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第Be章:幻の古代超科学文明都市アトランティスの都は何故滅びたのか

逃げ道と夜道/2:そう言われて本当に簡単なことだった試しはないし、君がこちらの忠告に従ってコカインの量を7%より減らしたこともない

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 普段とはだいぶ様子が異なるとはいえ、本質はそれほど変わっていない。ゲーム的に言えば耐性が出来ていたため、この凍った世界から真っ先に抜け出せたのがリクだった。

「いやいや、相手に冗談が通じてないぞシズク」
「冗談……?」
「あー! はいはい! ごめんなさいねぇこいつちょっと豆腐の角に頭ぶつけて以来おかしくて! これ、押せばいいんですよね! 俺手伝いますんで!」
「あ、あぁ。すまない。頼むぞ少年」

 イルマとシズクをとりあえずで参加させた上で、女騎士と掛け声をあわせて馬車を押す。車輪はぬかるみに足を取られていたが、当初より土が乾いていたせいか、馬の疲れが回復していたせいか、かろうじて馬車を道に戻すことができた。

「よしっ。これで大丈夫ですね」
「そうだな。しかし……すごいな少年。良い筋肉をしている。その歳からはとても信じられない鍛え方だ。傭兵か?」
「ありがとうございます。でも、傭兵じゃないんですよ。俺達、魔王を倒すために旅をしてるんです」
「魔王を……?」

 女騎士が改めてじろじろ舐めるようにこちらの体を眺める。それほど悪い気はしない。むしろこれは、フラグが立ったというやつだ。ちょうどこちらはパーティに騎士が欲しかった。どうやら一人旅のようだし、パーティに誘ってみるのも……

「ところで。あなたといっしょに旅してる二人はどこへ?」

 え?とリクと女騎士が同時に呆け顔で振り向く。

「さっき後ろから押した時に馬車の中見たけど、他に二人仲間がいるよね? 食器が6枚、でも、その趣味は3パターン。どこ行ったのかなーって。片方は左利きで、回復魔法も使えるよね。身長は……」
「あ、あぁ。よく……見ているな。二人共、馬車をぬかるみから出すためにいっしょに後ろを押してくれる人を探しに行っていてな」

 気付かなかった。なんだろう、腐っても鯛というやつだろうか。しかし、あと二人か。それとも片方は回復魔法が使えるようだ。ここで交渉をうまく決めれば、一気にパーティバランスが整う。その上で自分の能力を考えれば、間違いなく三人とも美人と美少女。これは確実に運が向いてきてる。そう確信した時。

「レーヌお姉様、申し訳ありませんわ。この時期は旅人の方もこの道はあまり……あら」
「ほう! 無事ぬかるみを抜け出せたか! 手伝ってくれたのは、この少年達か? ありがとう少年、マイハニーに何か乱暴はされなかったかね?」
「遅いぞ、カイ。というか、何がマイハニーだ全く。お前こそ、リンネにまたおかしなことをしていないだろうな」

 カイとリンネと呼ばれた二人組。まず、リンネちゃんは文句なし。だいぶ見た目が幼く、こちらにその趣味は基本無いがそれもアリである。今背後で小さくイルマも「かわいい」と呟いていたように聞こえたし。しかしカイと呼ばれた方、てめーはダメだ。異世界の冒険に、野郎は必要ない。しかも、こんな天然のイケメンは論外である。

「はい。カイは私にもう前のようなことはしないと誓ってくださいましたわ。何よりも、これでもカイは勇者の騎士。今代の魔王も、打ち倒してくれること間違いないお方ですわ」
「まぁそれほどでも……あるがね? さぁ、旅を続けよう。次の街の傭兵ギルドでこちらの穴を埋める面々をスカウト出来れば良いのだが」
「あぁ、それなんだが。腕のいい魔法使いと剣士。彼等などどうだろうか?」
「ふむ……?」

 勇者の騎士? それに今の言い草。まさかこの優男、前の魔王を倒したパーティの騎士だというのか? リクが激しい対抗心を燃やす中、カイとリンネの視点はこちらの中でシズクに集まる。

「なるほど……確かにこれは」
「この方の目……どうにも……」
「うん?」
「なるほど、わかった」

 本人は何のことかわかっていないようだが、二人は一方的に合点する。

「この方が一番お強いですわね」
「あぁ。さぞや腕の立つ魔法使いと見た。一戦交えさせても構いませんか? レディ」

 そういってロングランスを構えたカイと、なんのことだときょとんと首を傾げたシズクの間に割って入る。

「ちょっと待ったぁ! この節穴eyesが! お前の相手は俺だぁ!」

 かくしてリクは、そのチート剣術を持って勇者の騎士カイとの一騎打ちに挑む。
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