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第22章 夢の中では、人はそれを現実の世界だと思い込みがちだけど
22-3 水際
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後で聞くと、僕は神殿の石室で三日間眠り続けていたということだった。
魂のほとんどが一旦抜けて、また帰ってくるというのは、肉体に随分負担をかけることだったようだ。目覚めたあと僕は歩くことも立つこともできず、アディとキジャンによって村に運ばれ、翌朝まで部屋で寝転がったままだった。
ようやく動けるようになり、昼前に村の沐浴場に行くと、先日の早朝と違って人の姿はまばらだった。
濡れた巻衣を腰に巻いたアディが水際の石段に座って、ぼんやりと水面を眺めていた。
王女と同じくらいの年代の村の娘が、女神像の手から流れ落ちる水を頭から浴びている。下半身は石の塀で隠れているけど、腰から上はチョコレート色の肌を隠そうともしていなかった。
「おい、アディ」僕は後ろから彼の肩を叩いた。「女の子の水浴びをじろじろ見るんじゃないよ」
「馬鹿。見てねえよ。ただ座ってるだけだ。あんたと姫様が夢を見ている間、俺はすることがないからな」
「今は王女が石室にいるのかい?」
「ああ。昨晩からだ。どんな夢をご覧になってるのか……」
僕はアディの隣に座った。
「アディ、王女を支えて差し上げてくれよ」
村の女の子が沐浴場を出ていくのを横目でちらっと見てから、アディはため息をついた。
「そのつもりだ。だが、俺は姫様のために何もできなかった。姫様が火傷をなさるのも止められなかった。虎を倒したのも俺じゃない。あんただ」
「倒してないだろう」僕は苦笑した。「そもそも君がいなければ、僕も王女もここまでたどり着けなかった」
「最近、姫様は……姫様は、俺よりあんたのことを頼りにしているんじゃないか」アディは恨めしげな目で僕を見た。「ここに来た最初の晩、夜中に姫様と何か話してたろう?」
なんだ。ただのやきもちじゃないか。僕は思わず笑ってしまった。
「馬鹿言うなよ。王女を守れるのは君だけだし、王女がいちばん頼りにしてるのも君だよ。これから五十年間、君が王女をお助けするんだ」
「五十年?」
魂のほとんどが一旦抜けて、また帰ってくるというのは、肉体に随分負担をかけることだったようだ。目覚めたあと僕は歩くことも立つこともできず、アディとキジャンによって村に運ばれ、翌朝まで部屋で寝転がったままだった。
ようやく動けるようになり、昼前に村の沐浴場に行くと、先日の早朝と違って人の姿はまばらだった。
濡れた巻衣を腰に巻いたアディが水際の石段に座って、ぼんやりと水面を眺めていた。
王女と同じくらいの年代の村の娘が、女神像の手から流れ落ちる水を頭から浴びている。下半身は石の塀で隠れているけど、腰から上はチョコレート色の肌を隠そうともしていなかった。
「おい、アディ」僕は後ろから彼の肩を叩いた。「女の子の水浴びをじろじろ見るんじゃないよ」
「馬鹿。見てねえよ。ただ座ってるだけだ。あんたと姫様が夢を見ている間、俺はすることがないからな」
「今は王女が石室にいるのかい?」
「ああ。昨晩からだ。どんな夢をご覧になってるのか……」
僕はアディの隣に座った。
「アディ、王女を支えて差し上げてくれよ」
村の女の子が沐浴場を出ていくのを横目でちらっと見てから、アディはため息をついた。
「そのつもりだ。だが、俺は姫様のために何もできなかった。姫様が火傷をなさるのも止められなかった。虎を倒したのも俺じゃない。あんただ」
「倒してないだろう」僕は苦笑した。「そもそも君がいなければ、僕も王女もここまでたどり着けなかった」
「最近、姫様は……姫様は、俺よりあんたのことを頼りにしているんじゃないか」アディは恨めしげな目で僕を見た。「ここに来た最初の晩、夜中に姫様と何か話してたろう?」
なんだ。ただのやきもちじゃないか。僕は思わず笑ってしまった。
「馬鹿言うなよ。王女を守れるのは君だけだし、王女がいちばん頼りにしてるのも君だよ。これから五十年間、君が王女をお助けするんだ」
「五十年?」
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