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第二部番外編 シュバルツ×ロイドの恋模様
6.※恋煩い(前編)
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「あ…あぅッ…!はぁ…ッ!」
荒い息を吐きながら、ロイドは自分を組み敷く男を切なく見遣る。
そこに居るのはいつも小犬の様に自分を見つめる男。
けれど────この夢の中ではうっとりとしながら自分に優しく微笑み、自分の望むままに与えてくれる男。
「はぁ…シュバルツ…。も、このままイカせて…」
久方ぶりの逢瀬はどこまでも自分を酔わせ溺れさせていく────。
「いいよ。このまま奥まで突かれるの…大好きだもんね?」
「あぁああぁあ────ッ!」
ビクビクと身体を震わせ一気に高みまで駆け上がるのは最高に気持ち良くて、声を我慢することなく背を反らせ快楽に沈んだ。
「あ…あぁ…」
ヒクヒクと余韻に浸りながら、そっと隣に寄り添ってくれたシュバルツの温もりに身を寄せ、情欲の滲んだ声でそっと名を紡ぐ。
「シュバルツ…。はぁ…。もっと…」
すると夢の中だけの恋人が優しく抱きしめながらサラリと頭を撫で、そのまま口づけを落としまた好きな体位で犯してくれる。
「あっあっ…!そこ…ッ、弱ッ…!」
「うん。知ってる。弱いよね?」
そう言いながらも強弱をつけながら抉るように腰を振られてたまらなく気持ち良くて嬌声を上げた。
「あぁっ!そこ好きッ!イク────ッ!!」
そんな風に叫んでしがみついてもこのシュバルツはどこまでも慈しむように自分を見つめてくれる。
そんなシュバルツに嵌りそうな自分が怖い。
ともすれば現実のシュバルツにまで甘えてしまいそうで…これ以上は危険だと言う気にさせられた。
(大体…なんでも言うことを聞いてくれるところは同じなくせに、あの余裕のある表情にやられるんだ)
夢の中でシュバルツと交わった日の翌朝は大体すっきりした目覚めが待っている。
充実した満足感と安堵感からの目覚めとでもいうのだろうか?
いつもの朝よりも気分がいい。
あんなシュバルツに夢で会えるのは極僅か。
ここ半年程の間で何度か会ったが、ここ最近は月に一度あるかないかだ。
夢だからまあそんなものだろうと思う。
けれどそんな逢瀬が5回を超えてくると、どうしても現実のシュバルツと比較してため息が出てきてしまう。
正直あちらの方が物凄く好みなのだ。
望めば望むだけ自分の要求を呑んでくれるし、どんな自分も受け止めてくれる。
現実のシュバルツには無理難題な事だって、夢なら頼めばやってもらえるし、何より結構強引で熱烈に求めてもらえるのが嬉しい。
しかも探究心が旺盛な所も好ましいし、あのシュバルツなら道具遊びだって付き合ってもらえそうなのだ。
(次に会えたら本気で強請ってみようか…)
どこまでも快楽の追及に付き合ってもらい望むままに溺れあいたい。
(まあ都合のいい夢だし、理想の恋人になるのも当然か)
「はぁ…」
そんな事を考えていると思わず大きな溜息を吐いてしまった。
それを現実のシュバルツが相変わらずの子犬のような顔で見咎めてくる。
「ロイド?」
暗にどうかしたのかと言ってくるが、夢のシュバルツにもう少し浸りたくて、思わず不機嫌な声を出してしまう。
「なんでもない。話しかけるな」
どことなく後ろ暗くて、つい冷たい態度になってしまったのは仕方がない。
「今日はもう仕事に行ってくる」
「えっ?朝食は?」
「いらない」
これ以上小犬のシュバルツと話したくなくて、ロイドはそのまま主人の元へと向かった。
***
(ロイド…)
シュバルツは恋人の消えた扉を見つめながら、遣る瀬無い思いを抱えていた。
ロイドと恋人同士になってから随分経つが、自分達の関係は相変わらずだ。
閨には慣れたが最近マンネリな気がする。
だいぶ自分とのセックスに慣れたからか、ロイドはいつだって余裕でこちらを翻弄しリードしてくれるようになった。
最初の頃の余裕のなさが鳴りを潜めたと言ってもいいだろう。
なんだか一方的に気持ちよくさせられているようで、正直モヤモヤしてしまう。
ロイドは激しいのが好きだからもっと激しくこちらが攻めればいいのだろうが、夢現で酔わせる時の自分に気づかれたら…と言う思いがストッパーになって、どこかで遠慮してしまい悪循環に陥ってしまった。
あの時に覚えたロイドが好きな体位ができないのも辛いところ……。
一体どうすればいいのか…。
夢現のロイドは本当に可愛いし、それ以上にどんどん妖艶さを増していく。
自分に酔いながら、こうして欲しいああして欲しいと言いながら誘うように強請ってくれる事すらある。
あんなロイドは現実では絶対に見せてもらえないだけに、こちらも嬉しくなって全力で応えたくなってしまう。
立ってするのも、際どい態勢でするのも全部気持ち良かった。
腕の中で乱れまくるロイドに夢中になる。
素直に縋られるのが嬉し過ぎてたまらない。
最初は夢の中でだけでも自分に甘えてもらって、少しでも溺れさせ夢中にさせてみたいと思っていたのに、気づけば溺れていたのは自分の方だった。
もう絶対にロイドから離れられないほど好きが溢れて、恋しい気持ちは増すばかり。
それなのに現実のロイドはいつまでもつれない。
その上先程の溜息だ。
マンネリ続きだし、飽きられたのではないかと不安になってしまう。
そうして溜息を吐いていると、自分につけてもらっているロイドの眷属が話しかけてきた。
【お前は本当に馬鹿だな】
痛烈なセリフがグサッと刺さる。
さすがロイドの眷属。
いつもながら容赦がない。
「ダート…酷い」
この眷属は初めて夢現でロイドを抱いた後つけてもらった眷属だ。
いちいち敷き布を換えるのに毎回ロイドを起こすのは申し訳ないと朝起きた時にポツリと溢したら、それなら好きに使えばいいと言ってそのまま貸してくれたのだ。
申し訳ないから自分も眷属を持とうかと口にしたのだが、恋人なんだから気にせず使えと言われそのままありがたく借りている状態だ。
【ふん。小細工をするからそういう目に合うんだろう?】
そう言いつつも、ダートはいつだって夢現でロイドとした後はシーツを変えて証拠隠滅を手伝ってくれる協力者だ。
本人は主であるロイドの為だと言う気持ちかららしいが、正直黙ってくれているのは有難い。
基本的にロイドの眷属もクレイの眷属と同じで、主人が良しとしていることに口出しはしないらしい。
「そんなことを言ってもロイドはプライドが高いし、ああでもしないと甘えてくれないだろう?」
小細工するなと言われても、現実のロイドが夢現の時のように自分に甘えてくれるなんて夢のまた夢だ。
だからバレないようにできるだけリスクを回避しながら現実は現実で頑張るしかないというのに……。
【そこは少し強引にでもロイド様の好きな体位に持ち込めばいいだけの話だ】
「だって急にそんなことをしたら疑われるだろう?」
【そこを自然な流れで持っていって楽しませるのが恋人だろう?お前が大人になれば済む話だ】
「ひどっ!精一杯やってるのに…」
そんな高度なことを今の自分にできるわけがない。
相手はあのロイドなのだから、バレるリスクの方が高すぎる。
けれどそれで身動きが取れなくなっているのだからどうしようもない。
「うぅ…最悪だ……」
このままでは冗談ではなく捨てられてしまいそうで泣きたくなる。
せめて夢の中でだけでもロイドとラブラブになりたい────そう思ったのが間違いだった。
それから暫くしてロイドが自分といる度にため息を吐き、夜も断られることが増えたのだ。
曰く、気分じゃない────と。
これまでそんなことはなかっただけに、冷や水をかけられたように頭が真っ白になった。
(え?なんで?)
そう思って何度目か断られたところで酒を勧めて酔わせてみた。
そこで理由を尋ねてみたが、ロイドはそんな気になれないだけだと言うばかり…。
けれどそのまま眠ったロイドをそっと起こして夢現状態にしてやったら、ロイドは変わらず自分に甘えて溺れてくれた。
「ん…シュバルツ…」
そっと首に腕を絡めて嬉しそうに口づけ甘く誘ってくるロイドを見ていると、嫌われた訳ではないんだろうとは思う。
もっとと強請られ好きなだけ与えてやっても機嫌を損ねることもないし、どちらかと言えば上機嫌とも言えるだろう。
それなのに現実は────。
「ロイド!」
「なんだ?」
自分と居てもどこかぼんやりしているし、まさに心ここに非ずな状態が増えた。
言葉だけではなく態度も冷たくなったような気がするし、もしかして誰か他に想う相手でもできたのかと思ってしまっても仕方がないだろう。
だからそう尋ねたのに、ロイドはクスリと笑って軽くかわしてしまった。
「なんだ。また嫉妬か?いつまで経ってもお前はお子様だな」
そしてクシャリと頭を撫でながら、どこか残念そうにこちらを見遣るのだ。
「クレイ!どう思う?!」
もう正直ロイドが何を考えているのかわからなさ過ぎて、嫌ではあったがロイドの一番の理解者にコンタクトをとり、最近ロイドが冷たいのだと相談してみた。
けれど返ってきたのは呆れたような溜息とありきたりな言葉だけだ。
「シュバルツ…ちゃんとロイドと向き合えよ」
「向き合おうとしても向き合ってもらえないんだ」
「…………」
「話を聞きたくて尋ねても『何でもない』の一点張りだし、夜誘っても断られるし、嫌われたのかと思って機嫌を取ろうとしても益々不機嫌になられるし…!」
「いや…だからちゃんと向き合って話し合えと…」
「だからそれができたら苦労はないんだ!」
あまりにもわかってもらえなくて思わず叫ぶようにそう言うと、クレイからはまた深々とため息を吐かれてしまう。
しかも続く言葉はあり得ないものだった。
「ロイドのため息はただの恋煩いだろう?お前がちゃんと捕まえていないから、この間とばっちりがきてロックウェルが怒り狂っていたぞ?」
そんな言葉に目を丸くする。
そんな話は初耳だった。
一体いつそんなことがあったのだろう?
ロイドがまた愚痴でも溢しに行ったのかと思い、一応今回の件にも関係があるのかもと詳細を尋ねることにした。
けれど物凄く言い難そうにしながら教えられたのは、衝撃的な内容で────。
どうやら黒曜石を袋一杯持ち込んで、仕事でいいからこれで抱いてくれないかとクレイに突撃したらしいのだ。
当然ロックウェルを怒らせるに至ったわけだが、何やら思い詰めた様子だったため詳細を聞いたのだと言う。
「理由は?!何て言ってた?!」
やはりクレイを忘れられないとかそういう類なのだろうかと勢い込んで訊いたのに、クレイはただため息を吐くばかり。
「だから、ただの恋煩いなんだ。あのロックウェルさえ、話を聞いて呆れたくらいだぞ?さっさと成長してロイドを満足させてやってくれ」
(意味が分からない!!)
けれどそれよりも何よりももっと気になることがある。
「クレイ……ロイドと寝たのか?」
今の話を聞くと、ロイドが今回プライベートではなく仕事として話を持ち込んでまでクレイに抱いて欲しかったとも取れて正直気が気ではなかったのだ。
友人とは寝ない主義とは言え、クレイはロイドに甘いところがあるし、確証はない。
仕事なら抱いてもいいとか言いだしそうな気がした。
「寝るはずがないだろう?俺は仕事は選ぶ主義だ」
だからその言葉にホッとしてしまう。
「クレイ。悪いが今度またロイドがそんな話を持ってきても絶対に受けないでくれ!」
念のためそう釘を刺すと、わかっていると軽く返されたが本当にわかってくれているのだろうか?
正直あまりあてにならない。
「うっ…ロイドに捨てられる…」
浮気未遂の発覚と先程の『恋煩い』の言葉に打ちひしがれて、一人になった部屋で居た堪れない気持ちになってしまった。
こうなってはもうなりふり構ってはいられない。
ロイドに突撃して直接問い質すしかないだろう。
このまま見て見ぬ振りをしていたら、きっとある日突然『お前に飽きた。もう他に好きな相手もできたしお前は必要ない。明日にでもトルテッティに帰れ』と言われてしまうだけだ。
そんなことを黙って見過ごせるはずがないではないか。
「ロイド!」
「なんだ?帰って早々きゃんきゃん吠えるな」
相変わらずの辛辣さに泣きたくなるが、ここで引き下がるわけにはいかず一気に本題に入る。
「今日クレイから聞いた。抱かれに行ったって本当なのか?」
「…………」
折角尋ねたのに、ロイドはソファに座りながらどこか不機嫌そうだ。
「私に飽きたのか?」
口にしたくはなかったが、ここで尋ねなければロイドの本心を話してもらえないような気がして、思い切って切り出してみる。
そうだと言われそうでロイドの方を真っ直ぐ見ることができず、ただ答えを待つように俯くことしかできない自分が情けなかった。
そんな緊張状態の中、ロイドの口からこぼれ落ちたのはやっぱり大きなため息で……。
「はぁ…。飽きたわけじゃないが…少し距離を置きたくなった。ただそれだけだ」
そうやってはっきり言われた言葉にショックを受ける。
「うっ…」
「泣くな。別に別れたいとは考えていない」
そうやって慰めの言葉をもらっても、カウントダウンが始まってしまったも同然の言葉だ。
「他に…好きな相手でもできた?クレイが恋煩いだって言ってた。相手はどんな奴?私が知っている相手なのか?」
悔しくて矢継ぎ早にそんな風に詰問してしまう。
こんな風に責め立てるのは余計に嫌われてしまうとわかっていても止められなかった。
「私より…ロイドを好きな奴なのか?!」
自分のこの想いよりも強い気持ちでロイドを好きな奴なんていない!
