黒衣の魔道士

オレンジペコ

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第二部番外編 シュバルツ×ロイドの恋模様

19.狐と狸⑤

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「ロイド!」

シュバルツは王宮内を走り回ったが、父の言っていた部屋がどこにあるのかなかなか見つけることができなかった。
自室には姿がなかったから、絶対にそちらにいるはずなのに……。

「ダート!お前の主人はどこにいる?!」
【ロイド様は今お取込み中だ。邪魔をするな】
「何それ?!無事ってことでいいのか?!」
【まあな。そう急がずとも、あとで満足して差し上げれば良いのではないか?】

そんな返事にイライラばかりが募ってくる。

「こんな時にふざけるな!ロイドの一大事なんだぞ?!」

いつもつれなく素っ気ないのは仕方がないが、主のピンチの時くらいもっと焦ってもいいのではないだろうか?
そう思って涙ながらに駆け回っていると、そこに王である伯父の姿を発見した。

「伯父上!」

その姿にホッと安堵しついつい大きな声で呼び掛けてしまったのだが、トルテッティの王は嫌がることなくそのままシュバルツへと笑みを浮かべた。

「おお、シュバルツか?暫く見ない間に立派になったなぁ」
「ありがとうございます!それよりも父上が悪さをしている部屋をご存じないですか?私の恋人が連れ去られたんです!ものすっごく魅力的なので目を離した隙に誰かに手籠めにされてそのまま奪われたらと不安なんです!そんなことになったら国を巻き込んででも全力で父上を潰したくなります!助けてください!」
「お、落ち着け。大丈夫だ。ミシェルは最初もっと凄くあくどいことを考えておったようだが、儂がちゃんとマシなように修正しておいた。早々酷いことにはならんだろう」
「本当ですか?」

その言葉に少しだけホッとする。

「もちろんだ!最初は洗脳して媚薬漬けにした後、鎖に繋いで無抵抗な状態で兵士達を使って強姦させればいいとか言っておったんだが、それはさすがに可哀想だから可愛いメイドを5人くらい与える程度にしてはどうだと言っておいたぞ?ほら、安全だろう?」

はっはっはっと笑いどうだとばかりに王は言うが、言ってる内容が酷すぎる。

「それはありがたかったですが、その時点で止めてくださいよ!」

いくらなんでも人の恋人に対してそれはない。

「いや、ミシェルは言い出したら聞かん奴だからな~。まあいいじゃないか。百人以上の屈強な男に襲われたらいくら黒魔道士とは言え身が持たなかっただろう?それに比べればこれくらい大したことではない。子供でもできたらシュバルツも諦めがつくんじゃないかと言ってやったら一発だったぞ?これで良しとしてくれ」
「~~~~っ!」

(酷い!)

まともに応援してくれる身内がいなくてまた泣きたくなる。
けれどそう言えばここでの黒魔道士の扱いなんてそんなものだったと思い出した。
すっかり忘れていたが、自分だってここに住んでいた時は『黒魔道士=奴隷のようなもの』認識だったのだから、この発言自体そんなにおかしくはないのかもしれない。
きっと今のこの国の黒魔道士の扱いは、クレイだけが特別『手を出してはマズい黒魔道士』で、それ以外は従来通りの認識に過ぎないのだろう。
とは言え伯父の配慮で随分助かったのは確かなので感謝の言葉を口にして涙を拭い、ロイドがいるはずの部屋を教えてもらった。




「ロイド!」

そうしてやっとの思いで辿り着いた部屋を前に思わず唖然としてしまった。
そこにはロイドの姿はなく、天井から伸ばされた縄に両手を繋がれた全裸のメイド達がいたのだが、全てが放心状態で放置されていたからだ。

「おいっ!しっかりしろ!ロイドを知らないか?」

一体何があったのかは知らないが、とにかく今はロイドが優先だと思い彼女達を正気に返す。
けれどそんな自分の背後から自分が探し求めていた相手の声がして、驚いて飛び上がってしまった。

「シュバルツ。遅かったな」
「ロイド!」

そこには元気そうなロイドの姿があり、ホッと安堵の息を吐く。
どうやら無事だったようだ。

「ロイド…ごめん。父上が…!」

そうして涙ながらに謝る自分をロイドはそっと腕の中に包みこみ優しく頭を撫でてくれた。

「なんだ?お前の父親は私を退屈させないよう遊びを用意してくれただけだろう?お前が泣くようなことなど何もない」
「でもっ…!」

────そんなわけがない。
そんなわけがないのに、ロイドはあくまでもこれは遊びだと言い切ってくれる。

「大丈夫だ。それにさっき、この部屋の玩具はすぐに使い物にならなくなって満足できなかったから早々に帰ると本人に挨拶がてら伝えてきた。もう用はすんだからいつでも帰れるぞ?」

そうして笑うロイドに思わず『え?』と驚き顔を上げる。
それは一体どういうことだろう?
そう思っていると背後のメイド達が甘く声を上げた。

「ロイド様…戻ってきて下さったのですね?早くもっと愛して下さいませ」
「はぁ…ロイド様ぁ…お慕いしておりますぅ…。体が熱くてもう待てません…!」
「私も…もっと可愛がってくださいぃ…。頑張ってご奉仕いたしますからぁ…」
「ロイド様…なんでも致しますから、早くご褒美を私にくださいませ…」
「ロイド様ぁ…シュバルツ様より私達を愛してください…!お願いしますぅ…」

そうして口々にうっとりとした表情やら切ない表情で告げてくる彼女達にイラッとする。
その姿は縄で拘束されていなければにじり寄ってきそうなほど欲情してしまっていて、まるで何かありましたと言わんばかりだ。

「ロイド?」
「なんだ?」
「まさか……」
「抱いてはいないぞ?面倒だから5人纏めて可愛がってやっただけで、互いに互いで慰め合うよう仕向けたし楽なものだ。時間を掛けなくても然程苦もなく全員落ちたぞ?」

すぐに落ちてつまらない遊びだった。これなら10人いても余裕だったなと笑うロイドにプルプルと体が震える。

「この、浮気者────っ!」

そうして激怒した自分にロイドは飄々と笑うのだ。

「お前の父親が用意した女達だろう?」
「~~~~っ!」

それはそうだが納得がいかない。
助けに来たはずなのに、これでは単にいい思いをしていただけなのではないだろうか?

(私の婚約者なのに!)

「くそっ!悔しい!」
「なんだ?他の男にレイプされていた方がよかったとでも?」

けれど憤る自分にサラリと投げ掛けられたそんな言葉に、思わず動きを止める。
それは先程伯父から聞いた内容ではないだろうか?

「ふっ…クレイから情報を得た後即動いてな、眷属が情報を持ってきてすぐトルテッティの王に弟の暴走を食い止めるよう暗示を掛けておいたんだ。その結果あまりにも軽い結末になって少々呆気なかったが…まあお前としては良かっただろう?」

確かに男相手よりも女相手の方がずっといいのはいいが……。

「狡い…」

やはり思った通りロイドは全て承知でここまできていたのだ。
挨拶のためなんて言っておきながら、最初から…全部知っていて、すべてを終わらせるためにここに来た。
それを思うと一人浮かれていた自分が馬鹿みたいだった。
結局はそんなことも話してもらえないほど頼りにはしてもらえていなかったということで、それが酷く悲しくて仕方がなかった。

(ロイドの中では結局まだまだ子供としか見てもらえていないんだ……)

けれどそんな風に落ち込む自分にロイドは優しく声を掛けてくる。

「お前が気付かないうちに全部終わらせようと思っていたんだが…すまなかった」

はっきり言ってそんな気休めは更に傷つくだけだ。

「どうして黙ってたんだ…?」

言ってくれればよかった。
こんな風に勝手に始末をつけようなんてしてほしくなかった。
ただ守られるだけの存在なんて子供だと言われているようなものではないか。
そうして言葉を飲み込み悔し涙を浮かべる自分にロイドはクスッと笑う。

「馬鹿だな。これは狐と狸の化かし合いだ。楽しい遊びにお前の入る余地など最初からない」
「~~~~ッ!」

こうしてグサグサと言葉を刺してくるところはやっぱりいつものロイドだ。
けれど続く言葉に思わず顔を上げてしまう。

「どうせお前のことを好きになった時点で決まっていた遊びだ。お前と別れられないならお前の父親との衝突は避けられなかった」
「…………」

サラリと告げられたので本人は意識していなさそうだが、これは慰めの言葉というよりは愛の言葉ではないだろうか?
そうしてドキドキとしていたのだが、続く言葉に思わず首を傾げてしまう。

「大体クレイに忠告されるまでもなく、お前だってアベルが来た時点で予想がついただろう?父親の溺愛ぶりに最初は思わず笑ったぞ?」
「え?」

アベルが来た時点で────とは?
一体何のことだろう?

「なんだ、本気で気づいていなかったのか?『私の天使』なんて自分の息子に使う父親、親バカ以外の何物でもないぞ?」

ハハッと楽し気に笑い、『お前がどうしていつまでもお子様を卒業できなかったのかが少しわかった』とまで言ってこられ、あまりの恥ずかしさに赤面してしまった。
まさかあの言葉が自分のことを指していただなんて思いもしなかったからだ。

「まあ私は親孝行をするお前も好きだし、二面性のある性格も好きだ。どんなお前も好きだから、安心してこれからもソレーユで暮らせばいい」

そう言って笑ってくれたロイドの言葉に思わず胸が締め付けられて、どうしようもなく好きな気持ちが溢れてしまった。

ロイドは本当に今回の件をこれっぽっちも怒っていなかった。
怒っても全然不思議でもなかったし、婚約解消を言い渡されてもおかしくはなかった。
それなのにこれは遊びだと言い切り、何も心配することなどないと言ってくれた。
しかも安心させるように沢山好きだと言ってくれた。
そんな風に『側に居ていい』と言ってくれるロイドが愛しくて仕方がなくて、思わずギュッと強く抱きついてしまった。

「ロイド…好き……」
「そんなもの、とっくに知っている」

どうしたらこの男に頼ってもらえるほど成長できるのだろう?
もっともっと頼れるほど成長したい。
男として釣り合うようになりたい。
今あげられるものがこの気持ちだけというのが何とももどかしくて、ただただ気持ちのままに言葉を紡いだ。

「ロイド……誰よりも愛してる」
「……そうだな。私も同じだ」

けれど返ってきたその言葉に、思わず聞き間違いかと目を丸くしてしまう。
こんな風に間接的にでも『愛してる』と言ってくるなんて……初めてではないだろうか?

今の言葉がとても信じられなくてそっと顔を上げると、フイッと顔をそらし何事もなかったかのようにするりと腕から抜け出してしまったが、よく見ればその耳はほんのりと赤く染まっていたので、どうやら聞き間違いではなかったのだろう。

(え?えぇえっ?!)

それは本当に衝撃的で────。

「ロイド!熱はないか?!そうだ、薬!薬のせいだよね?!やっぱり影響あったんだよね?!気づかなくて本当にゴメン!すぐに解毒するからジッとして!」

そうやって謝り倒して解毒魔法を掛けたのに、何故だかロイドからは思い切り怒られてしまった。

「この馬鹿!」
「ちょっ…!待ってよ、ロイド!」

だいぶわかるようになってきたけれど、それでも未だに掴み切れないロイドにやきもきしながら、結局そのまま二人でトルテッティを後にしたのだった。




ソレーユに戻ると甘い空気など微塵も感じさせぬまま、ロイドはすぐさま自室へと戻り眠ってしまったようだった。
とは言え疲れもあるだろうという後ろめたさもあったので、シュバルツは渋々引き下がりこの日は一人横になった。
けれど横になって思い返されるのは先程のロイドの言葉の数々だ。
たとえ薬のせいだったとしても、あんなことを口にしてもらえた事が嬉しくてついつい何度も反芻してしまう。

(ロイド…浮気しても本命は私だって己惚れてもいいかな?)

そして明日は機嫌が直ってるといいなと思いながら、そっと幸せな気持ちで瞼を閉じた。




翌朝どこかツンツンしたロイドに連れられてライアードの元へと向かうと、「来たか」とばかりに笑顔で出迎えられた。

「シュバルツ殿。昨日父上と兄上に相談し、シュバルツ殿さえ良ければこの国の専属魔道士として迎えたいと意見が纏まったのだが、どうだろうか?」

そのあまりにも突然の話に思わず瞠目してしまう。
そうして驚く自分に、ライアードはこの一年におけるソレーユでの自分の実績を話し始めた。

ロイドの魔法開発の補助による新魔法開発への多大なる貢献。
ミシェルや周囲に対する積極的な回復魔法の行使。
王子妃であるシリィへの精神的負担の軽減。
王宮白魔道士に対する的確な指導と能力の底上げ。

その全てが素晴らしいとの評価を得たとのことだった。

「この話はできればトルテッティの王族としてではなく、一個人としてのシュバルツ殿への話だと思っていただきたい」

このことは自分の立場に関係なく、個人への評価なのだとライアードは言ってくれた。
それは昨日の父からの言葉を上書きしてくれるほど嬉しい言葉で、意図していなかったとしても王族ではない個人としての自分をちゃんと見てもらえたのだと胸が熱くなってしまった。

「ありがとう…ございます」

この話を受ければ自動的にソレーユでの自分の居場所は恒久的に確定する。
その立場はただの一魔道士の婚約者や遊学中の他国の王族などと言ったものとは大きく違い、絶対的な立場だ。
安定した椅子とでも言えばいいだろうか?
当然そこには責務や義務も生じるが、それもまた自然と受け入れられるような気がした。
これまで培った自分の白魔道士としての実績が確かに自分を支えてくれているのだ。
怖じける必要などどこにもない。

「謹んでお受けいたします」

そうして心からの感謝を込めて礼を取ると、ライアードはクスリと笑いながら礼ならロイドに言ってほしいと言ってきた。
どうやら最初に提案したのはロイドだったらしい。

「シュバルツ殿のこれまでの功績を示せば簡単な話だ。これで二人のトルテッティ行きが阻止できるなら、私が動かないわけがあるまい?」

ライアードのその言葉にロイドの方を見ると、ロイドは満足そうに静かに笑っていた。
本当に泣きたくなるほどフォローが完璧な男だ。
悔しいがまだまだ自分はロイドには勝てそうにない。

「さて、では私は了承を得たと父上に知らせてこよう」

そうしてすぐさまサインをした書類を手に動き出すライアードに、ロイドもまた追従する。

「では私はトルテッティの使者の方へご説明を」
「ロイド。そちらは後から私が説明に行くぞ?」
「いえ。あまりお忙しいライアード様の手を煩わせるのも申し訳ありませんので」
「脅すなよ?」
「フッ…勿論です」

二人のやりとりが地味に怖い。
そしてロイドはこちらには目もくれずすぐさま行ってしまった。
慌てて追いかけようとするが、何故かライアードに止められてしまう。

「ライアード様?」
「シュバルツ殿、昨日ロイドと喧嘩でも?」
「え?」
「今の態度を見る限りかなり機嫌が悪そうなので、早めに仲直りをしていただけると助かります。ああ見えてロイドは私的なことで怒っているとかなり年相応に子供っぽくなるので」

そうしてクスリと笑って去って行くライアードの背中を見つめ、混乱する頭で一生懸命考えたが結局昨日のことが原因だろうと思いつつも何が悪かったのかがさっぱりわからずウンウン悩む羽目になった。


***


ロイドは機嫌が悪いながらも仕事だと気持ちを切り替え、トルテッティの使者達の元へと向かった。

「おや、ロイド殿」

そこには明らかに黒魔道士を見下したような使者がいるばかり。
そんな彼らににこやかにこの言葉を口にする。

「お務めご苦労様です。後程詳細を記した陛下からの書状も届けられるとは思いますが、まずは我が主ライアード王子からの言伝をお伝えいたしたく」
「おや。昨日ミシェル王子から準備に時間を要するので我が国へ来るのは暫くの猶予をとご連絡を頂いていたのですが……いやはや主に我儘でも言ってごり押しされたのですかな?ははっ、我々としてはお役目を全うできるので別に構いませんが」

そして皆で内心が透けるように笑い合う。
どうやら自分がわざわざ我儘を押し通し、金目当てでトルテッティ行きを早めようとしにきたとでも思い込んだらしい。
そんな彼らに思わず笑い出したくなる。

「いいえ。しかし貴国にとっては非常に誉れ高い話でしょう。国と国を繋ぐ非常に素晴らしい話だと私も思いますので」
「ほう?と、言いますと?」

一体何を言い出すのかと皆がこちらへと注目してきたので、フッと笑いながらも恭しく続く言葉を口にした。

「この度シュバルツ様はこれまでの功績を認められ、我がソレーユ国専属魔道士としての地位を賜ったと…お伝えに参りました」
「……は?」

今なんととトルテッティの使者達が思わず目を剥いた。

「はい。貴国のシュバルツ様がこの度正式に我が国の専属魔道士として迎えられることとなりました。つきましてはいついかなる時も国を支えるべき立場として、これ以降これまで以上にソレーユの王宮にて大切に優遇させていただくこととなりました」
「そ……そ、それはつまり?」
「はい。申し訳ありませんが、国の定めた立場故、シュバルツ様と私の今回のトルテッティ行きは辞退させて頂くこととなりました。私には勿体ないほどご配慮いただいたお話にも関わらず本当に申し訳ございません。今回の場合は一介の魔道士である私よりシュバルツ様のお立場が優遇されます。白魔道士は影渡りもできませんので、ソレーユサイドに留まる事は仕方のないことと御了承下さい。急なことゆえ王弟殿下にもお詫び状を送らせていただくと共に、追って今回のお祝いをお贈りさせていただく所存です」

あくまでも国が決めたことだと前面に押し出し、内心で舌を出しながらも困ったように頭を下げる自分に目の前の男たちは言葉もなく立ち尽くしていた。

「では、確かにお伝えいたしましたので私はこれで失礼いたします」

そうして優雅に頭を下げてサッサと踵を返す。



彼らの呆気にとられた顔は実に爽快だった。
これで昨日の溜飲も少しは下がろうというものだ。
専属魔道士の地位はかなり名誉なもので、他国の王族がその地位に就くのは正直珍しいと言える。
下手をすると他国の内政干渉に繋がりかねないからだ。
けれどそれを『外交に力を入れ、他国にも認められているソレーユの王』が認めたということに大きな意味がある。
シュバルツはそれだけ王の信頼を得た人物として認められているということだからだ。
だからこそトルテッティの誉れにも繋がるため文句など安易には言ってこられない。
そしてシュバルツ本人が辞退しない限りは他者が介入してやめさせることなどできはしない。

これを聞いた王弟は恐らく地団太を踏むことだろう。
最早自分の手が届かなくなった我が子を指を咥えてみていることくらいしかできはしないのだから。

(ふっ…やられたらきちんと報復はしておかないとな)

以前クレイを専属魔道士に推挙しようとミシェルが動いたことを思い出し、ならばシュバルツでもいけるだろうと思ったのは間違いではなかった。

これこそあの王弟に対する最大の仕返しだとほくそ笑みながら、ロイドは主の元へと満足げに戻っていったのだった。


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