上 下
8 / 16

ただ描くのでは、つまらんな。

しおりを挟む
 
 
 その夜、ロバートの部屋を訪れたマリステラは、今までで一番怯えた顔をしていた。
 昨夜、ロバート達の誘いを断ったことを気にしているのだろう。

「……あ、あの……さ、昨夜は、勝手を言ってごめんなさい。あの、姉が、久しぶりに一緒に寝たいと言うものだから……抜けだすにも、姉の夫たちが見張っていて無理だったの……ごめんなさい」

 一晩サボった腹いせに何をされるのだろうかとビクビクしながら、上目遣いに許しを乞う少女はひどく可憐で、ロバートとニコラスの心をくすぐった。同情心などではなく、加虐心を。

「そうか。俺たちは別に怒ってなどいないぞ。なぁ、コリン」
「そうそう。別に気にしてないってぇ。貴重な時間が一日無駄になったくらい、別にどうってことないしぃ」
「あ、あの、本当に、ごめんなさいっ」
「あはは、どうして謝るのさぁ、怒ってないって言ってるじゃない。さ、時間がもったいないから、はじめよっかぁ」

 ニコラスは笑いながら、マリステラの腕を掴んで、部屋の奥へと進んでいく。

「……今日はさぁ、ロビン兄さんと二人でお絵かきしてたんだよー」
「お絵かき? ……静物画ですか?」

 マリステラの視線は、三人の足が向かう先にあるテーブルセット――二日前、彼女が乗せられ、尻を犯されたテーブル――に置かれた果物皿へと向いていた。
 台座のついた白い皿にはリンゴやオレンジが盛られ、ふっさりとした葡萄の粒が縁から垂れさがり、そこから少し離れて、デッサン用の木炭が転がっている。

「そうそう。まぁ、二、三枚で飽きちゃったけれど……」

 テーブルを挟んで向かいあう、二脚の肘掛け付きの椅子には、スケッチ帳が投げ置かれていた。
 そのうちの一冊を手に取って、ニコラスはマリステラに差しだした。

「見る?」
「……はい」

 ぱらりとめくって、マリステラは、あら、と目をみはり、またたいた。

「……お上手ですね」
「でしょう? 僕たち、昔っから絵は上手なんだよ。こいつらにも取り柄があったのかって驚いた?」
「いえ、そんな……ですが、本当に、お上手で驚きました」

 そういってマリステラは紙面に目を落とした。
 白い世界に黒い木炭で、瑞々しい果物が見事に描きだされている。
 虹色の瞳に浮かぶ、素直な感嘆の色にニコラスはロバートと顔を見合わせ、満足げに頷くと果物皿から小ぶりの青い林檎をひとつ取りあげた。

「じゃ、ご褒美に剥いて。それで、あーん、って食べさせてよ」
「え?」
「これを使え」
「……はい」

 マリステラが林檎と果物ナイフを受けとって、しょりしょりと剥きはじめる。
 その間に、ニコラスとロバートは果物皿を邪魔にならないところへ片付けて戻ってきた。
 小さな手の中、ぐるぐると剥かれ、つながり伸びた青い皮がユラユラと揺れている。
 最後の一周を回ろうとしたところで、ニコラスが声をかけた。

「終わったら、脱いでテーブルに上がってねー。今度は君を描くから」
「えっ、――っ」

 マリステラが顔を上げ、あ、と眉をひそめる。みるみるうちに白い指に赤い滴がふくれ、ぽたりぽたりと林檎とテーブルに滴った。

「おいおい、刃物を使っている時によそ見する馬鹿がどこにいる」

 みせてみろ、とロバートがマリステラの手首をつかんで覗きこむと、すっぱりと切れ目が入っていた。

「けっこう深いぞ」

 指の付け根を押さえて血をとめながら、ロバートは呆れたように溜め息をつく。

「あーあ、気を付けてよ。血まみれの林檎なんて気持ち悪くて食べられやしない」
「ご、ごめんなさい」
「いいよ。別に、林檎なんていくらでもあるし」

 そう言って林檎を取りあげ、無造作に床に投げ捨てるとニコラスは、マリステラの指にハンカチをきつく巻きつけ、結んだ。

「……ま、ひとまずこれで。帰ってから、きちんと手当てしなね?」
「はい。……ありがとう」
「うん。ということで、早く脱いで。時間がもったいないから」
「……はい」

 マリステラは頷くと、ひそやかな溜め息をついてドレスに手をかけた。



「……義姉上は、義姉上の姉上と違って、身体に無駄がないから、実に描きやすいよねぇ」
「そうだな。胸が平らで、毛もない。描きこむ手間が少なくて、実に良いモデルだ。これが、マレクラブラなら、陰影のつけかたに悩んだろうな。特にあの、牛のようにふくれた胸の辺りは難しそうだ」

 嘲笑う声にマリステラは、きゅっと眉を寄せた。

「……わ、私のことを言うのはかまいませんが、お姉様のことは、侮辱しないでください」
「はは、わかったわかった。バカにするのは、お前だけにしておこう」

 震える声の訴えを笑って流して、ロバートはスケッチ帳に視線を落とした。
 そこには、両手で長い髪をかきあげて、膝立ちで何かにまたがるように大きく脚をひらき、細い身体をくねらせた少女の姿が写しとられている。
 マリステラを知るものが見れば、モデルが誰か一目でわかるほど、それは見事に、はっきりと。

 ――ああ、兄上に見せてやれないのが残念だ。

 ロバートは、ぱらりとページをめくり、白い紙面を指先でなぞると彼女に新たな屈辱を与えるため、口をひらいた。

「……しかし、ただ描くのでは、つまらんな」
「え?」
「あー、確かに。義姉上は美しいけれど、やっぱり、ただ描くんじゃ、つまらないよねぇ」

 にやり、と笑みを浮かべた双子に、マリステラの身体が小刻みに震えはじめる。
 今から更なる辱めを受けるのだとわかってしまったのだろう。

「あ、そうだ! 義姉上にお似合いの小道具があったんだった!」

 わざとらしく手を打ってニコラスが立ちあがり、部屋の隅の棚に行き、黒革の箱を手に戻ってくる。
 ごとん、とテーブルに置くと、びくり、とマリステラが身をすくめた。

「あ、あの……」
「じゃーん! みてみてー! 義姉上の大好きなおちんちんがいっぱいだよぉ?」
「ひっ」

 ごろりと並んだ真鍮製の淫具を目にして、マリステラの顔が引きつった。

「前には入れないでって言ってたけれど、コレならいいよねぇ? 義姉上はどれが好きかなぁ? 残念ながら、どれも僕たちのよりも小ぶりだから、淫乱な義姉上には物足りないかもしれないけれどぉ、まぁ、その分、咥えこみやすいからいいよねぇ。あ、これにしよっかぁ」

 ニコラスは適当な一つを手に取って、同じ箱から取りだした桃色の小瓶の栓を抜き、とぽとぽとまぶしていく。

「……あの、ニコラス、さま……っ」
「ん? わかっているって、もー、義姉上ってば、せっかちなんだからぁ。今、入れてあげるから!」

 大きくひらいた脚の間に淫具を差しいれ、狙いを定めたところで「いやっ」とマリステラが腰を引いた。

「おい、マリステラ。モデルが勝手に動くな」
「でもっ」
「動くな。仕置きされたいのか」
「……はい。ごめんなさい」
「んー、義姉上、いいこいいこ。さー、ニセちんちん入れてあげようね~」
「はい……っ、う、ぅうう」

 ニコラスの指がマリステラの花弁をひらき、ぬるりぬるりと媚薬にまみれた真鍮の雄の切先が割れ目をなぞり、ぐちり、と蜜口に押しあてられる。
 そして、ゆっくりとゆっくりと、ふくれた先端が赤い媚肉を押しひろげ、奥へ奥へと埋めこまれていく。
 ふ、ふ、と息を乱すマリステラは、それでも、指定されたポーズを崩すまいとこらえていた。
 けれど、ニコラスの手元に、こつん、とどこかに突き当たった感覚が届いたときには「んんっ」と甘い呻きがもれて、かくん、とマリステラの腰が逃げるように後ろにそれた。

「……おい、動くなと言っただろうが」
「ご、ごめんなさいっ」
「まあまあ、ロビン兄さん、気持ちよくって腰が動いちゃうんだから、しかたないじゃないか」
「ちっ、仕方ない。尻を振るくらいなら許してやるが、へたりこむようなことがあれば仕置きだからな。頑張れよ」
「っ、は、はいっ、がんばります!」

 こくこくと頷く少女の必死な形相にニヤリと笑いながら、ロバートはニコラスに声をかけた。

「おい、コリン、動かすなら、後ろにまわってやれ」
「はいはい。モデルさんが良く見えるようにね」

 ニコラスはテーブルを周り、マリステラの背後から手を伸ばして細い脚の間から飛びでた淫具の持ち手をつかみ、その下のクランクハンドルに手をかけた。

「あ、あの、そのハンドルは?」
「んー、これさぁ、ただの張り形じゃなくて、ぜんまい細工になってるんだよ」
「えっ」
「どれがどう動くのかは、僕らも知らないんだ。楽しみだねぇ、義姉上? 全部、試してみようねぇ?」
「っ、ぜ、ぜんぶ……!?」
「だいじょーぶ、だいじょーぶ、義姉上、意外と丈夫だから」

