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81.愛しの兄にキスを。
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シャイナーをしっかり躾け、何度も言い聞かせながら満足させていく。
リヒターがちゃんとほぐしてくれていたからすんなり挿れることもできたし、そこまでスムーズにいけば後は簡単だった。
良くも悪くもシャイナーは真っ新だったから、最初から染め上げることができたせいだ。
誤算があったとすればちょっと落としすぎたくらいだろうか?
多分これからも抱いてやると言えばしっぽを振って何でも聞いてくれそうな気がする。
まあしないけど。
腹が立った気持ちのままに調教したから俺としては十分報復はできたと思っている。
ただ今回兄を嵌めてきたその手腕を見るに、敵に回すようなリスクは避け、距離を置いて飼い殺しにする方向にした方がいいとは思った。
後、シャイナー本人に対し兄に手出しできないようには躾けたが、周囲へのアピールは必要だろうと判断した。
折角だからシャイナーを見習ってアンシャンテの者を上手く利用してみようか?
こちらに悪印象がある今なら、シャイナーと距離を置く行動をとればシャイナーの味方をすることなくこちらを後押しする方向に感情が動いてくれるはず。
そう思ったので翌朝交渉の場でブルーグレイで新しく改良してもらった例の機器───ツンナガールを渡したのだ。
あれは以前俺が闇ルートで手に入れた例の機器をセドリック王子にお願いして改良してもらったもので、対になった機器でなくても話せるという優れものだ。
ちょっと気になる事があったのでセドリック王子に手紙で尋ねたところ、やっぱりわざと設計図を裏に流していたと判明したので『もう美味しく熟れて収穫できますよ』と伝えがてら改良をお願いしたら数か月であっさりやってくれたという次第だ。
設計図流出は裏社会の方が技術が優れているのを承知でそうしていたらしい。
開発に行き詰った時なんかに便利なのだと言っていた。
流石だと思う。
今回それを元に俺が伝えた改良に力を注いでくれたのだが、そちらは裏に流さなくてもできる応用範囲のものだったとかで、あっさりと実現してもらうことができた。
しかも情報提供と技術向上に感謝すると言って数台タダでもらえたからちょっと得した気分でいっぱいだ。
その際『ロキ陛下は面倒臭がりだからすぐに丸投げしてくるが、アイデア料は取っておけ』とまた言われてしまった。
大人しくそこは従うことにしたけど、正直作った人の方が偉いのだから別にいいのにと思ってしまう。
セドリック王子はそんな俺に相変わらず王らしくないなと面白そうに言うけど、じゃあそろそろ退位していいですかと書いたらダメだと返ってきた。酷い。
兄は俺がそんなやり取りをしていると知って戦々恐々としながら『何をやってるんだ?!殺されるぞ?!』と言ってきたけど、セドリック王子がそんなことをしてくるはずがない。
退位云々についてセドリック王子は子猫をあしらうような感じで軽くダメだと言ってくるし、情報流出について訊いた件だってちゃんと手順を踏んで確認を取っているから大丈夫だ。
その後もそれを踏まえた上でやり取りをしているし、向こうが俺を殺す理由にはならない。
改良の件についても上手くいけば自国にプラスになる話だし提案くらいは許してもらえる。
それを受けて動く動かないはセドリック王子次第だ。
別に動いてもらえなくても俺は何も言う気はないし、シャイナーには既に手に入る方の機器を渡せば済む話だったのだから。
なのに何故かレオにまで『あのセドリック王子を利用しようとするなんて…流石ロキ。怖いもの知らず』とか言われてドン引きされた。失礼な。
でもそう言えばセドリック王子の手紙にも不思議なことが書かれてあった。
あっちはあっちで最近何故か俺がセドリック王子の友達認定をされたとかで、本人はどうしてそうなったのかわからないと首を傾げている様子だった。
それには俺も同感だ。
俺とセドリック王子が友達なんてあるはずがない。
ちょっと手紙のやり取りが頻繁で、趣味や新しい開発の品などで話が盛り上がったりすることもあるが、それくらいだ。
自称大親友のレオみたいに頻繁に遊びに来るわけでもないし、こちらからブルーグレイに行くこともない。
用もないのに会ったりはしないし、絶対に違うと思う。
そう書いて手紙を送ったら向こうも同感だと言ってくれたし、きっと周りが勝手に言っているだけなんだろう。
そう言えば闇ルートにこういった商品はないか的なことも書いてあったし、またそれも見に行ってみないと。
セドリック王子とは持ちつ持たれつ上手くやっていければそれでいいのだ。
まあそれは置いておいて、そんな最新機器のお陰でシャイナーを無事締め出すことができた。
迅速に改良を行ってくれたセドリック王子には本当に感謝だ。
また御礼の品でも見繕って送っておくとしよう。
完全とはいかないまでも、これで漸く少しは兄に安心してもらえるのではないだろうか?
兄の時間をシャイナーに奪われることもこれでなくなったし、俺との時間も増えて一石二鳥だ。
そしてシャイナーとの話を終え次に行ったのは自国の者達への説明だ。
シャイナーからもらった一筆を手に補佐官達へ話を通し、兄の無罪を周知するよう動かした。
全員信じられないというような目を向けてきたからそれにも腹が立ち、鞭を手にしながら『どいつもこいつも目が節穴のようだな。誰が一番良い思いをしたのかを考えろ』と嗤って蔑むように見つめてやったら蒼白になってすぐさま動き始め、今後このようなことがないよう周知徹底を行いますと言ってもらうことができた。
兄を虐めていいのは俺だけだとばかりに、その後も兄の陰口を口にする輩を見つける度に俺の前に連れて来させ、きっちりわからせておいた。
恐怖政治?まさか。
俺がそんな面倒なことをするはずがない。
兄の安寧を脅かす輩は許さないと教えてやっただけだ。
俺としては兄の冤罪が晴れてくれればそれで構わなかった。
ロキ様のイヌが増えたとかなんとか情報局長が嬉々として言っていたらしいが、こちらも後日締めておいたのは言うまでもない。
本当にこの城にいるのは使えない者達ばかりで嫌になる。
そんな諸々を行なった後、疲れた俺は兄に甘えてみた。
「兄上。頑張ったご褒美に兄上をこれでもかと抱きたいです」
「う…ま、まあ…それは嬉しいが」
「ダメですか?」
「ダメじゃないが、その前に説教だ」
「え?」
「昨夜は疲れたと言って俺を抱き枕にして早々に寝てしまっただろう?」
確かに全てを終えシャワーを浴び、気絶したシャイナーの身を清め部屋へと送り届けるよう手配した後自室へ帰ったが、流石に疲れたので兄を抱き締めながら眠ってしまった。
大好きな兄を補給しないとやってられなかったのだ。
朝起きてからも今回のアンシャンテとの交渉の件で話してからすぐにシャイナーの元へと足を運んだし、リヒターからもまだお説教はされていない。
でも……。
「何がまずかったかわかりません」
「……言うと思った」
正直怒られる点がわからない。
シャイナーを抱いたことは状況的に仕方なかったから違うと思うし…。
警戒はしていてもシャイナーの罠を見抜けず兄を窮地に陥らせてしまったことか?
それならわかる気はする。
火消しはしたけど、兄としては辛かっただろう。
「兄上…。俺がもっと早い段階でシャイナーを躾けておけば良かったですね。すみません。こんなことならリヒターが止めてももっと早く手を打っておけばよかったです」
「いやいやいや?!違うぞ?!」
誰が必要もないのにさっさと寝ろと言うものかと止めに入られる。
「じゃあ?」
他になにかあるんだろうか?
全く見当がつかない。
「取り敢えず、他国の王を快楽堕ちさせるのはやめろ」
「え?」
「ちょっとやり過ぎだ」
「でも兄上もリヒターも特に止めなかったじゃありませんか」
「まあお前は怒っていたし、躾自体は必要だと思ったからな」
「なるほど」
「でもあれじゃあ折角締め出しても理由をつけてお前に会いにきてしまうかもしれないだろう?」
確かになくはない。
折角アンシャンテ側に嵌められた件を伏せ、つけ込む隙を与えないよう穏便に締め出したのに、そうなっては水の泡だ。
「すみません、兄上。許してください」
「いや。まあ俺もあんな風に嵌められてしまって悪かったとは思っているし、別にいい」
「その…傷ついていませんか?」
「……お前の気遣いがあったからそうでもない」
「それならいいんですけど…」
でもシャイナーを結果的に目の前で抱くことになってしまったし、複雑ではあるだろう。
「……兄上。暫くは二人だけで寝ましょうか。沢山愛情をこめて優しく抱きますよ?」
「いや。それは嬉しいが、暫くと言わずずっと俺と二人でいいだろう?」
「え?だってそれだとマンネリになるじゃないですか。たまには気分を変えて3Pがしたいです」
「…よし、俺がもっといいマンネリ防止を何か考えよう」
「え?いいんですか?」
兄からの意外な提案に心が浮き立ってしまう。
どんな事をさせてもらえるのかが今からとても楽しみだ。
そうして無事にシャイナーを見送り、その日の夜は普通に兄と愛し合って過ごしたのだけど、翌日今回の気苦労が祟ったのか珍しくリヒターが熱を出して寝込んでしまった。
「リヒター。風邪を引くなんて珍しいな」
そう言いながら手製の薬草粥を手にリヒターの部屋へと入る。
そう言えばここには初めて入った。
リヒターらしいきちんと片付いた清潔な部屋だ。
そんなリヒターの部屋で、ベッドに横たわるリヒターの隣へと椅子を用意し、そっとひと匙掬って冷ましてやる。
「ほら。食べさせてやるから、早く良くなってくれ」
いつも頼りになるリヒターが元気でいてくれないと俺が困る。
「陛下。こんな俺にそこまでしていただかなくても…」
「お前になら喜んでしてやりたいからしてるんだ」
「…………」
いつもそこまでしなくてもと思う程俺を気遣ってくれるリヒターだからこそ、こうして恩返し的に動きたいと思うのだけど、何かおかしかっただろうか?
何故か困った人だと言わんばかりに苦笑されてしまい首を傾げてしまう。
そうやって看病をして元気になってくれたのは良かったものの、何故か兄からはシャイナー相手の時以上に嫉妬されてしまった。
なんでだろう?
リヒターと俺の仲がいいのは前からなのに。
(おかしな兄上)
わざわざ釘を刺してこなくても、俺がリヒターを抱くわけがない。
リヒターはそういう相手ではないと前から言っているのに、シャイナーの件で不安になったんだろうか?
俺と親しい相手は皆敵とか思われたら困るな。
いや、流石にそれはないか。
まあ嫉妬してくる兄は可愛いから別にいいけど。
取り敢えず、不安にならないよう沢山沢山愛してあげよう。
俺の愛情は全部兄に捧げると誓っているのだから。
「兄上。俺が愛せるのは貴方だけだって、忘れないでくださいね」
そう言って、俺は愛しい兄にキスをした。
****************
※次回は閑話でリヒターの寝込んだ本当の理由が明らかに。
真面目ゆえに全くエロくはないんですが、夢でリヒター×ロキ描写があるので苦手な方は飛ばしてください。
宜しくお願いします。
リヒターがちゃんとほぐしてくれていたからすんなり挿れることもできたし、そこまでスムーズにいけば後は簡単だった。
良くも悪くもシャイナーは真っ新だったから、最初から染め上げることができたせいだ。
誤算があったとすればちょっと落としすぎたくらいだろうか?
多分これからも抱いてやると言えばしっぽを振って何でも聞いてくれそうな気がする。
まあしないけど。
腹が立った気持ちのままに調教したから俺としては十分報復はできたと思っている。
ただ今回兄を嵌めてきたその手腕を見るに、敵に回すようなリスクは避け、距離を置いて飼い殺しにする方向にした方がいいとは思った。
後、シャイナー本人に対し兄に手出しできないようには躾けたが、周囲へのアピールは必要だろうと判断した。
折角だからシャイナーを見習ってアンシャンテの者を上手く利用してみようか?
こちらに悪印象がある今なら、シャイナーと距離を置く行動をとればシャイナーの味方をすることなくこちらを後押しする方向に感情が動いてくれるはず。
そう思ったので翌朝交渉の場でブルーグレイで新しく改良してもらった例の機器───ツンナガールを渡したのだ。
あれは以前俺が闇ルートで手に入れた例の機器をセドリック王子にお願いして改良してもらったもので、対になった機器でなくても話せるという優れものだ。
ちょっと気になる事があったのでセドリック王子に手紙で尋ねたところ、やっぱりわざと設計図を裏に流していたと判明したので『もう美味しく熟れて収穫できますよ』と伝えがてら改良をお願いしたら数か月であっさりやってくれたという次第だ。
設計図流出は裏社会の方が技術が優れているのを承知でそうしていたらしい。
開発に行き詰った時なんかに便利なのだと言っていた。
流石だと思う。
今回それを元に俺が伝えた改良に力を注いでくれたのだが、そちらは裏に流さなくてもできる応用範囲のものだったとかで、あっさりと実現してもらうことができた。
しかも情報提供と技術向上に感謝すると言って数台タダでもらえたからちょっと得した気分でいっぱいだ。
その際『ロキ陛下は面倒臭がりだからすぐに丸投げしてくるが、アイデア料は取っておけ』とまた言われてしまった。
大人しくそこは従うことにしたけど、正直作った人の方が偉いのだから別にいいのにと思ってしまう。
セドリック王子はそんな俺に相変わらず王らしくないなと面白そうに言うけど、じゃあそろそろ退位していいですかと書いたらダメだと返ってきた。酷い。
兄は俺がそんなやり取りをしていると知って戦々恐々としながら『何をやってるんだ?!殺されるぞ?!』と言ってきたけど、セドリック王子がそんなことをしてくるはずがない。
退位云々についてセドリック王子は子猫をあしらうような感じで軽くダメだと言ってくるし、情報流出について訊いた件だってちゃんと手順を踏んで確認を取っているから大丈夫だ。
その後もそれを踏まえた上でやり取りをしているし、向こうが俺を殺す理由にはならない。
改良の件についても上手くいけば自国にプラスになる話だし提案くらいは許してもらえる。
それを受けて動く動かないはセドリック王子次第だ。
別に動いてもらえなくても俺は何も言う気はないし、シャイナーには既に手に入る方の機器を渡せば済む話だったのだから。
なのに何故かレオにまで『あのセドリック王子を利用しようとするなんて…流石ロキ。怖いもの知らず』とか言われてドン引きされた。失礼な。
でもそう言えばセドリック王子の手紙にも不思議なことが書かれてあった。
あっちはあっちで最近何故か俺がセドリック王子の友達認定をされたとかで、本人はどうしてそうなったのかわからないと首を傾げている様子だった。
それには俺も同感だ。
俺とセドリック王子が友達なんてあるはずがない。
ちょっと手紙のやり取りが頻繁で、趣味や新しい開発の品などで話が盛り上がったりすることもあるが、それくらいだ。
自称大親友のレオみたいに頻繁に遊びに来るわけでもないし、こちらからブルーグレイに行くこともない。
用もないのに会ったりはしないし、絶対に違うと思う。
そう書いて手紙を送ったら向こうも同感だと言ってくれたし、きっと周りが勝手に言っているだけなんだろう。
そう言えば闇ルートにこういった商品はないか的なことも書いてあったし、またそれも見に行ってみないと。
セドリック王子とは持ちつ持たれつ上手くやっていければそれでいいのだ。
まあそれは置いておいて、そんな最新機器のお陰でシャイナーを無事締め出すことができた。
迅速に改良を行ってくれたセドリック王子には本当に感謝だ。
また御礼の品でも見繕って送っておくとしよう。
完全とはいかないまでも、これで漸く少しは兄に安心してもらえるのではないだろうか?
兄の時間をシャイナーに奪われることもこれでなくなったし、俺との時間も増えて一石二鳥だ。
そしてシャイナーとの話を終え次に行ったのは自国の者達への説明だ。
シャイナーからもらった一筆を手に補佐官達へ話を通し、兄の無罪を周知するよう動かした。
全員信じられないというような目を向けてきたからそれにも腹が立ち、鞭を手にしながら『どいつもこいつも目が節穴のようだな。誰が一番良い思いをしたのかを考えろ』と嗤って蔑むように見つめてやったら蒼白になってすぐさま動き始め、今後このようなことがないよう周知徹底を行いますと言ってもらうことができた。
兄を虐めていいのは俺だけだとばかりに、その後も兄の陰口を口にする輩を見つける度に俺の前に連れて来させ、きっちりわからせておいた。
恐怖政治?まさか。
俺がそんな面倒なことをするはずがない。
兄の安寧を脅かす輩は許さないと教えてやっただけだ。
俺としては兄の冤罪が晴れてくれればそれで構わなかった。
ロキ様のイヌが増えたとかなんとか情報局長が嬉々として言っていたらしいが、こちらも後日締めておいたのは言うまでもない。
本当にこの城にいるのは使えない者達ばかりで嫌になる。
そんな諸々を行なった後、疲れた俺は兄に甘えてみた。
「兄上。頑張ったご褒美に兄上をこれでもかと抱きたいです」
「う…ま、まあ…それは嬉しいが」
「ダメですか?」
「ダメじゃないが、その前に説教だ」
「え?」
「昨夜は疲れたと言って俺を抱き枕にして早々に寝てしまっただろう?」
確かに全てを終えシャワーを浴び、気絶したシャイナーの身を清め部屋へと送り届けるよう手配した後自室へ帰ったが、流石に疲れたので兄を抱き締めながら眠ってしまった。
大好きな兄を補給しないとやってられなかったのだ。
朝起きてからも今回のアンシャンテとの交渉の件で話してからすぐにシャイナーの元へと足を運んだし、リヒターからもまだお説教はされていない。
でも……。
「何がまずかったかわかりません」
「……言うと思った」
正直怒られる点がわからない。
シャイナーを抱いたことは状況的に仕方なかったから違うと思うし…。
警戒はしていてもシャイナーの罠を見抜けず兄を窮地に陥らせてしまったことか?
