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一章
1、逃亡
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乗り合い馬車が舗装されていない道をもうもうと土煙を立てつつ走る。風が運んで来るのは熱気と砂埃ばかりで、秋だというのに爽やかさの欠片もない。
人がぎゅうぎゅうに詰められた乗り合い馬車の中で一人の少年が深いため息をついた。
琥珀色の長い髪は深紅のリボンで一本にゆるくまとめられ、赤い瞳を持つ目は切れ長だ。その中性的な容姿は、どこか儚ささえ漂わせている。
同じ馬車に乗る女性たちが少年の姿をうっとりと眺めている中、少年は今、自分がここにいる原因となった出来事を思い出していた。
その少年はついさっきまで伯爵令嬢であった。
間違えた訳ではない。本当に令嬢ーつまり女だったのだ。
少年、もとい少女の名はレイリア・ウィンターソン。辺境伯爵家、ウィンターソンの領主、クリス・ウィンターソンの次女だ。
そんな彼女が家を出たのには、理由があった。
******
時は一日分遡る。
その日、レイリアはいつも通り自分で着替えた後、メイドが自分を起しに来るのを待った。
「レイリアお嬢様、お目覚めのお時間でございます。」
ノックの音が響いた後、そんな声が聞こえて、起きているよと言いながらドアを開けに行った。
「お嬢様、今日も起きていらっしゃったのですね… それにお召し物まで… そういう事は我々の仕事だといつも言っているではありませんか。」
「ごめん、ごめん。つい、ね。」
「つい、ではありませんよ。全く…私の仕事をなくすおつもりですか?
それに、こういうのに慣れる為にわざわざこんな場所にいらっしゃるのでしょう?」
「…わかっているんだけどね。やろうと思えばできるし。貴族っぽいのは苦手なんだ。知ってるだろ?」
いつもと同じ会話。いつもと同じように軽口を叩き合いながら、食堂へと移動する。
しかし、レイリアと並んで歩いていたメイドは食堂に近づくと、従者としてふさわしく一歩後ろに下がった。
食堂に入ると既に父と義母、兄2人が揃っていた。この4人の他にレイリアには姉が1人と妹が1人いるが、姉はもう嫁に行っており、妹とは何故か一度も会った事がない。
「遅かったな、レイリア。」
「おはようございます、お父様。着替えに手間取ってしまいまして… 申し訳ございません」
別に手間取った訳ではないが、言い訳をしておく。
レイリアはいつも通りにしていたのに父より遅くなったという事は、遅れた原因が主にメイドにあるからだ。自分のせいにしておけば、メイドは罰せられない。
「ふん。どうせ今日も自分で着替えたんだろう。この恥知らずが。」
自分で着替える事の何が恥知らずなのかわからなかったレイリアは、取り敢えずその一番上の兄、レオンハルトの言葉を無視した。舌打ちをされるが、それも無視する。
このようなやり取りなど日常茶飯事だ。
だが、その日違ったのは1人のメイドがニ番目の兄、レインの服にスープをこぼしてしまった事だ。
その瞬間、空気が凍りついた。
「申し訳ございません」とこっちが泣きそうになるくらい謝るメイドを、音を立てて立ち上がった兄は力一杯蹴りつけた。
それだけでは気が済まず、投げつけた皿からレイリアは思わずメイドを守る。
「レイお兄様、これ以上はやり過ぎです。」
「んだよ、レイリア。邪魔をするな。
あと、俺の事を兄だなんて呼ぶな。反吐が出る。」
こっちだって呼びたくて呼んでいる訳じゃない、と叫びたいのをレイリアは何とかこらえる。
「…お言葉ですが、これ以上やりますと、ウィンターソン家の品位が疑われる原因となりえます。」
「使用人の躾をするのも雇い主の役目だ。」
「雇い主はお父様です。」
「同じようなものだろう。」
いつまでも終わりそうにない、意味のない遣り取りと、兄と呼びたくないそいつの言葉の端々にイライラして、レイリアはテーブルをバンと思いっきり叩いた。
「…申し訳ございません。」
一言謝った後、いまだに床に座っているメイドを連れて部屋を出た。
「レイリア様、申し訳ございません。」
