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4.※ジェレミーと俺 Side.ガイナー

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※ガイナー王子視点です。

隠れSが目覚める切っ掛けは多分こんな感じ…かもしれない。

****************

俺には婚約者の令嬢がいる。
アクオス公爵家の長女、リリベルだ。
彼女は俺より三つ年下だから学園に一緒に通うことはない。
けれど彼女の兄は俺と同い年で、クラスも同じだった。

公爵家の嫡男だから将来俺の兄の側近に収まる予定の男。
それもあって昔から面識はあった。

冷たい凍てついた氷のような、仄かに青い透けるような髪色とアイスブルーの瞳をもつ端麗な男だ。
けれどどこか冷たく潔癖な印象を与えるところがあるせいか、俺は昔からあの男とそれほど親しく話したことはなかった。
どちらかと言えば親しいのは王太子である兄のチェーザレの方で『ジェレミー、ジェレミー』と可愛がっていたように思う。
俺はそれを冷めた目で見ながら『まあ将来側近にするんだし、それもあって仲良くしてるんだろうな』と思ったものだった。
それなのに────。

「あっあっ…王子っ、ガイナーおっ、じっ…!」

そんな俺から遠かったはずの男が今、俺の腕の中で快楽に身を染め、泣きながら甘い声で俺の名を呼んでいる。

「はぁぅ!」

俺が教える度にあっという間に覚え込み、教えたように気持ちよさそうに淫らに啼く。
なんて素直で可愛い男なんだろう?

元々何でもこなす男ではあったが、こちらまでこんなに物覚えが良いとは思わなかった。
今の姿からは普段の近寄り難い雰囲気など微塵も感じられない。
冷たく見えていたはずの瞳は不安げに揺れ、白い頬は朱が上りどう見ても誘っているようにしか見えなかった。




最初は単純に女生徒を突き飛ばしていたところに居合わせただけだった。

彼女の名はクララ。
フィラー子爵家の前当主がメイドに手を付けてできてしまった子で、特に貴族としての教育もされないまま別宅で育てられた。
けれど今年になって、どうやら母親が使用人の男と逃げたらしい。
そのため『当主の座はお前に譲るから、彼女を正式にこの家の子として引き取らせてほしい』と息子であるジェイソンに伝え、ジェイソンはそれを受け入れ子爵家の当主に収まった。
その後ジェイソンは前当主を言いくるめた上で、彼女を学園に放り込んだという次第だ。
だから彼女は貴族のマナーというものを全くわかってはいない。

なんとか生徒会の方でフォローをしてやってほしいと先生から頼まれ、そう言う事情ならと快諾した。
つまり彼女に親切にしているのはただの仕事の一環なのだ。
そこに恋愛感情など一切ない。

なのにいつの間にか恋愛の眼差しで俺達を見るようになってしまった彼女。
正直言って迷惑以外の何物でもなかった。
特に俺には婚約者がいるのだから何かを期待されても困るに決まっている。
だから彼女に注意したくなるジェレミーの気持ちもわかるし、俺だって先生から頼まれていなかったならすぐさま彼女から離れただろう。
でも生徒会長である自分が上から頼まれたものを途中で投げ出すわけにもいかなかった。
仕方なく面倒を見ているのだという点だけは理解してほしいと思う。

そんな日々の中、いくら言っても聞こうとしない彼女に業を煮やしたのか、ジェレミーがとうとうやらかしてしまったらしい。
状況から判断して、ジェレミーが彼女を突き飛ばしたのは確実だと思われる。
これはダメだ。
流石に止めないといけない。
そう思って生徒会室で落ち着いて話そうと思ったのに、彼の方もいい加減苛立ちが限界だったのか、自分は悪くないの一点張りで話が通じなかった。
だからこちらも実力行使に出て、率直に痛みというものを教えたらすぐに大人しくなると思ったんだ。

それなのに────虐めれば虐めるほど俺が知らない顔を見せてくるから、普段は取り澄ましたように見えるその綺麗な顔を、もっとこの手で快感に染めてやりたいと思ってしまった。

(もっとジェレミーのいろんな顔が見てみたい…)

そんな黒い欲望がそろりと頭をもたげ、つい虐めるのに熱が入ってしまう。

それでも俺は、昨日は我慢したんだ。
本当なら抱いてしまいたかった。
でもそこまでしてしまえば本来の目的からは外れてしまうし、確実にやり過ぎだろう。

まあ…いつもと違う姿が可愛くてついつい脅し名目で沢山写真は撮ってしまったが、そこは許してほしい。
絶対に誰にも見せる気はないから問題はないだろう。うん。

何はともあれジェレミーがこれで大人しくなってくれればそれでいい。

そう思っていたのに、日を置かず懲りずに彼女の教科書を破くといった暴挙になんて出るから────もっとわからせてやらないとという気になってしまった。




ジェレミーにしっかりと反省を促すために、机の上に押し倒し、弱点である臍を舐めてやりながら下も手で虐めてやる。
一生懸命懇願しながら謝罪してくるが、本当に悪かったと思っているのだろうか?
そう思いながらその表情を窺うが────。

