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第四章 フォルクナー帝国編Ⅱ(只今恋愛&婚約期間堪能中)
81.幸せの足音① Side.メイビス
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「はぁ……」
昨日、思いがけずルマンドと抜きあいをすることになり、あの時のルマンドの姿が忘れられなくて何度も思い出してしまう。
(物凄く可愛かった……)
戦ってる時はあんなにもカッコいいのに、ベッドの中ではあんなに可愛くなるなんて反則だ。
まさかあんな魅力的な提案をしてくれるなんて思ってもみなかったから、喜びをかみしめてから部屋へと攫った。
そこからはあっという間だ。
もう絶対に手放したくないし早く自分のものにしたくて仕方がなくて、時間が許す限りルマンドを堪能した。
最中にはキスまでねだってもらえたし、何度もさせてもらえたし……今朝はキスだけでトロトロになっていた。
もう今すぐ婚約したい!そうしたら続きもできるに違いないのに…。
そんなことを考えていると、仕事を割り振ってくる従者がコホンと咳払いをし、仕事をやるよう促してきた。
「メイビス様、そのように締まりのない顔をなさっておられるのは感心致しません」
「……すまないな。ルマンドが可愛くて」
「またデートに行きたいのでしたら早めにお仕事を片付けてください」
「……わかった」
どうも勘違いされているみたいだが、流石にあの件は誰にもバレてはいないだろうからここはそういうことにしておこう。
そう思いながら仕事に取り掛かり、昼を少し回った時だろうか……レターニアが執務室へとやってきた。
「お兄様。少しご休憩をとお茶と昼食をお持ち致しました」
そしていそいそと準備をしてから、サッと糸を取り出した。
「ちょっと失礼いたしますわ」
そして何故か左手を取られ、薬指にそれを巻かれて印をつけられた。
「ここと、ここ…っと。はい、よろしいですわ。ご協力ありがとうございます」
「……それは何か新しい遊びか?」
「お兄様は知らなくても良いことですわ。ふふっ。お楽しみに」
お楽しみにと言われている時点で自分が関係していることは明白なのに、気づいていないのか?
「レターニアには困ったものだな」
「ですが、昼食のタイミングとしてはベストと言えるでしょう。今回はお遊びにお付き合いしてみては?」
「まあいいが」
一先ず昼食を食べてからルマンドに会いに行こうと思い立ち、手早く食事を済ませてしまう。
「では少し行ってくる」
そしてルマンドの部屋まで行ったところで中からレターニアの明るい声が聞こえてきた。
「ルマンド!やりましたわ!お兄様の指輪のサイズを最速で調べてきましたわよ!」
(指輪のサイズ…?)
どうもそれは先程の糸が関係しているようだ。
その後はよく聞こえなかったが、今入ると何となくマズい気がする。
けれどどうもルマンドが依頼したのだということだけはわかった。
(少し調べてみるか)
もしかしたらコーリックの伝統か文化的な何かなのかもしれない。
そう思って入室を諦め図書室へと足を向け、コーリック関連の本を幾つか手に取る。
そこで目にしたものは────婚約指輪。
コーリックでは婚約者にミスリルの指輪を贈る習慣があり、そこに互いの瞳を模した色石を入れるのだと書かれてあった。
(え…?)
それはつまりルマンドが自分用にわざわざ指輪を用意しようとしているということに他ならなくて、それと併せてレターニアが言っていた『お楽しみに』という言葉……。
(もしかして……)
これはもうほぼ確定ではないだろうか?
(ルマンドがプロポーズをしてくれようとしてる…のか?)
そんな考えが浮かんでなんだか急にそわそわしてきてしまった。
もしかして二人の仲が進んだことがいい方向に向かったのだろうか?
本当にそうだったらどれだけ嬉しいだろう?
だってもしそうならルマンドがずっとここに居てくれると決めてくれたということだ。
(ずっと…俺の隣に……)
とは言えまだ確定ではない。ここで浮かれるには早すぎるだろう。
でももし違ったとしても指輪を用意しようとしているのは間違いなさそうだから、プレゼントとしてでも渡してもらえるのは確実だ。
そういう事なら自分も何か用意しておいた方がいいだろうか?