「気にするな。あいつらがおかしいんだ。」
メイドを自室に連れて来て、その蹴られて青く腫れた腹に、レイリアは自作の湿布を貼った。
貴族の令嬢らしくお茶会などしないレイリアは、大量の本を今まで読み漁ってきたので知識を大量に蓄えている。それに加えて屋敷を抜け出し、薬師の手伝いをよくしているのだ。
貴族のお抱えになって慢心し、研究をしなくなった家の薬師など、その腕前の足元にも及ばない。
その日、レイリアは一日中部屋から出ずに、本を読んで過ごした。
夜、皆が寝静まった後、本を返すために図書室ヘ行こうと廊下を歩くレイリアの耳に微かに悲鳴が届く。
踵を返し、悲鳴が聞こえた方へ走る。着いた先はレインの部屋だった。不用心なことにドアが細く開いている。
中を覗いたその目に映ったのは、今朝兄の服にスープをかけてしまったメイドがベッドに裸で括り付けられ、そこに兄2人が覆いかぶさっている様子だった。
よく見ると、メイドの体にはいくつも傷がある。
レイリア自身が酷い扱いを受けることは、彼女にとってはもはや普通の事。
でも、自分を大切にしてくれる人が傷つけられるのは嫌だった。
レイリアが抱いたその感情の名は、怒り。
心が嫌なふうにどす黒く染まっていくのを感じる。
それなのに、度が過ぎているからなのか、何故か至って冷静な感じがして。
その冷静な心のまま、躊躇することなく部屋に踏み込むと、反応されるより早く2人の頸動脈を斬り裂いた。
いつも持っている短剣が思わぬ場所で役に立つ形となった。
「…レイリア、様?」
メイドの弱々しい声が聞こえて、そちらを見ると、生々しい傷とおびただしい返り血を浴びた姿がそこにある。
「大丈夫か? いや、愚問だったな。こんなことをされて大丈夫な訳がない。それに…血も、すまなかった。」
「いえ、ありがとうございます。助かりました。ですが、レイリア様は…」
男2人の死体を見ながら発せられたその言葉に、レイリアは本心からこう答えた。
「気にするな。こんな奴ら、いなくなった方が世のためだ。」
本来、家族である人に向けられるはずのないその言葉には、空気が一気に重たくなったように思えるほどの憎しみがこもっている。
「だが、曲がりながりにも、この家の次期当主とその予備だ。家から逃げた方がいいだろうな。心配するな、どこか遠くヘ逃げ延びて見せるさ。」
苦虫を噛み潰したような表情でそう言うと、私のせいでレイリア様が、と自分を責めるメイドを何とか慰め、兄を殺した短剣をわざと置いたまま、レイリアは部屋を出る。
その短剣は、唯一レイリアとウィンターソン家のつながりを正しく示す、彼女が生まれる前に亡くなった祖父からの贈り物だった。
******
「……ちゃん。おい、そこの兄ちゃん!! 聞いてんのかい!」
「…っはい! わた…じゃなくて、僕ですか? 」
「そうに決まってんだろ! この馬車にあんた以外の若い男なんていないだろ?」
周りを見ると、確かに若い男は自分しかいない。若いのは女性ばかりだ。
「な、いないだろ?」
「ええ、で、なんです? 僕に何か用でも?」
「ああ、荷物運ぶのを手伝ってほしくてねぇ。爺さんたちじゃ、持ち上げるので精一杯なんだよ。」
「わかりました。…これですか?」
さっきから喋っていたおばちゃんが頷いたので、馬車の荷台から箱を下し、別の荷台へと積み直した。
その様子を同じ馬車に乗っていた人々は驚いた様子で見つめる。
「あんた、凄いねぇ。こんな重いのを1人で運んじまうなんて。」
「まあ、いつも鍛錬していますから。」
完全に男として見られていることにホッとしながら、レイリアは武術をやっていた事に感謝した。
「そうかい、偉いねぇ。うちの孫にも見習って欲しいよ。そういえば、これからどこへ向かうんだい? この馬車はここまでだろう? 良ければ一緒に行かないかい?」
「ありがとうございます。僕はこれから商業都市のカナンに行こうと思っているのですが…」
「あちゃー、私と反対方向だ。しょうがない。じゃあ、いずれまた、ご縁があったら。」
「ええ、いずれまた、ご縁がありましたら。」
旅で親しくなった相手との別れの挨拶を交わし、別れようと背を向けようとしたレイリアにその女性は訊ねた。
