101 / 140
第25章 ジャスミンのノート(その1)
25-3 夢の記録
しおりを挟む
(夢の記録)
わたしは お仏壇に向かって お経を上げていた。
ほんとは わたしはお経なんて読めない。でも 夢ではなぜか読んでいた。
でもお経はだんだん おんなじ言葉の くり返しになって来る。
「とらやとらや とらや とらや。とらや。」
とらや とらや とらやとらや。わたしが 自分で読んでるのに なんか 変な感じがして来る。とらやとらや とらや。とらやとらやとらや。なんだか気持ち悪い。嫌なことが起こりそうで とらや とらやとらや 悪い予感 だんだん怖くなって わたしはお経をやめてしまう。
やめると しーんと 静かになった。
お仏だんから 音がする。
かたっ かたっ って 小さく お仏だんが震えている。
耳を近づけて よく聞いてみる。
かたっ かたっ。
とん とん。
そして 人の声……?
隣の部屋から? お仏だんの中から?
小さくて 遠い声。
遠い。とても遠い。ほとんど聞こえない。
けど なにか言ってる。
わたしになにか 言ってる。
わたしは お仏だんの中に頭を入れて アミダ様の絵に耳を近づけた
「……に……。…こ……。」
やっぱり 声は この奥から聞こえる。
「ま…り…ちゃ…。」
いま わたしの名前をよんだ?
お兄ちゃんだ。
お兄ちゃんの声が この向こうで わたしを「まりちゃん」って呼んだ。
「お兄ちゃん!」
わたしは お仏だんの奥の板を バンバンとたたいた。
「お兄ちゃん! お兄ちゃん!」
へんじが ない。
お兄ちゃんを助けなきゃ。
痛そうだけどグーの手で 奥の壁の板をこわしてしまおうと思ったとき さっきとぜんぜん 様子がちがうのに気がついた。
アミダ様の絵が 五枚 十枚 じゃない もっと何十枚にも増えていた。重なり合って びっしりと すき間も無く 貼ってあって
それが 全員
わたしをじっと見ていた。
──────────────
わたしは 長い悲鳴を上げて ベッドから飛び起きた。
由美子さんが わたしの部屋のチャイムを押して ドアをノックした。
「茉莉さん? 茉莉さん? だいじょうぶ? 茉莉さん?」
わたしは、シンガポールの ホテルの部屋にいた。
ベッドの横の時計を見ると 7:77分に見えた。
びっくりしてよく見ると 1:11分だった。
深夜
わたしは お仏壇に向かって お経を上げていた。
ほんとは わたしはお経なんて読めない。でも 夢ではなぜか読んでいた。
でもお経はだんだん おんなじ言葉の くり返しになって来る。
「とらやとらや とらや とらや。とらや。」
とらや とらや とらやとらや。わたしが 自分で読んでるのに なんか 変な感じがして来る。とらやとらや とらや。とらやとらやとらや。なんだか気持ち悪い。嫌なことが起こりそうで とらや とらやとらや 悪い予感 だんだん怖くなって わたしはお経をやめてしまう。
やめると しーんと 静かになった。
お仏だんから 音がする。
かたっ かたっ って 小さく お仏だんが震えている。
耳を近づけて よく聞いてみる。
かたっ かたっ。
とん とん。
そして 人の声……?
隣の部屋から? お仏だんの中から?
小さくて 遠い声。
遠い。とても遠い。ほとんど聞こえない。
けど なにか言ってる。
わたしになにか 言ってる。
わたしは お仏だんの中に頭を入れて アミダ様の絵に耳を近づけた
「……に……。…こ……。」
やっぱり 声は この奥から聞こえる。
「ま…り…ちゃ…。」
いま わたしの名前をよんだ?
お兄ちゃんだ。
お兄ちゃんの声が この向こうで わたしを「まりちゃん」って呼んだ。
「お兄ちゃん!」
わたしは お仏だんの奥の板を バンバンとたたいた。
「お兄ちゃん! お兄ちゃん!」
へんじが ない。
お兄ちゃんを助けなきゃ。
痛そうだけどグーの手で 奥の壁の板をこわしてしまおうと思ったとき さっきとぜんぜん 様子がちがうのに気がついた。
アミダ様の絵が 五枚 十枚 じゃない もっと何十枚にも増えていた。重なり合って びっしりと すき間も無く 貼ってあって
それが 全員
わたしをじっと見ていた。
──────────────
わたしは 長い悲鳴を上げて ベッドから飛び起きた。
由美子さんが わたしの部屋のチャイムを押して ドアをノックした。
「茉莉さん? 茉莉さん? だいじょうぶ? 茉莉さん?」
わたしは、シンガポールの ホテルの部屋にいた。
ベッドの横の時計を見ると 7:77分に見えた。
びっくりしてよく見ると 1:11分だった。
深夜
0
お気に入りに追加
7
あなたにおすすめの小説
ママと中学生の僕
キムラエス
大衆娯楽
「ママと僕」は、中学生編、高校生編、大学生編の3部作で、本編は中学生編になります。ママは子供の時に両親を事故で亡くしており、結婚後に夫を病気で失い、身内として残された僕に精神的に依存をするようになる。幼少期の「僕」はそのママの依存が嬉しく、素敵なママに甘える閉鎖的な生活を当たり前のことと考える。成長し、性に目覚め始めた中学生の「僕」は自分の性もママとの日常の中で処理すべきものと疑わず、ママも戸惑いながらもママに甘える「僕」に満足する。ママも僕もそうした行為が少なからず社会規範に反していることは理解しているが、ママとの甘美な繋がりは解消できずに戸惑いながらも続く「ママと中学生の僕」の営みを描いてみました。
小さなことから〜露出〜えみ〜
サイコロ
恋愛
私の露出…
毎日更新していこうと思います
よろしくおねがいします
感想等お待ちしております
取り入れて欲しい内容なども
書いてくださいね
よりみなさんにお近く
考えやすく
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
クラスメイトの美少女と無人島に流された件
桜井正宗
青春
修学旅行で離島へ向かう最中――悪天候に見舞われ、台風が直撃。船が沈没した。
高校二年の早坂 啓(はやさか てつ)は、気づくと砂浜で寝ていた。周囲を見渡すとクラスメイトで美少女の天音 愛(あまね まな)が隣に倒れていた。
どうやら、漂流して流されていたようだった。
帰ろうにも島は『無人島』。
しばらくは島で生きていくしかなくなった。天音と共に無人島サバイバルをしていくのだが……クラスの女子が次々に見つかり、やがてハーレムに。
男一人と女子十五人で……取り合いに発展!?
【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。
三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎
長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!?
しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。
ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。
といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。
とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない!
フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!
百合ランジェリーカフェにようこそ!
楠富 つかさ
青春
主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?
ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!!
※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。
表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。
戦国陰陽師2 〜自称・安倍晴明の子孫は、ぶっちゃけ長生きするよりまず美味しいご飯が食べたいんですが〜
水城真以
ファンタジー
「神様って、割とひどい。」
第六天魔王・織田信長の専属陰陽師として仕えることになった明晴。毎日美味しいご飯を屋根の下で食べられることに幸せを感じていた明晴だったが、ある日信長から「蓮見家の一の姫のもとに行け」と出張命令が下る。
蓮見家の一の姫──初音の異母姉・菫姫が何者かに狙われていると知った明晴と初音は、紅葉とともに彼女の警護につくことに。
菫姫が狙われる理由は、どうやら菫姫の母・長瀬の方の実家にあるようで……。
はたして明晴は菫姫を守ることができるのか!?
僕の兄上マジチート ~いや、お前のが凄いよ~
SHIN
ファンタジー
それは、ある少年の物語。
ある日、前世の記憶を取り戻した少年が大切な人と再会したり周りのチートぷりに感嘆したりするけど、実は少年の方が凄かった話し。
『僕の兄上はチート過ぎて人なのに魔王です。』
『そういうお前は、愛され過ぎてチートだよな。』
そんな感じ。
『悪役令嬢はもらい受けます』の彼らが織り成すファンタジー作品です。良かったら見ていってね。
隔週日曜日に更新予定。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる