ほんと、この子は気が利くな。
「わかった、じゃあリーチュン行こうか。ちょっと時間ありそうだから、先に二人で町を散策してくる。昼には戻るから戻ったら飯にしよう。」
俺達が話している間、イーゼは宿屋の女将と談笑していた。
どうやら、今日はこの宿に泊まれそうだ。
よし、じゃあ早速冒険者ギルドだ!
「やたーーー! 早く行こ! サクセス!」
リーチュンはテンション高めで俺の腕を抱きかかえて歩き出す。
ムニュ……。
ええわ。
ほんとええわ。
これ、はたから見たらカップルじゃね?
俺みたいな冴えない農民にこんな美女が……。
父さん、母さん……見てくれていますか?
息子はこんなにキレイな嫁を貰いました……。
そんなデレ顔の俺に、どこからか鋭い視線が突き刺さる。
ジーー……。
うげ! シロマがいるのを忘れていた!
「楽しそうでよかったですねサクセスさん。じゃあ私はゲロちゃんを連れて行きますね!」
やっば! シロマを怒らせてしまった。
「あ、あぁよろしく頼んだ、シロマ。す、すぐ戻るからな!」
俺はそれだけ言うと宿屋を後にした。
しかし、この町は広い。
本当に広い。
冒険者ギルドを見つけるのに30分もかかってしまった。
すぐ戻るとか言ったけど、こりゃ無理そうだわ。
「やっと着いたわね、ここがそうかしら?」
「だな、やっぱでかいな。早速中に入ろうか。」
俺は、そういうと二人で冒険者ギルドの中に入る。
冒険者ギルドのカウンターには三人のおねぇさんが受付をしていた。
いずれもリーチュン程ではないが、それなりに綺麗で若い。
やはりこういった町では、冒険者も多いし、受付嬢にも力が入っているのだろうか。
リーチュン達と出会ってなければ、目がハートマークになってたかもしれないが、ふふん! 全然興味ないね!
あ、でもあの子は……ちょっと……。
俺が受付嬢を眺めて突っ立っていると、リーチュンが腕を強く引っ張った。
「ほらサクセス、デレデレしないで! 早く換金するわよ!」
あれれ? 嫉妬ですか?
嫉妬ですかぁ~?
大丈夫だ、YOU WINだぞ!
「ごめんごめん。あまりに広いから少し戸惑っただけだ。よし、じゃあ交換しに行こうか。」
そういいつつ、さっきチェックした子の下にさりげなく進む俺。
「すいません、魔石の交換をしたいのですがよろしいですか? それと馬車のレンタル延長をしたいのですが?」
俺がそういうと、綺麗な受付嬢は丁寧にお辞儀をして返してくれる。
すげぇ、礼儀作法までしっかりしてるわ。
やるな、アバロン。
「はい、承りました。冒険者様はこの町は初めてでしょうか? 換金に少々時間がかかりますので、よろしければそれまでの間、そちらの掲示板をご覧になって頂くと良いかと存じます。そちらに張り出されているものが、現在受注可能なクエストでございます。更に今は運が良い事に、緊急クエストも張り出されておりますので、どうぞゆっくりとご覧になって下さい。」
運がいい? 緊急クエスト? なんじゃそりゃ。
とりあえず、聞くべし!
「緊急クエストとはなんでしょうか?」
「はい、主に優先度が高く、報酬のよろしいクエストになります。詳しくは掲示板に記載されておりますので、お読みください。」
なるほどねぇ~、報酬が良いなら確かに見ておいて損はない。
しっかし、このおねぇさん。
綺麗だし、言葉も丁寧だけど事務的過ぎる。
これなら、テーゼやアリエヘンの方が温かみがあって俺は好きだな。
俺はそれだけ聞くと、早速掲示板を見に行った。
【緊急クエスト】 依頼者:アバロン王
依頼内容:盗賊王ダンガの捕縛及び盗まれた財宝の確保
報酬:30000ゴールド
詳細:先日、アバロン城からマーダ神殿に運んでいた財宝が奪われた。犯人は、いにしえの塔に根城を構えているガンダッダと思われる。アバロン城からもロイヤルガードを派遣するも、塔は結界に覆われていて入ることはできなかった。よって、今回の依頼は、どこかに潜伏しているガンダッダ一味を捉えることである。あわよくばガンダッダ本人の捕縛を願いたい。又、先の報酬は一味を捕縛し、いにしえの塔に入れるようになっただけでも完遂とみなす。ガンダッダ本人の捕縛及び財宝を取り戻した者には、直接王の謁見を許可する。その際に、特別報酬も出る。以上だ! 冒険者諸君! よろしく頼んだぞ!
「おお! なんかすげぇ報酬がいいぞ。さすが王様の依頼だ。」
緊急クエストの内容を確認した俺は完全にやる気満々だ。
そういえば、町の外で沢山の冒険者を見たな。
もしかしたら、彼らもガンダッダを探していたのかもしれない。
まぁなんにせよ、やるっきゃねぇ!!
「サクセスサクセス! これ絶対アタイ達が捕まえよう! 腕が鳴るわ!!」
リーチュンもやる気満々で拳を握り締めている。
すると丁度、先ほどの受付嬢に呼ばれた。
相変わらず事務的な対応だったので、そのやり取りは省略するが、とりあえず馬車の延長料金を払った段階で現在の所持金は5200ゴールド。
スリープきのこの報酬が特に高かった。
要注意モンスターとして指定されているだけある。
危険な魔物だから、わざわざ倒しに行くものも少ないらしい。
換金を終えた俺達は、まだ昼まで時間があったため、リーチュンの武器を探しに行くことにする。
まぁ探すのはそれだけではないが……。
本当の目的は、男のロマン!
そう、パフパフ屋を探す事だ!
俺にお金を預けた事を後悔するがいい……。
ぐへへへへ……。
0
お気に入りに追加
290
あなたにおすすめの小説
愛していました。待っていました。でもさようなら。
彩柚月
ファンタジー
魔の森を挟んだ先の大きい街に出稼ぎに行った夫。待てども待てども帰らない夫を探しに妻は魔の森に脚を踏み入れた。
やっと辿り着いた先で見たあなたは、幸せそうでした。
45歳のおっさん、異世界召喚に巻き込まれる
よっしぃ
ファンタジー
2月26日から29日現在まで4日間、アルファポリスのファンタジー部門1位達成!感謝です!
小説家になろうでも10位獲得しました!
そして、カクヨムでもランクイン中です!
●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●
スキルを強奪する為に異世界召喚を実行した欲望まみれの権力者から逃げるおっさん。
いつものように電車通勤をしていたわけだが、気が付けばまさかの異世界召喚に巻き込まれる。
欲望者から逃げ切って反撃をするか、隠れて地味に暮らすか・・・・
●●●●●●●●●●●●●●●
小説家になろうで執筆中の作品です。
アルファポリス、、カクヨムでも公開中です。
現在見直し作業中です。
変換ミス、打ちミス等が多い作品です。申し訳ありません。
【完結】私だけが知らない
綾雅(りょうが)祝!コミカライズ
ファンタジー
目が覚めたら何も覚えていなかった。父と兄を名乗る二人は泣きながら謝る。痩せ細った体、痣が残る肌、誰もが過保護に私を気遣う。けれど、誰もが何が起きたのかを語らなかった。
優しい家族、ぬるま湯のような生活、穏やかに過ぎていく日常……その陰で、人々は己の犯した罪を隠しつつ微笑む。私を守るため、そう言いながら真実から遠ざけた。
やがて、すべてを知った私は――ひとつの決断をする。
記憶喪失から始まる物語。冤罪で殺されかけた私は蘇り、陥れようとした者は断罪される。優しい嘘に隠された真実が徐々に明らかになっていく。
【同時掲載】 小説家になろう、アルファポリス、カクヨム、エブリスタ
2023/12/20……小説家になろう 日間、ファンタジー 27位
2023/12/19……番外編完結
2023/12/11……本編完結(番外編、12/12)
2023/08/27……エブリスタ ファンタジートレンド 1位
2023/08/26……カテゴリー変更「恋愛」⇒「ファンタジー」
2023/08/25……アルファポリス HOT女性向け 13位
2023/08/22……小説家になろう 異世界恋愛、日間 22位
2023/08/21……カクヨム 恋愛週間 17位
2023/08/16……カクヨム 恋愛日間 12位
2023/08/14……連載開始
貴族に生まれたのに誘拐され1歳で死にかけた
佐藤醤油
ファンタジー
貴族に生まれ、のんびりと赤ちゃん生活を満喫していたのに、気がついたら世界が変わっていた。
僕は、盗賊に誘拐され魔力を吸われながら生きる日々を過ごす。
魔力枯渇に陥ると死ぬ確率が高いにも関わらず年に1回は魔力枯渇になり死にかけている。
言葉が通じる様になって気がついたが、僕は他の人が持っていないステータスを見る力を持ち、さらに異世界と思われる世界の知識を覗ける力を持っている。
この力を使って、いつか脱出し母親の元へと戻ることを夢見て過ごす。
小さい体でチートな力は使えない中、どうにか生きる知恵を出し生活する。
------------------------------------------------------------------
お知らせ
「転生者はめぐりあう」 始めました。
------------------------------------------------------------------
注意
作者の暇つぶし、気分転換中の自己満足で公開する作品です。
感想は受け付けていません。
誤字脱字、文面等気になる方はお気に入りを削除で対応してください。
神様との賭けに勝ったので、スキルを沢山貰えた件。
猫丸
ファンタジー
ある日の放課後。突然足元に魔法陣が現れると、気付けば目の前には神を名乗る存在が居た。
そこで神は異世界に送るからスキルを1つ選べと言ってくる。
あれ?これもしかして頑張ったらもっと貰えるパターンでは?
そこで彼は思った――もっと欲しい!
欲をかいた少年は神様に賭けをしないかと提案した。
神様とゲームをすることになった悠斗はその結果――
※過去に投稿していたものを大きく加筆修正したものになります。
性欲排泄欲処理系メイド 〜三大欲求、全部満たします〜
mm
ファンタジー
私はメイドのさおり。今日からある男性のメイドをすることになったんだけど…業務内容は「全般のお世話」。トイレもお風呂も、性欲も!?
※スカトロ表現多数あり
※作者が描きたいことを書いてるだけなので同じような内容が続くことがあります
【完結】悪役令嬢に転生したけど、王太子妃にならない方が幸せじゃない?
みちこ
ファンタジー
12歳の時に前世の記憶を思い出し、自分が悪役令嬢なのに気が付いた主人公。
ずっと王太子に片思いしていて、将来は王太子妃になることしか頭になかった主人公だけど、前世の記憶を思い出したことで、王太子の何が良かったのか疑問に思うようになる
色々としがらみがある王太子妃になるより、このまま公爵家の娘として暮らす方が幸せだと気が付く
【完結】4人の令嬢とその婚約者達
cc.
恋愛
仲の良い4人の令嬢には、それぞれ幼い頃から決められた婚約者がいた。
優れた才能を持つ婚約者達は、騎士団に入り活躍をみせると、その評判は瞬く間に広まっていく。
年に、数回だけ行われる婚約者との交流も活躍すればする程、回数は減り気がつけばもう数年以上もお互い顔を合わせていなかった。
そんな中、4人の令嬢が街にお忍びで遊びに来たある日…
有名な娼館の前で話している男女数組を見かける。
真昼間から、騎士団の制服で娼館に来ているなんて…
呆れていると、そのうちの1人…
いや、もう1人…
あれ、あと2人も…
まさかの、自分たちの婚約者であった。
貴方達が、好き勝手するならば、私達も自由に生きたい!
そう決意した4人の令嬢の、我慢をやめたお話である。
*20話完結予定です。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる