98 / 234
86.呼び出し
しおりを挟む
ガヴァムまで送ってもらうと兄が泣きそうな顔で抱きついてきて、無事で良かったと震えながら言ってきた。
どうやらセドリック王子に殺されたらどうしようと思い詰めていたらしい。
「大丈夫ですよ。セドリック王子は最初は怒ってましたけど、こちらの事情を汲んでくれましたし」
「……え?」
あの冷酷王子が?!と兄が驚いたように目を瞠るけど、そんなに驚かなくても。
話せばわかる人なのに。
「シャイナーにもリヒターに見守ってもらいながらちゃんと躾をし直して、今後セドリック王子にも迷惑はかけないよう教え込んでおいたので、兄上が心配するような事態にはならないと思いますよ?」
「そうか…それなら良かった」
また俺が変な事に巻き込まれてセドリック王子に殺されたらと気が気でなかっただろう兄を安心させてあげて、ギュッとそのまま抱きしめた。
それから数日後、俺の所に二通の手紙が届けられた。
一通はアンシャンテの宰相からで、今回の件で相談があるので時間を取ってもらいたいとのことだった。
そしてもう一通はブルーグレイの国王からのもので、セドリック王子の友人として是非歓待したいので、時間を作って来て欲しいとの事だった。
正直言ってどちらも気乗りしない。
「兄上…断ってもいいですか?」
面倒臭い。
兄との時間が減る。
だってどちらを選んでも兄はきっと着いてきてはくれないだろう。
政務が滞るし、一人で送り出されるのは明白だ。
しかも山を挟んですぐのアンシャンテなら兎も角、ブルーグレイは距離がある。
往復の日数を考えるとちょっと遠慮しておきたい。
ワイバーン移動で片道最速二日、普通に行けば四日もかかるのだ。
向こうでの滞在を思えば行きたくないのも当然だろう。
「……どちらも受けざるを得ないだろう」
兄も気乗りはしないようだったが、この場合どちらも断れないという事のようだ。
アンシャンテの方は国王御乱心とばかりの事態が起こったせいで、今後の話がしたいのだろうし、ブルーグレイについても迷惑をかけただけに断り辛い。
好意的なだけまだマシだから、今の内に話を受けた方が印象はいいだろうとのこと。
アンシャンテもこのまま放置してまた余計に厄介な事態になるよりは、宰相と話しておくべきと兄は考えたのだと思う。
「はぁ…わかりました。両方受けます」
その代わりアンシャンテの宰相とは内密に話をするという事で話をつけた。
シャイナーに黙ってガヴァムに来るのは難しいらしいので、俺が護衛連れでこっそり行く形となる。
「あれで行くか…」
手持ちの暗殺者御用達の服────。
隠し通路がなんらかの事情で使えなくなった時城から抜け出す用にと裏稼業の者から渡された非常時用の服だ。
城の者が役立たずだから緊急時に使えと俺と兄、リヒターとカーライルの四人分もらった物。
こういう時に使うのはありだろう。
下手に変装して行くより目立たないはず。
「ワイバーンで直接城に行くのではなく、近くの街に降り立ってそこから馬車で王都に入り、手紙で迎えに来てもらうのがいいでしょうね」
「そうだな」
「万が一の時は俺に任せてください!内部には詳しいので」
頼りになる意見をくれたリヒターだけではなく、カーライルも心強い笑みでそうして請け負ってくれた。
いずれにせよまずは山の麓の街まで馬車で移動してそこからワイバーンとなる。
(うちもアンシャンテやミラルカのようにワイバーンを城で飼うべきか?)
これまでは必要ないと思っていたけど、こう次々と利用する機会があるとそれも考えるべきかと思えて、つい溜め息を吐いてしまったのだった。
***
アンシャンテに行くのは初めてのこと。
街並みはガヴァムともブルーグレイともまた違うが、人々の顔は明るい。
ついでにシャイナーの評判でも聞いておこうかと思い立ち、二人の協力のもと聞き込みを行うと、前王よりも良くなったとなかなかの評判だった。
「シャイナー陛下には弟君もいらっしゃるけど…」
「ああ、あちらよりも断然シャイナー陛下の方が民にお優しいね」
どうやら詳しく聞くと弟の方は優秀だけど好戦的な性格らしく、ちょっと厄介そうな印象を受けた。
それを受けてカーライルにも詳しく聞くと、王弟はシャイナーと違い既に結婚して子供までいるらしい。
「でき婚ってやつであっという間に結婚したんですよ。でも産まれた子を随分放任で育ててるとかで、周囲が甘やかして碌なもんじゃない子になってるそうですよ」
それもあってシャイナー自身が結婚して子供を作って欲しいと願っている者が大半なのだとか。
「それなら結婚を促してこっちから目をそらせる形に持っていきたいな」
「それは名案ですね」
「でもそう上手くいきますかね?」
できれば上手くいってほしいけど、もしかしたらダメかもしれないし、可能性の一つくらいに考えておこうと思った。
そして秘密裏に王都まで移動し、ここでも情報収集を行ってから宿で宰相宛に手紙を出した。
『明日伺います』と。
なんなら宿まで来てくれた方がありがたいとも書いたが、さてどうなることか。
翌日、密やかに手配されてやってきた馬車に乗り城の裏手から中へと入る。
やはり向こうから宿まで来るのは難しかったらしい。
暗殺され放題なシチュエーションだなとは思ったが、カーライル曰く悪意も殺意も感じられないから今のところ大丈夫だろうとの事。
このまま何事もなく終わってもらえたらそれに越したことはないし、面倒事はさっさと終わらせてしまおう。
そして案内されるがままに応接間らしき部屋へと入ると、中には宰相と外務大臣、内務大臣の三人が揃って待っていた。
確かにこの三人が揃って城を開けるのは無理だったろうなと納得がいく。
「ロキ陛下。わざわざのお運び恐縮の極み」
「いえ。どうぞ顔を上げてください」
「シャイナー陛下の無礼もどうかお許しください」
一斉に頭を下げられ辟易してしまう。
腰掛同然の王にそこまでしてくれなくてもいいのだが。
「まあ兄上の冤罪が晴れたのならそれで構いません」
「カリン陛下には本当に申し訳ないことをしてしまいました。こちら、せめてものお詫びの品でございます」
「確認しても?」
「はい」
中を確認すると兄に似合いそうな装飾品一式と兄が好みそうな嗜好品の類などが収められていた。
どうやら早急に兄について調べてすぐさま最高級品を揃えてくれたようだ。
俺が兄を溺愛しているのをわかっているが故の配慮だろう。悪くはない。
「……こちら、有難く受け取らせて頂きます」
「はっ。ありがとうございます」
「それで?今後のお話と言うのは?」
「はい。その…シャイナー陛下なのですが、ブルーグレイから帰ってから少しは落ち着かれたものの、昼は政務に励まれるものの夜はその…ずっと泣き伏しておりまして…」
「そうですか」
「試しにロキ陛下を忘れられるよう誰か夜伽の相手をと差し向けてはみたのですが…」
「失敗したと?」
「はい」
それによると、女性は出ていけと冷たく部屋から追い出され、ならばと男性も差し向けては見たもののそちらも追い出されてしまったらしい。
俺以外の相手なんていらないと激怒されたらしい。
それでほとほと困って俺を呼んでなんとか言い聞かせてもらえないかと頼みに来たと。
ここで責任取って愛人になれと言ってこないだけここの者達は良識的な者達だと思った。
ガヴァムの大臣達ならきっと同じ状況になったら当然のようにそちらを口にしていただろう。
このあたりシャイナーは恵まれていて少々羨ましく思う。
これなら譲歩しても構わないだろう。
「わかりました。ではそれを踏まえた上で話しましょうか」
そう言って俺はまず城下で聞いた話を口にしてみた。
「アンシャンテの民達にシャイナー陛下の評判なども訊いてみたのですが、どうも王弟である方よりも支持されている様子」
「はい。シャイナー陛下は前王のように強攻策をとることなく上手く政務を回し、無駄を極力省いて予算を抑えつつ効率的に民のために動かれておりましたので、あれだけのガヴァムへの支払いにあたっても税金も上げることなく済んでおります。加えてブルーグレイの王妃も強制送還してくださりましたし、謀反を企む貴族達への粛清まで行って国の膿も出してくださいました。まさに賢王として国を支えてくださっている偉大なお方です」
そんな偉大な王を快楽堕ちさせてすみませんとは思ったが、ここでそんなことは当然口にしない。
「そんなシャイナー陛下と比べますと王弟であるレイニー様はその…少々狡猾で利己的なお方でして…」
「なるほど」
どうやらそのせいで余計に皆シャイナーの方が王に相応しいと思ってしまうのだろう。
「正直ここでレイニー様がシャイナー陛下の代わりに王位に就いてしまうとガヴァムへの支払いが滞るばかりではなく税が上がり民も困窮してしまいます。国の衰退は免れず、折角参加をお許しいただけた三ヵ国事業も恐らく頓挫してしまうでしょう」
それは流石に双方にとってマイナスでしかない。
「では、やはりここはシャイナー陛下の退位ではなく継続という形で考えて、結婚を促してみると言うのは如何でしょう?」
「ご結婚…ですか?」
「はい」
「ですが先程申しましたように、シャイナー陛下は今自暴自棄になっておられるので…」
それは難しいのではと宰相達は恐る恐る口にしてくる。
「そこは俺が上手く伝えてみます」
「ロキ陛下自らですか?」
「こうなってしまっては仕方ないでしょう」
本当に良いのかと顔色を窺われるが、仕方ないではないか。
シャイナーの代わりがいないのであれば、このままでいてもらわなければ困る。
結婚でもしてシャイナーを傍で支えてくれる相手ができれば気持ちも落ち着くだろう。
「では…」
「ええ。呼んできて頂けますか?」
「……!!感謝いたします!」
そしてすぐさま宰相は控えていた侍従に声を掛け、シャイナーを呼びに行かせたのだった。
どうやらセドリック王子に殺されたらどうしようと思い詰めていたらしい。
「大丈夫ですよ。セドリック王子は最初は怒ってましたけど、こちらの事情を汲んでくれましたし」
「……え?」
あの冷酷王子が?!と兄が驚いたように目を瞠るけど、そんなに驚かなくても。
話せばわかる人なのに。
「シャイナーにもリヒターに見守ってもらいながらちゃんと躾をし直して、今後セドリック王子にも迷惑はかけないよう教え込んでおいたので、兄上が心配するような事態にはならないと思いますよ?」
「そうか…それなら良かった」
また俺が変な事に巻き込まれてセドリック王子に殺されたらと気が気でなかっただろう兄を安心させてあげて、ギュッとそのまま抱きしめた。
それから数日後、俺の所に二通の手紙が届けられた。
一通はアンシャンテの宰相からで、今回の件で相談があるので時間を取ってもらいたいとのことだった。
そしてもう一通はブルーグレイの国王からのもので、セドリック王子の友人として是非歓待したいので、時間を作って来て欲しいとの事だった。
正直言ってどちらも気乗りしない。
「兄上…断ってもいいですか?」
面倒臭い。
兄との時間が減る。
だってどちらを選んでも兄はきっと着いてきてはくれないだろう。
政務が滞るし、一人で送り出されるのは明白だ。
しかも山を挟んですぐのアンシャンテなら兎も角、ブルーグレイは距離がある。
往復の日数を考えるとちょっと遠慮しておきたい。
ワイバーン移動で片道最速二日、普通に行けば四日もかかるのだ。
向こうでの滞在を思えば行きたくないのも当然だろう。
「……どちらも受けざるを得ないだろう」
兄も気乗りはしないようだったが、この場合どちらも断れないという事のようだ。
アンシャンテの方は国王御乱心とばかりの事態が起こったせいで、今後の話がしたいのだろうし、ブルーグレイについても迷惑をかけただけに断り辛い。
好意的なだけまだマシだから、今の内に話を受けた方が印象はいいだろうとのこと。
アンシャンテもこのまま放置してまた余計に厄介な事態になるよりは、宰相と話しておくべきと兄は考えたのだと思う。
「はぁ…わかりました。両方受けます」
その代わりアンシャンテの宰相とは内密に話をするという事で話をつけた。
シャイナーに黙ってガヴァムに来るのは難しいらしいので、俺が護衛連れでこっそり行く形となる。
「あれで行くか…」
手持ちの暗殺者御用達の服────。
隠し通路がなんらかの事情で使えなくなった時城から抜け出す用にと裏稼業の者から渡された非常時用の服だ。
城の者が役立たずだから緊急時に使えと俺と兄、リヒターとカーライルの四人分もらった物。
こういう時に使うのはありだろう。
下手に変装して行くより目立たないはず。
「ワイバーンで直接城に行くのではなく、近くの街に降り立ってそこから馬車で王都に入り、手紙で迎えに来てもらうのがいいでしょうね」
「そうだな」
「万が一の時は俺に任せてください!内部には詳しいので」
頼りになる意見をくれたリヒターだけではなく、カーライルも心強い笑みでそうして請け負ってくれた。
いずれにせよまずは山の麓の街まで馬車で移動してそこからワイバーンとなる。
(うちもアンシャンテやミラルカのようにワイバーンを城で飼うべきか?)
これまでは必要ないと思っていたけど、こう次々と利用する機会があるとそれも考えるべきかと思えて、つい溜め息を吐いてしまったのだった。
***
アンシャンテに行くのは初めてのこと。
街並みはガヴァムともブルーグレイともまた違うが、人々の顔は明るい。
ついでにシャイナーの評判でも聞いておこうかと思い立ち、二人の協力のもと聞き込みを行うと、前王よりも良くなったとなかなかの評判だった。
「シャイナー陛下には弟君もいらっしゃるけど…」
「ああ、あちらよりも断然シャイナー陛下の方が民にお優しいね」
どうやら詳しく聞くと弟の方は優秀だけど好戦的な性格らしく、ちょっと厄介そうな印象を受けた。
それを受けてカーライルにも詳しく聞くと、王弟はシャイナーと違い既に結婚して子供までいるらしい。
「でき婚ってやつであっという間に結婚したんですよ。でも産まれた子を随分放任で育ててるとかで、周囲が甘やかして碌なもんじゃない子になってるそうですよ」
それもあってシャイナー自身が結婚して子供を作って欲しいと願っている者が大半なのだとか。
「それなら結婚を促してこっちから目をそらせる形に持っていきたいな」
「それは名案ですね」
「でもそう上手くいきますかね?」
できれば上手くいってほしいけど、もしかしたらダメかもしれないし、可能性の一つくらいに考えておこうと思った。
そして秘密裏に王都まで移動し、ここでも情報収集を行ってから宿で宰相宛に手紙を出した。
『明日伺います』と。
なんなら宿まで来てくれた方がありがたいとも書いたが、さてどうなることか。
翌日、密やかに手配されてやってきた馬車に乗り城の裏手から中へと入る。
やはり向こうから宿まで来るのは難しかったらしい。
暗殺され放題なシチュエーションだなとは思ったが、カーライル曰く悪意も殺意も感じられないから今のところ大丈夫だろうとの事。
このまま何事もなく終わってもらえたらそれに越したことはないし、面倒事はさっさと終わらせてしまおう。
そして案内されるがままに応接間らしき部屋へと入ると、中には宰相と外務大臣、内務大臣の三人が揃って待っていた。
確かにこの三人が揃って城を開けるのは無理だったろうなと納得がいく。
「ロキ陛下。わざわざのお運び恐縮の極み」
「いえ。どうぞ顔を上げてください」
「シャイナー陛下の無礼もどうかお許しください」
一斉に頭を下げられ辟易してしまう。
腰掛同然の王にそこまでしてくれなくてもいいのだが。
「まあ兄上の冤罪が晴れたのならそれで構いません」
「カリン陛下には本当に申し訳ないことをしてしまいました。こちら、せめてものお詫びの品でございます」
「確認しても?」
「はい」
中を確認すると兄に似合いそうな装飾品一式と兄が好みそうな嗜好品の類などが収められていた。
どうやら早急に兄について調べてすぐさま最高級品を揃えてくれたようだ。
俺が兄を溺愛しているのをわかっているが故の配慮だろう。悪くはない。
「……こちら、有難く受け取らせて頂きます」
「はっ。ありがとうございます」
「それで?今後のお話と言うのは?」
「はい。その…シャイナー陛下なのですが、ブルーグレイから帰ってから少しは落ち着かれたものの、昼は政務に励まれるものの夜はその…ずっと泣き伏しておりまして…」
「そうですか」
「試しにロキ陛下を忘れられるよう誰か夜伽の相手をと差し向けてはみたのですが…」
「失敗したと?」
「はい」
それによると、女性は出ていけと冷たく部屋から追い出され、ならばと男性も差し向けては見たもののそちらも追い出されてしまったらしい。
俺以外の相手なんていらないと激怒されたらしい。
それでほとほと困って俺を呼んでなんとか言い聞かせてもらえないかと頼みに来たと。
ここで責任取って愛人になれと言ってこないだけここの者達は良識的な者達だと思った。
ガヴァムの大臣達ならきっと同じ状況になったら当然のようにそちらを口にしていただろう。
このあたりシャイナーは恵まれていて少々羨ましく思う。
これなら譲歩しても構わないだろう。
「わかりました。ではそれを踏まえた上で話しましょうか」
そう言って俺はまず城下で聞いた話を口にしてみた。
「アンシャンテの民達にシャイナー陛下の評判なども訊いてみたのですが、どうも王弟である方よりも支持されている様子」
「はい。シャイナー陛下は前王のように強攻策をとることなく上手く政務を回し、無駄を極力省いて予算を抑えつつ効率的に民のために動かれておりましたので、あれだけのガヴァムへの支払いにあたっても税金も上げることなく済んでおります。加えてブルーグレイの王妃も強制送還してくださりましたし、謀反を企む貴族達への粛清まで行って国の膿も出してくださいました。まさに賢王として国を支えてくださっている偉大なお方です」
そんな偉大な王を快楽堕ちさせてすみませんとは思ったが、ここでそんなことは当然口にしない。
「そんなシャイナー陛下と比べますと王弟であるレイニー様はその…少々狡猾で利己的なお方でして…」
「なるほど」
どうやらそのせいで余計に皆シャイナーの方が王に相応しいと思ってしまうのだろう。
「正直ここでレイニー様がシャイナー陛下の代わりに王位に就いてしまうとガヴァムへの支払いが滞るばかりではなく税が上がり民も困窮してしまいます。国の衰退は免れず、折角参加をお許しいただけた三ヵ国事業も恐らく頓挫してしまうでしょう」
それは流石に双方にとってマイナスでしかない。
「では、やはりここはシャイナー陛下の退位ではなく継続という形で考えて、結婚を促してみると言うのは如何でしょう?」
「ご結婚…ですか?」
「はい」
「ですが先程申しましたように、シャイナー陛下は今自暴自棄になっておられるので…」
それは難しいのではと宰相達は恐る恐る口にしてくる。
「そこは俺が上手く伝えてみます」
「ロキ陛下自らですか?」
「こうなってしまっては仕方ないでしょう」
本当に良いのかと顔色を窺われるが、仕方ないではないか。
シャイナーの代わりがいないのであれば、このままでいてもらわなければ困る。
結婚でもしてシャイナーを傍で支えてくれる相手ができれば気持ちも落ち着くだろう。
「では…」
「ええ。呼んできて頂けますか?」
「……!!感謝いたします!」
そしてすぐさま宰相は控えていた侍従に声を掛け、シャイナーを呼びに行かせたのだった。
7
お気に入りに追加
1,078
あなたにおすすめの小説
転生したらチートすぎて逆に怖い
至宝里清
ファンタジー
前世は苦労性のお姉ちゃん
愛されることを望んでいた…
神様のミスで刺されて転生!
運命の番と出会って…?
貰った能力は努力次第でスーパーチート!
番と幸せになるために無双します!
溺愛する家族もだいすき!
恋愛です!
無事1章完結しました!
【完結】僕の大事な魔王様
綾雅(りょうが)祝!コミカライズ
BL
母竜と眠っていた幼いドラゴンは、なぜか人間が住む都市へ召喚された。意味が分からず本能のままに隠れたが発見され、引きずり出されて兵士に殺されそうになる。
「お母さん、お父さん、助けて! 魔王様!!」
魔族の守護者であった魔王様がいない世界で、神様に縋る人間のように叫ぶ。必死の嘆願は幼ドラゴンの魔力を得て、遠くまで響いた。そう、隣接する別の世界から魔王を召喚するほどに……。
俺様魔王×いたいけな幼ドラゴン――成長するまで見守ると決めた魔王は、徐々に真剣な想いを抱くようになる。彼の想いは幼過ぎる竜に届くのか。ハッピーエンド確定
【同時掲載】 小説家になろう、アルファポリス、カクヨム、エブリスタ
2023/12/11……完結
2023/09/28……カクヨム、週間恋愛 57位
2023/09/23……エブリスタ、トレンドBL 5位
2023/09/23……小説家になろう、日間ファンタジー 39位
2023/09/21……連載開始
『ユキレラ』義妹に結婚寸前の彼氏を寝取られたど田舎者のオレが、泣きながら王都に出てきて運命を見つけたかもな話
真義あさひ
BL
尽くし男の永遠の片想い話。でも幸福。
ど田舎村出身の青年ユキレラは、結婚を翌月に控えた彼氏を義妹アデラに寝取られた。