それならわかる気はする。
火消しはしたけど、兄としては辛かっただろう。
「兄上…。俺がもっと早い段階でシャイナーを躾けておけば良かったですね。すみません。こんなことならリヒターが止めてももっと早く手を打っておけばよかったです」
「いやいやいや?!違うぞ?!」
誰が必要もないのにさっさと寝ろと言うものかと止めに入られる。
「じゃあ?」
他になにかあるんだろうか?
全く見当がつかない。
「取り敢えず、他国の王を快楽堕ちさせるのはやめろ」
「え?」
「ちょっとやり過ぎだ」
「でも兄上もリヒターも特に止めなかったじゃありませんか」
「まあお前は怒っていたし、躾自体は必要だと思ったからな」
「なるほど」
「でもあれじゃあ折角締め出しても理由をつけてお前に会いにきてしまうかもしれないだろう?」
確かになくはない。
折角アンシャンテ側に嵌められた件を伏せ、つけ込む隙を与えないよう穏便に締め出したのに、そうなっては水の泡だ。
「すみません、兄上。許してください」
「いや。まあ俺もあんな風に嵌められてしまって悪かったとは思っているし、別にいい」
「その…傷ついていませんか?」
「……お前の気遣いがあったからそうでもない」
「それならいいんですけど…」
でもシャイナーを結果的に目の前で抱くことになってしまったし、複雑ではあるだろう。
「……兄上。暫くは二人だけで寝ましょうか。沢山愛情をこめて優しく抱きますよ?」
「いや。それは嬉しいが、暫くと言わずずっと俺と二人でいいだろう?」
「え?だってそれだとマンネリになるじゃないですか。たまには気分を変えて3Pがしたいです」
「…よし、俺がもっといいマンネリ防止を何か考えよう」
「え?いいんですか?」
兄からの意外な提案に心が浮き立ってしまう。
どんな事をさせてもらえるのかが今からとても楽しみだ。
そうして無事にシャイナーを見送り、その日の夜は普通に兄と愛し合って過ごしたのだけど、翌日今回の気苦労が祟ったのか珍しくリヒターが熱を出して寝込んでしまった。
「リヒター。風邪を引くなんて珍しいな」
そう言いながら手製の薬草粥を手にリヒターの部屋へと入る。
そう言えばここには初めて入った。
リヒターらしいきちんと片付いた清潔な部屋だ。
そんなリヒターの部屋で、ベッドに横たわるリヒターの隣へと椅子を用意し、そっとひと匙掬って冷ましてやる。
「ほら。食べさせてやるから、早く良くなってくれ」
いつも頼りになるリヒターが元気でいてくれないと俺が困る。
「陛下。こんな俺にそこまでしていただかなくても…」
「お前になら喜んでしてやりたいからしてるんだ」
「…………」
いつもそこまでしなくてもと思う程俺を気遣ってくれるリヒターだからこそ、こうして恩返し的に動きたいと思うのだけど、何かおかしかっただろうか?
何故か困った人だと言わんばかりに苦笑されてしまい首を傾げてしまう。
そうやって看病をして元気になってくれたのは良かったものの、何故か兄からはシャイナー相手の時以上に嫉妬されてしまった。
なんでだろう?
リヒターと俺の仲がいいのは前からなのに。
(おかしな兄上)
わざわざ釘を刺してこなくても、俺がリヒターを抱くわけがない。
リヒターはそういう相手ではないと前から言っているのに、シャイナーの件で不安になったんだろうか?
俺と親しい相手は皆敵とか思われたら困るな。
いや、流石にそれはないか。
まあ嫉妬してくる兄は可愛いから別にいいけど。
取り敢えず、不安にならないよう沢山沢山愛してあげよう。
俺の愛情は全部兄に捧げると誓っているのだから。
「兄上。俺が愛せるのは貴方だけだって、忘れないでくださいね」
そう言って、俺は愛しい兄にキスをした。
****************
※次回は閑話でリヒターの寝込んだ本当の理由が明らかに。
真面目ゆえに全くエロくはないんですが、夢でリヒター×ロキ描写があるので苦手な方は飛ばしてください。
宜しくお願いします。
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