ルマンドを喜ばせられるような品をすぐに吟味しなくては……。
そこで思い出したのは今も身に着けているルマンドからもらった金のイヤーカフだ。
自分からしたら既に婚約の品を受け取っている形なので、今度はこちらから贈るのがスマートだろう。
(群青色にブルーダイヤをあしらった正装用のマントでも贈ろうか?マジックバッグを特別オーダーで作ってもらうのもいいな。それならいつでも使ってもらえるし…)
身に着ける装飾品もいいが、この髪色と瞳の色を両方使おうとするとなかなか難しい。
(そうだ。ブルーサファイアとブルーダイヤを使ってなら装飾品もいけるかもしれないな)
それに懐中時計なんかもいいかもしれない。これも候補に加えておこう。
なんだか段々考えるのが楽しくなってきた。
(絶対にルマンドが喜ぶシチュエーションを考えて、最高のタイミングで贈ろう)
今からそれが楽しみだとそっと笑みをこぼした。
******
それから暫くしてフォルクナーの城内でとある噂が密かに囁かれ始めた。
『ルマンド王子がレターニア王女にプロポーズを考えているようだ』────と。
それと共にメイビス王子の婚約者の席はやはり空白なのではという一部の噂が他国へと渡り、誕生祭に向けてメイビスに対しての縁談状が各所から殺到することとなった。
昨日、思いがけずルマンドと抜きあいをすることになり、あの時のルマンドの姿が忘れられなくて何度も思い出してしまう。
(物凄く可愛かった……)
戦ってる時はあんなにもカッコいいのに、ベッドの中ではあんなに可愛くなるなんて反則だ。
まさかあんな魅力的な提案をしてくれるなんて思ってもみなかったから、喜びをかみしめてから部屋へと攫った。
そこからはあっという間だ。
もう絶対に手放したくないし早く自分のものにしたくて仕方がなくて、時間が許す限りルマンドを堪能した。
最中にはキスまでねだってもらえたし、何度もさせてもらえたし……今朝はキスだけでトロトロになっていた。
もう今すぐ婚約したい!そうしたら続きもできるに違いないのに…。
そんなことを考えていると、仕事を割り振ってくる従者がコホンと咳払いをし、仕事をやるよう促してきた。
「メイビス様、そのように締まりのない顔をなさっておられるのは感心致しません」
「……すまないな。ルマンドが可愛くて」
「またデートに行きたいのでしたら早めにお仕事を片付けてください」
「……わかった」
どうも勘違いされているみたいだが、流石にあの件は誰にもバレてはいないだろうからここはそういうことにしておこう。
そう思いながら仕事に取り掛かり、昼を少し回った時だろうか……レターニアが執務室へとやってきた。
「お兄様。少しご休憩をとお茶と昼食をお持ち致しました」
そしていそいそと準備をしてから、サッと糸を取り出した。
「ちょっと失礼いたしますわ」
そして何故か左手を取られ、薬指にそれを巻かれて印をつけられた。
「ここと、ここ…っと。はい、よろしいですわ。ご協力ありがとうございます」
「……それは何か新しい遊びか?」
「お兄様は知らなくても良いことですわ。ふふっ。お楽しみに」
お楽しみにと言われている時点で自分が関係していることは明白なのに、気づいていないのか?
「レターニアには困ったものだな」
「ですが、昼食のタイミングとしてはベストと言えるでしょう。今回はお遊びにお付き合いしてみては?」
「まあいいが」
一先ず昼食を食べてからルマンドに会いに行こうと思い立ち、手早く食事を済ませてしまう。
「では少し行ってくる」
そしてルマンドの部屋まで行ったところで中からレターニアの明るい声が聞こえてきた。
「ルマンド!やりましたわ!お兄様の指輪のサイズを最速で調べてきましたわよ!」
(指輪のサイズ…?)
どうもそれは先程の糸が関係しているようだ。
その後はよく聞こえなかったが、今入ると何となくマズい気がする。
けれどどうもルマンドが依頼したのだということだけはわかった。
(少し調べてみるか)
もしかしたらコーリックの伝統か文化的な何かなのかもしれない。
そう思って入室を諦め図書室へと足を向け、コーリック関連の本を幾つか手に取る。
そこで目にしたものは────婚約指輪。
コーリックでは婚約者にミスリルの指輪を贈る習慣があり、そこに互いの瞳を模した色石を入れるのだと書かれてあった。
(え…?)
それはつまりルマンドが自分用にわざわざ指輪を用意しようとしているということに他ならなくて、それと併せてレターニアが言っていた『お楽しみに』という言葉……。
(もしかして……)
これはもうほぼ確定ではないだろうか?
(ルマンドがプロポーズをしてくれようとしてる…のか?)
そんな考えが浮かんでなんだか急にそわそわしてきてしまった。
もしかして二人の仲が進んだことがいい方向に向かったのだろうか?
本当にそうだったらどれだけ嬉しいだろう?
だってもしそうならルマンドがずっとここに居てくれると決めてくれたということだ。
(ずっと…俺の隣に……)
とは言えまだ確定ではない。ここで浮かれるには早すぎるだろう。
でももし違ったとしても指輪を用意しようとしているのは間違いなさそうだから、プレゼントとしてでも渡してもらえるのは確実だ。
そういう事なら自分も何か用意しておいた方がいいだろうか?
ルマンドを喜ばせられるような品をすぐに吟味しなくては……。
そこで思い出したのは今も身に着けているルマンドからもらった金のイヤーカフだ。
自分からしたら既に婚約の品を受け取っている形なので、今度はこちらから贈るのがスマートだろう。
(群青色にブルーダイヤをあしらった正装用のマントでも贈ろうか?マジックバッグを特別オーダーで作ってもらうのもいいな。それならいつでも使ってもらえるし…)
身に着ける装飾品もいいが、この髪色と瞳の色を両方使おうとするとなかなか難しい。
(そうだ。ブルーサファイアとブルーダイヤを使ってなら装飾品もいけるかもしれないな)
それに懐中時計なんかもいいかもしれない。これも候補に加えておこう。
なんだか段々考えるのが楽しくなってきた。
(絶対にルマンドが喜ぶシチュエーションを考えて、最高のタイミングで贈ろう)
今からそれが楽しみだとそっと笑みをこぼした。
******
それから暫くしてフォルクナーの城内でとある噂が密かに囁かれ始めた。
『ルマンド王子がレターニア王女にプロポーズを考えているようだ』────と。
それと共にメイビス王子の婚約者の席はやはり空白なのではという一部の噂が他国へと渡り、誕生祭に向けてメイビスに対しての縁談状が各所から殺到することとなった。
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