「あんた、名前は?」
「レイ… レイといいます。」
「じゃあな、レイ」
「はい、また。」
今度こそ背を向けて、レイリアはカナンへと向かう馬車を探し始めた。
人がぎゅうぎゅうに詰められた乗り合い馬車の中で一人の少年が深いため息をついた。
琥珀色の長い髪は深紅のリボンで一本にゆるくまとめられ、赤い瞳を持つ目は切れ長だ。その中性的な容姿は、どこか儚ささえ漂わせている。
同じ馬車に乗る女性たちが少年の姿をうっとりと眺めている中、少年は今、自分がここにいる原因となった出来事を思い出していた。
その少年はついさっきまで伯爵令嬢であった。
間違えた訳ではない。本当に令嬢ーつまり女だったのだ。
少年、もとい少女の名はレイリア・ウィンターソン。辺境伯爵家、ウィンターソンの領主、クリス・ウィンターソンの次女だ。
そんな彼女が家を出たのには、理由があった。
******
時は一日分遡る。
その日、レイリアはいつも通り自分で着替えた後、メイドが自分を起しに来るのを待った。
「レイリアお嬢様、お目覚めのお時間でございます。」
ノックの音が響いた後、そんな声が聞こえて、起きているよと言いながらドアを開けに行った。
「お嬢様、今日も起きていらっしゃったのですね… それにお召し物まで… そういう事は我々の仕事だといつも言っているではありませんか。」
「ごめん、ごめん。つい、ね。」
「つい、ではありませんよ。全く…私の仕事をなくすおつもりですか?
それに、こういうのに慣れる為にわざわざこんな場所にいらっしゃるのでしょう?」
「…わかっているんだけどね。やろうと思えばできるし。貴族っぽいのは苦手なんだ。知ってるだろ?」
いつもと同じ会話。いつもと同じように軽口を叩き合いながら、食堂へと移動する。
しかし、レイリアと並んで歩いていたメイドは食堂に近づくと、従者としてふさわしく一歩後ろに下がった。
食堂に入ると既に父と義母、兄2人が揃っていた。この4人の他にレイリアには姉が1人と妹が1人いるが、姉はもう嫁に行っており、妹とは何故か一度も会った事がない。
「遅かったな、レイリア。」
「おはようございます、お父様。着替えに手間取ってしまいまして… 申し訳ございません」
別に手間取った訳ではないが、言い訳をしておく。
レイリアはいつも通りにしていたのに父より遅くなったという事は、遅れた原因が主にメイドにあるからだ。自分のせいにしておけば、メイドは罰せられない。
「ふん。どうせ今日も自分で着替えたんだろう。この恥知らずが。」
自分で着替える事の何が恥知らずなのかわからなかったレイリアは、取り敢えずその一番上の兄、レオンハルトの言葉を無視した。舌打ちをされるが、それも無視する。
このようなやり取りなど日常茶飯事だ。
だが、その日違ったのは1人のメイドがニ番目の兄、レインの服にスープをこぼしてしまった事だ。
その瞬間、空気が凍りついた。
「申し訳ございません」とこっちが泣きそうになるくらい謝るメイドを、音を立てて立ち上がった兄は力一杯蹴りつけた。
それだけでは気が済まず、投げつけた皿からレイリアは思わずメイドを守る。
「レイお兄様、これ以上はやり過ぎです。」
「んだよ、レイリア。邪魔をするな。
あと、俺の事を兄だなんて呼ぶな。反吐が出る。」
こっちだって呼びたくて呼んでいる訳じゃない、と叫びたいのをレイリアは何とかこらえる。
「…お言葉ですが、これ以上やりますと、ウィンターソン家の品位が疑われる原因となりえます。」
「使用人の躾をするのも雇い主の役目だ。」
「雇い主はお父様です。」
「同じようなものだろう。」
いつまでも終わりそうにない、意味のない遣り取りと、兄と呼びたくないそいつの言葉の端々にイライラして、レイリアはテーブルをバンと思いっきり叩いた。
「…申し訳ございません。」
一言謝った後、いまだに床に座っているメイドを連れて部屋を出た。
「レイリア様、申し訳ございません。」
「気にするな。あいつらがおかしいんだ。」
メイドを自室に連れて来て、その蹴られて青く腫れた腹に、レイリアは自作の湿布を貼った。
貴族の令嬢らしくお茶会などしないレイリアは、大量の本を今まで読み漁ってきたので知識を大量に蓄えている。それに加えて屋敷を抜け出し、薬師の手伝いをよくしているのだ。
貴族のお抱えになって慢心し、研究をしなくなった家の薬師など、その腕前の足元にも及ばない。
その日、レイリアは一日中部屋から出ずに、本を読んで過ごした。
夜、皆が寝静まった後、本を返すために図書室ヘ行こうと廊下を歩くレイリアの耳に微かに悲鳴が届く。
踵を返し、悲鳴が聞こえた方へ走る。着いた先はレインの部屋だった。不用心なことにドアが細く開いている。
中を覗いたその目に映ったのは、今朝兄の服にスープをかけてしまったメイドがベッドに裸で括り付けられ、そこに兄2人が覆いかぶさっている様子だった。
よく見ると、メイドの体にはいくつも傷がある。
レイリア自身が酷い扱いを受けることは、彼女にとってはもはや普通の事。
でも、自分を大切にしてくれる人が傷つけられるのは嫌だった。
レイリアが抱いたその感情の名は、怒り。
心が嫌なふうにどす黒く染まっていくのを感じる。
それなのに、度が過ぎているからなのか、何故か至って冷静な感じがして。
その冷静な心のまま、躊躇することなく部屋に踏み込むと、反応されるより早く2人の頸動脈を斬り裂いた。
いつも持っている短剣が思わぬ場所で役に立つ形となった。
「…レイリア、様?」
メイドの弱々しい声が聞こえて、そちらを見ると、生々しい傷とおびただしい返り血を浴びた姿がそこにある。
「大丈夫か? いや、愚問だったな。こんなことをされて大丈夫な訳がない。それに…血も、すまなかった。」
「いえ、ありがとうございます。助かりました。ですが、レイリア様は…」
男2人の死体を見ながら発せられたその言葉に、レイリアは本心からこう答えた。
「気にするな。こんな奴ら、いなくなった方が世のためだ。」
本来、家族である人に向けられるはずのないその言葉には、空気が一気に重たくなったように思えるほどの憎しみがこもっている。
「だが、曲がりながりにも、この家の次期当主とその予備だ。家から逃げた方がいいだろうな。心配するな、どこか遠くヘ逃げ延びて見せるさ。」
苦虫を噛み潰したような表情でそう言うと、私のせいでレイリア様が、と自分を責めるメイドを何とか慰め、兄を殺した短剣をわざと置いたまま、レイリアは部屋を出る。
その短剣は、唯一レイリアとウィンターソン家のつながりを正しく示す、彼女が生まれる前に亡くなった祖父からの贈り物だった。
******
「……ちゃん。おい、そこの兄ちゃん!! 聞いてんのかい!」
「…っはい! わた…じゃなくて、僕ですか? 」
「そうに決まってんだろ! この馬車にあんた以外の若い男なんていないだろ?」
周りを見ると、確かに若い男は自分しかいない。若いのは女性ばかりだ。
「な、いないだろ?」
「ええ、で、なんです? 僕に何か用でも?」
「ああ、荷物運ぶのを手伝ってほしくてねぇ。爺さんたちじゃ、持ち上げるので精一杯なんだよ。」
「わかりました。…これですか?」
さっきから喋っていたおばちゃんが頷いたので、馬車の荷台から箱を下し、別の荷台へと積み直した。
その様子を同じ馬車に乗っていた人々は驚いた様子で見つめる。
「あんた、凄いねぇ。こんな重いのを1人で運んじまうなんて。」
「まあ、いつも鍛錬していますから。」
完全に男として見られていることにホッとしながら、レイリアは武術をやっていた事に感謝した。
「そうかい、偉いねぇ。うちの孫にも見習って欲しいよ。そういえば、これからどこへ向かうんだい? この馬車はここまでだろう? 良ければ一緒に行かないかい?」
「ありがとうございます。僕はこれから商業都市のカナンに行こうと思っているのですが…」
「あちゃー、私と反対方向だ。しょうがない。じゃあ、いずれまた、ご縁があったら。」
「ええ、いずれまた、ご縁がありましたら。」
旅で親しくなった相手との別れの挨拶を交わし、別れようと背を向けようとしたレイリアにその女性は訊ねた。
「あんた、名前は?」
「レイ… レイといいます。」
「じゃあな、レイ」
「はい、また。」
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