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乱入
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仕事を始めてから数時間がたった。会長と会計の集中が少し切れ始めているのを感じる。
「そろそろ少し休憩しましょう。」
そういって生徒会室に備え付けられている給湯室でお茶を入れる。もともと副会長がお茶を入れていたらしく、いいお茶ばかりが揃っている。
「そうだね。」
「ありがとう。」
3人でソファに座り、一息つく。
「おふたりは他の役員のことどうしようと思ってるんですか?」
「そうだねぇ。早く目を覚ましてくれないかと何度か話したんだけど、話が通じないんだよねぇ。」
「僕も話し合いを設けたけど、全部すっぽかされたんだ。」
「あの、言いにくいんですけど、リコールとは考えてないんですか?」
生徒会役員のリコールは主に全校生徒による多数決か、過半数の署名で決定される。ただ、生徒会長だけは生徒を介さずに他の役員をリコールすることができるのだ。
「最終手段かな。さすがにこの状態であと10ヶ月近く生徒会を運営するのは無理だ。」
「だね。湊人ちゃんが入ってくれてもいいよぉ。」
「いや、僕じゃ無理ですよ。」
思わず苦笑いだ。
「そんなことないよ。今だってしっかりやってるし。」
プルルルルル
「あっ、ごめんなさい、ちょっと失礼します。」
電話がかかってきた。
「はい、藤崎。うん…、うん…。、分かった、今行く。失礼します。ちょっと野暮用ができたので抜けます。一時間くらいで戻ってきます。」
慌ただしく生徒会室を出る。ドアが閉まる前、後ろでは
「湊人ちゃんって放課後よく用事で出て行くよね。クラス委員長ってそんなに忙しいのかな。」
「そうだね。」
という2人の会話が聞こえた。
*********
用事が終わったので生徒会室に戻る。思ったより長引いて、30分ほど遅れてしまった。生徒会室の前まで来ると、扉が大きく開いていて、中の話し声が漏れている。
「響也!!!お前、仕事を要たちに押し付けて遊んでるなんて最低なんだぞ!のぞみも!」
あれは一宮の声だ。とっさに物陰に隠れた。
「一宮くん。君がなんて吹き込まれたか知りませんが、僕も市村も仕事をしています。」
「紫音って呼べよ!嘘はいけないんだぞ!!!」
「鏑木、桃井、笹野。君たちは何をやっているのか分かっているのか?」
「おい!無視すんなよ!」
「いいんです。紫音、もう行きましょう。」
「「そうだよ紫音ちゃん。」」
「……いこ…。」
副会長たちの声はどこか力がない。そりゃそうだ、仕事サボってるのは自分たちなんだから。すぐに5人はドタドタと出ていった。彼らの姿が見えなくなってから生徒会室に入る。
「戻りましたー。うわっ、ひどいですね。」
中には入ると書類が散乱していて、2人で片付けている途中だった。
「ああ湊人ちゃん。」
「藤崎くん。大丈夫、すれ違わなかった?」
「隠れてました。手伝いますよ。」
「ありがとう。その前に鍵かけてもらっていい?」
「はい。」ガチャ
「たまに、転入生が1人でやって来てガチャガチャやってるからね。そういうときは鍵がかかってると居留守も使えるしいいんだよ。」
「今日みたいにみんなで来ちゃうと意味ないけどねぇ。」
2人とも顔が疲れている。
「たまにこんなふうにやってくるから仕事が思うように進まない。」
「なるほど。」
仕事を手伝っていて2人の仕事能力の割に進んでいないなと思うことがあったが、こういうことだったのか。
「顧問に頼んで鍵変えてもらおうか。」
「いいね、僕たち3人だけ開けられるやつにしよーよ。」
「ふふっ、藤崎くんそんなギョッとした顔しないで。冗談ですよ。」
「ええ、会長冗談だったの~?ちょっと本気にしたのに……。」
会計がガックリしている。
「でも、なんとかしなきゃね…。」
会長が自分に言い聞かせるように呟いていた。
「そろそろ少し休憩しましょう。」
そういって生徒会室に備え付けられている給湯室でお茶を入れる。もともと副会長がお茶を入れていたらしく、いいお茶ばかりが揃っている。
「そうだね。」
「ありがとう。」
3人でソファに座り、一息つく。
「おふたりは他の役員のことどうしようと思ってるんですか?」
「そうだねぇ。早く目を覚ましてくれないかと何度か話したんだけど、話が通じないんだよねぇ。」
「僕も話し合いを設けたけど、全部すっぽかされたんだ。」
「あの、言いにくいんですけど、リコールとは考えてないんですか?」
生徒会役員のリコールは主に全校生徒による多数決か、過半数の署名で決定される。ただ、生徒会長だけは生徒を介さずに他の役員をリコールすることができるのだ。
「最終手段かな。さすがにこの状態であと10ヶ月近く生徒会を運営するのは無理だ。」
「だね。湊人ちゃんが入ってくれてもいいよぉ。」
「いや、僕じゃ無理ですよ。」
思わず苦笑いだ。
「そんなことないよ。今だってしっかりやってるし。」
プルルルルル
「あっ、ごめんなさい、ちょっと失礼します。」
電話がかかってきた。
「はい、藤崎。うん…、うん…。、分かった、今行く。失礼します。ちょっと野暮用ができたので抜けます。一時間くらいで戻ってきます。」
慌ただしく生徒会室を出る。ドアが閉まる前、後ろでは
「湊人ちゃんって放課後よく用事で出て行くよね。クラス委員長ってそんなに忙しいのかな。」
「そうだね。」
という2人の会話が聞こえた。
*********
用事が終わったので生徒会室に戻る。思ったより長引いて、30分ほど遅れてしまった。生徒会室の前まで来ると、扉が大きく開いていて、中の話し声が漏れている。
「響也!!!お前、仕事を要たちに押し付けて遊んでるなんて最低なんだぞ!のぞみも!」
あれは一宮の声だ。とっさに物陰に隠れた。
「一宮くん。君がなんて吹き込まれたか知りませんが、僕も市村も仕事をしています。」
「紫音って呼べよ!嘘はいけないんだぞ!!!」
「鏑木、桃井、笹野。君たちは何をやっているのか分かっているのか?」
「おい!無視すんなよ!」
「いいんです。紫音、もう行きましょう。」
「「そうだよ紫音ちゃん。」」
「……いこ…。」
副会長たちの声はどこか力がない。そりゃそうだ、仕事サボってるのは自分たちなんだから。すぐに5人はドタドタと出ていった。彼らの姿が見えなくなってから生徒会室に入る。
「戻りましたー。うわっ、ひどいですね。」
中には入ると書類が散乱していて、2人で片付けている途中だった。
「ああ湊人ちゃん。」
「藤崎くん。大丈夫、すれ違わなかった?」
「隠れてました。手伝いますよ。」
「ありがとう。その前に鍵かけてもらっていい?」
「はい。」ガチャ
「たまに、転入生が1人でやって来てガチャガチャやってるからね。そういうときは鍵がかかってると居留守も使えるしいいんだよ。」
「今日みたいにみんなで来ちゃうと意味ないけどねぇ。」
2人とも顔が疲れている。
「たまにこんなふうにやってくるから仕事が思うように進まない。」
「なるほど。」
仕事を手伝っていて2人の仕事能力の割に進んでいないなと思うことがあったが、こういうことだったのか。
「顧問に頼んで鍵変えてもらおうか。」
「いいね、僕たち3人だけ開けられるやつにしよーよ。」
「ふふっ、藤崎くんそんなギョッとした顔しないで。冗談ですよ。」
「ええ、会長冗談だったの~?ちょっと本気にしたのに……。」
会計がガックリしている。
「でも、なんとかしなきゃね…。」
会長が自分に言い聞かせるように呟いていた。
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