そうして思いの丈をぶつけるように言い放ったのに、ロイドはそんな自分を見つめて『頭を冷やせ』と言ってくる。
「少しは成長してきたと思ったが、まだまだお子様だな。……早く大人になってほしいものだ」
そう言って『今日は一人で寝ろ』とどこかへと行ってしまった。
こうなってはもう自分にはどうしようもない。
「うぅ…っ!」
シュバルツは、取り残された部屋でこれからどうしようと途方にくれながらただただ泣き続けた。
***
「はぁ…」
ロイドは部屋の外でシュバルツの泣き声を聞いていた。
正直苦い気持ちでいっぱいだった。
別にシュバルツが悪いわけではない。
ただ……もう少し大人になってほしいだけなのだ。
夢の中のシュバルツのようにもっと揺るぎない態度でどんと構えてくれていればそれでいいのに、こうして泣かれたり責められたりするとどうしても子供だなと思ってしまう。
そうなると益々夢の中のシュバルツが恋しくなって、現実のシュバルツと比べて溜息を吐いてしまう。
「恋煩い……か」
正直クレイ達にそんなことを言われるまでそんなことを考えることさえなかった。
恋心というのはクレイに対して初めて抱いた感情だったし、今のこの気持ちは言われて初めてそうなのか?と自覚した程度のもの…。
夢のシュバルツに溺れ始めて、自分は欲求不満なのかもしれないとふと思った。
けれど現実ではシュバルツと毎夜のように寝ていたし、体の欲求不満と言うよりは心の欲求不満なのかと考えた。
夢のシュバルツに会いたい。
抱かれてどこまでも満たされたい。
どこか焦がれるようにそんな思いが込み上げる。
だから身も心も満たしてくれそうな相手と他で寝たら、もう夢のシュバルツを思い出してため息を吐くこともなくなって、現実のシュバルツとちゃんと向き合えるかもと思ったのだ。
そう考えた時、相手はクレイしか思いつかなかったから思い切って相談しに行った。
そうしたら案の定断られたが、今回は以前とは違う理由だから仕事として受けてもらえないかと心情を吐露してみた。
そんな自分に最初は怒り狂っていたロックウェルにまでため息を吐かれ、クレイには困ったように微笑まれた。
「ロイド…。それはシュバルツに溺れたいと願うほど惚れてるということだろう?本当に気づいていないのか?」
「は?私があのお子様に?」
「ああ」
「それはないな。確かに身体の相性はいいが、ただそれだけだ」
そうやってバッサリ言い切ったが、クレイはそれは違うぞと言ってくる。
「だって夢の相手は俺や他の誰かじゃないんだろう?相手はシュバルツで、優しく溺れさせてもらえるんだろう?」
「…………」
「夢は願望が現れるからな。シュバルツに溺れさせてほしいからそんな夢を見るんだろう。素直になればいいのに……馬鹿なのか?」
ロックウェルまでため息を吐きながらそんなことを言ってきた。
そんな訳がない。
そう思うのに何故か言葉が出てこない。
けれど言われてみれば確かに一理あるように思えたので、少しだけ考えてみる。
夢の中のシュバルツは現実のシュバルツとは似ても似つかないが、確かに今感じているこの気持ちは恋心と言えるのかもしれなかった。
「ふん。まあなくはないのかもしれないが…それはあくまで希望だな。現実のあいつはお子様だし、到底夢のシュバルツには及ばない」
「ロイド……」
「取りあえず夢とのギャップが激しすぎてイライラするからやはりできるだけ距離を置いてみる。無理を言って悪かったな」
そう言って帰ってきたのは一昨日のこと────。
まさかこんなに早くそのことが耳に入るとは思っていなかった。
「ダート。シュバルツへのフォローを頼む」
【かしこまりました】
仕方なく、眷属に指示を出してそっとその場を後にする。
