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番外編4.※ルースの嫉妬 Side.バド

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父が退位し、弟が国王代理に収まった。
何故国王代理なのかと言うと弟はまだ成人していないからだ。

『兄上は成人しているんですからそこは自分がと自ら手を上げるべきでは?!』

逆ギレ気味にそう言われうんざりしたのはまだ記憶に新しい。
いつもあれほど自分の方が王に相応しいと言わんばかりの態度だったのだから、土壇場で意見を翻すようなことをするなと言ってやりたかった。
なのにルースはそんなビージーを前に『やっぱり可愛いよな』とニコニコしてるから気に入らない。
流石に気分を害してムッとしながら『俺よりか?』と尋ねたら『バドは特別可愛い』と言いながら満面の笑みを向けてきたから、なんだか嫉妬した自分が気恥ずかしくなってそっぽを向いた。

ちなみに現在ルースは一週間に一度自国に帰り、後はこちらに滞在するという生活を送っている。
それもあって皆不安になっているのか、『殿下!ガッチリ捕まえておいてくださいね?!』『絶対に飽きられないようにしてください!』そんなセリフと共にドサドサッと思わせぶりな書物を持ってきたり、肌や髪の手入れまで念入りにと侍女達にもみくちゃにされる日々だ。
ルースは大量の魔素に夢中で、日々魔法研究に意欲を燃やしているからいなくなるなんてあり得ないだろうし、俺が何をしても関係ないと思うんだが…。




「ん…んんぅ…っ」

そして今日もいつも通り俺はルースに抱かれる。
でも今日は何故か前戯が長いような…?

「は…っ、ルース…ッ」

どうしてと思いながら早く挿れて欲しくて目で訴えると、ゴクリと喉を鳴らし口づけられた。

「バド…なんか今日はいつもより色っぽいな。何かした?」

自分ではよくわからないが、何かがいつもと違うらしい。
とは言え答えなんてわからないからフルリと首を横に振り、素直に『わからない』と答えを返す。

「…そうか。肌ももちもちでずっと触りたくなるしすっごく気持ちいい。もう挿れてもいいか?」

どうやら侍女達の努力は実を結んだようだ。
俺も限界だったし早く欲しくて求めるように引き寄せたらルースはゆっくりと俺へと入ってきた。
すっかり馴染んだ熱杭が俺の中を擦り上げるように入り込み、確かな存在を俺へと伝えてくる。
ルースと繋がるこの瞬間がやっぱり俺は何よりも好きだった。
一つになる。その表現がぴったりくるから。

両想いになってからルースは時折俺を愛おしそうに見つめるようになった。
それから…それだけじゃなく、切羽詰まったように余裕なく抱くことも出てきて、今もまさにそんな感じと言えるだろう。

「バド…っ、ごめっ…」

頑張って我慢しようとしているように見えるのに、俺が欲しくて欲しくてたまらないと言わんばかりに腰を打ち付けてきて、行き場のない気持ちを伝えるようにキスをしながらイッてしまった。
以前はこんなこと一度もなかったのに、たまにこんな風に余裕をなくしてしまうのはどうしてだろう?

凄く気持ちいいし、中が疼いてたまらないし身体がもっとしてと訴えているから別に構わないし、復活したらまたしてもらえるとわかっているから特に責める気もない。
だから気にするなと抱き寄せながら、落ち着かせてやる。

「ルース。気にするな」
「そうなんだけど、やっぱり抱いてる側としてはさ…。はぁ…暫く研究に没頭しようかな」
「…………待て。どうしてそうなる」

意味不明だ。
だから慌ててそう口にしたら、ちょっと不貞腐れたようにフイッと目を逸らした。

「バドが悪い」
「何がだ?!」

前触れも何もなく言われたくないぞと噛みつくと、ルースは視線を戻しちょっと拗ねたような上目遣いで言い放った。

「最近急に大人びてきたし、今日だってちょっと時間ができたからお茶でもしようと思ったら侍女達に囲まれてはしゃいでたしっ…」
「はしゃっ?!あれは違うぞ?!」

多分それはマッサージに連れ去られそうになっていた時だと思う。

「もしかして色っぽくなったのってあの後侍女を抱いたからかなって思ったら…我慢が利かなくなった」

ルース的に嫉妬したらペースが狂って先にイッてしまったということらしい。
そんな自分が嫌で研究に逃げようとしたというのが真相のようだ。

(か…可愛いな)

ただでさえ童顔で可愛い顔立ちをしているルースがこんな風に嫉妬をしてきたのだ。
それ以外に感想なんてない。

「ルース。俺はお前だけだぞ?」
「嘘つき」
「嘘じゃない。本当だ。あれは攫われそうになってただけであって、浮気現場じゃない」
「さ、攫われっ?!そうか…バドは元々年上の女性が好みだし、言い寄られたらそのまま…?」
「違う!!」

どうしてそうなるんだとそこから暫くギャアギャアと言い合いになった。
本当に勘違いするにも程がある。
たまにはこっちから襲ってやろうか?

