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第四章 フォルクナー帝国編Ⅱ(只今恋愛&婚約期間堪能中)
80.プロポーズをしようと思い立った俺
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メイビスとあんなことになってしまったので、俺は将来の事をよくよく考えてみた。
メイビスとこんな仲になる前はまだコーリックに帰る確率は高いかなと思っていたけれど、ここまで来たら婚約の方向に進む確率の方が高い気がする。
それなら来年のメイビスの誕生祭の時に自分からプロポーズできるように指輪を用意しようかなと思った。
今からオーダーすれば十分良いものができるはずだ。
ちょうどそんなことを考えているところに、ケインがやってきてレターニアが来たと報告を入れてくる。
これまでは何事もなく通していたけれど、どうやら俺と噂になっているから一応お伺いを立てたという事らしい。
「ああ、ちょうどいいから通してもらってもいいかな?それと、ケインもここに居て欲しい」
「わかりました」
それならいいと言わんばかりにレターニアを呼びに行ってくれたので、二人揃った時点で向かいのソファへと座ってもらった。
「タニア。今日は俺からちょっと聞きたいことがあるんだけど」
「まあっ!何かしら?」
「俺、誕生祭の時にメイビスにプロポーズしたいんだけど、何かロマンチックな演出ってできないかな?」
「ええっ?!」
「ル、ルマンド様がなさるんですか?」
どうして二人共驚くんだろう?
「…?もちろん」
「え?でも……。え?え?」
「メ、メイビス王子はご存知なのですか?」
「いや?さっき思い立ったからやろうかなって」
「お…思いつきで…?!」
「そう。で、二人にメイビスの指輪のサイズを調べてきてもらいたいなって思ったんだけど、お願いできないかな?」
指輪のサイズ────これは意外と重要だ。
プロポーズの時にサイズが合わなかったら滅茶苦茶恥ずかしい。
カッコよく決めるには必須の情報と言えるだろう。
けれどフォルクナーでは指輪を贈ると言うプロポーズが主流じゃないせいか、レターニアには首を傾げられてしまった。
「指輪…?フォルクナーではお互いの色を模した装飾品を贈り合うのが一般的なのだけど…」
「コーリックでは魔力の伝達率の高いミスリルの指輪に互いの瞳の色に合わせた石を入れたものを交換する習慣があるのですよ。最近は両方の石を並べて入れるのも夫婦円満のゲン担ぎとして人気ですけど」
だからケインがそう説明してくれたことに対しなるほどと納得していた。
「そういう事なら納得ですわ。わかりました。私も調べてみます」
「では私もルマンド様のためにご協力させて頂きます」
二人がしっかりと頷いてくれたので俺はほっと安心して、今度は誕生祭の件を聞いてみることにした。
そもそも誕生祭とはどう言った催しなのかをあまり知らないのだ。
知っていることと言ったらフォルクナーでは20才の誕生日の日に皇太子として立太子するのだということくらいだろう。
そこに近隣諸国から王族達を呼びお披露目するのだ。
プロポーズをするのはその式典の中ではさすがに難しいかな?
「そうですわね…。ロマンチックを求めるなら前日の夜までに済ませておく方が無難ですけれど…前日は何かと忙しいでしょうし、タイミングが難しいですわ」
レターニアが既に勉強済みの過去の式典を思い出しながらそんな風に教えてくれる。
「皇帝からの挨拶、皇太子のお披露目、立太子の宝剣の授与、婚約者や婚姻相手のお披露目…もしくは候補者の紹介がここで行われるから、ルマンドが紹介されるとしたらここになると思うの」
だからその時点で婚約者として立つとしたらやはり式典前にプロポーズは済ませておかないと、先にメイビスからプロポーズされてしまうんじゃないかと言われてしまった。
これは困った。
告白をメイビスからしてもらったから、プロポーズは絶対に自分でやりたいのに……。
「ちなみにルマンドの言うロマンチックなプロポーズってどんなのなのかしら?」
「え?そうだな…どこか綺麗な星空の下でとか……」
「確かメイビス王子から告白されたのはパーティーの時のバルコニーですよね?少し告白の時とかぶりませんか?」
あの時は確かに天気も良くて夜空の星は空一杯に綺麗に広がっていた。
「うっ…じゃあ綺麗な花が広がる庭園で…」
「それも少しかぶりますよね?」
確かに夜にライトアップされた庭園では花も咲き誇っていた気がする。季節は違うけどかぶるのはちょっと嫌だ。
(しまったな…どこかの劇場で素晴らしい演奏を聞きながらとかも、よく考えたら告白の時ダンスの曲が流れていたからかぶってる気がする。どうしよう?!)
それだけあの時のシチュエーションが最高だったということなんだけど、まさかそれがここに来て足を引っ張ることになるなんて思ってもみなかった。
「こうなったら雰囲気の良い森の中の湖に転移してプロポーズだな!それか風光明媚な滝のところでとか…」
「残念ですわ。この近くの森に湖はありませんの。遠方ならありますけど…。滝というのも…ちょっとわかりませんわ」
「ええっ?!知らないのか?じゃ、じゃあこの城に花が沢山咲いてるような温室とかはないかな?噴水とかあれば尚いいんだけど…」
「温室ならありますけれど…ちょっとロマンチックとは言えないかもしれませんわ。噴水などもありませんし…」
「……くっ、じゃあこれからもう一度恋愛小説を片っ端から読んで研究する!絶対成功させるから、指輪のサイズだけ頼む!」
「…………頑張ってください」
二人にどこか残念な目を向けられたけど、俺は絶対にプロポーズを成功させて見せると、早速本を読み始めることにした。
メイビスとこんな仲になる前はまだコーリックに帰る確率は高いかなと思っていたけれど、ここまで来たら婚約の方向に進む確率の方が高い気がする。
それなら来年のメイビスの誕生祭の時に自分からプロポーズできるように指輪を用意しようかなと思った。
今からオーダーすれば十分良いものができるはずだ。
ちょうどそんなことを考えているところに、ケインがやってきてレターニアが来たと報告を入れてくる。
これまでは何事もなく通していたけれど、どうやら俺と噂になっているから一応お伺いを立てたという事らしい。
「ああ、ちょうどいいから通してもらってもいいかな?それと、ケインもここに居て欲しい」
「わかりました」
それならいいと言わんばかりにレターニアを呼びに行ってくれたので、二人揃った時点で向かいのソファへと座ってもらった。
「タニア。今日は俺からちょっと聞きたいことがあるんだけど」
「まあっ!何かしら?」
「俺、誕生祭の時にメイビスにプロポーズしたいんだけど、何かロマンチックな演出ってできないかな?」
「ええっ?!」
「ル、ルマンド様がなさるんですか?」
どうして二人共驚くんだろう?
「…?もちろん」
「え?でも……。え?え?」
「メ、メイビス王子はご存知なのですか?」
「いや?さっき思い立ったからやろうかなって」
「お…思いつきで…?!」
「そう。で、二人にメイビスの指輪のサイズを調べてきてもらいたいなって思ったんだけど、お願いできないかな?」
指輪のサイズ────これは意外と重要だ。
プロポーズの時にサイズが合わなかったら滅茶苦茶恥ずかしい。
カッコよく決めるには必須の情報と言えるだろう。
けれどフォルクナーでは指輪を贈ると言うプロポーズが主流じゃないせいか、レターニアには首を傾げられてしまった。
「指輪…?フォルクナーではお互いの色を模した装飾品を贈り合うのが一般的なのだけど…」
「コーリックでは魔力の伝達率の高いミスリルの指輪に互いの瞳の色に合わせた石を入れたものを交換する習慣があるのですよ。最近は両方の石を並べて入れるのも夫婦円満のゲン担ぎとして人気ですけど」
だからケインがそう説明してくれたことに対しなるほどと納得していた。
「そういう事なら納得ですわ。わかりました。私も調べてみます」
「では私もルマンド様のためにご協力させて頂きます」
二人がしっかりと頷いてくれたので俺はほっと安心して、今度は誕生祭の件を聞いてみることにした。
そもそも誕生祭とはどう言った催しなのかをあまり知らないのだ。
知っていることと言ったらフォルクナーでは20才の誕生日の日に皇太子として立太子するのだということくらいだろう。
そこに近隣諸国から王族達を呼びお披露目するのだ。
プロポーズをするのはその式典の中ではさすがに難しいかな?
「そうですわね…。ロマンチックを求めるなら前日の夜までに済ませておく方が無難ですけれど…前日は何かと忙しいでしょうし、タイミングが難しいですわ」
レターニアが既に勉強済みの過去の式典を思い出しながらそんな風に教えてくれる。
「皇帝からの挨拶、皇太子のお披露目、立太子の宝剣の授与、婚約者や婚姻相手のお披露目…もしくは候補者の紹介がここで行われるから、ルマンドが紹介されるとしたらここになると思うの」
だからその時点で婚約者として立つとしたらやはり式典前にプロポーズは済ませておかないと、先にメイビスからプロポーズされてしまうんじゃないかと言われてしまった。
これは困った。
告白をメイビスからしてもらったから、プロポーズは絶対に自分でやりたいのに……。
「ちなみにルマンドの言うロマンチックなプロポーズってどんなのなのかしら?」
「え?そうだな…どこか綺麗な星空の下でとか……」
「確かメイビス王子から告白されたのはパーティーの時のバルコニーですよね?少し告白の時とかぶりませんか?」
あの時は確かに天気も良くて夜空の星は空一杯に綺麗に広がっていた。
「うっ…じゃあ綺麗な花が広がる庭園で…」
「それも少しかぶりますよね?」
確かに夜にライトアップされた庭園では花も咲き誇っていた気がする。季節は違うけどかぶるのはちょっと嫌だ。
(しまったな…どこかの劇場で素晴らしい演奏を聞きながらとかも、よく考えたら告白の時ダンスの曲が流れていたからかぶってる気がする。どうしよう?!)
それだけあの時のシチュエーションが最高だったということなんだけど、まさかそれがここに来て足を引っ張ることになるなんて思ってもみなかった。
「こうなったら雰囲気の良い森の中の湖に転移してプロポーズだな!それか風光明媚な滝のところでとか…」
「残念ですわ。この近くの森に湖はありませんの。遠方ならありますけど…。滝というのも…ちょっとわかりませんわ」
「ええっ?!知らないのか?じゃ、じゃあこの城に花が沢山咲いてるような温室とかはないかな?噴水とかあれば尚いいんだけど…」
「温室ならありますけれど…ちょっとロマンチックとは言えないかもしれませんわ。噴水などもありませんし…」
「……くっ、じゃあこれからもう一度恋愛小説を片っ端から読んで研究する!絶対成功させるから、指輪のサイズだけ頼む!」
「…………頑張ってください」
二人にどこか残念な目を向けられたけど、俺は絶対にプロポーズを成功させて見せると、早速本を読み始めることにした。
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