シュバルツの啜り泣く声はまだ止まりそうになく、さすがに先程の対応はまずかったと反省し、今日はそっとしてやってリーネの所にでも行こうかなと思った。
荒い息を吐きながら、ロイドは自分を組み敷く男を切なく見遣る。
そこに居るのはいつも小犬の様に自分を見つめる男。
けれど────この夢の中ではうっとりとしながら自分に優しく微笑み、自分の望むままに与えてくれる男。
「はぁ…シュバルツ…。も、このままイカせて…」
久方ぶりの逢瀬はどこまでも自分を酔わせ溺れさせていく────。
「いいよ。このまま奥まで突かれるの…大好きだもんね?」
「あぁああぁあ────ッ!」
ビクビクと身体を震わせ一気に高みまで駆け上がるのは最高に気持ち良くて、声を我慢することなく背を反らせ快楽に沈んだ。
「あ…あぁ…」
ヒクヒクと余韻に浸りながら、そっと隣に寄り添ってくれたシュバルツの温もりに身を寄せ、情欲の滲んだ声でそっと名を紡ぐ。
「シュバルツ…。はぁ…。もっと…」
すると夢の中だけの恋人が優しく抱きしめながらサラリと頭を撫で、そのまま口づけを落としまた好きな体位で犯してくれる。
「あっあっ…!そこ…ッ、弱ッ…!」
「うん。知ってる。弱いよね?」
そう言いながらも強弱をつけながら抉るように腰を振られてたまらなく気持ち良くて嬌声を上げた。
「あぁっ!そこ好きッ!イク────ッ!!」
そんな風に叫んでしがみついてもこのシュバルツはどこまでも慈しむように自分を見つめてくれる。
そんなシュバルツに嵌りそうな自分が怖い。
ともすれば現実のシュバルツにまで甘えてしまいそうで…これ以上は危険だと言う気にさせられた。
(大体…なんでも言うことを聞いてくれるところは同じなくせに、あの余裕のある表情にやられるんだ)
夢の中でシュバルツと交わった日の翌朝は大体すっきりした目覚めが待っている。
充実した満足感と安堵感からの目覚めとでもいうのだろうか?
いつもの朝よりも気分がいい。
あんなシュバルツに夢で会えるのは極僅か。
ここ半年程の間で何度か会ったが、ここ最近は月に一度あるかないかだ。
夢だからまあそんなものだろうと思う。
けれどそんな逢瀬が5回を超えてくると、どうしても現実のシュバルツと比較してため息が出てきてしまう。
正直あちらの方が物凄く好みなのだ。
望めば望むだけ自分の要求を呑んでくれるし、どんな自分も受け止めてくれる。
現実のシュバルツには無理難題な事だって、夢なら頼めばやってもらえるし、何より結構強引で熱烈に求めてもらえるのが嬉しい。
しかも探究心が旺盛な所も好ましいし、あのシュバルツなら道具遊びだって付き合ってもらえそうなのだ。
(次に会えたら本気で強請ってみようか…)
どこまでも快楽の追及に付き合ってもらい望むままに溺れあいたい。
(まあ都合のいい夢だし、理想の恋人になるのも当然か)
「はぁ…」
そんな事を考えていると思わず大きな溜息を吐いてしまった。
それを現実のシュバルツが相変わらずの子犬のような顔で見咎めてくる。
「ロイド?」
暗にどうかしたのかと言ってくるが、夢のシュバルツにもう少し浸りたくて、思わず不機嫌な声を出してしまう。
「なんでもない。話しかけるな」
どことなく後ろ暗くて、つい冷たい態度になってしまったのは仕方がない。
「今日はもう仕事に行ってくる」
「えっ?朝食は?」
「いらない」
これ以上小犬のシュバルツと話したくなくて、ロイドはそのまま主人の元へと向かった。
***
(ロイド…)
シュバルツは恋人の消えた扉を見つめながら、遣る瀬無い思いを抱えていた。
ロイドと恋人同士になってから随分経つが、自分達の関係は相変わらずだ。
閨には慣れたが最近マンネリな気がする。
だいぶ自分とのセックスに慣れたからか、ロイドはいつだって余裕でこちらを翻弄しリードしてくれるようになった。