(そう言えば自分から騎乗位はしたことがないな)

極たまにルースが楽し気に促してくるから渋々やったりはしていたけど、積極的に自分からしたことはない気がする。
ここは一つやってみるべきだろうか?

(ルースのびっくりする顔が見れるかも)

そんな思いでキスをしながら押し倒し、手でしごいてその気にさせて、上から見下ろしながらゆっくりと腰を落としていった。

「バ、バド?!」
「ん…あ……っ、ルース…っ」

熱い男根がジワリジワリと中へと入ってくるのを感じ、ゾクゾクッと背筋が快感に慄くが、それがルースのものだというのが分かるだけに、愛おしく思えて仕方がなかった。

「ルース…はぁっ…んんっ…気持ちいいっ…」
「エロっ…!バド。色気が凄すぎるんだけど?!」

どこから出してるんだよとルースはちょっと怒ったように言うけど、自分では出しているつもりなんて全くないから文句を言われても困ってしまう。

「あっあっ…!」
「バドッ!」

奥まで受け入れて自分から腰を揺らすのはなんとも言えず気持ちが良くて、もっともっとと求めるようにルースを締め付けてしまう。
ルースもそれに応じるように奥まで突き入れてくれるから、俺はそのまま追い上げられるように絶頂へと達した。

「んぅっ…」

恍惚とした顔でクタリとベッドに横たわる俺。
そんな俺を見てルースが拗ねたように言ってくる。

「なんか誤魔化されたような気がする。やっぱり浮気したんだろ」
「してない。ルースに抱かれるのが好きな俺が、女で満足できるわけないだろう?」
「……っ!」
「色気が出てるとしたら、それはお前のせいだ」
「俺?」
「お前が好き過ぎて、無意識に誘惑したくなってるんだろうな?」

そう言ってやったら真っ赤になって『ああ、もうっ…!』と声を上げた。

「ついこの間まで俺の方が余裕があったのにっ…!」
「俺だって年上なんだから、いつまでもやられっぱなしにはいかないんだ!」

いつもの言い合い。
でもそこにあるのはちょっとの照れ隠し。
それがお互いにわかっているから、どちらからともなく視線を絡め合い、求めあうように唇を重ねた。

「バド。次はくっついてヤリたい」
「……俺もそう思ったところだ」

どうやら考えることは同じだったらしく、俺達はそのまま対面座位に移行して、ぴったりとくっつきながら愛し合った。

そして────。

「ルース。浮気が心配ならちゃんと籍を入れて結婚しよう」

落ち着いたところで俺はそう言った。
父達は俺達はとっくに入籍済みだと思っているようだが、あれはなんの効力もないものでしかない。
ちゃんと二人の婚姻届けを提出すればルースだってこんな嫉妬をしなくなるかもと思ってそう言ったのだけど…。

「…………」
「ルース?」
「バド、もしかして狙った?」
「何を?」
「…………そっか。天然か。うん。知ってた」

よくわからないまま首を傾げていたらそんなことを言われたから不思議に思って問い詰めると、まさかのルースの誕生日だということがわかって唖然となった。

「俺が18になったって知ったから言ったのかなって…」
「いや。それは本気で気づいてなかった」
「だよな」

一人で一喜一憂して損したとルースは言うけれど…。

(そうか。もうそんなに経ったのか)

出会ってから経た月日を思い、なんだか感慨耽ってしまう自分がいた。

「そうか。成人したか」
「そうだよ。だから今度あっちに戻った時は暫くいろって言われそうだから、今日お茶でもしながらその件で話そうと思ってたのに…」
「悪かった」

まさかそんな話がされる予定だなんて思ってもみなかったのだから許してほしい。

「それで答えは?」

そう言いながら笑顔で尋ねると、ルースはどこか恥ずかしそうにしながら『帰ったらすぐに入籍できるように、ちゃんと書類を用意しておいてくれ』と言ってキスしてくれた。
『帰ったら』という言葉に、否が応にも彼の居場所がここにあるのだと実感させられ、俺が胸を震わせたのは言うまでもない。

『あちらに戻ってもまたちゃんと帰ってくる』

それはルースの中では確定事項。
逃げられる?
そんな心配はやっぱり不要だ。

「ルース。ここでは好きなだけ魔法研究をしてくれて構わないし、これから先もずっと俺の側に居てくれるか?」
「もちろん!これから先、俺がここの魔素を利用しまくって、バドが褒め称えられるくらい新しい魔法を開発してやるから、楽しみにしててくれよな」

プロポーズの言葉に眩しい笑顔で応えてくれるルース。
もしかしてプロポーズってわかってもらえていないんじゃないかと少しだけ不安になるが、入籍は確定してそうだし『まあいいか』と息を吐く。

(それにしても…新しい魔法ができたとして、褒め称えられるのは俺ではなくルースでは?)

そう思いながら、このどこかズレている想い人を抱き寄せ、俺は『楽しみにしている』と微笑んだのだった。



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