 けらけらと笑うとニコラスは、ぐるりとハンドルを回しはじめた。

「――ひっ」

 びくん、とマリステラの身体が震え、ハンドルを回すニコラスの手に、きゅっと抵抗が伝わる。

「あはは、義姉上、締めつけすぎだよぉ。なに? どんなふうに動いたの?」

 ニコラスの問いにマリステラは荒い息をこぼしながら、首を振る。

「教えてくれないと、次にいけないでしょ~? ほら、どんなふうに動いてるのか、教えて?」

 敏感過ぎる少女の反応に笑いながら、ニコラスはハンドルを回す手はとめぬまま、持ち手を握る手を上下に動かした。
 はじめのうちはギチギチときつそうだったが、抜き差しをくりかえすうちにスムーズになっていく。
 喘ぎに混じって、じゅぷじゅぷと響きはじめた水音は、彼女のそこが雄をもとめて蜜をあふれさせていることを能弁に伝えている。

「すっごい音。わっ、ねぇ、義姉上。僕の手にまで垂れてきて、ぐちょぐちょになってるよ? ほら、早く、答えろってば!」
「んんっ、あ、ひゃっ、あぁっ」

 ぐちゅん、ぐちゅん、ぐちゅん、と大きく引き抜いて奥までつきさすのを三度繰り返すと、白い太ももがグッとこわばり、ブルブルと痙攣する。

「あ、イッちゃいそう? ダメダメ、答えてから」

 ニコラスは薄笑いを浮かべ、張り形をぬけおちる寸前まで引きぬいた。
 あ、と切なげな吐息をこぼし、マリステラが身を震わせる。
 そのまま、ハンドルを回すと、蜜口を押しひろげ、浅くかきまわすようにして、ぐいんぐいんと張り形の半ばから先がしなるように回転するのが見えた。

「はは、こんな風になっていたんだな。なぁ、マリステラ。中を掻きまわされて気持ちよかったか?」
「っ、は、はい」
「そっか、じゃあ、次ね」
「えっ」

 ぶちゅんと引きぬかれ、ごろんとテーブルに転がる淫具を、虹色の瞳が未練がまし気に追う。
 
「もー、義姉上ったら、欲しがりさんだなぁ。心配しなくても、次があるって」
「っ、べ、別に、欲しがってなど……」
「今度は、きちんと答えてねぇ。でないと、ずっと寸止めで終わらすから」
 
 適当にとった二本目の淫具に、とろりと媚薬をまぶしながら、ニコラスは満面の笑みで宣告した。
 
 
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

校長室のソファの染みを知っていますか?

フルーツパフェ
大衆娯楽
校長室ならば必ず置かれている黒いソファ。 しかしそれが何のために置かれているのか、考えたことはあるだろうか。 座面にこびりついた幾つもの染みが、その真実を物語る

【R18】淫魔の道具〈開発される女子大生〉

ちゅー
ファンタジー
現代の都市部に潜み、淫魔は探していた。 餌食とするヒトを。 まず狙われたのは男性経験が無い清楚な女子大生だった。 淫魔は超常的な力を用い彼女らを堕落させていく…

騎士団長様、ぐちゃぐちゃに汚れて落ちてきて

豆丸
恋愛
  騎士団長が媚薬を盛られて苦しんでいるので、騎士団の文官ソフィアが頼まれて、抜いてあげているうちに楽しくなっちゃう話。 

【R18】ダイブ〈AV世界へ堕とされたら〉

ちゅー
ファンタジー
なんの変哲も無いDVDプレーヤー それはAVの世界へ転移させられる魔性の快楽装置だった 女の身体の快楽を徹底的に焦らされ叩き込まれ心までも堕とされる者 手足を拘束され、オモチャで延々と絶頂を味わされる者 潜入先で捕まり、媚薬を打たれ狂う様によがる者 そんなエロ要素しかない話

淫魔の花嫁(ただし8人目)

無芸百逹
恋愛
ーー愛したヒトは、アクマでしたーー   あかねは恋をした。 ふたつ年上の女性に、恋をした。 思いを伝える勇気はない。 甘い妄想に耽り、自らを慰める日々。   だが、愛したヒトはアクマだった。 そのアクマは囁いた。 「私とずっと…えっち…しよ…?」       ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー ※ご注意ください ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー ・この話はふたなりさんがいちゃいちゃせっくすをするだけの読み物です。 ・登場するふたなりさんは基本的に爆乳巨根です。 ・後々男の娘が一人出ますが、他の登場人物は全てふたなり女性になります。 ・序盤は比較的マイルドな描写になります。 …が、徐々に ・大量の体液を伴う激しい性描写が多数含まれます。 ・「♡ 」、「アヘオホ」、「獣声」等の下品な描写が多数含まれます。 …むしろそんなのばっかりになる予定です。 苦手な方はご注意下さい。 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー ※それでも興味をお持ち下さった変態な神様へ ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー 「刺さる人にだけ刺されー! めっちゃ刺されー!」 と願いながら書いています。 童貞……じゃなかった処女作なので、至らぬ所等あれば、ご指摘頂けると嬉しいです! もし「実用性があったなぁ」と感じて頂けたなら、それが一番嬉しいです!

中でトントンってして、ビューってしても、赤ちゃんはできません!

いちのにか
恋愛
はいもちろん嘘です。「ってことは、チューしちゃったら赤ちゃんできちゃうよねっ?」っていう、……つまりとても頭悪いお話です。 含み有りの嘘つき従者に溺愛される、騙され貴族令嬢モノになります。 ♡多用、言葉責め有り、効果音付きの濃いめです。従者君、軽薄です。 ★ハッピーエイプリルフール★ 他サイトのエイプリルフール企画に投稿した作品です。期間終了したため、こちらに掲載します。 以下のキーワードをご確認の上、ご自愛ください。 ◆近況ボードの同作品の投稿報告記事に蛇補足を追加しました。作品設定の記載(短め)のみですが、もしよろしければ٩( ᐛ )و

【R-18】『対魔のくノ一・ナツキ』~人間、忍者、魔物から犯され、セックス依存になるまで堕ちる少女~

文々奈
恋愛
 くノ一として類い希な素質を持った少女ナツキは、自身の力の大きさゆえに、大きな力を持った敵を引き寄せてしまう。  人間からは姑息な手段でレイプされ、同業である忍者からは淫らな術に嵌められて、人外の獣からも犯されてしまう。  そんな犯されまくりのナツキであるが、陵辱の無副産物で無駄にレベルの上がった性の技巧を武器に、くノ一としてぐんぐん成長していく。  第1章 始まりの章  くノ一になりたてのナツキが、肉の塊のような政治家の暗殺に失敗して、後日犯されてしまう話。 『弱肉強食のいい時代だね。もっと、もっと獣的な時代ニビィギィヤッ!?』 「弱肉強食、……ね。より強い力に葬り葬られたのなら本望よね?」  ――後日 「くノ一無勢がルームメイドなんぞに化けおって!」  ヂュブッ、ヂュブオッ、ヂュブッヂュボオオッ! 「うっ、う゛、あ、あっ、あぁあ、あ、くっ、や、やめっ! う、あぁ!?」  第2章 忍の章  女友達であるエリナ、その彼氏である榎本くんから無理やりキスされ、写メを撮られ、それをネタに言いなりにさせられてしまう。その後、AVにまで出演させられてしまう話。  第3章 決戦の章  この国を牛耳る政治家(淫魔)が主催する淫武御前トーナメント。  その大会に出場することとなったナツキは、忍びでも淫魔でもない男達にまで陵辱されてしまう。挙げ句想い人まで寝取られ、踏んだり蹴ったりな目に遭ってしまう。  大会の中で明らかになっていく事実。淫魔の狙い、淫魔を作り出した黒幕の存在も明らかになっていく。  淫魔と忍びの戦いはクライマックスを迎える。  挿絵がある回は、タイトルに<挿>と表記します。  エロの多めな回は♥と表記します。

孕まされて捨てられた悪役令嬢ですが、ヤンデレ王子様に溺愛されてます!?

季邑 えり
恋愛
前世で楽しんでいた十八禁乙女ゲームの世界に悪役令嬢として転生したティーリア。婚約者の王子アーヴィンは物語だと悪役令嬢を凌辱した上で破滅させるヤンデレ男のため、ティーリアは彼が爽やかな好青年になるよう必死に誘導する。その甲斐あってか物語とは違った成長をしてヒロインにも無関心なアーヴィンながら、その分ティーリアに対してはとんでもない執着&溺愛ぶりを見せるように。そんなある日、突然敵国との戦争が起きて彼も戦地へ向かうことになってしまう。しかも後日、彼が囚われて敵国の姫と結婚するかもしれないという知らせを受けたティーリアは彼の子を妊娠していると気がついて……

処理中です...