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一章
11、石鹸②
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申し訳ない…
短めです!
なんか上手くかけないので、また変えるかもです…
先日、いくつか話を改訂させていただきました。特に5話目は結構変わったので読み返して欲しいです。
******
「いいか?ここからが本題ちゃっ本題なんだが、石鹸作りの問題は材料面だけじゃないんだ。」
レイリアは赤い目を伏せて迷うような口調で言葉を紡ぐ。
「これを言うと、石鹸なんて勧めたのを怒られてもしょうがないんだが、その…僕がいつか石鹸を広めたいと思っていたもんで…… 他の案もあるから、聞くだけ聞いてくれないか?」
「んだよ、レイらしくもない。聞くよ、もちろん。お前は俺を信用してくれんだろ?」
アルベルトがからかい気味に言うと、レイリアは小さく「そうだな」と言って小さく、まるで自分の恐れを断ち切るかのように早口で話し始めた。
「石鹸は昔、とある国で製造法が規制された程、政治にまで影響を与えるんだ。そのための対策は考えてはいるが、どこまで通用するかは正直わからない。
石鹸を売り出すのに、最初はどうしても金持ち相手の商売になるし、そうすると必然的に貴族に繋がる。下手したら国に目をつけられるんだ。
時にはいい方に転がる事もあるけど、そうなるのは、ほぼ0%。ほとんど悪い方に行くだろう。
……貴族ってのはそんなもんだ。」
吐き捨てるようにつぶやかれた最後の言葉。アルベルトはそれが妙に気になった。いやに実感のこもった、ドロドロした怨みとかそういう類のものを感じたから。
「…お前、貴族となんかあったのか?」
「………今はそんなことはどうでもいいだろ? それで?これを聞いても、石鹸をやってくれるか?」
それもそうだ。実を言うと迷っている。
色々無頓着なアルベルトであろうと、流石にお偉いさんといざこざは起こしたくない。貴族ともなると、面倒くさそうだし、実家も関わってきそうだ。
実家は主に宝石類を扱っていて、自然と貴族などの富裕層とやり取りがある。○○の坊っちゃんなどと呼ばれては目もあてられない。
実家が嫌で迷惑をかけてまで家を出たというのに。
でも、レイが「やりたい」と言うからにはそれなりの理由があるのだろう。
まだ会って1日くらいしか経っていないが、「信用しろ」と言うのではなく、反対に「信用するな」と言ってのけたこの少年をアルベルトは存外気に入っていた。
しかし、聞いていると、自分がやりたいと言った平民向けではないように思える。
明らかに貴族に傾いていそうな需要をどう平民に持たせるのだろうか?
「質問がある。いいか?」
「勿論。いくらでも。」
レイは契約の時、「常に自分を疑え」と、そう言った。
ならばそうさせて頂こう。
わざわざ犯罪者を雇うのだ。こちらに何も残らなければ意味がない。
「さっきから聞いていると、どうも平民には関係ない商売のように思えるが、そこはどうなんだ?」
「ああ、それなら問題ない。貴族に売りつけるのは、言ってしまえばあくまで資金づくりの為だ。ブランド化してしかも商品が良いとなれば、奴らはいくらでも金を出す。プライドが高い奴は特にな。
石鹸と言っても、髪を洗う時に使うシャンプーだとかリンス、肌に良い洗顔用のもの。ついでにオリーブオイルを使った化粧品なんかも作れば売れるだろう。」
レイリアの言葉には相変わらず貴族に対しての棘がいっぱい生えている。
「貴族は金づる」と言ったような今の発言なんて、下手すりゃ不敬罪にあたるだろう。
まぁ、レイには色々と事情があるっぽいし、とそこらへんは軽く流してアルベルトは口を挟まずに静かに話を聞く。
「僕がしたいのは平民に石鹸を広めることだ。
特に手洗い。これをするだけで様々な病が防げる。
夏場にお腹を壊したりする人って多いだろ?あれも一定数減らせるだろう。衛生環境を整えるだけで、結構変わると思うんだ。
だから平民に売る分はなるべく安く提供したい。それができるだけの金を貴族から搾り取るだけだよ。」
確かに、それならアルベルトの要望にも沿っているし、断る理由はない。
「よし、わかった。
じゃあ商品は石鹸にしよう。」
アルベルトがうなずくと、レイリアは目を大きく見開いた。
「え? いいのか?」
「いいのかも何も、レイが俺の要望に沿って考えてくれたんだろ?そこに多少の思惑が入っていたってかまうもんか。
むしろ民を豊かにするものだろう?大歓迎だ。」
そう言うと、レイリアは珍しく、「ありがとう」と柔らかく微笑んだ。
短めです!
なんか上手くかけないので、また変えるかもです…
先日、いくつか話を改訂させていただきました。特に5話目は結構変わったので読み返して欲しいです。
******
「いいか?ここからが本題ちゃっ本題なんだが、石鹸作りの問題は材料面だけじゃないんだ。」
レイリアは赤い目を伏せて迷うような口調で言葉を紡ぐ。
「これを言うと、石鹸なんて勧めたのを怒られてもしょうがないんだが、その…僕がいつか石鹸を広めたいと思っていたもんで…… 他の案もあるから、聞くだけ聞いてくれないか?」
「んだよ、レイらしくもない。聞くよ、もちろん。お前は俺を信用してくれんだろ?」
アルベルトがからかい気味に言うと、レイリアは小さく「そうだな」と言って小さく、まるで自分の恐れを断ち切るかのように早口で話し始めた。
「石鹸は昔、とある国で製造法が規制された程、政治にまで影響を与えるんだ。そのための対策は考えてはいるが、どこまで通用するかは正直わからない。
石鹸を売り出すのに、最初はどうしても金持ち相手の商売になるし、そうすると必然的に貴族に繋がる。下手したら国に目をつけられるんだ。
時にはいい方に転がる事もあるけど、そうなるのは、ほぼ0%。ほとんど悪い方に行くだろう。
……貴族ってのはそんなもんだ。」
吐き捨てるようにつぶやかれた最後の言葉。アルベルトはそれが妙に気になった。いやに実感のこもった、ドロドロした怨みとかそういう類のものを感じたから。
「…お前、貴族となんかあったのか?」
「………今はそんなことはどうでもいいだろ? それで?これを聞いても、石鹸をやってくれるか?」
それもそうだ。実を言うと迷っている。
色々無頓着なアルベルトであろうと、流石にお偉いさんといざこざは起こしたくない。貴族ともなると、面倒くさそうだし、実家も関わってきそうだ。
実家は主に宝石類を扱っていて、自然と貴族などの富裕層とやり取りがある。○○の坊っちゃんなどと呼ばれては目もあてられない。
実家が嫌で迷惑をかけてまで家を出たというのに。
でも、レイが「やりたい」と言うからにはそれなりの理由があるのだろう。
まだ会って1日くらいしか経っていないが、「信用しろ」と言うのではなく、反対に「信用するな」と言ってのけたこの少年をアルベルトは存外気に入っていた。
しかし、聞いていると、自分がやりたいと言った平民向けではないように思える。
明らかに貴族に傾いていそうな需要をどう平民に持たせるのだろうか?
「質問がある。いいか?」
「勿論。いくらでも。」
レイは契約の時、「常に自分を疑え」と、そう言った。
ならばそうさせて頂こう。
わざわざ犯罪者を雇うのだ。こちらに何も残らなければ意味がない。
「さっきから聞いていると、どうも平民には関係ない商売のように思えるが、そこはどうなんだ?」
「ああ、それなら問題ない。貴族に売りつけるのは、言ってしまえばあくまで資金づくりの為だ。ブランド化してしかも商品が良いとなれば、奴らはいくらでも金を出す。プライドが高い奴は特にな。
石鹸と言っても、髪を洗う時に使うシャンプーだとかリンス、肌に良い洗顔用のもの。ついでにオリーブオイルを使った化粧品なんかも作れば売れるだろう。」
レイリアの言葉には相変わらず貴族に対しての棘がいっぱい生えている。
「貴族は金づる」と言ったような今の発言なんて、下手すりゃ不敬罪にあたるだろう。
まぁ、レイには色々と事情があるっぽいし、とそこらへんは軽く流してアルベルトは口を挟まずに静かに話を聞く。
「僕がしたいのは平民に石鹸を広めることだ。
特に手洗い。これをするだけで様々な病が防げる。
夏場にお腹を壊したりする人って多いだろ?あれも一定数減らせるだろう。衛生環境を整えるだけで、結構変わると思うんだ。
だから平民に売る分はなるべく安く提供したい。それができるだけの金を貴族から搾り取るだけだよ。」
確かに、それならアルベルトの要望にも沿っているし、断る理由はない。
「よし、わかった。
じゃあ商品は石鹸にしよう。」
アルベルトがうなずくと、レイリアは目を大きく見開いた。
「え? いいのか?」
「いいのかも何も、レイが俺の要望に沿って考えてくれたんだろ?そこに多少の思惑が入っていたってかまうもんか。
むしろ民を豊かにするものだろう?大歓迎だ。」
そう言うと、レイリアは珍しく、「ありがとう」と柔らかく微笑んだ。
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