最初の頃の余裕のなさが鳴りを潜めたと言ってもいいだろう。
なんだか一方的に気持ちよくさせられているようで、正直モヤモヤしてしまう。
ロイドは激しいのが好きだからもっと激しくこちらが攻めればいいのだろうが、夢現で酔わせる時の自分に気づかれたら…と言う思いがストッパーになって、どこかで遠慮してしまい悪循環に陥ってしまった。
あの時に覚えたロイドが好きな体位ができないのも辛いところ……。
一体どうすればいいのか…。
夢現のロイドは本当に可愛いし、それ以上にどんどん妖艶さを増していく。
自分に酔いながら、こうして欲しいああして欲しいと言いながら誘うように強請ってくれる事すらある。
あんなロイドは現実では絶対に見せてもらえないだけに、こちらも嬉しくなって全力で応えたくなってしまう。
立ってするのも、際どい態勢でするのも全部気持ち良かった。
腕の中で乱れまくるロイドに夢中になる。
素直に縋られるのが嬉し過ぎてたまらない。
最初は夢の中でだけでも自分に甘えてもらって、少しでも溺れさせ夢中にさせてみたいと思っていたのに、気づけば溺れていたのは自分の方だった。
もう絶対にロイドから離れられないほど好きが溢れて、恋しい気持ちは増すばかり。
それなのに現実のロイドはいつまでもつれない。
その上先程の溜息だ。
マンネリ続きだし、飽きられたのではないかと不安になってしまう。
そうして溜息を吐いていると、自分につけてもらっているロイドの眷属が話しかけてきた。
【お前は本当に馬鹿だな】
痛烈なセリフがグサッと刺さる。
さすがロイドの眷属。
いつもながら容赦がない。
「ダート…酷い」
この眷属は初めて夢現でロイドを抱いた後つけてもらった眷属だ。
いちいち敷き布を換えるのに毎回ロイドを起こすのは申し訳ないと朝起きた時にポツリと溢したら、それなら好きに使えばいいと言ってそのまま貸してくれたのだ。
申し訳ないから自分も眷属を持とうかと口にしたのだが、恋人なんだから気にせず使えと言われそのままありがたく借りている状態だ。
【ふん。小細工をするからそういう目に合うんだろう?】
そう言いつつも、ダートはいつだって夢現でロイドとした後はシーツを変えて証拠隠滅を手伝ってくれる協力者だ。
本人は主であるロイドの為だと言う気持ちかららしいが、正直黙ってくれているのは有難い。
基本的にロイドの眷属もクレイの眷属と同じで、主人が良しとしていることに口出しはしないらしい。
「そんなことを言ってもロイドはプライドが高いし、ああでもしないと甘えてくれないだろう?」
小細工するなと言われても、現実のロイドが夢現の時のように自分に甘えてくれるなんて夢のまた夢だ。
だからバレないようにできるだけリスクを回避しながら現実は現実で頑張るしかないというのに……。
【そこは少し強引にでもロイド様の好きな体位に持ち込めばいいだけの話だ】
「だって急にそんなことをしたら疑われるだろう?」
【そこを自然な流れで持っていって楽しませるのが恋人だろう?お前が大人になれば済む話だ】
「ひどっ!精一杯やってるのに…」
そんな高度なことを今の自分にできるわけがない。
相手はあのロイドなのだから、バレるリスクの方が高すぎる。
けれどそれで身動きが取れなくなっているのだからどうしようもない。
「うぅ…最悪だ……」
このままでは冗談ではなく捨てられてしまいそうで泣きたくなる。
せめて夢の中でだけでもロイドとラブラブになりたい────そう思ったのが間違いだった。
それから暫くしてロイドが自分といる度にため息を吐き、夜も断られることが増えたのだ。
曰く、気分じゃない────と。
これまでそんなことはなかっただけに、冷や水をかけられたように頭が真っ白になった。
(え?なんで?)
そう思って何度目か断られたところで酒を勧めて酔わせてみた。
そこで理由を尋ねてみたが、ロイドはそんな気になれないだけだと言うばかり…。
けれどそのまま眠ったロイドをそっと起こして夢現状態にしてやったら、ロイドは変わらず自分に甘えて溺れてくれた。
「ん…シュバルツ…」
そっと首に腕を絡めて嬉しそうに口づけ甘く誘ってくるロイドを見ていると、嫌われた訳ではないんだろうとは思う。
もっとと強請られ好きなだけ与えてやっても機嫌を損ねることもないし、どちらかと言えば上機嫌とも言えるだろう。
それなのに現実は────。
「ロイド!」
「なんだ?」
自分と居てもどこかぼんやりしているし、まさに心ここに非ずな状態が増えた。
言葉だけではなく態度も冷たくなったような気がするし、もしかして誰か他に想う相手でもできたのかと思ってしまっても仕方がないだろう。
だからそう尋ねたのに、ロイドはクスリと笑って軽くかわしてしまった。
「なんだ。また嫉妬か?いつまで経ってもお前はお子様だな」
そしてクシャリと頭を撫でながら、どこか残念そうにこちらを見遣るのだ。
「クレイ!どう思う?!」
もう正直ロイドが何を考えているのかわからなさ過ぎて、嫌ではあったがロイドの一番の理解者にコンタクトをとり、最近ロイドが冷たいのだと相談してみた。
けれど返ってきたのは呆れたような溜息とありきたりな言葉だけだ。
「シュバルツ…ちゃんとロイドと向き合えよ」
「向き合おうとしても向き合ってもらえないんだ」
「…………」
「話を聞きたくて尋ねても『何でもない』の一点張りだし、夜誘っても断られるし、嫌われたのかと思って機嫌を取ろうとしても益々不機嫌になられるし…!」
「いや…だからちゃんと向き合って話し合えと…」
「だからそれができたら苦労はないんだ!」
あまりにもわかってもらえなくて思わず叫ぶようにそう言うと、クレイからはまた深々とため息を吐かれてしまう。
しかも続く言葉はあり得ないものだった。
「ロイドのため息はただの恋煩いだろう?お前がちゃんと捕まえていないから、この間とばっちりがきてロックウェルが怒り狂っていたぞ?」
そんな言葉に目を丸くする。
そんな話は初耳だった。
一体いつそんなことがあったのだろう?
ロイドがまた愚痴でも溢しに行ったのかと思い、一応今回の件にも関係があるのかもと詳細を尋ねることにした。
けれど物凄く言い難そうにしながら教えられたのは、衝撃的な内容で────。
どうやら黒曜石を袋一杯持ち込んで、仕事でいいからこれで抱いてくれないかとクレイに突撃したらしいのだ。
当然ロックウェルを怒らせるに至ったわけだが、何やら思い詰めた様子だったため詳細を聞いたのだと言う。
「理由は?!何て言ってた?!」
やはりクレイを忘れられないとかそういう類なのだろうかと勢い込んで訊いたのに、クレイはただため息を吐くばかり。
「だから、ただの恋煩いなんだ。あのロックウェルさえ、話を聞いて呆れたくらいだぞ?さっさと成長してロイドを満足させてやってくれ」
(意味が分からない!!)
けれどそれよりも何よりももっと気になることがある。
「クレイ……ロイドと寝たのか?」
今の話を聞くと、ロイドが今回プライベートではなく仕事として話を持ち込んでまでクレイに抱いて欲しかったとも取れて正直気が気ではなかったのだ。
友人とは寝ない主義とは言え、クレイはロイドに甘いところがあるし、確証はない。
仕事なら抱いてもいいとか言いだしそうな気がした。
「寝るはずがないだろう?俺は仕事は選ぶ主義だ」
だからその言葉にホッとしてしまう。
「クレイ。悪いが今度またロイドがそんな話を持ってきても絶対に受けないでくれ!」
念のためそう釘を刺すと、わかっていると軽く返されたが本当にわかってくれているのだろうか?
正直あまりあてにならない。
「うっ…ロイドに捨てられる…」
浮気未遂の発覚と先程の『恋煩い』の言葉に打ちひしがれて、一人になった部屋で居た堪れない気持ちになってしまった。
こうなってはもうなりふり構ってはいられない。
ロイドに突撃して直接問い質すしかないだろう。
このまま見て見ぬ振りをしていたら、きっとある日突然『お前に飽きた。もう他に好きな相手もできたしお前は必要ない。明日にでもトルテッティに帰れ』と言われてしまうだけだ。
そんなことを黙って見過ごせるはずがないではないか。
「ロイド!」
「なんだ?帰って早々きゃんきゃん吠えるな」
相変わらずの辛辣さに泣きたくなるが、ここで引き下がるわけにはいかず一気に本題に入る。
「今日クレイから聞いた。抱かれに行ったって本当なのか?」
「…………」
折角尋ねたのに、ロイドはソファに座りながらどこか不機嫌そうだ。
「私に飽きたのか?」
口にしたくはなかったが、ここで尋ねなければロイドの本心を話してもらえないような気がして、思い切って切り出してみる。
そうだと言われそうでロイドの方を真っ直ぐ見ることができず、ただ答えを待つように俯くことしかできない自分が情けなかった。
そんな緊張状態の中、ロイドの口からこぼれ落ちたのはやっぱり大きなため息で……。
「はぁ…。飽きたわけじゃないが…少し距離を置きたくなった。ただそれだけだ」
そうやってはっきり言われた言葉にショックを受ける。
「うっ…」
「泣くな。別に別れたいとは考えていない」
そうやって慰めの言葉をもらっても、カウントダウンが始まってしまったも同然の言葉だ。
「他に…好きな相手でもできた?クレイが恋煩いだって言ってた。相手はどんな奴?私が知っている相手なのか?」
悔しくて矢継ぎ早にそんな風に詰問してしまう。
こんな風に責め立てるのは余計に嫌われてしまうとわかっていても止められなかった。
「私より…ロイドを好きな奴なのか?!」
自分のこの想いよりも強い気持ちでロイドを好きな奴なんていない!
そうして思いの丈をぶつけるように言い放ったのに、ロイドはそんな自分を見つめて『頭を冷やせ』と言ってくる。
「少しは成長してきたと思ったが、まだまだお子様だな。……早く大人になってほしいものだ」
そう言って『今日は一人で寝ろ』とどこかへと行ってしまった。
こうなってはもう自分にはどうしようもない。
「うぅ…っ!」
シュバルツは、取り残された部屋でこれからどうしようと途方にくれながらただただ泣き続けた。
***
「はぁ…」
ロイドは部屋の外でシュバルツの泣き声を聞いていた。
正直苦い気持ちでいっぱいだった。
別にシュバルツが悪いわけではない。
ただ……もう少し大人になってほしいだけなのだ。
夢の中のシュバルツのようにもっと揺るぎない態度でどんと構えてくれていればそれでいいのに、こうして泣かれたり責められたりするとどうしても子供だなと思ってしまう。
そうなると益々夢の中のシュバルツが恋しくなって、現実のシュバルツと比べて溜息を吐いてしまう。
「恋煩い……か」
正直クレイ達にそんなことを言われるまでそんなことを考えることさえなかった。
恋心というのはクレイに対して初めて抱いた感情だったし、今のこの気持ちは言われて初めてそうなのか?と自覚した程度のもの…。
夢のシュバルツに溺れ始めて、自分は欲求不満なのかもしれないとふと思った。
けれど現実ではシュバルツと毎夜のように寝ていたし、体の欲求不満と言うよりは心の欲求不満なのかと考えた。
夢のシュバルツに会いたい。
抱かれてどこまでも満たされたい。
どこか焦がれるようにそんな思いが込み上げる。
だから身も心も満たしてくれそうな相手と他で寝たら、もう夢のシュバルツを思い出してため息を吐くこともなくなって、現実のシュバルツとちゃんと向き合えるかもと思ったのだ。
そう考えた時、相手はクレイしか思いつかなかったから思い切って相談しに行った。
そうしたら案の定断られたが、今回は以前とは違う理由だから仕事として受けてもらえないかと心情を吐露してみた。
そんな自分に最初は怒り狂っていたロックウェルにまでため息を吐かれ、クレイには困ったように微笑まれた。
「ロイド…。それはシュバルツに溺れたいと願うほど惚れてるということだろう?本当に気づいていないのか?」
「は?私があのお子様に?」
「ああ」
「それはないな。確かに身体の相性はいいが、ただそれだけだ」
そうやってバッサリ言い切ったが、クレイはそれは違うぞと言ってくる。
「だって夢の相手は俺や他の誰かじゃないんだろう?相手はシュバルツで、優しく溺れさせてもらえるんだろう?」
「…………」
「夢は願望が現れるからな。シュバルツに溺れさせてほしいからそんな夢を見るんだろう。素直になればいいのに……馬鹿なのか?」
ロックウェルまでため息を吐きながらそんなことを言ってきた。
そんな訳がない。
そう思うのに何故か言葉が出てこない。
けれど言われてみれば確かに一理あるように思えたので、少しだけ考えてみる。
夢の中のシュバルツは現実のシュバルツとは似ても似つかないが、確かに今感じているこの気持ちは恋心と言えるのかもしれなかった。
「ふん。まあなくはないのかもしれないが…それはあくまで希望だな。現実のあいつはお子様だし、到底夢のシュバルツには及ばない」
「ロイド……」
「取りあえず夢とのギャップが激しすぎてイライラするからやはりできるだけ距離を置いてみる。無理を言って悪かったな」
そう言って帰ってきたのは一昨日のこと────。
まさかこんなに早くそのことが耳に入るとは思っていなかった。
「ダート。シュバルツへのフォローを頼む」
【かしこまりました】
仕方なく、眷属に指示を出してそっとその場を後にする。
シュバルツの啜り泣く声はまだ止まりそうになく、さすがに先程の対応はまずかったと反省し、今日はそっとしてやってリーネの所にでも行こうかなと思った。
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