(全然反省はしてなさそうだな)

兎に角謝って解放されたいとその顔にしっかりと書いてある。
イかされたくないからと、上辺だけで反省の言葉を口にするのは間違った行為だ。
心から反省しないと絶対にジェレミーはまたやらかすだろう。
だから俺は昨日と同じようにシャツ一枚にした上で窓の方へと連れて行った。

特に抵抗することなく言われるままに窓へと移動し、尻をこちらに向けろと言えば素直に従い無防備に尻を晒してくるジェレミー。

(それはダメだ。ジェレミー…)

けしからん。
ここはもっと抵抗すべきところだろうに。
どうしてそんなに従順なんだ?
実は犯されたかったのか?
それとも相手が王子である俺だからか?
もしくは誰にでも脅されればこうなるのか?
もしそうなら危険すぎる。
やっぱりこれはお仕置きが必要だ。
俺以外の奴が目をつけたら大変だし、しっかり躾けてやらないと。

たまたまだが手元に潤滑油を持っていて良かったと思う。
折角だし『悪いことをしたら酷い目に合うんだぞ』とここでしっかり教えてやらないと。

ここで痛い目をみれば流石に二度とクララ嬢に近づこうなんて思わなくなるだろうし、自分の尻は狙われる対象なのだと少しは自覚するだろう。
そう思いながら潤滑油を垂らし尻穴の縁を撫でてやると、やっとジェレミーは危機感を抱き始めた。

遅い!

「ひ……っ?!」
「ジェレミー。知っているか?男同士ではここを使うらしいぞ?」

俺は女とはしたことがあるが男は初めてだ。
でもイアードのせいで知識だけは豊富だった。
だから抱く分には全く問題はない。

ゆっくりと尻穴へと指を差し込むと、信じられないと言わんばかりの顔でジェレミーが驚いたように身を震わせる。

(……処女だな)

もうその反応を見ただけでそれが一目でわかってしまう。
これまでよく無事だったものだ。
ともあれ初めてならしっかりほぐしてやろうと思って、これでもかと慣らしてやったら然程抵抗なく俺の指を受け入れ、そのままキスまで拒むことなく甘受し、そのまま俺に抱かれてしまうジェレミー。

(いいのかそれで?!)

なんてけしからん奴だ。
しかも挿れた途端にイッてしまうほど感じて、それに恥じらいながら頬を染めるとはどういう了見だ。
これで初めてだなんて危険すぎる。

(下手をしたらあっという間に男共の餌食になるぞ?)

ジェレミーは知らないだろうが、学園内には男女問わず寝るのが好きという男が結構いるのだ。
生徒会書記のイアードはその筆頭で、生徒会の仕事中にあれこれ卑猥な話を聞かされたりして、仕事をしろと何度叱りつけたか知れない。
今日はそのイアードが仮眠室に後輩の男を連れ込もうとしているところに出くわして、苦言を呈すると共に潤滑油を没収したという経緯があった。
まさかそれを自分が使うことになるとは夢にも思わなかったが…。

「はぁんっ!な…んでっ…?気持ちいっ…よぉ…っ」

ジェレミーは初めてにもかかわらず感じ過ぎだ。
そんなに俺との相性がいいんだろうか?
俺も気持ち良過ぎてたまらない。
穿てば穿つほどに甘い声で啼くジェレミーに夢中になって、キスでその口を塞ぎながら思い切り中へと熱を注ぎ込んでしまった。

「ジェレミー…ッ!」
「や…あぁ…。俺…女じゃないのにっ…」

そう言いながらもジェレミーの内部はうねるように俺を締め付け、貪欲に味わってくる。
相当の天然淫乱体質じゃないか?

「どうやらお前はこちら方面はかなり弱そうだな。しっかり躾けないと危険極まりない」

クララ嬢に近づかないよう言い聞かせるのはもちろんだが、この体質を利用して誰彼構わず寝るようになったらビッチ街道まっしぐらになってしまう。
それはダメだ。
今のうちにそれについてもしっかり言い聞かせておかないと。
だから浅いところを虐めながら、誰でも受け入れるようなことは絶対にするなと教え込もうとしたのに────。

「王…子…っ。ちゃんと言うこと聞きますからっ」

涙目で俺を見つめながらジェレミーが懇願してくる。

「早く奥まで、挿れて…くださいっ」

しかも尻穴までキュッと甘く締め付けて、そんなことを言ってくるなんて…!

この状況で男の欲を煽るようなことを言うなんて、手酷く犯してくれと言っているようなものだ。
正直理性の糸がブチッと切れるかと思った。
思わず舌打ちして『本当にけしからん奴だ』と心の声が漏れてしまったではないか。

(落ち着け…。冷静に、冷静に…)

理性を総動員してでもここでしっかり躾けておかないと絶対に危ない。

「そんなに俺が欲しいのか?」
「欲しい…です」
「なら今後は嫌がらせは一切するな。わかったな?」

まずはこれをしっかり伝えて。

「それと、俺以外の男とは絶対に寝るなよ?絶対だ」
「んぁっ…。は…い…」

こちらについてもしっかり言質を取った。
これで一応危険は少し抑えられるだろう。

それにしても、ジェレミーは躾の意味をちゃんと分かっているのだろうか?
じれったそうにしながら俺が欲しいとねだるなんて…どう考えてもダメだろう。
しかも言い聞かせた後挿れてやったらまたあっさり達してしまったし、あまりにも俺を求めるように締め付けてくるから我慢が利かなくて俺までまたイッてしまった。

「あ…気持ちいっ…」

しかも恍惚とした顔で夢見心地にそんなことを口にするものだから、そこでやめられなくなってしまったではないか。
なんて罪作りな奴なんだと言いたくもなる。

言っておくが俺はSではない。
もう一度言う。
Sじゃないんだ。
なのにあり得ないほど嗜虐心が擽られて、その後は『好きなだけ乱れろ』と言って思い切り抱いてしまった。
おかしいな?
兎に角もうここまでくると流石に俺も我慢する気になど一切なれなかった。
乱れるジェレミーは最高だったから。

全部終わる頃には『ジェレミーは俺のものだ』と独占欲に満たされていたと言ってもいいかもしれない。

もちろん終わった後もそのまま放置なんて非人道的なことはしない。
グッタリしてしまったジェレミーにちゃんと服を着せてやり、抱き上げてそのままきっちり寮の部屋まで送り届けた。




余談だが、ジェレミーには婚約者はいない。
モテないというわけではなく、原因は別にあった。

本人は全く気づいていないが、ジェレミーは凄くモテる。
公爵家の嫡男だし、これだけ綺麗な上に優秀な奴だから当然と言えば当然だろう。
だからこそジェレミーの周辺は常に火花を飛ばし合っている状況だった。
そんなピリピリした空気をジェレミーは『自分が無愛想なせいで皆から嫌われ敬遠されている』と勘違いしていて、実際に兄に愚痴をこぼしたこともあるらしい。

そんな状況の中、ジェレミーの父親は婚約者候補を絞り込んだ。
噂によると厳選に厳選を重ねた結果絞り込んだ、美貌に知性、派閥に財政状況、すべてが拮抗し合った三者三様の素晴らしい令嬢達らしい。
けれどそんな彼女達は現在三つ巴状態で、互いに牽制し火花を散らし合っているが、全く勝負がつかないらしい。
当の本人には全くその熱い思いは伝わっていないらしいが、皆ジェレミーと結婚したくて仕方がないのだ。
公爵としてはその中からジェレミーが気に入った相手を選べばいいと思っているようだが、今の俺はその三人のうちの誰にもジェレミーを渡す気はなかった。

(ジェレミーは俺がもらう!)

そう強く思いながらペンを手にとる。
公爵家への手紙には正直にジェレミーを抱いたから俺にくれと書いた。
ついでに俺の気持ちも添えておこう。
そこを隠し立てする気は一切ない。
婚約者であるリリベルには悪いが、婚約は解消で構わなかったし、その旨もしたためておいた。
それなのに翌日返ってきた返事には『婚約解消をせず予定通りリリベルと結婚して子を為してくれるのなら、ジェレミーを差し上げます』と書かれてあった。
どうやら公爵的にはどうあっても俺にリリベルをもらって欲しいらしい。

確かにここで婚約解消になればリリベルの新しい婚約者を捕まえるのは難しくなってしまうだろう。
ジェレミーが俺に抱かれたのなら女を抱けなくなって、結果的に公爵家の跡継ぎ問題が出てくる可能性も考えられる。
きっとそれを憂いての判断だと思う。

(……ここで俺が断れば、婚約は解消できてもジェレミーは手に入らない可能性が高いな)

そういうことなら考えるまでもない。
ジェレミーが手に入るのならどんな条件でも呑もう。
元々リリベルとは政略結婚だったことだし、彼女にしっかり話さえ通してもらえるのなら俺は別に構わなかった。
だからその旨を手紙にしたためて公爵へと返事を返しておいた。



****************

※悪役ってビッチ要素が強そうだなと思ってしまうのは私だけでしょうか?
悪役令嬢はボンキュボンが多いし、悪役令息も虐め甲斐がありそうなタイプが多い気が…(偏見)。

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