確かにユキレラの物を何でも欲しがる妹だったが、まさかの婚約者まで奪われてはさすがに許せない。
絶縁状を叩きつけたその足でど田舎村を飛び出したユキレラは、王都を目指す。
そして夢いっぱいでやってきた王都に到着当日、酒場で安い酒を飲み過ぎて気づいたら翌朝、同じ寝台の中には裸の美少年が。
「えっ、嘘……これもしかして未成年じゃ……?」
冷や汗ダラダラでパニクっていたユキレラの前で、今まさに美少年が眠りから目覚めようとしていた。
※「王弟カズンの冒険前夜」の番外編、「家出少年ルシウスNEXT」の続編
「異世界転移!?~俺だけかと思ったら廃村寸前の俺の田舎の村ごとだったやつ」のメインキャラたちの子孫が主人公です
大好きなBLゲームの世界に転生したので、最推しの隣に居座り続けます。 〜名も無き君への献身〜
7ズ
BL
異世界BLゲーム『救済のマリアージュ』。通称:Qマリには、普通のBLゲームには無い闇堕ちルートと言うものが存在していた。
攻略対象の為に手を汚す事さえ厭わない主人公闇堕ちルートは、闇の腐女子の心を掴み、大ヒットした。
そして、そのゲームにハートを打ち抜かれた光の腐女子の中にも闇堕ちルートに最推しを持つ者が居た。
しかし、大規模なファンコミュニティであっても彼女の推しについて好意的に話す者は居ない。
彼女の推しは、攻略対象の養父。ろくでなしで飲んだくれ。表ルートでは事故で命を落とし、闇堕ちルートで主人公によって殺されてしまう。
どのルートでも死の運命が確約されている名も無きキャラクターへ異常な執着と愛情をたった一人で注いでいる孤独な彼女。
ある日、眠りから目覚めたら、彼女はQマリの世界へ幼い少年の姿で転生してしまった。
異常な執着と愛情を現実へと持ち出した彼女は、最推しである養父の設定に秘められた真実を知る事となった。
果たして彼女は、死の運命から彼を救い出す事が出来るのか──?
ーーーーーーーーーーーー
狂気的なまでに一途な男(in腐女子)×名無しの訳あり飲兵衛
雪狐 氷の王子は番の黒豹騎士に溺愛される
Noah
BL
【祝・書籍化!!!】令和3年5月11日(木)
読者の皆様のおかげです。ありがとうございます!!
黒猫を庇って派手に死んだら、白いふわもこに転生していた。
死を望むほど過酷な奴隷からスタートの異世界生活。
闇オークションで競り落とされてから獣人の国の王族の養子に。
そこから都合良く幸せになれるはずも無く、様々な問題がショタ(のちに美青年)に降り注ぐ。
BLよりもファンタジー色の方が濃くなってしまいましたが、最後に何とかBLできました(?)…
連載は令和2年12月13日(日)に完結致しました。
拙い部分の目立つ作品ですが、楽しんで頂けたなら幸いです。
Noah
【完結】虐げられオメガ聖女なので辺境に逃げたら溺愛系イケメン辺境伯が待ち構えていました(異世界恋愛オメガバース)
美咲アリス
BL
虐待を受けていたオメガ聖女のアレクシアは必死で辺境の地に逃げた。そこで出会ったのは逞しくてイケメンのアルファ辺境伯。「身バレしたら大変だ」と思ったアレクシアは芝居小屋で見た『悪役令息キャラ』の真似をしてみるが、どうやらそれが辺境伯の心を掴んでしまったようで、ものすごい溺愛がスタートしてしまう。けれども実は、辺境伯にはある考えがあるらしくて⋯⋯? オメガ聖女とアルファ辺境伯のキュンキュン異世界恋愛です、よろしくお願いします^_^ 本編完結しました、特別編を連載中です!
配信ボタン切り忘れて…苦手だった歌い手に囲われました!?お、俺は彼女が欲しいかな!!
ふわりんしず。
BL
晒し系配信者が配信ボタンを切り忘れて
素の性格がリスナー全員にバレてしまう
しかも苦手な歌い手に外堀を埋められて…
■
□
■
歌い手配信者(中身は腹黒)
×
晒し系配信者(中身は不憫系男子)
保険でR15付けてます
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる